パワーディストリビューターって、つけっぱなしにしてても大丈夫なんですか?なんか、機材が壊れたりしそうで心配なんですけど…。
それ、気になるよね。実際、多くの人が同じ疑問を持ってるよ。でも安心して、ちゃんと使い方を守れば大丈夫なことがほとんどなんだ。
でも「ちゃんと使い方を守る」って、具体的にはどうすればいいんですか?正直、あまり詳しくなくて…。
うん、難しく考えなくても大丈夫!ポイントは「いつ、どうやって電源を入れるか」と「つけっぱなしが適切な状況か」を知ることだけ。簡単なコツで機材を安全に守れるよ。
私は、TEAC、AV-P25を15年以上、TASCAM AV-P250を2年以上仕事で使った立場から今回のパワーディストリビューターつけっぱなしのメリット・デメリットについて解説してきます。
パワーディストリビューターとは?
パワーディストリビューターは、DTMやライブ環境において複数の機器へ安定した電力を供給し、トラブルを未然に防ぐための重要なデバイスです。ディストリビューターの種類によっては機能も多様化しているものもありますが、基本的にはノイズ対策、過電流保護、電力管理の効率化などが挙げられます。
効果や必要性の有無についてDTM パワーディストリビューターの効果と必要性についてで詳しく解説しているので参考にしてください。
パワーディストリビューターのつけっぱなしのメリット
パワーディストリビューターをつけっぱなしにするメリットについてはパワーディストリビューターでなくても普通に電源につながっている状態で常にDTM機器及びパソコンにアクセスできる便利さでしょう。
パソコンの起動は昔比べると早くなりましたが、やはりシャットダウンした状態からパソコンを起動して、DAWを立ち上げて制作できるまでに数分かかってしまうこともあります。
その数分で思い描いたメロディやアイデアなどを忘れてしまうことがあるので、瞬時に操作できるのはパワーディストリビューターをつけっぱなしにするメリットといえます。
また機器が増えると、電源のON/OFFを機材の数ほどを行わないといけませんが、それを一括管理できるのも大きな魅力です。
しかし、気になるのはパワーディストリビューターを「つけっぱなしにすると機材が壊れたりするのでは?」という不安要素だと思います。そこで次にデメリットの部分について解説してみます。
つけっぱなしにするデメリット(不安と疑問)
まずディストリビューターは多くの電気機器を多く接続できるわけですから、パワーディストリビューターをつけっぱなしにすることで、接続されたすべての機材が待機状態になるため、電力消費量が増加します。特に消費電力の高い機材が多い場合、年間を通じての電気代に影響を与える可能性があります。
機材の寿命への影響があるのではないか?
因果関係の特定: 「パワーディストリビューターをつけっぱなしにしたから壊れた」という因果関係を証明することは難しいです。特に、機材の故障は複数の要因(製造時の不具合、使用環境、使用頻度、自然劣化など)によって引き起こされる可能性があります。したがって、「パワーディストリビューターを経由していたから」という単一の原因を特定するのは一般的には困難です。
話は少しそれますが、Macminiを縦置きが良いのか横置きがよいのか、それについて故障の頻度は変わるのか?についてネットで検索している人は多く、私も気になったのでAppleのサポートセンターに直接聞いたところ、縦置きが原因で故障した因果関係は証明できないと言われました。
話を戻します。私は真空管サミングミキサーをはじめ、レコーダー、オーディオインターフェイスを一つのパワーディストリビューターで電源管理していますが、パワーディストリビューターをつけっぱなしにしていることの不具合や故障を経験したことはありません。
パワーディストリビューターをつけっぱなしによる機材の寿命の因果関係はないといえます。
トラブルのリスク(発熱や故障など)
これも機材の寿命と似た話になりますが、パワーディストリビューターや接続機材が長時間通電状態だと、発熱が蓄積するのは事実です。
電源供給に関わる部品(トランス、抵抗器など)は電流が流れることで熱を発生します。この蓄積した熱は、機材の寿命を縮め、故障や最悪の場合火災の原因となる可能性があります。
高品質なパワーディストリビューターは、電力を分配する際に電力の量を変更することなく、ノイズフィルタリングや電圧安定化を行います。つまり、送られる電気量が変わらないように設計されています。もしパワーディストリビューターが電力量を増加させているなら、それは正常な動作ではありません。
パワーディストリビューター自体の使用が必ずしも発熱リスクや故障リスクを上げるわけではありません。むしろ、適切なフィルタリングや過電流保護を提供することで、機器へのダメージを防ぐ役割もあります。しかし、品質の低いディストリビューターや、過負荷状態での使用などはリスクを増加させる可能性があります。
電源の過負荷状態とは
過負荷状態での使用とは、電源機器や配線が設計された能力を超えて負荷(電力消費量)をかける状態を指します。具体的には以下のような状況が考えられます:
1. 総消費電力の超過
- アンプリファイヤ、テレビ、コンピュータなどの機器を一つのディストリビューターに接続し、その合計消費電力がディストリビューターの耐えられる最大電力(定格電力)よりも高くなる場合。
2. 一時的なピーク電力
- 機器が起動した直後や、特定の操作(例えば、HDDのスピンアップ、プリンターの印刷開始など)で一時的に高い電流を引き込む場合。これがディストリビューターの瞬間的な許容能力を超えると過負荷状態になります。
3. 連続的な高負荷
- 電力消費が高く、長時間にわたって稼働する機器(例:大型のオーディオシステム、サーバー)を接続し、それがディストリビューターの設計容量を超える電力を常に要求し続ける場合。
4. 複数の機器の同時使用
- 複数の大電力機器を同時に使用し、その合計がディストリビューターの容量を超える場合。例えば、複数のエアコン、電子レンジ、ハイパワーなオーディオ機器などを同時に接続する。
症状とリスク:
- 過熱: 電力が設計容量を超えると、ディストリビューターやその内部部品(特に抵抗やトランス)が過熱し、寿命を縮めたり、火災のリスクを高めます。
- 保護回路の作動: 良好な設計のディストリビューターでは、過負荷を検知してブレーカーが落ちたり、自動的に電源を遮断したりしますが、これにより一部の機器が突然電源を失うことがあります。
- 機器の故障: 過負荷は、接続されている各機器に予期せぬ高電流や電圧変動を引き起こし、機器自体の故障につながる可能性があります。
対策:
- ディストリビューターの定格電力に基づいて、接続する機器の総消費電力を管理する。
- 特に起動時のピーク電力を考慮し、必要に応じて起動シーケンスを分散させる。
- 定期的に使用状況を見直し、過負荷の可能性をチェックする。
- 高品質で信頼性の高いパワーディストリビューターを選ぶ。
過負荷状態での使用は、安全性を確保するためにも避けるべきで、特に電源関連の機器では重要です。
パワーディストリビューターは、電力を変えることなく分配することを前提に設計されますが、設計や製造の品質が低いものは期待通りに動作しないことがあります。ただし、適切に設計・製造されたパワーディストリビューターは、電力量を変えることなくその機能を果たします。
パワーディストリビューターをつけっぱなしにすると、パワーディストリビューターが若干、発熱はしますが、パワーディストリビューターつながった機器が過剰に発熱するということもありません。
パワーディストリビューターをつけっぱなしにすることには便利さとリスクの両面があります。状況に応じて正しい使い方を意識し、機材や環境に適した運用を心がけることが重要です。
機材を守るための電源オン・オフの正しい順序
DTM機材の電源を一括管理し、ノイズフィルターによって供給される電圧の品質を向上させるのがパワーディストリビューターの魅力ですが、パワーディストリビューターに接続されたすべての機器を同じタイミングでON/OFF出てきしまうのは、機材によっては機材に故障の原因を与えてしまうものでもあります。
電源ON/OFFの順番について以下の記事で詳しく解説していますが、
大事なのは、音が流れる順番に電源を入れていくことです。電源を切る時はそれの反対です。
これを守っていれば電源によって機材が故障するリスクはかなり抑えられます。
パワーディストリビューターをつけっぱなしにしないほうがよいケース
パワーディストリビューターをつけっぱなしにしないほうがよいケースについて解説します。
高温多湿な環境ではパワーディストリビューターはけす
高温環境では、電子機器の発熱が増加し、部品の寿命が短くなる可能性があります。パワーディストリビューターを含む機器が常時通電状態であれば、内部の熱が機器にダメージを与えるリスクが高まります。
また湿度が高いと、結露や酸化が発生しやすくなります。これにより、電子部品のコンタクトポイントが腐食したり、電気的な短絡を引き起こす可能性があります。特に、通電状態が長期間にわたると、こうした問題が顕在化しやすくなります。
長時間使用しない場合
電源の無駄: 必要がないのに電源をオンにしていると、消費電力が無駄になります。これは、経済的な面だけでなく、エネルギー効率の観点からも不利です。
ちなみに私が所持しているMac mini2018の電気代は一ヶ月あたり240円程度1年あたり2880円程度です。これを高いとみるかやすいと見るかによってパワーディストリビューターの使い方も変わるかもしれません。
ちなみに電気代はこのような計測機器で図ることができるので、気になる方は使ってみるといいです。ちなみに真空関係はやはり電気代が高いです
劣化のリスク: 機材が長期間使用されない場合でも、通電状態が続くと、例えば電解コンデンサーの寿命が短くなったり、他の部品の劣化が進んだりする可能性があります。
火災の危険性: 非常に長期間電源を入れたままにしておくと、過熱や内部の異常によって火災のリスクが高まります。
改まって説明するまでもない話ですが、パワーディストリビューターをつけっぱなしにするメリットよりデメリットを面を考えると使用しない場合は消す!という至極真っ当な結論に落ち着きますね。
長寿命化を目指すパワーディストリビューターの使い方
これも経験ですが、AV-P25はもう15年以上使っていますが一度も壊れたことはありません。(一度ドライヤーを挿してヒューズを飛ばしたことがありますが)
なので、基本的にパワーディストリビューターはそこまで寿命について考える必要はないと感じています。ただ、パワーディストリビューターには複数の電源口があります。これはパワーディストリビューターに限ったことではありませんが電源口に中に誇りが入ると火事の原因にもなります
まとめ
パワーディストリビューターをつけっぱなしにしてもそれが原因で機材が故障するということは私の経験上一度もありません。
ただ、それは私の環境であって、他の人の環境では確実に起こらないとは言い切れません。なので、やはり基本的な考えとして、使用しないときはパワーディストリビューターを消すというのが一番安心で安全な使い方だと思われます。