ミックス時にイコライザー(EQ)を使うと音がこもる(モコモコする)音がぬけてこない (クリ
アにならない)
これって良いプラグイン買わないと解決しないのかな?
せっかく作った曲がモコモコして聞きにくかったりしたらやっぱりショックですよね?
特にギターがこもって上手く聴こえないという人はよく見かけます。
ここで多くの人が「やっぱりよいプラグインを持っていないからだ!」と有料のプラグインの購入を検討しますが
「ちょっとまってください!」
有料プラグインを買う前に、今回の記事を5分だけ読んでもらえませんか?
そうすれば「音がこもる原因」を理解し、「こもった音をクリアにする」をするための対策を考えられます。
「5分読んでクリアなミックスができるなら苦労しねーよ!」と思うかもしれません。たしかにその通りです。ミックスは奥が深いです。
ですが、「モコモコする原因」は5分もあれば理解できます。原因さえ理解できれば、対策をたてられます。
それがわかればDAW付属のプラグインでも十分にこもらないクリアなミックスをすることが可能です。
なぜイコライザーを使うとこもるのか?
音のかぶりを意識していない
多くの楽器は音が被ります。これが濁り(こもる)の原因です。この音のかぶりを意識できるようになると音のこもりはかなり軽減できるようになります。
イコライザーの使い方が正しくない
イコライザーを使うとき多くのDTMerがブーストを目的とします。もちろんそれが「明確な意図」があってそれが誰が聴いてもわかるほどの効果があれば問題はありませんが、
大抵は教則本やサイトに書いてあったことをそのままやっているだけのケースが多いです
これをそのままやってしまうと、音がこもる原因につながります。
なぜなら、「今だしている自分の音を確認していないからです」イコライザー設定は万能ではありません。
自分が出している音を確認すれば「音がこもらないイコライザー設定はわりと誰でもできます」
それくらい多くの人が「自分の音を確認していない」ということなのです。
知っておきたいイコライザー6dBブーストの意味
イコライザーでブーストカットの量dBがどのような意味をもつかを考えたことありますか?
音量の世界では6dBブーストすると音量が2倍になります。

音 声 研 究 に お け る ピ ッ トフ ォー ル-デ シベ ル 表1 音圧の倍率(何 倍になったか)とSPL(dB) の増加値 との関係(概 算値)より
明確で効果的な意図もないままイコライザーで6dBブーストすれば、音のかぶりはさらに大きくなります。
こもる原因としてこの部分も知っておくほうがよいでしょう。
どうすればイコライザーで音がこもらなくなるのか?
音のかぶりをイコライザーで「カット」するという考え方が大切です。しかしどこをどうカットすればよいか?というのがわかりにくいですよね。
そこで大事なのは「何を一番聴かせたいか」です。
メタルであればギターのリフ、ファンクであればギターのカッティング、バラードであれば、ピアノ、もちろんこの他にも聴かせたい意図はあると思います。
それをどうすれば聴かせられるか?という視点です。
そこでまず覚えたいのは使っている楽器の音域と周波数帯域です。
「なんだかめんどくさそう」と思うかもしれませんが、なれてしまえば「そりゃそうか・・」と思えるほどシンプルなものですので、
あせらずしっかりと楽器の周波数と音域について覚えておきましょう。
この動画ではベース、ギター、ピアノ、ドラム(キックとシンバル)を同時に鳴らした瞬間をアナライザー表示したものです。
画像にするとこうなります。

使っている音はギターはオーソドックスなEメジャーコード、

ピアノはベース音+コード

ベースは4弦開放(4弦エレキベースで一番低い音)

ドラムは、シンプルな8ビート

おそらく、この音だけ聴いて「音がこもっている」と思う人はまりいないかもしれません。
わりと低音と高音のバランスがよいので「ギター、ポップ・ロック」というジャンルであればここがあまり派手に
イコライザーを通す必要はないと考えてもいいです。(このあたりは自分の好きなジャンルの曲をしっかりと聴き込むことで
身についてくる感覚です)
いろんな音が重なっているのがわかると思います。この重なっている中でどれ聴かせたいか?を考える。
そのために他の楽器の重なっている部分をカットする方向で考えるとイコライザーを使って音がこもることは軽減されます。
「じゃあカットカットっていうけどどれくらいカットするの?」って思うかもしれません。
目安は3dB程度を目安にするのがよいでしょう。
[memo title=”なぜ3dB”]
6dB上がると音量が2倍になる、逆を言えば、6dB下がると音量は半分以下になるからです。
[/memo]
知っておきたい楽器とイコライザーの周波数の関係
多くの人がイコライザーはなんとなく扱っていますし、ネットや書籍で「ギターはコレ!ベースはこれ!」みたいなものを参考にしています。
それも決して間違いではありませんが、楽器とイコライザーの周波数の関係をしっておくともっとピンポイントなイコライザーセッティングが可能になります。
ここでは一例としてギターの周波数と音階について説明します。
ギターの音域と周波数

この表を見たときに「思っていたよりも狭い感じがした」という人もいらっしゃいます。
よくギターで「5kHzをブーストしてー」みたいな話はすでにギターの実音を超えて音の倍音部分である周波数を調整していることになります。
さて、実音周波数は82Hz〜1245Hzですが、イコライザーを使っての音作りの帯域は主に次のようになるのが一般的です。

- 60〜120Hz ミュート奏法時の低音弦のリズムが太くなる帯域
- 200〜600Hzギターのボディの鳴りが出る帯域。暖かいサウンド
- 600〜1.2kHz アタック音を大きくできる帯域。メリハリのあるサウンドに
- 8kHz〜12kHz 上げると明るいサウンドにになる。アンプ・ノイズも多い帯域
参考文献 すぐに使えるEQレシピ より「エレキギターの音色の特徴
画像ではノーマライズしている状態なので音量はかなり大きくなっていますが、この画像からみてもわかるように
音作りの参考になる周波数帯域の音量が出ていることがわかります。この状態でむやみにイコライザーでブーストすると
当然他の楽器との重なりが大きくなり結果音がこもることになります。
ここでのイコライザー処理は全体をイメージしたうえで「曲を軽くして疾走感を出したい」のであれば
ベースな
ちなみに画像の音は6弦開放E2(82Hz)の音です。これにクランチ系エフェクターを通しています。
ギターに限らず楽器の多くは倍音を発します。
この倍音が他の楽器と重なることで音楽としての響きが生まれるわけですが、かさなりすぎるとごちゃごちゃとした音になっていきます。
勘違いしてほしくないのは「重なることが駄目」ということではありません。音は必ず重なります。大事なのはその中で
「一番何が聴こえてほしいのか?」ということを決めることが大切です。
このギターの動画を参考に、他の楽器をアナライザーで確認することで、「楽器Aと楽器B」を比較したときに「どちらをより大きくしたいか?」を考えたときに
必要最低限のイコライザー処理が可能になり、こもらないミックスクオリティを確保できます。
アナライザーに関してはこちらの記事は参考になります。私も多用していますが、とてもわかり易く、初心者が周波数同士の音のかぶりを認識するのにおすすめです。
ミックス ベース 音量音圧が理解できるMMultiAnalyzerの使い方
[card2 id=”14931″ target=”_blank”]
音が一番重なる周波数帯域は中低域
基本的には音が不必要に重なることが原因です。それを解消するにはミックスではなく編曲レベルでの見方が必要になります。
[card2 id=”14737″ target=”_blank”]
音がこもる原因を理解してみる
インスタントな方法ですが、まずはマスターにイコライザーを指して500Hz以下を3dB〜5dBくらいカットしてください

スッキリとした感じがしませんか?「まさかこれで音のこもりが解消とかいわないよね?」
はい、いいません。
大切なのはイコライザーで3dB下げてスッキリしたと感じたら、この周波数に集中している楽器のトラックフェーダーを下げます。
実はこれだけでも音のこもりはある程度解消できます。
音がこもる理由の一つは「すべてを聴かせたい」と思うことで楽器同士の音量バランスを上手く取れていないからおきます。
モニタースピーカーでこもる理由
厳密な意味での音の濁りとは少し違いますが、スピーカーは全面からだけ音が出ていると思われていますがそうではなく全方位に音が出ています。音は部屋中を反射して耳に届きます。その結果濁った(必要以上に低音が強調されたり、左右の定位感がぼやけた)音になることがあります。
スピーカーの位置を整えることで適切な音が再生されます。結果、音がはっきり聞き取ることがでミックスや編曲にまでも大きく変わります。
ポイントはできる限り、フラットな再生環境を目指すのがポイントですが、そうは言っても、これはプロでも難しかったりします。そういう人のためにこういうプラグインがあります。
これは部屋の音響特性をマイクで計測して、スピーカーからの出音をフラットにしてくれるものです。
一部のプロの中ではこういうのに頼らず自力でルームアコースティックを(部屋の響き)を整えないと駄目だ!という人もいますが、多くのミキシングのプロの人が参考にはなるし、勝手損はない!そもそも自力でルームアコースティックなんかやったら時間もお金も飛んでいく!非生産性極まりない!という人もいるので、私も無駄なお金と時間は省けるなら省きたい方なのでこういうプラグインを使うのは賛成です。
さいごに
音がぬけない!「こもる」原因をとりあえずイコライザー解決する方法今回のとりあえずシリーズはEQのシェルビングの使い方でした。
簡単に解決と書いてはいますが、根本的な解決には至っていませんw
大切なのは、音がひしめき合っている部分の楽器をどう振り分けるかです。
左右に逃がすもよし、EQで帯域バランスをとるもよし、しかし大事なのはなぜその帯域に音が集中してしまっているかを考える癖です。難しく考えるのではなくどうやればこもる原因を排除できるか?と考えた場合まずはガッツリ切ってしまう思い切りも有りだと思っています。
少し慣れてきたらこちらの記事を参考にしながら
[card2 id=”4034″ target=”_blank”]
各帯域を意識した
[card2 id=”5942″ target=”_blank”]
などを活用していくことでクオリティの高いミックスができるようになります。
もちろん何度もいいますが大切なのはアレンジレベルでの音の棲み分けです。ダメなアレンジをミックスでよくすることはできません。シェルビングの使い方ぜひ覚えてください。初めての人でも簡単にできますよ。