昔ピアノをやっていたからまたピアノをやりたい!でも生ピアノは部屋におけない…電子ピアノで良い感じのあるかな?なんだったら中古の電子ピアノでもよいかも…
ピアノを今から始める人も昔やっていたから久々に弾き直す人にも電子ピアノの購入を考えている人は多いです。
電子ピアノで重要なのは、タッチと音色です。しかし、電子ピアノならではの問題点もあります。
それは中古で電子ピアノで購入するときは特に注意が必要な場合もあります。
この記事では各メーカーの電子ピアノのスペックと実際私が弾いてみて感じたことをまとめた記事を書いてみたいと思います。
生ピアノのタッチを再現するハンマーアクション構造について
電子ピアノで生のタッチを再現するのに重要なのは、ハンマーアクション構造です。
近年のピアノのハンマークション構造はフランスのエラールによるレペティション機構(ダブルエスケープメント)から始まっています。
つまり電子ピアノに「生ピアノのタッチ」「本物感」を求めるのであればこのハンマーアクション構造の電子ピアノを探すのが一番になります。
電子ピアノに採用されているハンマーアクション構造は基本グランドピアノのものになります。
アップライトピアノでは弦は縦に並んでいるのでアクション構造が違い結果として
グランドピアノタイプのアクション構造がどれだけ優れていてもアップライトピアノを親しんた人にとっては
若干違和感が残る可能性もあります。
画像引用:https://www.kawai.jp/support/buy/diff_up/
電子ピアノ 従来の電子ピアノ音源とモデリング音源の違い
モデリング音源は本物のピアノの音をコンピューターで作ったものです。
従来はピアノの音色を一つずつ録音して、それを電子ピアノやシンセサイザーの鍵盤を使って発音させていました。なので電子ピアノの鍵盤はあくまで音を鳴らすための「スイッチ」という概念になります。
そのスイッチをどこまで生ピアノに匹敵できる弾き心地を作れるかどうかがメーカー技術人の腕の見せどころといえます。
鍵盤さえしっかりしていれば多少リアリティがない音源でもそれなりに聞こえることができますが、やはり音源は重要です。
鍵盤を押すことで再生されるのが音源ですが、従来の電子ピアノは「録音されたピアノ」の音を再生するのが主流でした
これは制作にかなりのコストと手間を必要とします。例えばピアノの強弱を4段階で分けて録音した場合。
ピアノ鍵盤数掛ける強弱数として88X4=352回という録音回数が必要になります。
当然強弱の段階が多ければ多いほど表現の幅が広がります。かりに強弱の段階が12段階の場合は88X12=1056回の録音工程になります。
ノイズがのっていないかなどの最新の注意を払って録音(以後サンプリング)していくわけですが、あくまで一つ一つの音を別々にサンプリングすることになるので、ドミソと押したときに弦が共鳴するという減少は生まれません。生ピアノでは中央のドをそっと発音しないように押してオクターブ高い音をならすると低い音の倍音を出すことができますが、こういうことができません。
あくまですべて一つ一つの独立した音が再生されているだけです。
音がキレイにときに濁って混ざり合う表現が従来のサンプリング方式のピアノ音色では再現できません。しかし、モデリング音源がこれを変えました。
モデリング音源はサンプリング方式ではなくコンピューターのなかでピアノ自体を作ってしまうイメージです。
そのため、強弱の幅は通常の12段階というものではなく、無限の強弱が付き独立したサンプリングではないため、ドミソの音も本物とまったく同じレベルで良い意味で濁り、オクターブによる倍音の発生も可能になります。
「本物とほとんど変わらない」これがモデリング音源です。
電子ピアノはモデリングが主流?
最近の電子ピアノはどれもこれもモデリングなのか?と言われたらそうではありません。
従来のサンプリング方式の方がまだまだ主流です。なぜならば、毎回新しい電子ピアノがでるたびに音色をサンプリングして作っているわけではありません。
高価なものであればそういう作り方をしているものもありますが、基本は鍵盤のグレードを上げたとか音色を増やした、音色のクオリティを上げた。などが新製品になります。
そして、それらはある程度値段が抑えられているものも多いです。なので、そういうところは今までの資産を使って作られているのが現状です。
最近の電子ピアノは生ピアノに勝る??
音色のクオリティも高い最近の電子ピアノは本当構成ので目を閉じて聴いている分には本物なのでは?と思ってしまうような音色もあります。しかしそれでも生ピアノには叶いません。
どれだけリアルであってもエレピやシンセサイザーと生ピアノとではリアルさも表現さもすべてが違います。
シンセサイザーや電子ピアノと生ピアノの最大の違いは生ピアノはピアノ自体が共鳴して音をだしているということです。
わずかなタッチによってそのピアノの共鳴する音色に変化をもたらしそれが表現につながるということです。
それに対してシンセサイザーや電子ピアノは「スピーカー」の音でしかありません。ピアニスト表現できる幅は全然違うのはわかると思います。
しかし、そこまで求めないのならば、電子ピアノやシンセサイザーのピアノでも音色レベルだけならばリアルな音色を聞かせてくれます。
それでも今日紹介するピアノの音源方式であるモデリング音源では素晴らしいの一言です。タッチによる僅かな音色の差もいままでの電子ピアノの何十倍の精度で再現します。
ローランドのモデリング電子ピアノ
最新ではLX700シリーズ(LX708、LX706、LX705)が有名です。
スピーカーにも定評があり、限りなく生ピアノに近いと呼ばれていますが、大きさが普通のアップライトくらいはあります。生ピアノではないので、音量調整は可能ですしヘッドホンを使っての演奏も可能です。他にもLXシリーズやHPシリーズなどもモデリング音源を搭載しています。
最上位機種は生ピアノの中古モデルが買えてしまいます。だから、環境が許せるならばこの値段を出せるならば、やはり生ピアノを買った方がよいですが、
値段は出せるけどやっぱり生ピアノは難しい。でもしっかりとした弾き心地は欲しいしリアルな音色は絶対欲しいという人はLXシリーズLX708、LX706、LX70は選択肢に入れておいて良いと思います。
そこまではいらない、あくまでたまに電子ピアノを弾いて楽しみたい。でも安いからと言って音色クオリティが低いのはいらないという人にとってはHPシリーズの購入を考えてみるのも良いと思います。ただ両者は鍵盤の質からスピーカーなど多くの違いがあるので、
値段の差が音色だけというわけではないのはしっかりと覚えておきたいところです。
ヤマハのモデリング電子ピアノ
ヤマハの電子ピアノは「クラビノーバ」と呼ばれています。クラビノーバはエレクトーンと同じでヤマハの登録商標です。最近のヤマハもモデリング技術を採用していますが、サンプリングとモデリングのハイブリッド方式になっています。どちらがよりリアルなのか?と言われるとまだサンプリングの方が「ぱっときいた感じ」リアルだと言えますが、演奏表現においてはモデリングの方が上になります。ヤマハはこの部分で美味しいところどりのハイブリッド方式を使っています。
ヤマハはCLP-600シリーズがモデリング技術とサンプリング方式のハイブリッド電子ピアノです。
最上級版のCLP-685PE/685Bはグランドピアノのタッチにこだわった鍵盤GrandTouch鍵盤
- 945はナチュラルウッドエックス(NWX)鍵盤、象牙調・黒檀調仕上げ、エスケープメント付き88鍵
- 935はグレードハンマー3エックス(GH3X)鍵盤、象牙調・黒檀調仕上げ、エスケープメント付き88鍵
と言った仕様でグランタッチは私も経験がありますが、かなりグランドピアノに近いタッチです。
グランドピアノ特有の鍵盤を押し込んだときの「カタっ」といった遊びの部分までしっかり再現されていて非常にリアルです。ナチュラルウッドとグレードハンマーもその部分があるかはわかりませんが、やはりグランタッチの触り心地は別格と言えます。その分お値段もします…
ヘッドホンをしてても電子ピアノの打鍵ノイズは近所迷惑!
電子ピアノのメリットはヘッドホンを使って演奏できる点にあります。夜遅くに帰ってきてもヘッドホンがあれば近所迷惑にはならない!と思ってヘッドホンを使って気持ちよく演奏している。
実はこれすごい近所迷惑に鳴っている可能性があります。
それが打鍵ノイズです。
打鍵ノイズとは鍵盤を弾いたときに出るノイズで、この振動ノイズは思いの外壁を伝わります。
この動画はDTMで使われる88鍵盤のピアノタッチのキーボードです。普通に弾くだけでも
かなりゴトゴトと音がなっているのがわかります。
またこちらの記事ではもっと鍵盤タッチの軽いシンセサイザーの鍵盤ですが、かなりの打鍵ノイズが聴こえ、
それはとなりの寝室でも確認できます。
このように、ヘッドホンがあれば隣家への音漏れは100%防げるということではないのを知っておかないとせっかく買った電子ピアノを楽しめなくなります。
そうならないためにも電子ピアノの打鍵ノイズ対策はかなり万全にしておくのがよいでしょう。
中古の電子ピアノ購入の注意について
「電子ピアノといえどやっぱり高いから良いやつの中古があればお得なのでは?」と考える人は多いと思いますが、あまりオススメできません。
生ピアノであれば鍵盤の調子などは調整が可能ですし、中古売られる場合もそのようなメンテナンスをしてからになります。しかし電子ピアノは基本のような調整をしません。
電子ピアノの中には生ピアノと同じようなハンマーアクションとよばれる鍵盤構造に鳴っているものもあり、それが鍵盤の弾き心地につながっています。
電子ピアノのハンマーアクションもこの構造に近いものがあります。これらの微調整はしていない場合、弾き心地にムラがあり特定の鍵盤だけ軽い!などの違和感があるかもしれません。
また、電子ピアノは弦の代わりに電子センサーを使って発音するのでもしハンマーが経年劣化していると上手く音が発音されないことがあります。
以上のことから、電子ピアノといえど構造から見て「一つの楽器」と考えもし中古で購入するならばそれらの状態を細かく店員さんに聞き問題がないかをはっきりさせておくとよいでしょう。
まとめ
昔ピアノをやっていたからもう一度ピアノを弾きたいけど本物はいらない。でも手軽ながらにリアリティは欲しい。という人はモデリング音色は魅力的に見えると思います。ただ音色だけがリアルでもやはりスイッチである鍵盤の質は大きく影響しますのでそのあたりもしっかりと見極めたいところです。