ドラム音源としてはじめて「モデリング技術」で作られたMODO DRUM。しかし、いまいち使っている人が少なく「本当に使えるの?」と疑問視している人もすくなくありません。

ModoDrumってあんまりレビューみないけどどんなドラム音源なんだろう?初心者でも簡単に使えるのかな?

かなり細かいところまで音作りできる割には操作性はシンプルだよ!
結論からいえば普通のドラム音源の数十倍の生のドラムを再現できる唯一無二のドラム音源と言っても過言ではありません。徹底的にドラム打ち込みを追い込みたい人にとっては使えるドラム音源です。
この記事を読むことで「自分には必要かどうか?」をしっかり見極められるので購入に悩んでいる人には最後までしっかりと読んで参考にしてください。
- モデリング技術によるリアルな演奏/音質を再現
- 1400のMIDIパターン
- CPU負荷が高い
MODODRUMとは
メーカー | Ik Multimedia |
製品名 | MODO DRUM |
特徴 | 世界初のドラム専用モデリングエンジンによる音作り 最大13種類のドラム・キット 視覚的にも分かりやすいサウンドのエディット ドラム・サウンド全体をコントロール可能 ドラム・キット、演奏スタイル、スティック、部屋鳴り、エフェクト 1,400種類以上のMIDIパターンを収録したグルーヴ・マネージャー 無料のCS版とSE版ではいつでも追加キットを個別に購入して追加可能 |
システム | Mac (64-bits) 最低: Intel® Core™ i5以降のAVX命令セット対応CPU 8GB RAM (16 GB推奨)、 20GBディスク空き容量 macOS 10.9以降、USB空きポート (USB3.0推奨。 対応プラグイン・フォーマット(64-bit): Audio Units, VST 2, VST 3, AAX。 MODO DRUMは、AVX命令セット対応のCPUが搭載されたMac / PCでのみ Windows® (64-bits) M最低: Intel Core™ i5以降のAVX命令セット対応CPU、 8GB RAM (16 GB推奨)、 20GBディスク空き容量、 Windows® 7、Windows® 8、Windows® 10、 ASIO対応オーディオ・インターフェース、USB空きポート (USB3.0推奨。 対応プラグイン・フォーマット(64-bit): VST 2, VST 3, AAX. |
バージョン | 1.5(2022-10-23) |
認証方式 | IK Multimedia Authorizeによる認証 |
認証数 | 認証最大9 |
容量 | コア3.55GB コンテンツ11.49GB |
マニュアル | 公式サイト動画にて解説 |
価格 | MODO DRUM SE 1.5 €149.99 MODO DRUM 1.5 €79.99 |
備考 | MODO DRUM CS 1.5 1kitのみ収録(無料) |
Ik Multimediaが世界で初めて開発したモデリングドラム音源です。キック、スネア、タム、は口径の大きさ、深さ、材質、革の貼り方、スティックの当たる場所、などを細かく設定することで「本物のドラムのニュアンスを再現」することを目的とした音源です。
シンバルやハイハットなどの金物といわれるものはサンプリングを使っているので厳密にはハイブリッド音源という言い方が正しいです。
Ik MultimediaではすでにModo Bassというベースのモデリング音源を開発していてこちらは発売以降、リアリティを求めるDTMerたちから絶大な人気を集めています。
MODO DRUM M1対応状況について
MODO DRUMはバージョン1.1.2(2021年7月14に追加修正版1.1.3)をもってNative対応したことが発表されています。まだまだ多くの音源がRosetta2での対応が多い中さすが大手です。
詳しくはIK Multimedia公式サイトにて
MODO DRUM、Apple M1チップ対応アップデートを公開
MODO DRUM SEとは

MODO DRUM SEはModoDrumの中からJazzyとStudioキットのみで構成された簡易番ModoDrumです。(完全は10個のドラムキットです)
価格差はMODO DRUM SEが€149ユーロ、ModoDrumが€299となっています。エディット等の機能面は同じあくまでキット数だけを絞ったのがSEになります。
MODO DRUM SEは楽天やAmazon等で購入することはできず代理店としてはbeatcloudやSonicwireでのみ購入可能です。

MODO BASS にもSEってあるけれど似たような感じ?
ベース音源に革命をもたらしたと言われるMODO BASSにもSE版があります。
通常版は14のベースをモデリングしていますが、SEは60’s P-Bass + 70’s P-Bassの2つのみ
価格差はSEが€149.99通常版が€299となっています。
MODO BASSについて詳しく知りたい方はこちの記事が参考になります。


MODO DRUM レビュー
キック、スネア、タム、などの太鼓類はモデリングなので容量はありませんが、金物類はすべてサンプリングなので、その部分が実容量となります。
容量 | |
AD2 | ADpak 1つで700MB以上 |
BFD3 | 55GB(非圧縮時155GB) |
Superior Drummer 3 | 230 GB以上 |
SDD5 | 14GB(DLサイズ) |
MODO DRUM | 11.5GB |
音質
多くのモデリング音源はサンプル音源と違いツルッとしてきれいな印象です。個人的に空気感を含んだ音のザラつきにはまだモデリングは及ばない印象です。
しかし、MODO DRUMはきれいな中でもエフェクト類を駆使し全体的なバランスとして空気感と密度の高いドラムサウンドを作り上げているのがデモソングからわかります。
またサンプル音源ではありえない右と左で打ち分ける音色がコントロール可能なので、人間らしさを200%再現したい!という時には現状MODO DRUM音源は最強といえます。
機能性
10種類のドラム・キット
10種類のドラムキットは、ポップス系、ジャズ系、ロック系まで幅広く対応しています。
1,400種類以上のMIDIパターン
MODO DRUMのMIDIパターンはわかりやすく選択しやすいブラウザ画面になっています。
バリエーションも、INTROやChorusなどに分かれていて、すぐにそのキットのポテンシャルを確認することが可能です。
ドラムゼットを自由にカスタムエディット
MODO DRUM の音作りはカスタムエディットで行います。
複雑な音色変化が可能でありながらもGUIは非常にシンプルで初心者から上級者まで触れる設計になっています。
本格的なエディットをしたいのであればドラムの専門的な知識が求められる部分もありますが、まずはどんな変化になるのか触ってみても十分好みの音色にすることが可能です
ベタ打ちでもバラツキがあるのでリアリティがある
例えば、キックをベロシティを127にして鳴らし続けた場合でもまったく同じ音が発音することはありません。サンプル再生のドラム音源ではラウンドロビン(RR)という方法を使って同じ音が連続してならないようにするわけで。
RR4と書かれている場合は同じ音色でベロシティが同じでも4つのバリエーションがあるということになります。この方法ではRRの数だけサンプルを使用することになるのがデメリットです。
しかしMODO DRUMはモデリング音源なのでそのような心配は必要なく、無限に近いバリエーションで鳴らし続けることが可能です。

金物系はサンプルがだけど幅広いアーティキュレーションがある
ハイハットのアーティキュレーション(奏法の違い)は幅が広く、非常にカラフルなハイハットサウンドでグルーヴを作り出すことができます。
MODO DRUMの一番の懸念材料とも言われている金物ですが、普通に打ち込むぶんは「十分の音色量」があると言えます。
BFD3でなれていた私ですが、MODO DRUMのハイハットのアーティキュレーション困ることはほとんどありませんでした。
操作性
MODO DRUMのキーマップの自由度高くわかりやすい!
各パーツも好きな鍵盤にアサインできます。
SNARE POSITION CONTROLを使えば、モジュレーション及び好きなMIDI CCにスネアの打面位置を調節できリアルなスネアの打ち込みが可能になります。
またハイハットにも適応できるので(デフォルトはハイハットですが)オープンクローズの調整も可能です。
チューニングが表面しか扱えない
ドラムキットの選び化は乱暴になりがちとお話しましたが、もっと乱暴なのがチューニングです。確かにドラムのチューニングはめんどくさいですし、そこまえ躍起にならなくても使えてしまう部分もありますが、1ワンク上のクオリティを目指すならばドラムのチューニングは避けて通れません。モデリングドラムの強みの一つはキットことのチューニングにあります。MODO DRUMでもチューニングは用意されています。ただ、スネアの画面に関してトップしかチューニングをできないようにしているのは操作性を簡略化するためだったのかわかりません。
スネアの音質は裏面のチューニングで決まるという話もあるので、その辺りまで言及しなかったのはIKさん的に何か意図があったのかもしれません。

どちらにしてもドラムのチューニングを覚える癖をつけるのはよいことだと思います。
特定のベロシティで発音がおかしい(AUだけのバグの可能性)
これはLogic Proで使うAUプラグインだけの可能性がありますが、特定のキックでベロシティが80〜81のみ音がおかしくなるというものです。おそらくバグの可能性が高いです。
動画の2小節目ベロシティを80と4小節目のキックのベロシティを81
1小節目は83、3小節目では79というベロシティです。明らかに「80〜81」のみ音がおかしくなります。
また他のキックでは30〜31にした状態でも同じようなバグが発生しています。
この他のキックでも起こりますし、スネアでも音が正しく再生されない場合があります。これを解決するためにはそのベロシティを使わないようにするしかありません。
これ以外にも矢印ボタンを使ってプリセットを変更しようとするとうまく行かない等のバグを確認しています。この問題は普通にタグから選択すれば問題なくプリセットを選択できますが、細かいバグは少しでも速く改善されることを望みます。
安定性
CPU負荷は最大で75%近くになることもありドラム音源の中ではかなり重たくCPU負荷が高い部類です。

再生ストレージはHDDと書いてますがModoDrumのインストール先はSSDにしています。
MODO DRUMは重たいです。キットの切り替えも次のような感じで切り替わります。
一度読み込ませるとキャッシュが聴いてそれ以降は少しだけ速くなります。
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.4 Monterey
Audio/IF APOGEE Symphony Ensemble
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.4
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
価格
製品名 | 価格 |
MODO DRUM1.5 | €299.99 |
BFD3 | $375.953 |
Addictive Drums2(Custom XL) | $325.00 |
Steven Slate Drums 5.5 | $119 |
SUPERIOR DRUMMER 3 | €379 |
MODO DRUMが他のドラム音源と比べて特別安いわけではなく、むしろ高い部類のように思いますが、他では得られないエディットの精度や音の作り込みの自由度は最新のSUPERIOR DRUMMER 3であっても敵いません。
まとめ
まとめるとMODO DRUMは
- 容量11.5GB(キック、スネア、タム、類はモデリング、金物はサンプリング)
- 1400種類上のMIDIパターン(パターン選択は非常にしやすい)
- エディットは本格的!ドラムの知識があればさらにリアルな音に作り込める
- 負荷は高い(起動に時間がかかる)
- MODO DRUMの無料体験版および、マニュアルはない
- パラウアウトはステレオだけでモノラルアウトはできない
サンプル音源のドラムでも良いものはたくさんありますが、ピッチやドラムの材質まで設定できるModoDrumを使うこと本格的なドラムサウンドを覚えることができます。
ピッチ変更したことでどんな音色変化が起きるのかは公式サイトの動画ではわかりません。サンプリング音源はピッチを変更すると波形の再生速度を変えるだけなので
音質に影響がでますが、MODO DRUMはさすがモデリングだけあってピッチの変更でも音質にはまったく違和感はありません。
こだわり抜いたドラムサウンドにグルーヴを追求したいのであれば時間をかけてしっかり付き合うことでイメージするドラムを打ち込むことは可能です。
良いドラム音源ほど打ち込みのスキルが問われます。周りの評価で思わず購入してしまったドラム音源を最大限に発揮するためにはまずドラム打ち込みの基礎知識をしっかりと身につけましょう。ドラム打ち込みについてはこちらの記事が「基礎からあまり語られない応用的な話」までしっかりと網羅してい解説しています
