PunchBoxは、サウンドデザインとミキシングに革新をもたらすソフトウェア・プラグインです。
PunchBoxでは次のような問題を解決できます。
- 太くて存在感のあるキックをかんたんに作りたい!
- キックに特化したエフェクトで音色を作りたい
- 太いキックのプリセットがたくさん欲しい
CPU負荷も低いので他のソフトシンセと併用しても大丈夫!
内蔵エフェクトや高度なモジュラー・アーキテクチャにより、個々のサウンドを細部までカスタマイズできます。さらに、グラフィカルなインターフェースとドラッグ&ドロップ操作で、直感的に扱うことが可能です。複雑なサウンドデザインも簡単に実現できるPunchBoxは、エレクトロニック・ミュージックやポップミュージックの制作に欠かせないツールです。
D16 Group PunchBox サウンドレビュー
音の第一印象は「部屋が揺れる」です。またPunchBoxにはランダマイズ機能を使って自動でキック音を作ってくれる機能があります。私のイメージからすれば最初は「どうせ変な音しか出さないんでしょ?」的な印象でした。
しかし、PunchBoxのランダマイズ機能はすごく良くできた実践的なキックを自動で作ってくれます。
なぜ、PunchBoxのランダマイズ機能は優れていくるのか?それはすべてのパラメーターをランダマイズするのではなく、以下の画像の箇所だけをランダムに変更するからです。最小限のパラメーターでありながらしっかりと音が変わるツボを押さえているので、使えるランダム機能になっているわけです。
機能性および操作性
PunchBoxには非常に高品質なサンプルキックとモデリング技術によるキックが用意されています。エフェクトが買っていないいわゆる「素の音」だけでも十分にハイクオリティなキック音源として扱うことが可能です。しかし、よりアグレッシブに攻めていける5つのエフェクトモジュールを装備しています。
ビットクラッシャー | ディストーション | フィルター | イコライザ | リミッタ |
この4つが本当に素晴らしい。ビットクラッシャー、ディストーション、フィルター、どれをとってもガッツリ音を変化させてくれます。
そしてそれらは自由に並び替えることが可能なので、音作りの幅が広がります。
さらにおちゃめなのが、このおジュールを動かすときちらっと基盤のグラフィックが見えます。音作りとは直接関係ありませんが、こういう遊びココロがあるというのはユーザーに少しでも楽しんでもらおうというD16 Group Audioの気持ちが伝わってきます。
ユニークなエクスポート機能
DAWにWAVファイルとして簡単に書き出せる機能がPunchBoxには搭載されていますが、他のキック音源と違う少しユニークな仕様があります。それはビットレートとサンプルレートを選択できるということ
例えばDAWのプロジェクトが48kHzの場合で192kHzで書き出すと、ピッチが代わり音が引き延ばしたような形になります。
これを利用することでキックに面白い表情をつけるちょっとした裏技的な使い方も可能になります。
音声ファイルで比較すると、最初のキックが48kHz、次のキックが192kHzで書き出したもの、DAWのプロジェクトは48kHzです。
太くバランスのとれたキックを作り出す4つのオシレーター
4つのジェネレーター CLICK TOPS TOOS KICKを使っての音作り、ジェネレーター毎にエフェクトへ送ることが可能
Kickではモデリングによるリズムマシンのキックを再現
ビットクラッシャー | ディストーション | フィルター | イコライザ | リミッタ |
- 800のプリセットと1100のサンプルに探しやすいカテゴリ表記
この中で私が特に目を引いているのは、エフェクトとエンジンの素晴らしさ、この2つがあれば、正直作れないキックはないと言えるくらいに高機能であり、圧倒的な存在感です。
もしEDM系などを作っていて「イマイチ、キックに迫力が足りない」でも「かっこいいキックの音」とかは素人やDTM初心者に作れるわけがない。と思っているならばPunchBoxを使えばその考えが間違った思い込みだったことを知ることになります。それくらい音が圧倒的です。
キックで重要なアタック感をより細かく制御可能!
TOPSとTOOLSのみに搭載されているSMP STARTは搭載されている波形のスタートポイントを変更するためのパラメーターです。
例えば、TOPSやTOOLSのサンプルのアタック部分が気に入らないなどの場合はこのスタート地点を変更することで取り除くことが可能なわけです。
デメリットというわけではないのですが、「なんでキックがステレオ音源やねん」というツッコミを入れたい人もいると思いますが、その理由についてお話します。
キックは基本モノラルトラック扱うべきトラックですが、PunchBoxはなぜかステレオトラックになります。
「別にステレオでも良いのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、PunchBoxにはDAWにWAVファイルとしてエクスポートできる機能があります。当然書き出すとステレオ音源なので書き出したファイルもステレオになります。
キックをモノラルトラックとして処理したい人、またはミックスを外注するときなどは「キック等はモノラルでよろしく」という人もいるので、そうなるとモノラル化しておく必要があります。このあたりがちょっと不便と感じる人がいるかもしれませんが、出てくるキックの音圧、存在感はクリエイティブな思考を刺激する最高な音色です。
Logic Proの環境ですが、ステレオファイルをモノラル化したい場合は次の記事が参考になります。
実は、PunchBoxがステレオの理由はPunchBox のパラメータのパンを変更できるからです。
古いタイプの人間なんでやっぱりキックはモノラルだろう…と思ってしまうわけですが、キックの成分をステレオ化することで新しい音楽をつくることができるのかもしれませんね。
パラメーターのテンキー数値入力はできない
各パラメーターのノブを動かしても数値的なもの左下表示されます。
しかし、数値表示はされますが、テンキーによる入力はできません。これは気にしない人にとっては何も問題はありませんが、やはりカチカチとテンキーによる数値入力に慣れている人からするとできたらいいなーって思うところでした。
CPU負荷について
キック専用音源ということもあり非常に軽いです。使い方的に多少レイヤーをする可能性はあるかもしれませんが、それでも3つ以上立ち上げることはあまりないと思いますので、この負荷であれば何も気にせず使うことが可能です。
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Intel Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.6.1 Monterey
Audio/IF Focusrite RED 8PRE
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.7
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
PunchBOXの使い方のコツ
ここではPunchBOXをより効果的に使う方法について解説しています。ここでのコツは他のドラム音源でも応用可能なのでぜひ覚えて欲しいです。
音作りの基本 CLICK TOPS TOOLS KICKのバランスを理解仕様
ランダマイズやプリセットでそれなりに楽しめたらいよいよ音作りですが、まず重要なことがあります。それは
エフェクトをすべてオフにするということ。
PunchBoxのエフェクトは非常に強力で効果もわかりやすいものが多いです。エフェクト有りきの音作りも良いのですが、やはり自分の意図がしっかり反映されたキックを作りたいのであれば、まずはエフェクトはすべてオフにすることを強くオススメします。
キックの音作りは足し算と引き算!
キックを作るときに重要なのは
クリック(CLICK)
トップス(TOPS)
ツール(TOOL)
キック(KICK)一番メインとなる音色
これらの4つのバランスを正しくとることですが、しかし、何もわからない状態だとどこをメインすればよいかわからないと思います。メインにするのはキックです、このキックにどういうアプローチをかけていくかがPunchBoxの音作りで基礎的な部分になります。
では、アプローチのかけかたですが、大事なのはキックがどういう周波数帯域の特性をもった音色なのかを知っておくのがポイントです。
例えばキックにはこのようなサンプリング音源が用意されています。
これをスペクトラム・アナライザーで確認すると次のようになります。
低域から高域まで密度が高いキックであるのがわかります。
この場合はむやみに音を足すのではなく「ここだけは聴かせたい!」と思った以外の周波数をカットする方向で考えるのがよいでしょう。イコライザーやフィルターを使うのもいいでしょう。しかしこれで問題ないと思えるのであればそれでも構いません。
キックの音作りで迷子になるとその上に入ってくるすべてのパートが不安定になり説得力にかけます。
そのためにも「どういうキックにするべきなのか?」をしっかりとイメージしておくことが大切です。
もう一つ例をあげておきます。たとえばサイン波だけで作れたキックもPunchBoxでは選択することが可能です。
ちなみにSample以外のキックはすべてPunchBoxの中でモデリングされたものになります
これを同じくスペクトラム・アナライザーで確認すると次のようになります。
非常にシンプルながら野太いサイン波形によるキックです。
この場合ではキックの音作りは足し算で考えるのがわかりやすいですね。どこにどんな音が入るべきなのか、基本となるサイン波キックをベースに考えるのか、それとも太さの要因としてこのサイン波キックを使うのかによってアプローチの方法は変わってきます。
ここからPunchBoxのキック作りの本格的なアプローチが始まります。
ジェネレーションの意味合いについて
公式のMANUALでは次のように記載されています。
クリック(CLICK)
トップス(TOPS)
ツール(TOOL)
キック(KICK)一番メインとなる音色
クリック–バスドラムのアクセントを生成します。最初の短いクリック。
トップス–アクセントのサステインの配信を担当します
(通常、より高い周波数に存在するわずかに長いトーン)。
ツール–プライマリトーンに伴う追加のランブル、バックグラウンドサウンドなど。
キック–バスドラムの本体であるベーシック/プライマリトーン。
引用:D16 Group Audio PunchBoxMANUAL和訳より
クリックで音の輪郭を見せてあげるような印象です。クリックが入ることでキックの輪郭が変わりやすくなる効果があります。
トップスは、MANUALにはアクセントのサスティンと書かれていますが、これは少し誤解を生む説明です。クリックは高域に特化した音色が多数用意されていますが、TOPSになると、高域だけではなく、低域も多く含んだ、キック的なサウンドも多数用意されています。
なので「サスティンを多く含んだ長いトーン」とい解釈はやめた方がよいでしょう。このTOPSの場合は100Hz付近に強烈なピークが存在します。ここはベースとかぶるポイントでもあるので、このままだと確実にベースの邪魔になりますし、KICKを重ねたときにも不要なピークになるかもしれません。高域の成分がほしい場合はLOW CUTで調整しましょう。
ツールはキックの補佐的な役割な感じですが、ツールだけでもキックとして成り立つほどです。
上記のサンプルのようにミックスすると芯がありながらもふくよかな低域があるキックを作ることが可能です。
PunchBOXのメリット
テンションが上がるインターフェイスでの音作り
インターフェイスは重要です。もちろん好みはありますが、PunchBoxはいかにも野太く、野性的な音色が作れそうな顔をしています。PunchBoxと同じキック専用音源のKick 2などは実にシックでジェントルな風貌です。
実際出てくる音の太さはどんな音色を使うのかにもよりますが、以前友人の言えで8インチスピーカーで鳴らしたところ、PunchBoxの方がよりローエンドが伸びていました。
まとめ
曲のかっこよさの8割はキックで決まるこれは間違いなく事実です。音源購入で悩んでいる人はまずキック音源のチョイスをするべきだと思います。
PunchBOXは、D16 Groupが開発した高品質なドラムシンセサイザーであり、圧倒的なパンチとクリアなサウンドを提供します。
その豊富なサウンドパレットとユーザーフレンドリーなインターフェースは、プロデューサーやミュージシャンにとって非常に魅力的で、独自のシンセシスエンジンにより、ユーザーは独自のサウンドを作り出すことができ、さまざまなジャンルに対応することができます。
また、エフェクトセクションの柔軟性も非常に高く、さまざまなエフェクト処理を加えることで、さらに多様なサウンドを創造することができます。
PunchBOXの使用感は非常に直感的であり、初心者から上級者まで幅広いユーザーに対応しています。そのパワフルで多機能な性能と、プロフェッショナルな品質は、ドラムトラック制作において非常に有益であり、クオリティの高い音楽制作を目指す人々にとって不可欠なツールとなることでしょう。
全体的に見て、PunchBOXは信頼性と使いやすさを兼ね備えた優れたドラムシンセサイザーであり、今後も多くのユーザーに愛されることが予想されます。
PunchBOXは名前の通りパンチのあるキックを簡単に選択、作成できるキック専用音源です。太さと大胆さを兼ね備えた敵無しのキックをあなたのトラックに入れるだけで楽曲のクオリティは一気に上がります。