どうもUGです。
昨日に引き続き「おすすめソフトシンセは192kHz環境で本領発揮する 後編」
についてお話します。
この記事は巷でオススメのソフトシンセを192khzという環境で使用したときに
どれくらいの超高域が含まれているかを確認する内容の記事です。
特に音声データがあるわけではない(確認用動画は貼っていますが)ので
スペクトラム・アナライザーとオシレータースコープで波形の形を確認します。
測定シンセと環境
Synapse Audio
- The Legend
- DUNE3
KV331 Audio
- SynthMaster2
Reveal Sound
- Spire
XFER RECORDS
- Serum
D16 Group Audio
- LuSH-101
Native Instruments
- Massive
U-he
- Diva
UVI
- Falcon
KORG
- MonoPoly
Spectrasonic
- Omnisphere
VPS
- AVENGER
Lennar Digltal
- Sylenth1
測定環境は
Macpro2009
OS High Sierra
CPU3.46ghz6コアX2
メモリ64GB
使用DAW CUBASE
192kHz 32bitF
バッファ2048
オーディオインターフェイス Motu896HD
各シンセをデフォルトに戻しSAW波だけをC1で鳴らしどこまで高周波が出るかを確認。
またCUBASEのマルチスコープを使ってC3のSAW波の形を確認。
The Legend
音の太さに定評のあるSynapse Audioのmoogエミュレーション
超高域に関しても70kHzを超えるところまで出ています。
波形の形は
振幅度合いも同じでキレイなノコギリ波に見えますが、
少しなだらかな印象も受けます。
DUNE3
緑がDUNE3 赤がThe Legendです。
DUNE3の方が全体的な音の出力が高い傾向にあるように思います。
波形においてはかなりキレイなノコギリ波が見られます。
高音質で評価の高いメーカーなのも納得できます。
SynthMaster2
プロの間でも評価が高いSynthMaster2は超高域も波形の形も独特です。
50kHzに謎のピークが出たと思ったら「まだ俺はやれる!」といわんばかりに
70kHzからちょっとだけ復活しますw
当然聞こえないところなのでその頑張りは私たちの耳には感じることができませんが、
頑張っていることだけは認めてあげようかなとw
そして波形に関しては一応オシレーターでSAW波を選んでいますが、
これも独特な形をしています。
音も波形も個性の塊のように思いますw
Spire
世界中のクリエイターがポップなシンセサウンドとSuperSawならば
ここを使うと言われる人気シンセ
これは、完全に24kHzくらいで一度減衰したあと、高周波ノイズでも足しているいるような
感じです。
Serum
音質の良さ特に高域に関してはかなり高い評価を得ているSerumですが、
70kHzまでかなりキレイに出ています。
自然な高音域および超高域を堪能させてくれるという話も納得できます。
波形は少し折り返しのところにノイズらしきものが見えます。
LuSH-101
RolandのSH101をエミュレーションしたLuSH-101
一応ギリギリ96kHzに到達しています。
波形の形は繰り返しのノイズが見られます。
SH101を8台分エミュレーションするのでCPU負荷はかなりのものです。
ですが、出音はとてもよくSupersawもかなり本家に近いものがあるような感じです。
下記の記事で色々と遊んでいるのでよかったらみてください。
オススメ!SuperSAW音源ソフトシンセLuSH101の魅力
Massive
誰もが知っている認知度、使用頻度ともに最高レベルのMASSIVEです。
アナライザーで見ても超高域の出方も無理がなく
オシロスコープでも多少ノイズがありますが、わりかしキレイなノコギリ波です。
可もなく不可もなく非常に優等生な結果がみんなに愛されている理由の一つかもしれません。
Diva
キングオブアナログエミュレーションシンセとして君臨するDiva
現在出ているシンセの中でもっともアナログシンセの音に近いと言われています。
しかし超高域は40kHzもありません。
しかしながら出音に関しては本当に素晴らしいものがあります。
このシンセこそ「超高域がでればいいってもんじゃないんだぜ!」と
言ってくれている気がしますね
オシロスコープの波形を見る限りなだらかなノコギリ型です
繰り返し等のノイズは見られません。
音が良いソフトシンセではありますが、CPU負荷もものすごいですw
FALCON
昔のビンテージマシンをサンプリングしてソフトウェア化しているUVIの
総合シンセFALCONです。
なだらかな超高域の美しさがアナライザーから見てわかります。
オシロスコープの波形も実に美しい。
上記の画像のSAW波は「アナログエミュレーションのSAW波」です。
そこで試しにwaveテーブルのSAW波を読みこんでみるとこうなります。
なんと、アナログエミュのSAW波よりwavetableのSAW波の方が超高域の出力も多く伸びてきます。
wavetableの方が伸びるのはwavetable特有の繰り返しノイズの影響かな?とも思ったりするのですが
とにかくこちらの方が音が突き刺さる感じがします。
FALCONを含めいくつかのソフトシンセはウェーブテーブルを読み込ませることができます。
そこで超高域に特徴のあるSERUMのSAW波をFALCONに取り込んだらどうなるのか?
ちょっと実験してみました。
左がSERUMのMGSAWというwaveテーブル波形
それをFALCONで読み込むとこんな感じ
鼻っぱしをおられた感じにも見えます。
MonoPoly
KORG純正のMono polyエミュレーンです。
これも超高域はさほど意識しているようにも思いません。
波形の形はとてもキレイなノコギリ波です。
こういう当たり障りのないものは一見「個性がない?」なんて思われるかもしれませんが、
癖がないため音が作りやすいです。
Omnisphere
触るのに一生かかると言われているソフトシンセです。
そのプリセットの多さは他のシンセ圧倒しています。
波形の振幅も実にキレイです。
さてOmnisphereですが、アナライザーを見てもらえればわかると思いますが
20kHzあたりでスパッと切られています。
実は搭載されているほとんどの波形が20khz付近で切られています。
おそらく制作段階で「超高域は必要ない!」Omnisphereは192kHz環境を
想定していない!みたいな割り切りがあったように思いますw
AVENGER
EDM系のダンス・ミュージックに特化したマルチ音源AVENGERです。
超高域は40kHz付近あとは小さなかわいい2つの山が見えますw
OmnisphereもAVENGERもそれほど超高域は意識せずに
気軽に使えるダンス系の音源に仕上げたかったという感じでしょうか?
どちらも良いシンセですが、この2つの音源をメインで使って
ハイレゾ音源を作ったら「これはハイレゾではない」とクレームがくるかもしれませんねw
Sylenth1
とにかく軽くて音がいいシンセです。
超高域も減衰しながらも96kHzまで伸びています。
波形も振幅度合いも同じキレイなノコギリ波です。
全体的にまとまりもよく使いやすい個人的にオススメのソフトシンセですね。
まとめ
正直かなりマニアックな記事になってしまったことは否めませんがが、これがDTMの沼の世界というやつですw気になりだすとこういう方向に行ってしまうことがあるので、良い子のみなさんは作曲に専念しましょうねw
音の良さは超高域ではないとはいいつつもやっぱり
キレイに超高域まで伸びているシンセは気持ち音が良いようにも感じます。
こういうデータに振り回されるのではなく
このデータをもとに自分にぴったりのシンセを見つけてもらえると嬉しいですね。
最後はスペックではなく、これがあれば良い曲がいっぱいかけるぞ!という
強い思いですw