ミックスで音量バランスを取るのが下手だ。各トラックのプラグイン処理をどうすればよいのかわからない。作曲をしたいのにミックスに時間を取られすぎてつらい
こんなときはVSTプラグインであるNeutron4におまかせするのが一番です。
Neutron4は最新のAI技術によるMixAssistantはミックスに不慣れな人に変わってご自身のトラックをもっとも聞きやすく伝わりやすいトラックに調整してくれます。
作編曲家はその空いた時間でスキルアップに役立つインプットをすればさらに楽曲クオリティが上がります!
この記事では「Neutron4とNeutron3の音の違いやミックスに不慣れな人が使ったらどうなのか?」という視点をもとに、Neutron4の新機能をサウンドでも使って解説していきます。
iZotope Neutron4 概要
AIアシスタントによるミックスプラグインの決定版といえるNeutronの最新バージョンがNeutron4になります。
Neutron 4やOzone 10は、AIミキシングソフトとして、初心者でもプロ並みのミックスやマスタリングを実現できます。
これにより、ミックスにかかる時間を大幅に短縮でき、他の創作活動やプライベートな時間を確保することが可能です。AIミックスは単なる自動化ツールではなく、あなたの専属ミキシング講師として24時間サポートし続けます。独学では難しい知識を手軽に学べ、結果として高品質なサウンドを素早く手に入れられます。これにより、創作活動の幅が広がり、インプットの時間を増やすことができます。
CPU負荷はやや高い印章なので、ソフトシンセと併用するときなどは注意が必要です。
CPU負荷詳細
20のオーディオトラックにRelayとNeutron4を使い、1トラックにUnMask、AUXにNeoverbを2つ使った負荷です。
Neutron4の負荷はUnMaskがかなり重たいです。UnMaskを外すと負荷のピークは55%あたりで推移するようになります。
挙動に関してはNeutron4を挿している状態でボリュームのオートメーションを変更すると音がバツっとなってでなくなることがたまにあります。
しかし、これはLogic でのAU環境が影響している可能性もあるので、不具合と決めつけられません。
それ以外に不安定になるような挙動はありませんが、負荷の高いソフトシンセ等で使うとCPUスパイクが発生し不安定になる可能性はあります。
個人的にはすべてオーディオトラックにしてから使用するのをオススメします。
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS11.6.5Big sur
Audio/IF APOGEE Symphony Ensemble
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.3
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
Neutron4を使えばそれらの時間を短縮し、より作編曲のクオリティをあげるための時間を確保できるようになります。
Neutron4 | Neutron 4 EDU (学割) | Neutron 4 Crossgrade from any paid iZotope product | Neutron 4 Upgrade from any Neutron Standard or Advanced | |
---|---|---|---|---|
価格 | ¥57,427→¥43,071 | ¥28,738 | ¥21,464 | ¥21,464 |
izotope Neutron4 サウンドレビュー
ここでの音質は機能性とも関連しますが、DTM初心者及びミックスに不慣れな人が一番疑問となる「何もミックス処理していない音源をNeutron 4を使ってミックスするとどうなるのか?」という問いのもとでサンプルデモを用意しました。
まずRelayというプラグインを必要なトラックに挿してVisualMixerで音量バランスを最適化します。
ざっくりとですが、このような結果になりました。
もちろんここから、微調整や設定を変更したうえで再度調整することも可能です。
ミックスが慣れていない人はこのミックスを作るのに相当時間がかかると思います。
そしてこれらにNeutron 4のAIアシスタントを使ってトラックの音を作り上げてミックスしたのがこちら
まだマスタリング等はしていませんが、ここまでのクオリティを10分もかからずできてしまうのがNeutron 4の魅力です。
ちなみにNeutron3AdvanceのMixAssistant機能のTrackEnhanceを使って比較します。
MixAssistantの設定はTrackEnhanceのデフォルト状態にしてあります。
styleとIntensityを最適化すれば音はもっと変化しますが、Neutron4にはそれらの機能がないため、自動設定による音質の違いを比較するためにデフォルト設定にしています。
Neutron4はNeutron3Advanceと比較して非常にクリアです。抜けの良いミックスにするための最適化プロセスがより進んだ印象をうけます。
Assistant View
AssistantViewは音作りの基本となるトーンカーブの重要性をスタート地点とするために加えられた機能です。
Neutron 3まではTrackEnhance機能のStyleとIntensityによってトラックへの最適なプリセットとそのかかり方の深さ等をAIが担当していましたが、Neutron 4では最適なトーンを探すために解析が行われます。
この結果はあくまで目安ですが、それでも使えるトーンカーブであると思いますし、トーンカーブの割合をパーセンテージで調整することも可能です。
それらを以下の3つの機能を使ってさらに大まかに音決めをします。
Punch | トランジェントエキスパンダー |
Distort | 付属しているエキサイターの簡易版&Trashの簡易版 |
Width | ステレオイメージャー |
この状態で完成としてもよいでしょうし、Detail Viewでさらにエフェクトを個別に設定するのもよいです。
Target Library
AIが提示したトーンカーブよりもさらに自分好みのトーンカーブがほしい場合はライブラリにリファレンスを読み込むことでストックすることが可能です。
左ががNeutron4が解析したスネアのトーンカーブで右が外部から読み込んだものです。
どちらが良いかは目的しだいですが、好みのトーンに秒で近づけてしまうのはすごいですし、何よりそれらをストックできるのは今後大きな財産になります。
なおTone Mactchカーブは書類→iZotope→Neutron→Reference Targetに保存されます。
書類の保存先はiCloudになっていることが多いと思いますが、そうでない人はiCloundにしておいた方がいいです。なぜなら、キャプチャーファイルをストックしていたのに新規インストール時に全部消えてしまった。ということになりかねないからです。
Unmask Module
Unmaskは各楽器が周波数的にかぶっている箇所を取り除いてくれる機能です。
ミックス時に多くの人を悩ませる音のこもりを解消してくれます
Neutron3にもマスキングを表示してくれる機能はありましたが、マスキング自体の処理はマスキングメーターを見ながら手動で行う必要がありました。
特定のマスキングをしているトラック(キックに対してベース)の周波数をあげればキックのマスキングしている周波数を上げるという感じです。
この方法でも十分画期的だったのですが、周波数を調整すればそれが反映されず続ける結果になります。
そこでNeutron4ではより使いやすいようにアンマスクモジュールとして独立させ、アンマスクする度合い等を細かく調整できるようになりました。
このため、より確実に音のこもりの原因となる音のかぶりを効果的に対処できます。
おそらくこの機能だけでもNeutron4を買う価値はあると思えるほどミックスのクオリティアップに大きく貢献します。
Trash Mode
投げ売り等で安く購入した人も多いizotopの歪み専用エフェクトTrashの簡易版が搭載されました
80%のミックスをそつなくこなすNeutronの弱点、それは歪みです。Neutron4に搭載されているエキサイターではRetro tube warm tapeというサチュレーションタイプの歪みしかなく、「もう少し音を過激に汚したい!」「スネアにオーバードライブかけたい」というときはどうしても外部のエフェクトを用意する必要がありました。
そこでNeutron4では歪み専用のエフェクトプラグインであるTrashを組み込むことでキレイなミックスの中にうまく汚れた成分をバランス良くかんたんに付け加えることが可能になりました。
バランスをとっていないのでスネアの音量は大きくなっていますが、バランスをとれば迫力のあるスネアがトラックの中に存在できます。
スネアに迫力をもたせたい場合やハイハットをなじませる、ドラムのアンビエンスなどにオーバードライブをかけるテクニックは一般的なので覚えておくと便利です。
Punch Mode
新しいダイナミクスの機能としてPunchが追加されました。これはAssistantViewとDetail Viewのコンプ1.2それぞれに搭載されているので全部で3つのPunch Modeを操作することが可能です。
コンプというよりはエンベローブトランジェントシェイパーといった感想で、音のアタックとサスティンがコンプのそれと比べてだいぶわかりやすくイメージ的にシンセのADSRに近い印象を受けます。
Punch Modeのバリエーションのサンプルデモです。すべてスネアに使用しています。
リリースの長いスネアなどはゲートを使ったりしてタイトにしていましたが、今後はPunchさえあればスネアのリリースの長さやアタックによる音色を細かく調整できます。この音作りをミックスに不慣れな人がやろうと思ってもかんたんにはできません。
使ってみるまでは「うーんあんまり大したことないんじゃない?」と思っていましたが素晴らしい機能です。
機能性および操作性
実際の操作性とは少し違いますが、今までNeutronは3つのバージョン違いがありました。
- Elements
- Standard
- Advanced
しかしNeutron4は現状無印だけのリリースになっています。無印となると「スタンダード機能?」と捉える人もいるかもしれませんが、Neutron4は実質Neutron3のAdvanceほぼ同じ機能なので、無印だからといって何かしら機能が限定されているわけではありません。
操作性はとにかく「かんたん」の一言につきます。バージョンが上がるにつれてできることは増えているのに操作性は常にシンプルにまとまっています。
何よりNeutron4から学べる内容はある程度経験を積んだミキシングエンジニアの内容なので、このソフトと真剣1年付き合えばミキシングの知識は下手な書籍やサイトを見るより遥かに多くのことを学べます。
Relayで音量とパンニングのバランスをとりVisualMixerでまとめるわけですが、このとき大切なのはモノラルトラックはVisualMixer上でパンニングができません。
モノラルトラックをパンニングに対応させるためには、モノラルトラックに挿すRelayをモノラル→ステレオにする必要があります。
個人的にはちょっとモヤモヤするところですが、その手間さえおしまなければ良い音が手にはいるわけですから慣れてしまうほかありません。
贅沢を言えば違うパターンの音色を3つくらい提示してくえるような機能があれば嬉しいです。
Neutron4 口コミ
検討中@kazemaneki·iZotope Neutron4の新機能、楽器別の帯域バランスがどういうものだと座りがいいか研究されててスゴい。 多分バージョンが進んでいくとより細分化もしていきそう。 ミキシングは各トラックの音量と帯域のバランスをどうするかが大きいから、かなり助かる人がいそうだなあ。
オカモトタカシ(12sound LLC)@t_okmt_12sound·Neutron4試した。アシスタント賢くなってる&歪みの表現が凄かった! ただ相変わらずEQでM/S出来ないのとレイテンシーの大きなモジュールがあるので自分のスタイルにはやや合わない(ソフト音源ならしっぱのまま最後まで行きたいので)。 んー、自分は引き続きFabfilter&UADで頑張りますねー。
このさん@onorikyu·Neutron4発売されたけど3の頃と比べて負荷ってどんな感じだろう…ふかふか??
お柴鉱脈@Oshibacomyaku·おれにだけこっそりNeutron4に無料でアップグレードしてくれ112
Neutron4リリースの直前にNeutron3を購入したため無料アプデを希望している人が多いです。
DAWなどでは新しいバージョンがリリースされた数ヶ月以内に購入した人には無料アップグレードが適応されるケースが多いですが、今のところiZotopeにはそのようなサービスがありません。
あと、EQでのM/S処理を期待する声も多かったみたいですが、今回のバージョンでもそこは見送られたようです。
その他にも否定的な意見はあまりなく、とにかくほしいという声が多く見受けられました。
まとめ
メーカー | iZotope |
製品名 | Neutron4 |
システム | Mac:macOS Catalina(10.15.7)-macOS Monterey(12.3.x) Windows:Windows 10-Windows 11 Rosetta2およびネイティブのIntelMacおよび AppleシリコンMac(Apple M1チップ) プラグイン形式 AAX、AU、VST3。 すべてのプラグイン形式は64ビットのみです。 注: VST2はサポートされなくなりました。 |
認証方式 | iLokシリアル認証方式 |
マニュアル | 操作マニュアルページ(英語) |
音質、機能、操作性、どれを見てもバランスの取れた製品です。
この系のプラグインを使うと「個性がなくなる」「楽をするな」「大したミックスにならない」と否定的なコメントもよく見ますが、問題はなく使いまくるべきです。
そして使い続けているとどうしても「もうちょっとこうしたい!」という気持ちが出てきます。それも十分個性ですし、そこまで行けれミックス技術についてはそれなりの知識ももっていると思われます。
どんなにクオリティの低い曲であっても文句の一つも言わないミキシングエンジニアがいてもらえる安心感はすごいです。
オススメです。