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プラグイン無しで理解する立体感+奥行きのあるミックスの作り方

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ミックス(mix)に奥行き感+立体感を出す方法を知っていますか?多くの人はイコライザーやコンプにトランジェント、リバーブなどのプラグインの設定をすぐに思い浮かべるかもしれませんがそれだけが奥行き感のコントロールではありません。

この記事ではそれらのプラグインを使わずに奥行き感を理解しコントロールする方法について書いてあります。自分の曲に奥行き感をつけたいけど具体的な方法がわからない人は参考になると思います。

UG
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奥行き感のあるミックス作るために必要なもの

優先順位を明確にする

奥行き感(立体感)のあるミックスとは、優先順位が明確なバランスの取れたミックスのことを指します。

よく「リバーブで奥行きを作ろう!」とか「コンプで奥行きを」をという話がありますが、優先順位を意識できないミックスにおいてはそれらの方法はプラグイン迷子にハマるだけです。この記事見ているあなたも「もっと根本的にシンプルに奥行き感のあるミックスを知りたい」と思ってこの記事を読んでいるのかもしれません。

なのでバランスを取る!という意識でミックスを考えたときに「バランスとはなにか?」という疑問になると思います。そこで必要なのが「優先順位」です。つまりどれが一番聴かせたい音かを決めます。当然歌ものであればボーカルになるでしょう。つまりメインメロを基準としたミックスが奥行き感のあるミックスへの第一歩になります。

雑誌などでこういう図を見たことがある人いると思います。これは左右をLとR上下を周波数の高さを表しています。このままとくになにも考えずにトラックをパンニングすれば二次元なミックスです。しかし立体的なミックスをするときはこんな映像をイメージします。

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これらをイメージしたうでプラグインをつかわずに奥行き感のあるミックスを作るためには次の2つを意識しましょう。

  • 楽器のアタックがなくなるほど、「アタックがある音源と比べ」奥行き感を感じる
  • そして距離が遠いほど音は暗く聞こえる

これらを踏まえながら次にすすみます。

  • ミックスは優先順位で成り立つもの
  • 奥行きがあるミックスは「音楽を楽しめるための情報量が多い」

奥行き感のあるミックスはアレンジで決まる

奥行き感はミックスで作ると思い込んでいる人は多いですが、7割はアレンジでの作業になります。基本主役はメロディなので、メロディを活かすうえで下記の2つを意識します。

  • どんな音色が必要なのか?(数や音質)
  • その音色はどういう役目なのか?(コードorリード)

メロディよりコードが大きくでるとどうでしょ?歌ものであれば歌詞が聞き取りにくい場合もあるかもしれません。

そこでコード楽器はメロディより小さくなってもらう。この優先順位の付け方が奥行き感の基礎となります。

奥行きのあるミックスをとるための準備(小技)

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初心者の多くは気がつけばフェーダーが天井にくっついてしまうほどのセッティングになっていることが多いです。なので、最初から-6くらいのフェーダーをセッティングにしてそこを天井にするイメージでバランスをとれば「フェーダーがあげすぎてこれ以上何もできないよ」ということにはなりません。

作曲もMIXも余裕が大事ということです。

奥行き感の出し方(音の周波数と音量について)

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音の明瞭度は距離で変わります。雷などを想像してもらればわかるかもしれませんが、遠くでなっている音は「ゴロゴロ」です。しかし真上でなったときはすごい「ピカ!」というとても高い周波数も聞こえます。

友人としゃべるときも遠くにいる声が聞こえにくいのは「音の輪郭」を理解しやすい音の高い周波数が距離によってなくなっているためです。

最近のドラム音源はルーム音が収録されていることが多いですが、これもマイクの位置とドラムの距離によって変わっているわけです。当然、ルームのマイクをドラムから遠ざけていけばドラムとマイクの間には距離ができます。この距離も「奥行き感」の一つと言えます。

奥行き感をつけたい音にはハイカットを入れたり楽器の輪郭がある高域の周波数を削ることでマイクの距離が変わったように感じ結果奥行き感を演出する手助けになります。

音場と音像の違いについて

奥行き感とセットで語られるのが「音像」という言葉しかしこれと似た言葉で「音場」という言葉があります。両者の違いは

  • 楽器の位置(定位)を音像
  • 音の空間自体を音場

とされています。

音像処理というのは広げるというよりは各楽器にフォーカスをあてることで前後の存在の明瞭度が上がった結果「わかりやすい奥行き感」を感じられるものです。

ホールリバーブを作れば音が壁にぶつかって反射するまでの距離を作ることができます。わかりやすい「奥行き感」です。勘違いしやすいのは「ホールリバーブ=奥行き」ではないということです。

まずは自分の中でどんな奥行き感を求めているのか?これを決めることができないとすべての奥行き感リバーブ処理のみで解決することになります。

各楽器との間における「トランジェント」「周波数」「音量」の距離これが奥行き感の正体です。奥行きの作り方がわからないためにリバーブを使ってしまいコレジャナイ感で悩む人はこの3つを意識するとミックスの改善の手助けになると思います。

そしてこれらはDAW付属のプラグインで十分にできることなので「奥行き感を出すにはこれが一番!」みたいなプラグインを無理して買う必要はありません。ミックスの奥行き感はミックス自体を立体的に捉えるものの見方をすると

しっくりくることが多いので、悩んだときは立体感の図を参考にしてみてください。

ミックスの基本はフェーダー作業オンリーだけで考えます。

マイクの距離によって得られる音色的変化

DTMerが奥行きを作る時の注意点は「録音する対象物のマイクの距離」を意識するところから始めるのがよいです。

マイクの距離を次のような言い方で表現します。

  • オンマイク(Dry(ドライ)orデッド)音源に近い状態で録音する=残響(空気感)がない
  • オフマイク(Wet(ウェット)音源から離れて録音する=残響(空気感)がある

DryとWetに関してDAWのリバーブなどでも見たことがあると思います。これはマイク視点ではなく「残響の有無」の視点なので「残響がないDry」「残響があるwet」となります。

オンマイクとオフマイクによって音色は次の傾向があります。

  • オンマイク 低音とアタック成分(高域)が増える(近接効果)
  • オフマイク 低域が弱くなり、アタック成分(高域)も減少する

イコライザーで何かを強調しようとするときその録音対象のマイクの距離をコントロールしている側面があります。

アナライザーで確認する音色の距離感

多くの人が奥行き感を考える時に「コンプやイコライザー、リバーブ」という視点で考えますが、「オンマイク/オフマイク」を意識できるようになると、その音色が持っているトーンから距離感がイメージでき、音量でも奥行き感を調整できます。それは「低域が少ない楽器ほど距離が離れているというオフマイクの要素」をそのまま音色のトーンに当てはめることができるからです。

下記の画像はキックの音のオフマイク(ルーム)とオンマイクの音色の差です。緑がオンマイク、赤がオフマイクオンマイクとオフマイクの距離はおよそ70cmです。画像

画像で見てわかるように、低域とアタックである高域がかなり減少しているのがわかります。68cm程度の奥行き感ですらここまで音色の変化があるわけです。厳密には違いますが、オフマイクの音量までオンマイクを下げるだけでも「らしい距離感(奥行き感)を作れます。

次にホールでトランペットを指揮者のもとで演奏した場合とステージ後方で演奏した場合の違いです。

WIVIというモデリングブラス音源を使っての計測なので実際の収録とは異なる可能性もありますが、奥行きの音の変化は参考になると思います。緑がオンマイクで赤がオフマイク(ステージ後方)です。距離としては3m〜4mほどです。当然後方の方が音量変化の減少が大きく基音に関していえば10dB近く違います。

画像

オンマイクの場合低音が強くなるわけですが、この場合の低音とは相対的なものです。つまり低音=90Hzという見方ではなくあくまで楽器特有の低い音域が近接効果によって強くなっているかどうかです。上記の画像ではE4 330Hz付近がトランペットにおける低音という見方をする方が理解しやすいでしょう。

プラグイン設定でみる奥行き感の捉え方

距離感から(奥行き)音のこもりを考える

「音がこもる原因」もすべてが全面に配置されているのが「こもる」理由の1つです。(あくまで1つです)つまり低域をカットすることによって擬似的な距離を作る(遠くできる)ことで「こもる」を軽減しているわけです。もちろんこれでうまくいく場合もありますし、もっと複合的な要因が絡んでいる場合もありますが、低域をカットすると「こもる感」が弱くなるのこういう理由からです。

コンプによる奥行き感の調整

音量差をなくすことが音圧を稼ぐことができるコンプですがこれも「オンマイク」と「オフマイク」の視点で見ると奥行きのコントロールに繋がげられます。上記の画像のような音量さがある状態でコンプで各楽器のダイナミクスを均一にするということは、全体の音量差がなくなり音色傾向はオフに近づくといえます。

リバーブにおける奥行き感

イコライザーやコンプはいわば「擬似的なマイク位置の調整」ともいえます。そこに音色が持っているトーン感を考えたうえで最終的に「どんな響きを作るか」という役目をもつのがリバーブです。音源とのマイクの距離を意識したうえではじめてリバーブは最大限に効果を発揮するということになります。

トランジェントにおける奥行き感

トランジェントとはアタック成分をコントロールするエフェクトです、アタック成分がなくなると当然音像として奥に感じるようになるので、トランジェントが奥行き感のコントロールに一役買っているのは事実ですが、オンマイクとオフマイクの観点から言えばオンマイクによる低域のコントロールにつながるわけではないので、奥行き感を作る要素として優先順位はあまり高くはありません。

まとめ

奥行き感に関してのまとめ

  • オンマイクとオフマイクの理解
  • 低音成分が多いと距離が近いく低音が少ないと距離が遠くなる
  • EQやコンプは擬似的なマイクの距離の調整
  • リバーブはマイクの距離の配置が決まったうえでの空間作り

プラグインの設定だけで「奥行き」を作るのではなく「どこに何があるべきか?」という視点をもつことで奥行きのあるミックスはある程度コントロールできるようになります

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