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Kiive Audio ADC1 Compressorレビュー ブリティッシュバスコンプの新しい顔!

どうも、ブリティッシュサウンドが好きなUG(@96bit_music )です。

ドラムやギターなどをバスでまとめたときに使うバスコンプですが、メーカーによって様々なカラーがあります。今回紹介するのはブリティッシュ感を与えてくれるのがKiive Audio ADC1 Compressor

生ドラムやボーカル、ギターベースはもちろん、シンセまで素材を選ばずに密度が高いサウンドにしてくれます。

また、打ち込み音源がどうしても綺麗すぎて違和感を感じているDTMerには特に使ってみることを薦めたいです。

通すだけでもニヤリをしてしまう変化を楽しめますし、何より操作がかんたんでありながら複雑な音作りもできるので、バスコンプだけに使うのももったいないと感じます。

この記事ではKiive Audio ADC1 Compressorの使い方とエミュレート元となったと思われるコンプについて、またバスコンプで有名なSSLのバスコンプレッサーとのサウンド比較をしながら使い方やメリットなどを解説してきます。

Kiive Audio ADC1 Compressor
Kiive Audio
タップできる目次

Kiive Audio ADC1 Compressor 概要

メーカーKiive Audio
製品名ADC1 Compressor
特徴50年代と60年代に製造された 2 つの
最も象徴的なコンプレッサー / リミッターを再現
Solid Stateな音質
4 つの象徴的なコンプレッサー モード: Comp 1、Comp 2、Limit、
および “Out”(ハーモニック サチュレーション)
システムマック
Mac OS X 10.7 以降 (macOS 10.14 以降を推奨)  
(64 ビットのみ)
M1ネイティブに対応
プロセッサー: 1 GHz Intel Dual Core 以上
4GBのRAM
画面解像度 – 1024 x 768 以上
フォーマット – VST、AU、AAX

ウィンドウズ
Windows 7 以降
(64 ビットのみ)
プロセッサ: 1 GHz Intel デュアル コア プロセッサまたは同等の AMD
4GBのRAM
画面解像度 – 1024 x 768 以上
フォーマット – VST、AAX
バージョンv1.0.1(2022-11-21)
認証方式シリアル認証
認証数記載なし
容量191MB
マニュアル英語版のみ(PDF)
価格$129.99(メーカー価格)
備考体験版あり
14 日間の無料トライアル:

Kiive Audio はカナダのプラグイン会社です。

ADC1 Compressorは4 つのモードを備えた ADC1 コンプレッサーは、必要なすべてのコンプレッションを提供。50年代と60年代の2つの最も象徴的なコンプレッサー/リミッターにインスパイアされたのコンプレッサーということですが、公式からどのコンプをエミュレートしたか明らかにされていません。

しかし、デザインと音質からCHANDLER LIMITEDのTG1が有力視されています。

TG1は1960年代に作られ、PINK FLOYD、Paul McCartney、Rolling Stonesにも使われたまさにレジェンドコンプです。

画像

1960年代を代表するコンプといえばフェアチャイルド660なので、それもエミュレートしている!という人も言います。個人的には1176と660をTG1の外見にしたのかな?と思ったりもしています。

(そもそもこのTG1も1176と660のメリットを組み合わせた的な製品だったりもします)

エミュレート元が何なのかにロマンを求めるのも楽しいところです。出てくる音は野太くどっしりと構え一見良い意味でLo-Fi 感強めるかな?と思いましたが現代的でクリーンな音質です。もちろんサチュレーション等の機能をもって古き良きアナログハードウェア的な味付けも可能なので、EDMからロックまで幅広く使える印象です。

ADC1 Compressorはバスコンプとしてだけではなくトラックやマスタリングでも使えます。いくつかのバスコンプと比べてもそのかかり方は次元が違います。

以下の記事では有名なバスコンプを比較しているので参考にしてください。

Kiive Audioはエミュレーションのクオリティが高いメーカーでADC1 Compressor以外にも多くのプラグインをリリースしています。その中でもテープエミュレーションとしてリリースしているTAPE FACEは珍しい機種をエミュレートしていることでも注目を集めています。

Kiive Audio ADC1 Compressor レビュー

音質4.5
機能性(オリジナル性)4
操作性(使いやすさ)3.5
安定性(CPU負荷)3.5
価格(セールバリュー)3.5
総合評価3.8
リンククリックで読みたい内容の箇所に飛ぶことができます!
メリット
デメリット
  • 野太くハード感のある音質
  • テンションが上がるGUIのデザイン
  • タイプ別の4つのコンプモード
  • 素早く目的の音を見つける操作性
  • プリセットの表示が少し複雑

音質

4.5

力強くどんなトラックにもエネルギーを与える

通して思ったのは、強くかけてみてもアタック感を残しなおかつクリアであるということです。ビンテージ系はイメージ的にLo-fiと思っている人が多いのですが、そうではなくクリアな音質のものも多いです。ADC1 Compressorはクリアで濃密なハードウェアのサウンドを再現しているように感じます。

サウンドはエネルギッシュでその雰囲気は鉄板熱々で肉汁がしたたる肉厚ステーキです。大きめにカットした肉を口の中に入れて「これぞ肉!」というあの瞬間のアドレナリンに通じるものがADC1 Compressorがあります。

主観はさておきバスコンプで有名なのはSSLのBusCompressorです。そこで次の曲のドラムに両者のバスコンプをかけて比較します。

Dry

設定はほぼ同じにしてゲインリダクション最大で5dB~6dB程度になるようにしました。

まずはSSL Native Bus Compressor 2から聴いてみます。

画像

次にADC1 Compressorです。

画像

SSLは音の立ち上がりが速くスピード感を感じます。一方でADC1 Compressor立ち上がりは若干遅く感じますが、これはローエンドのピークの出方でそのように感じやすくなっています。ローエンドのふくよかさは魅力的で重厚感があります。エネルギッシュと感じたのはこのローエンドの出方にあるのではと考えています。

どちらが良いという話ではありませんが、ADC1 Compressorの方が音の印象もNative Bus Compressor 2と比較すると設定にもよりますが少しダークな印象もあります。

このダークさがブリティッシュぽいように感じています。

これはADC1がデフォルトの設定で68Hz付近に2dB弱のピークがあり、また7.5kHz付近からなだらかにロールアウトしているためです。

画像

そのためほぼフラットに近いNative Bus Compressor 2と比較するとどうしても音に重たさが加わります。

このローエンドのふくらみAnalogEQをオフにすることで変更できます。

画像
画像

60Hz以下が0.8dB程度持ち上がる形になりますが、このカーブですと重たさはそれほどなくスピード感もあるので、このANALOGの切り替えは思っている以上に音作りに重宝します。

個人的にこの重たさはこもる感じはなくわりとクリアな低域感を得られるので今回のようなデモ曲とは相性が良いように感じました。

ただ、もともとの素材がどういう素材なのか?その帯域が上がることによるメリットデメリットをしっかりと意識し、その上でローカットの判断をしていくのが大切です。

またキックだけ抜き出し何もかけていない状態とADC1をかけた状態、そしてSSLをかけた状態では次のような波形になります。

画像

これらを音で確認すると次のようになります。

Dry
ADC1
SSL

ゲインリダクションは同じですが、ADCは低音の余韻みたいなものが増えているのが波形でも音声でもわかると思います。

なので少しタイトなキックであっても気持ちの良い余韻を与えられます。

BUSトラックにさらにエネルギーを注ぎ込むTHD機能

THD機能はトラックのサチュレーションを付加できる機能であり、ほどよい歪がよりBUSトラックにまとまりとエネルギーを与えてくれます。

先程よりINPUTを少し上げて効果をわかりやすくしています。

画像
THD-10(左に回しきった状態)
THD+10(右に回しきった状態MAX)

これを「わずかな変化」と捉えるか「大きな変化」と捉えるかはその人がTHDに求める度合いによるところですが私にとってはドラムのバス・トラックの混ざり具合がまし程よい肉厚感はドラムにさらにエネルギーを与えたいときに使いたくなる音質です。

TG1をエミュレート元と想定して話をすすめるとTG1に搭載されているTHDはコンプをバイパス時に作動するサチュレーションモードになります。

しかし、ADC1 CompressorではコンプをONの状態であってもそこにさらにTHDによるサチュレーション効果を付加できるようになっているので音作りの幅は広がります。

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Kiive Audio ADC1 Compressor
Kiive Audio

機能性(パラメーターの数値)

4

4つの圧縮モードで作る最適なコンプレッションサウンド

ADC1 Compressorには4つコンプモードが搭載されていて、好みの応じて使い分けが可能です。

ADC1 Compressorでは通常のコンプにあるスレッショルドがありません。これは1176と同じタイプの動作の仕方になるので、インプット量によってコンプの動作が変わります。

4つと書きましたが実際のところは一つはコンプを通さずにインプットゲインのみを調整する機能になるので純粋な意味での圧縮は(COMP1 COMP2 LIMITの3つになります)

画像

コンプモードを変更するとアタックとリリースの数値は次のようになります。

COMP 1COMP 2LIMIT
Attack ms1ms, 2.10ms, 3.76ms,
4.9ms, 7.84ms, 8.65ms,
11.60ms, 15.8ms,19.78ms,
24.60ms, 50.0ms
0.34ms, 0.89ms, 1.09ms,
2.9ms, 4.54ms, 6.15ms,
9.60ms, 11.8ms, 15.78ms,
18.10ms, 23ms
0.40ms, 0.92ms, 2.4ms,
3.66ms, 9.8ms,17.34ms,
18.79ms, 21.54ms, 23.17ms, 35.4ms, 48.39ms
Release ms45.6ms – 1000ms32ms – 897ms41.5ms -876.4ms
Ratio3.5:14:1ブリックウォールタイプ
特徴繊細なコンプレッサーで、マスタリングやギターに最適アグレッシブなコンプレッサーで、ドラムバスやボーカルに最適BUSにまとめたピークを削る
ADC1 Compressorパラメーター値
画像
COMP 1LIMIT
Attack ms47ms8ms
Release ms0.25、0.5、1.20、2.5、5、10 sec0.05、0.1、0.25、0.5、1、2sec
Ratio2:1 2:1 
TG1パラメーター値

COMP2の方が当然深くかかりますが、それでも1:4なのでそこまでコンプ感が強いわけではありません。ピークの叩き方自体も嫌味がなく、クリアなコンプレッションサウンドなので、バスコンプは当然としてギターやボーカルなどコンプ感がほしいけれど叩きすぎて欲しくない場合に有効です。

ATTACK は、fast – slowの間でコンプレッサーのアタックタイムをコントロールします。変化は1〜11のステップ式になり
コンプレッサーのモードにより、内部の時間応答が変化します。

アタックはタイムというよりは特性的な感じになり、設定の値によってコンプ感が変化するので、よくあるコンプのアタックタイム的な感じで使うと違和感を覚えるでしょう。

個人的にはFASTより2〜4の値の方がしっくると来ます。またインプットの設定によっては7〜8でサチュレーションの効果がよりわかりやすくなります。実にユニークなアタックパラメーターで、そんなに音変わるの??と思ってしまうほどです。

RELEASEはコンプレッサーのリリースタイムを調節します。範囲はfast – slowで、可変コントロールです。

ここも設定しだいにはなりますが、わりとナチュラルな変化なので、そこまで振り回される印象はありませんでした。
こちらもさきほどのアタック同様コンプレッサーのモードにより、内部での時間応答が変化します。

1と2で別々の設定を使える

モノラルトラックでのみ扱える方法ですがADC1 Compressorはリンクを解除することでそれぞれ独立した2台のコンプレッサーとして作動させられます。

画像

アタックタイムとリリースタイムが異なる設定にすることでよりアグレッシブで目的のコンプレッションサウンドに近づけられますし、片方をOUT(バイパス)にしてINPUTによる音量とサチュレーション的な味付けも可能です。

ベースやボーカルからキックやスネアに最適です。

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操作性

3.5

コンプ初心者でもそれほど迷いがないシンプルな操作性!

他のコンプにあってADC1 Compressorにないのがスレッショルドとレシオです。ADC1 Compressorはスレッショルドが固定なのでインプットを使ってそのスレッショルドに持っていくよな形でコンプを作動させます。

これはコンプの定番である1176と同じ扱い方になります。

しかし、どれくらいの設定が一番使いやすいのかは扱う素材によります。そこでポイントなのがゲインリダクションです。ゲインリダクションはコンプがどれだけかかっているのかを教えてくれるとてもありがたいパラメーターです。

画像

ADC1 Compressorではわりと深くかけても破綻しにくいのですが、イメージとしては4~12の間になるようにアタックやリリースなどのパラメーターを設定することでクリアでパンチのあるコンプレッションサウンドになります。

このパラメーターの使い方(ゲインリダクション)を理解するのは他のコンプの使い方にも通じるのでぜひ覚えておくことをオススメします。

ゲインリダクションとスレッショルドについてはこちらの記事がとても参考になります。

プリセットの選び方が少しややこしい

エンジニアが作り上げて至極のプリセットは素早く確実に使えるサウンドにしてくれます。しかし、ADC1 Compressorはプリセットを選ぶときひと手間が必要になります。それがプリセットウィンドウを開く作業です。

画像

PRESETSと書かれた項目をクリックし、タグが表示されFactory Presetsにカーソルを合わせれば多くのプラグインではプリセットの一覧が表示されますが、ADC1 Compressorでは右に開いたタグのFactory Presetをさらにクリックすることでやっとプリセットの一覧が表示されます。

なれてしまえば問題ない手間ですが、ここでいつもちょっと躓いてしまいます。ファミレスでオーダーを頼みたくてボタンを押したら「すぐに伺います!」と声だけ聴こえて待たされている気分です。ここは割り切って使うしかない気がしています。

UndoとRedoとABテストで時短!!

私がよく使う機能がUndoとRedoとABテストです。これは音質を変化させる機能ではありませんが、変更した後にすぐに前に戻せるUndo機能はコンプを使いこなすほどに自然と手が伸びてしまう機能です。

また設定の違うものをAとBに分けることで素早く比較し、より最適なサウンドを作り上げるのに役立ちます。

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LINK ボタンではそれぞれは GUI 上で左右のパラメータをリンクします。(ステレオ・リンクと外部サイドチェイン機能は12月にリリース予定とのこと、

192kHzでも使える

192kHz環境で使ってみたところ、7kHあたりからのロールオフはありながらも96kHzまでは確認できました。

画像

ただCPU負荷はかなり高いのであまり実用的とは思えません。

安定性

3.5

負荷は高いので負荷の高いソフトシンセ等の併用は注意が必要

左がオーバーサンプリングなしで右が最大の16倍状態、使用環境としてはすべてオーディオトラック状態でもこの負荷なのでソフトシンセとの併用ではバッファーサイズ等を切り詰めないと難しいかもしれません。

オーディオバッファサイズについてはこちらの記事が参考になります。設定一つでソフトシンセの立ち上げ数が大きく変わります。

CPU負荷計測環境

パソコン  Macmini2018

CPU  Corei7(i7-8700B)6コア 

HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz

メモリ 32GB

システム OS12.4 Monterey

Audio/IF APOGEE Symphony Ensemble

バッファー 256

DAW   LogicPro10.7.5

48kHz/24bit

再生ストレージ SSD

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価格

3.5

$129.99(メーカー価格)

リリースセール的なのもあり現在は$61.59で購入できます。

$129の価値をどう見出すかですが、私としてはふくよかでありながらクリアなローエンドに嫌味がないサチュレーションはとても魅力的です。もちろんクオリティの高いサチュレーションとコンプを購入すれば似たような効果は出せるように思いますが、それを1台で完結し、なおかつGUI(インターフェイス画面)の見た目がよく使っていてワクワクさせてくれます。

プラグインに求めるのは当然一番は音質ですが、見た目からくる高揚感は大切です。

そして私がよく使うSSLのBus Compressorとはまた経路の違う音質であることから、$129の価値はあると考えていますが、今ではそれが期間限定で$61.59なわけですから、さらにお買い得感があります。

PluginBoutiqueではいつものごとく月替りのプレゼントがありますが。今月は複数の中から一つ選ぶ形になりますが。

そのどれもが魅力的です。

画像
Kiive Audio ADC1 Compressor
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リリース後のユーザーの反応

ADC1 Compressorhはリリース後多くのユーザーが気になる製品として捉えSNS等で話題になっています。

外国の掲示板等でもエミュレーション元はなにか?など活発な議論が繰り広げられながら、「音が素晴らしい」と絶賛されています。

音質の良し悪しは好みかもしれませんが、私にとっても、自然なコンプレッションと嫌味のないサチュレーション、3タイプのコンプなど、使いやすくて気に入っています。

関連動画

TG1実機の動画

まとめ

メリット
デメリット
  • 野太くハード感のある音質
  • テンションが上がるGUIのデザイン
  • タイプ別の4つのコンプモード
  • 素早く目的の音を見つける操作性
  • プリセットの表示が少し複雑
音質4.5
機能性(オリジナル性)4
操作性(使いやすさ)3.5
安定性(CPU負荷)3.5
価格(セールバリュー)3.5
総合評価3.8
リンククリックで読みたい内容の箇所に飛ぶことができます!

触ってみて思ったのはとにかく音の分厚さというか肉欲感が気持ち良いコンプレッションサウンドです。ブリティッシュな雰囲気があって一番に使いたくなるのはドラムのルームでした。打ち込みドラムがきれいすぎる場合などこれを使うだけでほどよい荒々しさが出せ、打ち込み感を減らせます。

セール価格としては申し分ないと思うのでブリティッシュカラーを求める人、打ち込みサウンドが綺麗すぎてつまらなく感じる人、バスコンプとしてSSLとは違ったタイプを求める人にオススメです。

Kiive Audio ADC1 Compressor
Kiive Audio

参考記事

実機TG1について

Chandler TG1 Limiter – Mix Magazine, 2003

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