曲の要はキックです! 異論は認めません。
どれだけ美しいメロディーが鳴っていても、どれだけ派手なシンセが暴れていても、キックに迫力がなければ楽曲は一気に迫力を失います。
リスナーの心を揺さぶるのは、いつだって土台を支えるキックです。
では、どうすれば「思わず体が動くキック」を作れるのでしょうか?
その答えがPunchBox 2です。
PunchBox 2は、キックだけを極めるために生まれたエフェクト&シンセプラグイン。自由度抜群のADVANCE機能によるエンベロープ編集、豊富なサンプルオシレーター、ウェーブテーブルシンセなどを駆使すれば、「あと一歩物足りない」が「これだ!」に変わります。
しかも、触っているだけで創作意欲が湧いてくるGUIも最高。ノブを回すたびにサウンドが力強く変化し、「キックは俺に任せろ!」と言わんばかりの存在感を放ちます。
ただ低音を増やすだけではありません。
胸を叩くパンチ、腹に響く重低音、クラブのフロアを揺らすような圧倒的な存在感まで、自分の思い通りに作り込めます。
PunchBox 2を使えば、あなたの心も、リスナーの心も揺れる。ついでに部屋まで揺れる。
気が付けば近所迷惑レベルの超重量級キックが完成し、「もう普通のキックには戻れない」と感じるはずです。
本気でキックを武器にしたいなら、PunchBox 2は間違いなくチェックすべき一本です。
PunchBox 2とは
PunchBox 2はd16 Groupが作ったキック・ドラム制作に特化したソフト音源です。「PunchBox(初代)」がリリースされたのが2016年6月7日なのでおよそ10年ぶりにアップグレードされた形になりました。
私も、キック専用音源として、Kick NinjaやKick2(3ではありません)などを使ったりしていましたが、やはりPunchBoxの音質およびGUIが大好き使用していましたが、今回のアップグレードでさらに使い勝手の良いキック音源に進化した印象でした

PunchBox 2 レビュー
PunchBox 2になって、まず大きく変わったのがGUIです。初代PunchBox(以後、PunchBox)と比べると一回り大きくなり、各パラメーターの視認性が大幅に向上しています。

さらに、PunchBoxではGUIサイズを変更できませんでしたが、PunchBox 2では自由にリサイズが可能になりました。使用しているディスプレイや制作環境に合わせて最適なサイズを選べるため、操作性も大きく向上しています。
音質面では、PunchBox譲りの圧倒的に太い低域が健在です。特にサブウーファーを導入している環境や、ローエンドの再生能力に優れたモニタースピーカー・ヘッドホンを使用している人なら、その違いをより実感できるでしょう。
そして、PunchBox 2で新たに追加された機能にも注目です。ウェーブテーブルシンセ、自由度の高いエフェクトパッチング、柔軟なエンベロープジェネレーターなど、単なるバージョンアップにとどまらず、キックメイクの可能性を大きく広げる新機能が数多く搭載されています。
wavetable(ウェーブテーブル)シンセについて

ウェーブテーブルシンセが搭載されたことで、PunchBox 2ではよりデジタル志向のキックサウンドを作りやすくなりました。
もちろん、サンプルオシレーターにも近いキャラクターの音色は数多く収録されています。しかし、ウェーブテーブルならではの自由度の高い音色エディットは、PunchBox 2を象徴する新機能と言っても過言ではありません。
その一方で、初代PunchBoxに搭載されていたサインオシレーターは廃止されています。
サイン波をベースにサブ成分を作り込みたい人にとっては少し残念な変更点ですが、その役割の多くはウェーブテーブルシンセで代替できるため、実際の音作りで大きな不便を感じる場面は少ないでしょう。

サインオシレーターが廃止されたと聞くと、「アナログキック特有の太い低域が出せなくなるのでは?」と不安に思う人もいるかもしれません。
しかし、その心配は不要です。
PunchBox 2では、ウェーブテーブル内にサイン波が用意されているため、従来のような重厚な低域もしっかり作り込めます。
さらに注目したいのは、その長さです。初代PunchBoxのサインオシレーターは約1秒だったのに対し、PunchBox 2のウェーブテーブルに収録されているサイン波は約3秒と大幅に長くなっています。
この恩恵により、ヒップホップで使われるような長く伸びるサブベース系のキックも簡単に作成可能です。さらに音程モードを組み合わせれば、キックだけでなくベースサウンドとして活用することもできます。
単なる「サインオシレーターの置き換え」ではなく、音作りの自由度そのものが大きく向上している点は、PunchBox 2の進化を象徴するポイントと言えるでしょう。

ウェーブテーブルは数多く用意されており、ブラウザにフォーカスがある状態なら、キーボードの矢印キーで次々と切り替えられます。そのため、マウスで一つひとつクリックする必要がなく、音色をテンポよく試せるのは非常に便利です。
ただし、POSITIONノブなどウェーブテーブルブラウザ以外のパラメーターを操作すると、ブラウザのフォーカスが外れてしまいます。その状態では矢印キーによるウェーブテーブルの切り替えができず、再度ブラウザをマウスでクリックしてフォーカスを戻す必要があります。
GUIの仕様上、ある程度は仕方のない挙動だとは思いますが、ウェーブテーブルを次々と試しながら音作りをする場面では、少し煩わしく感じました。に感じました。
ADVANCED機能で自由にエンベロープがかけるようになった!
PunchBox 2の2つ目の新機能はADVANCEDモードです。これはキックの最大で15のエンベロープポイントを置いて自由に時間軸をコントロールするものです。

これは他のキック音源(Kick3やKick Ninjaなど)では普通に搭載されている機能でしたが、PunchBox2にも満を持して搭載という形になりました。
PunchBoxのときはサインオシレーターのみにエンベロープがありましたが、PunchBox2になってから、レイヤーを含むすべての音色にADVANCEモードを独立して使えるようになったのは大きな特徴です。
サンプルおよびレイヤーはすべて同じ波形で統一
PunchBoxとPunchBoxのレイヤーが概念は同じく、メインとなるキックにクリック、トップス、ツールといった3つのレイヤーを加える形で音作りをします。
CLICK(クリック): アタック感や最初の鋭いアタック音
TOPS(トップス): 音の質感や中高域のキャラクター
TOOLS(ツール): ノイズや補助的なレイヤーで厚みや
KICK(キック): 芯となるメインのボディや重低音部を担当
トップスとツールは同じサンプルで、クリックだけは別のサンプルが用意されていましたが、PunchBox2ではすべて同じサンプルを扱う形になりました。クリックに関してはフィルターでローカットしたものを使えば同じ結果が得られるので、特に問題は感じません。
マルチ出力で外部のエフェクトで音を作り込む
キック音源にここまでこだわるのか?と思ったのがマルチ出力です。PunchBox2では最大で独立した5つのマルチ出力を選択できます。

ここでも無駄にGUIにこだわっているのかFANが回っていたり、塗装が剥がれていたり、キックと書かれた部分はラベル使用なのか気泡が入っていたりします。
ここまでこだわるのであればPOWER ONのボタンも機能してほしかったところです。
地味に嬉しいエフェクトのパッチ変更
初代PunchBoxには、ビットクラッシャーやフィルター、イコライザー、ディストーション、マスターリミッターなど、キックを理想のサウンドへ仕上げるためのエフェクトが一通り搭載されていました。
ただし、エフェクトのルーティングは固定されており、すべてのレイヤーに対して一括で処理される仕様です。特定のレイヤーだけエフェクトを通さない場合は、Wet/Dryノブでバランスを調整する程度しか自由度がありませんでした。
一方、PunchBox 2ではエフェクトルーティングが大幅に進化しています。
レイヤーとキックをそれぞれIN1とIN2へ個別にルーティングできるようになり、それぞれに異なるエフェクト処理を適用することが可能になりました。
例えば、すべてのレイヤーをIN1、キックのみをIN2へルーティングすれば、キックだけ特定のエフェクトをバイパスしたり、逆にキックだけへディストーションをかけたりといった柔軟なルーティングが行えます。
その結果、各レイヤーやキックの質感をより細かくコントロールできるようになり、狙ったサウンドへ効率よく仕上げられるようになりました。

これによって
Kick3やNinjaと比較すると?
個人的な印象ですが、PunchBox 2のローエンドは初代PunchBox以上に太く感じました。特にサブウーファーで再生したときの体に伝わるような低域のエネルギー感は圧倒的です。
一方で、全体の音質は「高解像度でクリーン」というよりも、良い意味で荒々しく、少し汚れた質感を持っています。この絶妙なラフさがPunchBox 2の魅力でもあり、EDMやハードスタイル、ヒップホップなどでは大きな武器になるでしょう。
反対に、ホコリ一つないようなクリーンでエレクトロニックなサウンドを求めるのであれば、Kick 3のほうが相性は良いと感じます。
Kick Ninjaは透明感のあるサウンドが特徴で、取り込んだサンプルをAIが解析し、音作りをサポートしてくれる機能も魅力です。プリセットも完成度が高く、起動時に読み込まれるデフォルトのキックを聴いた瞬間、「おっ、かっこいい」と感じるほどで、自然と創作意欲を刺激してくれます。

ただ、個人的にはGUIが少し情報量過多で、ごちゃごちゃした印象を受けました。
その点、PunchBox 2はGUIのデザインが非常に洗練されています。エフェクトはモジュール形式で自由に並び替えられるため、見た目も機能性も優秀。触っているだけで音作りを続けたくなる、そんな魅力があります。
さらに、完成したキックはExport機能で書き出すことができ、最大192kHz・32bitまで対応しています。
正直なところ、キック単体を書き出すのにここまでのハイレゾ設定が必要になる場面は多くありません。それでも、「どんな制作環境にも応えてやる」というメーカーのこだわりや本気度が伝わってきます。
価格は、Kick Ninjaが¥10,450、Kick 3が¥13,692、そしてPunchBox 2が¥19,195です。
こうして並べると、PunchBox 2が最も高価なのは事実です。もう少し手に取りやすい価格なら……と思う気持ちもあります。
それでも、圧倒的なローエンド、サンプリング・モデリング・ウェーブテーブルを組み合わせた柔軟な音作り、高品質なエフェクト、そして思わず触りたくなるGUIまで含めて考えると、この価格に見合う価値は十分にあると感じました。
何より、私はPunchBox 2の「音」も「使い心地」も「デザイン」も全部好きです。
だからこそ、これからキックメイクを極めたい人には、自信を持っておすすめできる一本です。

さいごに
- ADVANCED機能によるエンベロープカーブの設定
- ウェーブテーブルシンセによる新しいキック波形が増加
- 最長で3秒近いロングトーンのキック(音程モードでベースとしても使える)
- 無駄にこだわったGUI
- 使いやすいエクスポート機能&マルチ出力
ざっくりとこのような機能がPunchBox2の魅力といえます。キックは楽曲の要です。どんなにアレンジが良くてもキックの音色がだめだと曲が死にます!言い切ります。
最近のDAWは最初から大量のキックサンプルが収録されているのでそれらを使う人も多いでしょう。しかし、もっとこだわりたい!という人にとってPunchBox2は今後力強い見方になってくれるでしょう。
心も部屋も揺れる重低音を作り出すPunchBox2!超絶オススメです。
