WavesFactory Spectreレビュープロのミックスができるチートプラグイン

  • イコライザーを使うとシャリシャリして耳に痛い
  • イコライザーを使ったのに思ったような音にならない

音作りの定番として使われるイコライザーですが、思ったように効果がでないときがあります。そういうときに使いたいのがWavesFactory Spectreです。

今日はWavesFactory Spectreの使い方や特徴、音質についてお話します。この記事を読んでWavesFactory Spectreを使えば、今までの音作り考え方が大きく変わり

よりダイナミックで存在感のある音を作ることができるようになります。

WavesFactory Spectreとは

WavesFactory Spectreを一言で言えばグラフィカルパラメトリックイコライザーとエンハンサーの機能を組み合わせたものと言えます。GUIはほぼEQに見えますが、特定の周波数のボリュームをあげるのではなく歪み(サチュレーション)を付加しているのがポイントです。

WavesFactoryはこの他にもカセットテープサウンドをエミュレートしたプラグインや、アコーディオンの音源などを開発していてそのどれもが高品質でプロ・アマ問わず多くの音楽家が使っています。

サチュレーションとは?

サチュレーションとは簡単に説明すると機材特有の歪みです。歪みと聞くとディストーションギターやオーバードライブサウンドというような過激な音の変化をイメージする人がいるかもしれませんがそうではありません。

真空管などに代表するような音に暖かみがでる歪み、それが「サチュレーションです」ではなぜサチュレーションを使うと音楽に暖かみがでるのでしょうか?

それは倍音と呼ばれるものが加えられるからです。倍音とは音楽の音色を決定するうえで重要なものです。ピアノもギターもバイオリンもすべての倍音を取り除くとサイン波とよばれるシンプルな音になります。なので楽器の音色が形成される要素は倍音にあると言っても過言ではありません。

最初にお話したギターのディストーションサウンドはその倍音を過激に変化させたものです。それゆに音が大きく変化するわけです。

サチュレーションの場合はそこまでの変化はありませんが、適度な倍音を加えられた音はより存在感が増えるということだけここでは覚えておいてください。

イコライザーとサチュレーター(SPECRE)の違い

まずこの画像を見てください。

緑が何もかけていない状態に対して赤はイコライザーで66Hz(C2)を8dBあげた状態です。基音である66Hz(ド付近の音)を中心に

イコライザーのカーブの範囲で66Hz周辺の音が大きくなっているのがわかります。

次にSpectreで同じように66Hzを8dBブーストした状態です。

基音と同時に第2倍音である132Hzの音(C3)も持ち上がっているのがわかります。これが倍音がブーストされた状態です。倍音がブーストされると音の明瞭が上がるので、基音の存在感を感じやすくなるという効果があります。

Spectre(サチュレーター)を使うメリット

マルチバンドで倍音をコントロール

よくあるテープや真空管サチュレーションを再現したものは特定の周波数を設定することはできません。しかし、 Spectreは5バンドの任意の周波数の倍音をコントロールできるのも売りです。ただの質感補正的なサチュレーションではなく音作りのためのサチュレーションとして活用できます。

サチュレーションタイプが選べる

詳しくは後述しますが、テープや、チューブ(真空管)、ClassBのマイクプリなど多くの機材の歪感を再現できます。上手くコントロールすれば、ハードウェアの特性を再現できるようにもなります。

パート毎に「キックやベースは真空管」「スネアはテープ」「シンセはダイオード」といったカラーバリエーションをつけることで、ミックス時に立体感のあるサウンドに仕上げることが可能です。

プリセットによるサウンドチェック

Spectreには多くのプリセットがあります。「倍音なんてどうコントロールすればよいかわからない」「どんな結果になるのかイマイチわからない」という人はこのプリセットからかかり具合、音の変化の度合いを確認することで明確な倍音コントロールが可能になります。

音の位相防止

ちょっと専門的な話になるので効果としてこういう結果があるということだけ聴いてください。

EQをすると位相が変わります。それは良くも悪くもサウンドに影響します。位相が変わる原因は、基音と倍音以外の周波数が上がると波形の周期に歪みがおこるからです。しかしサチュレーター(エンハンサー、エキサイター)のような倍音自体を扱うエフェクトプラグインでは位相のズレはおきません。

プロのエンジニアは録音するときにマイクのポジションをこだわるのはできる限りイコライザーを使いたくないからです。

では具体的に「位相がずれるとはどういうことなのか?」簡単に説明するとイコライザーを使うと音の発生するタイミングがわずかに変わります。しかし、わずかといってもそれがたくさんのトラックでズレてくると結果的に音楽のクオリティが下がります。

しかし、サチュレーターはその位相のずれが起きにくいので音作りの面で役に立つわけです。

サチュレーターを使うデメリット

音が飽和しやすい

音に歪みを発生させるということは音が飽和するということでもあります。大量の飽和したサウンドはミックスを平面的にしてしまう可能性があります。使う場合はできる限り自然にすることがおすすめです。

サウンドデモ(ドラム)

操作方法はEQと基本同じですが、下にある項目から必要条件を選択して音を作り込んでいきます。EQとは違い指定した帯域に倍音を付加するのがこのプラグインの目的です。倍音を足すことで、例えば超低音域が弱いキックに歪み(サチュレーション)が生まれ存在感のあるキックなどを作ることができます。

設定は60hzにQ0.7で12dbを加えた状態です。これをLOGICの付属のEQにも同じ設定にしてサウンドの違いを確認します。

最初の4小節は何もかかっていない状態

次にLOGIC付属のEQをかけた状態

さいごにSPECREをかけた状態です。

SPECREをかけることで音にわずかながらサチュレーションをかかっているのがわかると思います。EQだけであげると確かに音量感はますのですが、その音量感の増加は時に邪魔になることがあります。そういう時はSPECREのサチュレーションが非常に役にたつと思います。

サウンドデモ(ギター)

超絶なローエンドのギターをイメージして設定しました。

最初の2小節はLogicProXのEQで後半がSpectreです

全体的に前にサウンドが出てきます。特筆すべきは低域を持ち上げた時の無理がない感じが素晴らしいです。スティーブルカサーのエヴァーチェンジング・タイムズというアルバムでギルカサーがターをの音を作ろうとした時にギターのローエンドを録音するのに12インチのスピーカーでは100Hz以下は鳴らせないからサブウーファーを別トラックに録って重ねた。そうすることで低音の厚みがよくなる

という記事を読んだことがありますが、まさにそのふくよかなローエンドを作り上げることができるようになります。次にSPECTREの操作項目について説明します。

Spectreパラメーターの説明

下の欄に

Quality Color Preset Mode Processingと並んているので順に説明をしていきますが、

Qualityに関しては後述するCPU負荷の項目で説明させていただきます。

Color

音のキャラクター(加えられる倍音)をしますカテゴリは次の10種類から選べます。66.2hzのサイン波でアナライザーチェックすると以下の感じになります。

「Tube」

「Warm Tube」

「Solid」

「tape」

「ClassB」

「Diode」

「digital」

「Bit」

「Rectify」

「Half Rectify」

「Clean」

とにかくキャラクターが豊富です。ClassAアンプではなくBがあるのがいいですね!個人的にはTubeとtapeが好みですCleanとdigitalは全く倍音が付加されていませんw何か特別な使い方があるのか気になるところです。

Preset

プリセットはドラムやベースギターなどに特化したプリセットが多数用意されていますので、音の傾向を知りたい場合はプリセットで確認することができます。

Mode

完全には把握できていないのですが、設定した周波数待機を「subtle」「medium」「Aggressive」という3段階に分けてより強調できるようです。

Processing

ステレオモードMSモードを選ぶことができます。MSモードがあるおかげでマスタリングにも使いやすいです。

CPU負荷について

Qualityはnormal Good Bestの3段階です。CPUの負荷は以下の通り計測環境はmacmini2018 で以下のシステムで動かしています。使用プラグインは1つだけ

Nomarl

Good

Best

使用している数は1つだけなので、そこそこの負荷があるようにも思います。

マルチスレッドが効いているおかげで負荷の分散が出来ているので決して重い印象はありません。

他のサチュレーションプラグインとの違い

似たようなサチュレーションプラグインといえばizotopeのNeutronにもエキサイターとして似たようなプラグインがありますが、SPECRREのようなEQ的な使い方はできません。(Q幅やGainの設定がない)

使用者の声

Spectreに限らずサチュレーションを使う人は結構います。また、Spectreとは関係ないですが、作曲家の作曲家の和田貴史さんが公開している動画の中でもサチュレーションについて言及している部分があったのでその動画も参考になると思います。

和田さんが使っているのがBrainworkxのsaturator_v2というものです。

https://www.plugin-alliance.com/en/products/bx_saturator_v2.html

誰のためのプラグイン?

サチュレーションが楽曲にどのような効果を与えるのかをしっかりと理解している人の方がこのプラグインのポテンシャルを最大限に活かせると思います。音量をあげるのではなく特定の帯域をどう歪ませるか?その歪む意味を理解していないと音はすぐに飽和してまう可能性があります。

  • ミックス技術が中級者以上
  • サチュレーションの使い方を心得ている
  • EQのようにサチュレーションを扱いたい

こういう人たちはSpectreでさらに楽曲のための音作りの精度を高めていけます。

お値段は?

PLUGINOBUTIQUEで11,987円です。多少高く感じるかもしれませんが、GUIの良さと操作性の良さに音作りのための細かい機能を含めるとむしろ安いくらいです。たまにセールがあって最大で50%くらいまで下がることがあります。

両サイトにはdemoもあるので試してみることをオススメします。ド派手なかかり方を求める人には地味な印象を受けるかもしれませんが、さりげないサウンドメイクをこなせるDTMerに録って欠かせない相棒となってくれるのは間違いありません。

Audio Plugins from Pluginboutique.com

SYSTEM REQUIREMENTS

Mac OSX (64 bit only):

  • 10.7 or higher.
  • DAW capable of hosting VST or AU, or Pro Tools.
  • Intel processor.

Windows (64 bit only):

  • Windows 7, 8 or 10.
  • DAW capable of hosting VST plugins, or Pro Tools.

さいごに

WavesFactory Spectreは

  • イコライザーの感覚で触れるマルチバンドサチュレーター
  • 簡単に音に暖かみを作ることができる
  • 使いすぎると音が飽和するのでかけすぎには注意

EQのように特定の帯域の音量をあげるのではなく倍音を付加することで耳に優しくもアグレッシブな音を作りこめるのが特徴です。初心者がこれを使ったらガンガンに音がよくなる!というものではなく、使う人のスキルが試されるプラグインですが、ミキシングエンジニア関係の人はもっておいて損はないと思います。