DTM ドラム打ち込みクオリティはハイハットの音色で7割決まるはこちらの記事にまとめました。
ドラムのクオリティはハイハットで決まるといっても過言ではありません。それくらいハイハットをリアルに聴かせるのは難しいです。なぜならドラム専用音源以外のドラム音源にはハイハットの奏法の種類が少ないからです。
しかし、ちょっとした工夫でハイハットをそれなりにリアルに鳴らすことは可能です。
この記事ではハイハットの打ち込みをリアルにするテクニックと、考え方について解説していきます。
この記事の内容が理解できれば、ドラム専用音源を購入したときによりリアルにハイハットを打ち込むことも可能です。
ハイハットの役割
kick(大太鼓)とスネア(小太鼓)はオーケストラの時代から使われていました。しかし、ハイハットだけはPOPSというジャンルの中で生まれたものです。
理由はオーケストラは規則的なリズムを刻む必要性がないからです。オーケストラはすべての楽器を使ってメロディ ハーモニー リズムを奏でるように作られています
なので「1つの楽器」が定期的にメトローム的な役割でリズムを刻むことの意味がないのです。そしてオーケストラはテンポチェンジが頻繁におこります。
そういう状況ではメトローム的な解釈の定期的なビートを刻むハイハットは邪魔でしかありません。
これがポップスになると一定のビートを聞くことがオーケストラの時代とは異なり新しい音楽の聞き方として受け入れられるようになりハイハットの役割が重要になっていきます。
ハイハットの奏法による音色の違い
ハイハットの奏法分ける目的はビートのカラーを決めることにあります。奏法を買えることでビートの明るさや重さを表現することができます。
ハイハットの役目は主にビートの維持です。ビートは連続した音のつながりなので、どんな音色で叩くかによってビートのカラーが決まります。
音色はハイハットを叩く場所とスティックで叩く場所、そしてハイハットの開閉の度合いで音色が決まります。
画像引用:島村楽器【ドラム】初心者ドラマー必見!スティックの選び方のコツを教えます!
ではいくつか聴き比べてみます。
まずは一般的なドラム音源のハイハットクローズ スティックのポジションは先端のチップです
ストレートでオーソドックスなハイハットサウンドです。
主にAメロで使われることが多いです。
次に、ハイハットクローズ、スティックポジションはショルダー
少し音が派手になったのがわかると思います。これは叩く面積が増えたことでより周波数帯域が広がっていることにあります。
Aメロの2回目などでちょっとした変化がほしい場合などに有効です。
ハイハットオープン、スティックポジションはチップ
サビなどで盛り上げたいときに使えます。
ハイハットオープン スティック、ショルダー
サビなどでも使えます。チップと違って音に重みがあるので、音に明るさとパワー感を出したい場合などに有効です。
ここからわかるようにチップとショルダーで重み、派手さが変わってきます。このようにハイハットの奏法を使い分けることでドラムの打ち込みはよりリアルになり楽曲を盛り上げる有効な手段になります。
この他にも開き具合を3/4 1/4にしたものや、ハイハットのトップのベルと呼ばれる部分だけを収録したものもあり、用途に応じて使い分けるとさらにハイハットワークから得られるリズムに有機的な要素が得られます。
打ち込みハイハットの問題点
ドラム専用音源ではハイハットの数こそが専用音源のクオリティだと私は思います。
なぜなら、マルチ音源のハイハットは
- クローズ
- フット
- オープン
の3つしかありません。
なので、どうしてもハイハットを主体としてドラム打ち込みをリアルにしようと思うとどうしてもドラム専用の音源が必要になてきます。
以下で紹介している音源はハイハット奏法が豊富なのでこだわりたい人におすすめなドラム音源です。
有償音源はリアルですが、買えない人はリアルに打ち込めないのかと言われると工夫次第で可能です。そのために必要なのは次の3つです。
- ベロシティ
- 異なったサンプルを鳴らす
- タイミング
タイミングは「とりあえず」で覚えるにはまだ複雑な要素があるので、ここではベロシティと異なったサンプルにしぼります。
ベロシティ
ベロシティはドラムを打ち込むときの定番です。まず何もベロシティを調整していないハイハットです。
ずっと聴いているとゲシュタルト崩壊しそうな気もしますwさてこれに裏表を感じるためにベロシティを調整します。
これに対してベロシティで抑揚をつけるとこうなります。
さてここでよく聞かれるのが「その数値はいくですか?」ということですが、ここは注意が必要です。なぜなら、音源によってベロシティによる音色変化はバラバラです。
音量変化だけのものからサンプルが切り替わるものまであります。Xpand!2で言うとサンプルはおそらく切り替わっていないと思われます。
ベロシティに関してはこちらの記事も参考になります。
[DTM]クオリティの高い打ち込みはベロシティの目安を無視すること
ベロシティ
ここは「とりあえず」なのでXpand!2を使っている人には参考になるかもしれないので音源は{Hihats- Menu]と呼ばれるハイハットだけのプリセットです。
120 64 95 64
110 60 80 58
115 61 86 67
110 60 80 58
この数値です。この数値の根拠はベロシティによる音の違いを如実に感じる幅が次の通りです。
120〜127
95〜119
65〜94
30〜64
1〜29
ただこれはサンプルが切り替わっているというよりは120のサンプル(1番強く叩いたもの)をベロシティの変更で音量とフィルターとピッチ等をいじって音を変えているような印象です。
さてこれだけ聞いても「悪くもなく」「良くもない」レベルです。しかし、とりあえず覚えたいのは数値ではなく「その数値で何が変わるか」です。
さて
ここからは応用です。さらに作り込んでいきます。
16beatが機械的に聞こえる原因
同じサンプルの再生し続けることにより「マシンガン効果」と呼ばれるものが発生します。これが機械的な原因です。これを回避するための方法の1つがベロシティの調整ですが、これはサンプルが変わってのではなくあくまで同じサンプルに聞こえにくくするための応急処置的なものあくまで鳴っているサンプルは同じです。
そこで違ったサンプルを2つ用意します。
ポイントは高くて軽い音と低くて重く金属的な倍音をたくさん含んでいる音ですこれらを混ぜ合わせます。
ハイハット全体が複雑な響きに鳴っているのがわかります。そしてこれにさらに歪みを加えます。
歪みのプラグインは何でもいいとは思います。私はizotopeのTrushが好きでよく使います。
そして高くて軽い音にオートメーションでピッチを揺らします。これ低い音でやってしまうと、ピッチの変更がわざとらしく感じてしまうので
高くて軽い音にします。
こうすることでハイハットの叩いている位置を微妙にずらしている奏法をエミュレートします。以上の作り込みで出来たハイハットがこちらです。
最初のベロシティをいじっただけのものと比べるとだいぶ生っぽい感じが出ていると思います。
参考にしたいハイハット16beatの曲
最初から鬼の16beatハイハットこれがめちゃめちゃかっこいいハイハットが歌うという表現がぴったり。こういうリファレンス曲をもっておくとより生に近づけるきっかけになります。
ハイハットのサイズによる音の違い
ハイハットの材大きさによって音が変わります。大きくなればなるほど音は低くなり、小さいほど高くなります。
また材質によっても音色は変わりますが、ドラムソフト音源の場合は材質というよりは古いか新しいかというビンテージサウンドが音質の違いとして扱われます。
古くなれば高域の伸びはなくなります。決して派手に鳴りすぎてほしくない場合はそのようなタイプを選ぶのがオススメです。
また、ハイカットで不要に出すぎた高音域を削るのも一つの方法です。
まとめ
初心者はとりあえずベロシティの数値で音が変わるポイントを理解すること
闇雲に120 50 90 50という数値を打ち込まない作り込み要素は異なったサンプルをレイヤーして
金属的な音にさらに複雑さを加える。
これらをすれば「マシンガン効果」を弱めることで16beatのハイハットがリアルになります。ぜひ試してみてください。
- ハイハットは叩く位置によって音色が変わる。
- チップとショルダーではショルダーの方が重くなる。
- 音の派手さを考えたいときはどれくらいオープンにするか?という視点
AメロやBメロはクローズにしてサビだけハイハットをオープンにするなどの工夫をすることでよりパートの印象を明確にできるので「どこでビートを派手にしたいか?」を考えながら
ハイハットを打ち込むとよいでしょう。