MIXレベルが3倍よくなるバスコンプの正しい使い方と設定方法

バスコンプレッサー(通称バスコンプ)を使えるようになると音がまとまりミックスのクオリティが上がります。しかしバスコンプをと言われても何をどうすればよいのかわからないですよね。DTMerの多くが悩んでいるコンプをさらに効果的に使えと言われても…みたいな空気感になるのわかります。

この記事ではBUSコンプの使い方や有名なバスコンプサウンド比較などをしながら、詳しい使い方について説明しています。バスコンプの使い方の中にはBUSを通す意味の重要性についても書いていますので、ミックスクオリティで悩んでいる人には参考になると思います。

バスチャンネル、バストラックなど複数の呼び名がありますが、ここではバストラックで統一します。

バス(BUS)とは何か?

バスBUS) とはソフト音源、オーディオトラックなど複数のトラックをまとめて1つのトラックに送る先のチャンネルのことをバストラックといいます。よくバストラックはドラムトラックに言及されがちですが、決してドラムトラックだけではなくまとめたいものをまとめて送っても構いませんが、主に次のようなまとめ方をするのが一般的です。

  • ドラムの場合    キック、スネア、ハイハット、タム、OH、Roomなどのドラムに関するすべてのトラック
  • ストリングスの場合 バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスなどの弦楽器に関するトラック(管弦楽器すべてに同じことがいえます)
  • ギターの場合    ダブリングされたもの、いくつもあるギターに関するトラック
  • キーボードの場合  ピアノやオルガン、シンセベルなど、ジャンルによってはここにブラスやストリングスが入ることもあります。
  • ボーカルの場合   ダブリングボーカル、コーラスなど

今回はそのバストラックにかけるコンプについてもっとも効果がわかりやすく楽曲への影響が出やすいドラムトラックをまとめたバストラックを例にしてお話したいと思います。

バストラックにまとめるメリットとは?

個々のトラックで揃えた音量バランスを1つのトラック(ステレオバストラック)にまとめることで、全体の音量バランスを個々に取る必要がないので、ミックスの調整がしやすくなります。それともう一つ大事なのはStereoOutに送る量を調整できることにあります。

例えば、バスを使わずにすべてのトラックをステレオアウトに送るとレベルオーバーとなり歪の原因になります。こちらの画像はドラムトラックだけですが、バストラックを使わずにステレオアウトに送っているものです。おそらく多くのDTMerがこのやり方でミックスをしていると思います

ミックスが上手くいかないと思っている人はこのバストラックを作っていない可能性もあります。各サウンドごとにBUSを作ってそこでまとめることでパツパツなミックスから回避できる可能性もあります動画では、前半をバストラックなし後半をバストラックありにしています。

 

少し見にくいかもしれませんが、上記の画像ではステレオアウトでは-1.6しか飽きがありません。この状態で他の楽器が入ってきたらレベルオーバーになります。次にドラムの送り先をステレオアウトではなくバストラック(BUS5)にまとめる次のようになります。

やり方はSt Outと書かれたところをクリックして任意のバス・トラックを選ぶだけです。

ステレオアウトの前にバストラックを作成しそこに各ドラムのキットが一度そこでまとめられた後にステレオアウトに送られています。こうすることでドラムだけをまとめたボリュームフェーダーが作られ、その結果それを調整することでステレオアウトに送られる量も変化します。この場合では-7.5まで空きを作れています。

マルチチャンネルのソフトシンセをパラウアウトせずに使っている場合も考えようによってはソフトシンセのステレオアウトという名前のバストラックにとまとめられたという考え方もできます。

まとめたバストラックでは、まとめたことにより不必要な帯域が持ち上がることがあったり、まとめたトラックに対してもっとパワーを与えたいという様々な理由から、EQやコンプなどのエフェクトプラグインを使って音を加工/調整することができます。

画像ではキック2トラックに対して1つのキック用バストラック、スネアも2トラックに対して1つのスネア用バストラック、タム類の3トラックをまとめたタム用のバストラック、残りOHやROOMにハイハットとキック、スネア、タムのバスをすべてまとめたDrumバストラックという複数のバストラックを使って音を作りますが、今回はすべてをDrumトラックにまとめています。

バスコンプとは

バスコンプとはバストラックに指したコンプのことで、有名なところではSSLのバスコンプが有名です。通常のコンプでも問題はないのですが、バスをまとめるために特化したバスコンプは「Glue」と呼ばれる背着剤的な意味をもつコンプサウンドが特徴です。個別の状態では何か一つ一つが浮いていた印象のあるサウンドをGlueによってぴったりとくっつけてしまうのが目的です。

このGlueという効果については憶測ですが倍音同士の干渉が起きて良い意味でハーモニックな倍音が発生することで各キットが調和しやすいのでは?と考えています。

なぜバスコンプが必要なのか?

結論からいうと絶対必要はではありません。Glue効果等の必要性については「絶対」ではありません。まとめた段階で問題がないのであればそれでOKです。ただ何をもってOKとするかは目的に応じて変わります。ただ、バストラックにまとめたとは各パートが浮いてい聞こえる場合などはバスコンプをかけてバランスを取ることでよりまとまったドラムトラックや全体のパワーを上げることが可能になります。

バスコンプの使い方

先程バストラックにコンプを指すだけでOKです。しかしどんなコンプ選ぶのかによってその音は大きく変わってきます。音に迫力を出したいのか、タイトにしたいのかその目的こそがバスコンプの選ぶためにもっとも重要な要素といえます。そこで動画を用意しました。

動画では有名なバスコンプ3つを聴き比べしてみます。ポイントはどれも音圧感が上がってもメーターはバスコンプをかけていないときより同じか少し小さいくらいということです。

SSLのバスコンプをエミュレーションしたもの。もっとも使われたバスコンプの1つ

4 基の「1979VCA」を搭載した正確無比なコンプレッサーVSC-2のエミュレーション。2段かけで使うとより良いサウンドになるためVSC-2を使う人はそのような使い方をする人が多いです。

オプティカル・コンプレッサーとディスクリートClass-AコンプレッサーがセットのハイブリッドコンプレッサーShadow Hillのエミュレーション。本来はマスタリング用途されていますが、音をまとめる力にも長けているのでバスコンプとして使う人も多いです。

最後は全部をONした状態です。BUSコンプは1つだけしか使ってはいけないというルールはなくレベルと確認のうえでいくつ使ってもいいです。またコンプでなくてもサチュレーション系でもGlue的な効果を得られる可能性があるので、テープエミュレーター系でもBUSコンプの役割を果たせます。

設定を深くかけるかにもよりますが、基本ビンテージコンプ(V-COMP)などの真空管サウンドは音を良い意味で汚せるのでパワフルな音になり、SSLのバスコンプなどはクリアに音がまとまる傾向として使われます。

今回紹介した他に、WAVESのAPI2500やV-COMPに本家のSSL BUS-COMPなどがあります。

BUSコンプの設定方法

BUSコンプの設定方法の目的はドラムの場合「パワー感」「後ひと押しのバランス統一」にあります。そのためには必要な設定は以下の通りです。

アタックタイム

もともと持っているトラックのアタック感を変化せないSlowな設定が好まれます。トラックで作り上げたアタック感をBUSコンプを大きく変化させるのはよほどの目的がない限り避けた方が無難です。

レシオ

2:1〜3:1 4:1では若干行き過ぎかもしれません、潰しすぎることでキックがが痩せてしまうケースがあります。あくまでほんの僅かな圧縮を気持ち作る程度にとどめます。

リリースタイム

リリースタイムは速い状態から徐々に遅くしていく、音が潰れっぱなしも良くないですし、逆にすぐに戻ってしまうのも曲によっては合わない可能性があります。ほどよいリリースタイムは音の戻りが気持ち良いかどうかを感じるところがベターといえます。

リダクション

-3dB程度のリダクションを心がけます。この-3dBというのは音圧が半分に感じる数値なので、そこを目安にすることが1つの基準になっていると考えられます。

バスコンプにアウトボードを使う理由

プロのエンジニアやこサウンドに拘る人は実機(ハードウェア)アウトボードのコンプをバスコンプに使うケースがあります。「ソフトウェアではダメなのか?」という疑問もあるとは思いますが、現状どれだけソフトフェアが進化しても実機のすべての挙動をソフトで再現できるわけではありません。

ソフトは一番変化のわかりやすい部分を再現してるにすぎないからです。その音がハードでなければダメなのか、ソフトウェアでも可能なのかは作り手のこだわりの部分なので、どちらが正解ということはありません。ただやはり実機の方が音質に与える影響が大きいことから、拘る人はアウトボードを使う傾向にあります。

BUSコンプを使う前にやっておきたいこと

まず大前提としてトラックのバランスを正しく調整しておくことで結果的にBUSコンプの効果がより良いものになります。

各トラックドラムのキットの音を作るときのポイントはコンプとEQの見極めです。

音圧(パワー。力強さ、迫力)などを作るのはコンプレッサーの役目です。コンプを強くかければ音圧が上がりますが、この場合も基本のリダクション量を-3dB程度に心がけることでほどよいコンプサウンドをコントロールできます。

DTM初心者でも簡単!理解できて使えるコンプレッサーの設定方法

音の鋭さ(アタック感、抜け)などを作るのはEQとコンプによって作られます。コンプでアタック感を作るというよりはコンプで潰したアタック感をEQで補正する方が音作りに迷う要素が少なくなります。

音の余韻(音の長さ、リリース)コンプレッサーのリリースタイムによってコンプ的な余韻を作るパラメーターなので迫力を出したい場合はリリースタイムを短くします。

アタックとリリースタイムについてまど理解が固まっていない場合は「スレッショルドとレシオ」による圧縮感だけでバランスをとっても大丈夫です。

さいごに

MIXになれていない人がいきなりバスコンプを使ったからと言ってミックスが急激によくなるわけではないですが、バストラックで音をまとめられるようになってくるとバスコンプによるミックスの向上が望めるようになります。

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