プラグイン無しで理解する立体感+奥行きのあるミックスの作り方

ミックス(mix)に奥行き感+立体感を出す方法を知っていますか?多くの人はイコライザーやコンプにトランジェント、リバーブなどのプラグインの設定をすぐに思い浮かべるかもしれませんがそれだけが奥行き感のコントロールではありません。

この記事ではそれらのプラグインを使わずに奥行き感を理解しコントロールする方法について書いてあります。自分の曲に奥行き感をつけたいけど具体的な方法がわからない人は参考になると思います。

ミックスとは何か?

奥行きや立体感の話をするまえにこれだけは覚えておいてほしいのが「ミックス」の本質です。ミックスはバラバラのトラックを前後左右に配置して2つのチャンネル(LとR)にまとめてしまうのがミックスです。ここで忘れてはいけないのが主役の存在です。つまり何を一番聴かせたいのか?という目的があってはじめて主役と脇役のバランスを奥行きのあるミックスによって明確にするわけです。

ミキシングによってマスキングとの付き合いを余儀なくされます。マスキングとはギターを聴かせたいけどピアノが邪魔でもとちらも聴かせたいけど…といった状態です。「「あちらを立ててればこちらが立たず」というやつです。

あちらこちらを意識しだすとミックスはうまくいきません。それはアマチュアプロでも関係ありません。プロはこの主役の立て方が実に巧みなのです。なので奥行き感のあるミックスの極意は「主役」をたてることにつきます。

プロとアマチュアのミックスの違い

最近はプロもアマチュアも同じ道具を使えます。そのゴールは「良いミックス」で共通なのですが、アマチュアのゴールは「自分に対してのOKライン」です。プロの「良いミックス」とは「アーティストの想い、熱量」などアーティストが伝えたいことを形にします。すぐれたエンジニアはこれらを読み取り、アーティスト自信さえも気づかなかったことを具現化してくれます。

アマチュアの場合自分の作品を客観的にみるのは難しいです。どうしても主観が入ります。だからこそ冷静な判断をするために、常に第三者の目をもってミックスに取り組む必要があります。これが一番プロとアマチュアの違いです。

なぜ奥行きミックスが必要なのか?

奥行きとは音の定位(前後の距離感)を認識できるミックスのことをさしたものです。

音源の距離感を最適に配置することで、音の濁りや抜けなどを解消することもできますし、空間の存在が楽曲の意図を最大に引き出してくれます。つまり奥行きがあるミックは「情報量が多い」と表現できます。

「奥行きのあるMixはプロの音」なんて言われますが、プロはそれをフォーマットに合わせて意図的にしています。

それゆえ奥行きのないミックスは面白みがかける平面的なミックスと言われたりしますが、必ずしもそれが「絶対悪」という考え方をする必要はありません。音が全体的に前にあるのでわかりやすい印象を受ける要素もあります。

本来ミックスは作った曲をより良く聴いてもらうための手法なのですが、作った曲に作曲者本人の意図が明確に感じられない曲でも「とりあえず」といったあいまいな理由で「奥行き」を求めている傾向が強いです。つまり奥行きがあるミックスの前に作曲の段階でやるべきことをやってからでないと「作った奥行き」に説得力はうまれません。

DTMソフト音源における奥行きの考え

ミキシングエンジニア視点で考えると「奥行き」とはプラグインで作るものではなく、「録音」で決まるという考えが一般的です。つまり「どの位置にマイクを置いて録音するか?」ということです。

DTMのソフト音源の場合はすでにこの奥行きが決められているのでプラグインを使って作らざる得ないわけです。DTMerが奥行きを作る時の注意点は「録音する対象物のマイクの距離」を意識するところから始めるのがよいです。

マイクの距離によって得られる音色的変化

マイクの距離を次のような言い方で表現します。

  • オンマイク(Dry(ドライ)orデッド)音源に近い状態で録音する=残響(空気感)がない
  • オフマイク(Wet(ウェット)音源から離れて録音する=残響(空気感)がある

DryとWetに関してDAWのリバーブなどでも見たことがあると思います。これはマイク視点ではなく「残響の有無」の視点なので「残響がないDry」「残響があるwet」となります。

オンマイクとオフマイクによって音色は次の傾向があります。

  • オンマイク 低音とアタック成分(高域)が増える(近接効果)
  • オフマイク 低域が弱くなり、アタック成分(高域)も減少する

イコライザーで何かを強調しようとするときその録音対象のマイクの距離をコントロールしている側面があります。

ソフト音源で距離感を作る場合

多くの人が奥行き感を考える時に「コンプやイコライザー、リバーブ」という視点で考えますが、「オンマイク/オフマイク」を意識できるようになると、その音色が持っているトーンから距離感がイメージでき、音量でも奥行き感を調整できます。それは「低域が少ない楽器ほど距離が離れているというオフマイクの要素」をそのまま音色のトーンに当てはめることができるからです。

下記の画像はキックの音のオフマイク(ルーム)とオンマイクの音色の差です。緑がオンマイク、赤がオフマイクオンマイクとオフマイクの距離はおよそ70cmです。

画像で見てわかるように、低域とアタックである高域がかなり減少しているのがわかります。68cm程度の奥行き感ですらここまで音色の変化があるわけです。厳密には違いますが、オフマイクの音量までオンマイクを下げるだけでも「らしい距離感(奥行き感)を作れます。

次にホールでトランペットを指揮者のもとで演奏した場合とステージ後方で演奏した場合の違いです。

WIVIというモデリングブラス音源を使っての計測なので実際の収録とは異なる可能性もありますが、奥行きの音の変化は参考になると思います。緑がオンマイクで赤がオフマイク(ステージ後方)です。距離としては3m〜4mほどです。当然後方の方が音量変化の減少が大きく基音に関していえば10dB近く違います。

オンマイクの場合低音が強くなるわけですが、この場合の低音とは相対的なものです。つまり低音=90Hzという見方ではなくあくまで楽器特有の低い音域が近接効果によって強くなっているかどうかです。上記の画像ではE4 330Hz付近がトランペットにおける低音という見方をする方が理解しやすいでしょう。

プラグイン設定でみる奥行き感の捉え方

距離感から(奥行き)音のこもりを考える

「音がこもる原因」もすべてが全面に配置されているのが「こもる」理由の1つです。(あくまで1つです)つまり低域をカットすることによって擬似的な距離を作る(遠くできる)ことで「こもる」を軽減しているわけです。もちろんこれでうまくいく場合もありますし、もっと複合的な要因が絡んでいる場合もありますが、低域をカットすると「こもる感」が弱くなるのこういう理由からです。

音がぬけない!こもる原因をとりあえずEQで簡単に解決する方法

コンプによる奥行き感の調整

音量差をなくすことが音圧を稼ぐことができるコンプですがこれも「オンマイク」と「オフマイク」の視点で見ると奥行きのコントロールに繋がげられます。上記の画像のような音量さがある状態でコンプで各楽器のダイナミクスを均一にするということは、全体の音量差がなくなり音色傾向はオフに近づくといえます。

リバーブにおける奥行き感

イコライザーやコンプはいわば「擬似的なマイク位置の調整」ともいえます。そこに音色が持っているトーン感を考えたうえで最終的に「どんな響きを作るか」という役目をもつのがリバーブです。音源とのマイクの距離を意識したうえではじめてリバーブは最大限に効果を発揮するということになります。

トランジェントにおける奥行き感

トランジェントとはアタック成分をコントロールするエフェクトです、アタック成分がなくなると当然音像として奥に感じるようになるので、トランジェントが奥行き感のコントロールに一役買っているのは事実ですが、オンマイクとオフマイクの観点から言えばオンマイクによる低域のコントロールにつながるわけではないので、奥行き感を作る要素として優先順いはあまり高くはありません。

さいごに

奥行き感に関してのまとめ

  • オンマイクとオフマイクの理解
  • 低音成分が多いと距離が近いく低音が少ないと距離が遠くなる
  • EQやコンプは擬似的なマイクの距離の調整
  • リバーブはマイクの距離の配置が決まったうえでの空間作り

プラグインの設定だけで「奥行き」を作るのではなく「どこに何があるべきか?」という視点をもつことで奥行きのあるミックスはある程度コントロールできるようになります

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