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DTM コンプの使い方のコツはスレッショルドから覚えよう!

何度触ってもコンプレッサーの使い方がわからない!

こんな悩みを持っているDTMerは多いと思います。なぜなら、音の変化がわかりにくいからですね。スレッショルド、アタック、リリース、レシオどれをどういじっても効果がよくわからない。という人のために、今日はコンプのパラメーターを覚えるのではなくコンプがどのようにかかり始めるのか?というところに注目してお話したいと思います。

この記事を読むことで

  • コンプの使い方
  • コンプの動き方
  • コンプの種類の音の違い

を理解することができます。

タップできる目次

なぜスレッショルドが重要なのか?

スレッショルドとはコンプが動作するポイントです。結論から言うと、スレッショルドを超えないとコンプは作動しないということです。

アタックタイムとリリースタイムはスレッショルドとレシオを超えた後に管理するパラメーターになります。

つまりこの2つの動作原理さえわかればコンプの8割は理解したことになります。なのでここではアタックタイムとリリースタイムには触れずにコンプを操る方法についてお話します。

あらためてコンプとは圧縮するという意味です。コンプレッサーのパラメータの1つであるスレッショルドで決めた数値をレシオ数値で圧縮するというのがもっともコンプをシンプルに理解できる方法です。

これは0dBのサイン波を何のパラメーターも変化させていないコンプに入力している状態です。コンプのインプット(左側の水色のバー)は-0.0dBになっています。当然コンプは作動していないのでアウトプット(右側の水色のバー)も-0.0dBです。

つまりコンプレッサーというプラグインには入っていてもコンプは稼働していない状態です。

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ここでコンプで一番重要なパラメータースレッショルドを-10dB、レシオを2:1に設定します。なぜ重要なのかというと、最初にもお伝えしましたが、コンプはスレッショルドで決めた数値を超えた音を圧縮するからです

レシオがわかりにくいという人は、普通にスレッショルドを通った音を1/2や1/4になると考えてください。そうすると-10dBと0dBの半分の間は5dBになります。インプット0dBですがアウトプットは-5.1dBおよそ計算どおりです

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ではスレッショルドはそのままに3:1にするとアウトプットは-6.4dBになります。10の1/3ですからおよそ3.3dB圧縮されているわけなので、アウトプットは6.4dBくらいになります。

決して比率通りに完璧な数値にならないのはコンプの特性です。(各コンプによってかなり数値が変わります)

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ではスレッショルド-10dBに対して圧縮を10:1にするとどうなるか?10dBの1/10なのでアウトプットは1dB減の9dBくらいになるはずですが、LogicProX付属のコンプでは-7.6dBで。MAXの-30dBにしても-7.9dBとほとんど変わりません。

これは音量変化のないサイン波ですが、これをキックなどで説明します。

緑はコンプがかかっていないキック、赤色はコンプがかかっている状態です。

コンプがかかっていないキック(緑)のピークは低音125Hzの14.7dBこれにスレッショルド-24dBレシオ2:1のコンプを通すと125Hzのピーク-14.7dBは-21.1dB、つまり7dB圧縮されたことになります。(赤)-14.7dBの2:1つまり半分は7dBほどなので2;1に圧縮されたことがわかります。

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以上のことから音を圧縮することで大きい音が下がり、小さい音はそのままなので、音量差(ダイナミクス)が狭まります。その結果、画像の状態では7dBほどフェーダーでボリュームをあげられるようになります。コンプが圧縮するのは設定した音量以上の範囲なので、設定以下の小さいレベルにはコンプがかかりません。その結果、全体ボリュームを上げると音が大きくなり、見えにくかった音の要素が確認できるようになります。

リミッターはよくレシオが20:1になった状態という説明を見たことがあるかもしれませんが、厳密な意味でいうと完全にリミッティングしているわけではありません。0dBのサイン波で言うとスレッショルドを-10dBにした状態でレシオを20:1にすると計算上は0.5dBほど音が残ります。しかしこの段階まで来る人の耳では感知するのは難しいの実質リミッターとして動いているという見方ができます。

さてここで先日の記事である奥行きのミックスにもつながる話になります。低音が多いほど距離感が近いという話にだったのを覚えていますか?つまりこのスレッショルドとレシオで低音がどれだけ下がったかを考えるだけでもここから奥行きのヒントを得られるわけです。

こちらの記事ではいくつかのコンプを同じ設定にしてもコンプかかり方が違うという内容について言及しています。おもしろい結果が出ているのでコンプのスレッショルドによる動作の違いがについて気になる人は参考にしてください。

スレッショルドがないコンプの考え方

コンプの中にはスレッショルドのパラメーターがないコンプレッサーもあります。有名なところで1176です。1176はスレッショルドが固定なのでインプットゲインを上げることでスレッショルドに当てに行くというイメージになります。

どれくらいコンプレッションされているかは、ゲインリダクションメーターで理解ができます。インプットゲインをあげればゲインリダクションの量は増え、圧縮感が増えていきます。

目的によってコンプのかかり方はそれぞれですが、1176を使ってみたいという場合は、ゲインリダクションを4〜6dBくらいになるように設定すると地に足がついたコンプサウンドになります。

コンプとリミッターの違い

音の大きさのリミット(限度)を決めた状態で、別名レベルストッパーです。コンプでは20:1などでリミッターとして説明されますが、究極のリミッティングとしては∞:1に近くなっている状態になります。つまり過度に圧縮されるため音量の大きさにリミットが決められ、指定したスレッショルドを超えられなくしているのがリミッターの仕事といえます。

リミッターでスレッショルドを変更できるものであればスレッショルドをを低くすることで音量差が狭まりアウトプットボリュームをあげるコンプ的な効果を作ることも可能です。

以下の画像はOxfordダイナミクスのリミッターでスレッショルドを-17dBにした状態です。レシオはリミッターなので∞:1の設定固定です。コンプらしい反応になっています。

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これらのことから、コンプとリミッターの違いはレシオ設定の違いといえます。用途とはコンプは圧縮度合いをコントロールすることで柔軟な音量差による音作りができ、レシオを高く設定するとリミッターに近い動きをします。

最大レベルを指定するリミッターは歪み防止や機材保護に役立つことから最終マスタリング段階で使われるケースが多いです。それが今はリミッター内部で音量をあげられるマキシマイザーとして使われています。

スレッショルドによる圧縮と音の違い

コンプが動作するために必要なパラメーターがスレッショルドです。(そろそろ覚えましたね)

スレッショルドを超えた音量を潰すのでこれを超えないとコンプは動作しません。(スレッショルドがない(表示されていない)コンプもありますが、今回はそこは省きます)アタックタイムもリリースタイムもレシオもスレッショルドを超えてから動くものなので、他のところをこねくり回しても音色の変化は理解しにくいです。

さて、コンプが色々とあるなか、同じスレショルドで設定するとコンプは同じ動き方をするのか?という疑問が出てもおかしくはありませんそこで今回はコンプ別にスレショルドを同じにした場合の圧縮の違いを見ていきたいと思います。

スレッショルド

レシオ

という順番です。

いくつかのコンプのパラメータをを同じにして6db潰すためにはスレッショルドはどのくらいの数値にするべきかを各コンプで測ってみたいと思います。

各コンプの設定は

  • レシオ4:1
  • アタック10ms
  • リリース150ms

パラメータは全部が同じでもスレッショルドの値が違えば-6dbにならないというところに注目してもらえれば、みなさんが持っているコンプで試しても「へー、同じなのにこんなに音が違うんだ」って思っていただけると思います。

まず何もかけていない状態のドラム

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ではここから見ていきます。

WAVES C1

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一昔前のコンプですが、音が素直で未だに愛用者が多いです。C1では6db潰すのにスレッショルドは-24.4でした。音色的にはマイルドになっています。500hz付近が膨らんでいるのがわかりやすいです。

WAVES R-Comp

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とにかくみんな使っているコンプレッサーWAVESのCompの代名詞と言えるかもしれません。スレッショルドは-22.3で6dbに達しています。C1に比べるとR-compの方がハイハットが前に来ているのがわかると思います。アナライザーも8000〜160000あたりC1に比べ若干出ているのがわかります。

StudioOne Compressor

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StudioOne標準のコンプレッサーです。6db潰すのに必要なスレッショルドは-22.5でした。R-compとスレッショルドの値は近いですが、音質はに関してはまったく別物です。

R-compよりパッと聴いた感じどちらが高級感があるか?と聞かれたらこちらを選ぶ人は多いのではないでしょうか?ちなみにR-compは有償こちらは無償付属しているCompのクオリティでも十分な音質です。

StudioOne Fat channel Comp

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一応StudioOneの売りのコンプというかチャンネルストリップFat channelのコンプは数値でGRが残らないので大まかなところですが、スレッショルドは-18くらいから6dbになります。音色の傾向は標準コンプより音に厚みがありながらぬけがあります。

名前通りFatな印象です。4000hz以上にわかりやすい違いが見られます。

Izotope Ozone7comp

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マスタリング品質のコンプレッサーです。スレッショルドは-28.21番深くかかっている状態です。音色的にも非常に深くかかっている音がしていますが、他のコンプで-28.2だともっと曇った音になります。さすがはOzoneですね。

Izotope Nutron Comp

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AIミキシングの先駆者IzotopeのNEUTRONのコンプレッサースレッショルドは-22.6。Ozoneに比べるとNEUTRONはトラック用ということもありサクッとかける感じの用途になります。音色は明瞭度が高くとても近代的な印象を受けます。

Oxford Dynamics

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スレッショルドは-25.3

音色的には華やかさ的な感じはしないながら自然なかかり方は流石OXFORDですね。Oxfrodコンプについてはこちらの記事も参考になります。

まとめ

とにかくコンプはスレッショルドここまで繰り返せば耳タコかもしれませんが、DTM初心者の人がコンプの使い方がわからないかかっているかどうかわからないという原因のホントんどがスレッショルドの設定になります。

なので入力された音に対してどれだけ正しくスレッショルドを設定するかによって意図したコンプサウンドをコントロールできるようになりますし、バスコンプの使い方も理解できるようになります。

そして各メーカーによってスレッショルドは同じでもコンプのかかり方が違うというところも理解できればコンプについてかなり理解度が深まっています。

そのメーカー別のコンプのスレッショルド設定の違いはまとめると

  • WAVES C1                                       -24.4
  • WAVES R-Comp              -22.3
  • StudioOne Compressor            -22.5
  • StudioOne Fat channel Comp       -18
  • Izotope Ozone7comp         -28.2
  • Izotope Nutron Comp         -22.6
  • Oxford Dynamics          -25.3

という結果になりました。

コンプがかかり始めるスタート位置が各コンプによって違うことが一つの特色になっているように思います。今回のチェックはピークを6db潰すことにあるので、また違った計測をすれば異なった結果がでるとは思います。

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