- ボーカルやベースの小さい音と大きい音の音量差でコンプのかかりが悪い。
- コンプを書けたらそれはそれで音がなまる
こんな問題を抱えている人は多いです。コンプをかけずに音量差を治すにはオートメーションをかきまくる方法がありますが、かなり面倒くさいです。「ざっくりでもいいからレベル調整してくれるプラグインがほしい」という人はAutoformerが役に立つかもしれません。
Autoformerの魅力
Autoformerとは次の3点で作られたプラグインです。
- マイクプリアンプ機能
- コンプッサー
- レベラー
プリアンプ機能はBR(ブリテッシュサウンド) US(アメリカンサウンド)/ GE(ドイツチューブコンソールサウンド)の3つから出来ています。おそらくBRはNEVE系、USはtrident audio GEはV76かと思われます。
コンプは通常のパラメーターと表記が違うので少し戸惑いますが、うまく設定すれば気持ちのよいコンプレッション感が得られます。
- 表記はGainがインプットゲイン
- Squash スレッショルド
- Timeはアタックタイム
- Ratioはそのままのレシオ
- Mixはパラレルミックス
です。Squashはわかりにくいですが意味が「押しつぶす」という意味なのでスレッショルドで間違いないと思います。
そしてAutoformerの目玉機能であるオートレベラーです。
Autoformerを使うメリット
プラグインのマイクプリはその効果をわかりやすくするためにかなり大げさな音の変化になっているものが多いですが、Autoformerはその音の変化に少なさに踊ろく人もいるかもしれません。「もうちょっと変わってもいいと思うんだけど」という人もいるかもしれませんが、自然なサウンド変化として見るならばかなり質の高いPreampかもしれません。
またMojoというパラメーターで得られる僅かなドライブサウンドは好みの分かれるところですが、この僅かな変化が逆に味にもなります。ちなみにMojoとは
モジョ ブードゥー教における呪術。 金運やギャンブル運、女性運を向上させるためのもので、転じて魔法や魔術、麻薬、ドラッグなどの虜になるという意味のスラング(俗語)としても使用されている。
という意味らしいですが、パワー」的な意味で使われることが多いみたいです。
そして、オートレベラーです。
オートレベラーといえばwavesのVocal Riderで有名になったプラグインです。ボーカルの音量をコンプではなくフェーダーの動きで音量差を一定にすることで自然な音色を保つことができます。Vocal Riderはただ音量を揃えるだけではなくその「フェーダーの動きをオートメーションで書き出せる」というのが最大の売りになりました。Autoformerはそのような書き出し機能はありませんが、非常に滑らかな音量調整をしてくれます。
これは録音の段階でボーカルやベースにAutoformerをかけたサウンドをかえすことで演奏や歌唱の向上が見込めると思います。
では具体的にどういうサウンドになるかを聴いてみたいと思います。
最初はかけていない状態で二回目からかけた状態。そして3回目はSeerというノブを調整した状態です。Seerというノブではおそらくトランジェントを付け足しているように思います。
音量差を激しくしましたが、かなりまとめてくれます。オートレベラーなので細かい調整はできませんが、サウンドとして満足のいくレベリングのように思います。
またドラム用のプリセットもあります。ちなみにハイハットにかけてみると次のようになります。
他にもプリセットがあります。トランジェントをしっかり捉えてオートレベラーがかかる感じがあるので、音の抑揚をコントロールしつつ音量の均一化を図れます。
オートレベラーを使う意味
音量を揃えることでコンプや他のプラグインのエフェクトのかかり方が変わってきます。特にベースやボーカルはしっかりと安定した音量であることが望ましいので、オートレベラーで整えることでミックスクオリティの向上にもつながります。
Autoformerを使うデメリット
wavesのようにオートメーションで書き出しくれるわけではないので自分で調整ができないです。なのでこれは「ざっくりと使うレベラー」という認識で良いと思います。それゆえにボーカルなどで使う場合は歌詞をピンポイントで大きくするなどの方法ができません。この辺りは後でオートメーションを手動で書き込むのが一番よいとは思います。
また先に説明もしましたがコンプのパラメーターは一般的な表示ではないので少し戸惑う人は多いです。
またコンプの設定ではかなり耳障りなデジタルノイズ的な音割れをしてしまうので、少し注意が必要かもしれません。
CPU負荷
- パソコン :Macmini2018
- CPU :Corei7(i7-8700B)6コア HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
- メモリ :32GB
- システム :OS10.14.6 Mojave
- Audio/IF :Motu896HD
- バッファー :256
- DAW :LogicProX10.4.8
上記の環境でも負荷はほとんどありません。
値段
Vocal Riderは249ドルが現在公式で89ドル(2020年3月25日現在9,936円)です。wavesは最初は結構強気な値段で出してきますが、数ヶ月もすれば半額になり、一年もしたらセールで70%オフくらいになっているで、果たしてどの値段と比べるのが適正かわかりかねるところでもありますが、
10,588円がイントロセールで3,344円になっています。レベラーによる音の変化がゼロとは言えませんが使い勝手は良く、演奏の返しとして聴くには申し分ない音質です。3,344円で生演奏のクオリティが3段階くらいあげられると思えばかなり安いかいものだと思います。
15日の機能制限なしのトライアル版もあるので気になる人はしっかりと試してみるのをオススメします。
さいごに
マイクプリアンプ機能もコンプ機能も使いやすいサウンドではあると思います(コンプは少し注意が必要ですが)それでも、やはりオートレベラーは本当に便利です。コンプサウンドではない音量の均一化は非常にナチュラルなので、圧縮による音質変化を嫌う人には試してみる価値はあると思います。
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