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D16 Group PunchBoxレビュー楽曲クオリティの8割はキックで決まる

「作った曲がダサい」「全然ノレない」作った音楽を聴いて自分で乗れない曲は他人が聴いても楽しくないです。

これらの原因はいくつか考えられますが、シンプルなところで言えば「キックの音が貧弱」という理由があげられます。

プロはキックだけ専用のトラックを使うほどキックに命をかけます。それは曲の印象がキックで決まることを知っているからです。色々な音源がある中でまずは「ソフト音源はまずキックに投資しよう」と私は声をあげていいたいほどキックは重要です。

そこで今回は「野太いキックがほしい」「初心者くさくないかっこいい曲を作りたい」という人におすすめのドラム音源PunchBoxを紹介します。PunchBoxを使えば、求めていた音がピンポイントでみつかり、さらに自分で作り込むことも可能です。

「でも音作りは苦手…」というDTM初心者のような人のためにPunchBoxの使い方の実例を紹介しています。この記事に書いてあることを参考にすれば、シンプルでかっこいいキックを作るコツを身につけることが可能です。

総合評価
音質
操作性
価格 
購入のしやすさ
安定度(CPU負荷)
評価の根拠について
PunchBOX
D16 Group
この記事を書いた人
UG

<プロフィール>

作編曲歴25年|DTM講師3年|Twitterフォロワー7500人

DTM記事(レビューも含めて)500以上の執筆のDTM専門家

ゲーム会社でニンテンドーゲーム機のBGM及び効果音を作成

大手メーカーのCM及び企業BGM、YOUTUBEコンテンツに楽曲提供(大阪BGMや変身BGMがよく使われています)

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PunchBOXとは

PunchBOXはモデリング技術で往年のシンセ等を再現し続けるD16 Group Audio Software が作ったキック専用音源です。

APIランチボックスを彷彿とさせるインターフェイスで出てくる音も太いの一言。地を這うようなローエンドマシマシのサイン波キックから、ダンスの定番909、そしてあらゆるジャンルに使えるサンプリングされたキック、それらをアクティブにときに繊細にエディットして究極のキックを釣り上げることができる。それがPunchBoxです。

音の第一印象は「部屋が揺れる」です。Kick2やBig Kickと言ったキック専用音源にはない独特の低音密度が存在します。そして何より搭載されているエフェクトの質、使えるランダマイズ機能。どれをとっても即戦力なキック音源です。

PunchBOXの特徴

4つのジェネレーター CLICK TOPS TOOS KICKを使っての音作り、ジェネレーター毎にエフェクトへ送ることが可能

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Kickではモデリングによるリズムマシンのキックを再現

ルーティングを変化可能なキックの音作りに特化した5つのエフェクト

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ビットクラッシャーディストーションフィルターイコライザリミッタ
  • 800のプリセットと1100のサンプルに探しやすいカテゴリ表記
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この中で私が特に目を引いているのは、エフェクトとエンジンの素晴らしさ、この2つがあれば、正直作れないキックはないと言えるくらいに高機能であり、圧倒的な存在感です。

もしEDM系などを作っていて「イマイチ、キックに迫力が足りない」でも「かっこいいキックの音」とかは素人やDTM初心者に作れるわけがない。と思っているならばPunchBoxを使えばその考えが間違った思い込みだったことを知ることになります。

それくらい音が圧倒的です。

PunchBOXの価格

通常$85がセールで$51、日本円でざっと5,800円程度、通常でも高いと思わないほどですが、セール価格は魅力です。ジャンルを問わずキック専用音源を1つもっておくことで曲のクオリティは簡単に1ランクアップできます。それほどキックは重要な要素です。

PunchBOX
D16 Group

Kickに特化した音源はPunchBoxの他にも Sonic AcademyのKick 2 PluqinBoutiqueの Big Kickがあります。それぞれの価格差は次の通りです。

Kick2Big KickPunchBox
€49(現在セール€39)$49$51

Big Kickについてはこちらで詳しく解説しています。

またKick 2とPunchBoxを比較した内容もこちらの記事で詳しく解説しています。

こうなると「正直どれがいいのか迷う」というところだと思います。3つとも触った私の印象としては、野太く野性的な音がほしいならばPunchBox、繊細でひんやりとしたエレクトリック感のあるキックがほしければ、Kick 2、それらの中間的な音が Big Kickという印象です。

圧倒的な音圧と存在感のあるキックがほしいのであればPunchBoxが一番しっくりくると思いますし、

PunchBOXの使い方のコツ

とりあえずランダマイズ機能を試してみよう!

PunchBoxにはランダマイズ機能を使って自動でキック音を作ってくれる機能があります。私のイメージからすれば最初は「どうせ変な音しか出さないんでしょ?」的な印象でした。

しかし、PunchBoxのランダマイズ機能はすごく良くできた実践的なキックを自動で作ってくれます。

Randomize Test1
Randomize test2

なぜ、PunchBoxのランダマイズ機能は優れていくるのか?それはすべてのパラメーターをランダマイズするのではなく、以下の画像の箇所だけをランダムに変更するからです。最小限のパラメーターでありながらしっかりと音が変わるツボを押さえているので、使えるランダム機能になっているわけです。

画像

音作りの基本 CLICK TOPS TOOLS KICKのバランスを理解仕様

ランダマイズやプリセットでそれなりに楽しめたらいよいよ音作りですが、まず重要なことがあります。それは

エフェクトをすべてオフにするということ。

PunchBoxのエフェクトは非常に強力で効果もわかりやすいものが多いです。エフェクト有りきの音作りも良いのですが、やはり自分の意図がしっかり反映されたキックを作りたいのであれば、まずはエフェクトはすべてオフにすることを強くオススメします。

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OFFは画像の赤い丸ボタンをクリックでオフにできます。

キックの音作りは足し算と引き算!

キックを作るときに重要なのは

クリック(CLICK)

トップス(TOPS)

ツール(TOOL)

キック(KICK)一番メインとなる音色

これらの4つのバランスを正しくとることですが、しかし、何もわからない状態だとどこをメインすればよいかわからないと思います。メインにするのはキックです、このキックにどういうアプローチをかけていくかがPunchBoxの音作りで基礎的な部分になります。

では、アプローチのかけかたですが、大事なのはキックがどういう周波数帯域の特性をもった音色なのかを知っておくのがポイントです。

例えばキックにはこのようなサンプリング音源が用意されています。

これをスペクトラム・アナライザーで確認すると次のようになります。

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低域から高域まで密度が高いキックであるのがわかります。

この場合はむやみに音を足すのではなく「ここだけは聴かせたい!」と思った以外の周波数をカットする方向で考えるのがよいでしょう。イコライザーやフィルターを使うのもいいでしょう。しかしこれで問題ないと思えるのであればそれでも構いません。

キックの音作りで迷子になるとその上に入ってくるすべてのパートが不安定になり説得力にかけます。

そのためにも「どういうキックにするべきなのか?」をしっかりとイメージしておくことが大切です。

もう一つ例をあげておきます。たとえばサイン波だけで作れたキックもPunchBoxでは選択することが可能です。

ちなみにSample以外のキックはすべてPunchBoxの中でモデリングされたものになります

これを同じくスペクトラム・アナライザーで確認すると次のようになります。

画像

非常にシンプルながら野太いサイン波形によるキックです。

この場合ではキックの音作りは足し算で考えるのがわかりやすいですね。どこにどんな音が入るべきなのか、基本となるサイン波キックをベースに考えるのか、それとも太さの要因としてこのサイン波キックを使うのかによってアプローチの方法は変わってきます。

ここからPunchBoxのキック作りの本格的なアプローチが始まります。

ジェネレーションの意味合いについて

公式のMANUALでは次のように記載されています。

クリック(CLICK)

トップス(TOPS)

ツール(TOOL)

キック(KICK)一番メインとなる音色

クリック–バスドラムのアクセントを生成します。最初の短いクリック。

トップス–アクセントのサステインの配信を担当します

(通常、より高い周波数に存在するわずかに長いトーン)。

ツール–プライマリトーンに伴う追加のランブル、バックグラウンドサウンドなど。

キック–バスドラムの本体であるベーシック/プライマリトーン。

引用:D16 Group Audio PunchBoxMANUAL和訳より

クリックで音の輪郭を見せてあげるような印象です。クリックが入ることでキックの輪郭が変わりやすくなる効果があります。

4小節、1〜2小説はクリックなし、3〜4小説はクリック有り

トップスは、MANUALにはアクセントのサスティンと書かれていますが、これは少し誤解を生む説明です。クリックは高域に特化した音色が多数用意されていますが、TOPSになると、高域だけではなく、低域も多く含んだ、キック的なサウンドも多数用意されています。

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なので「サスティンを多く含んだ長いトーン」とい解釈はやめた方がよいでしょう。このTOPSの場合は100Hz付近に強烈なピークが存在します。ここはベースとかぶるポイントでもあるので、このままだと確実にベースの邪魔になりますし、KICKを重ねたときにも不要なピークになるかもしれません。高域の成分がほしい場合はLOW CUTで調整しましょう。

ツールはキックの補佐的な役割な感じですが、ツールだけでもキックとして成り立つほどです。

1〜2 toolのみ 3〜4 サイン波キックとミックス

上記のサンプルのようにミックスすると芯がありながらもふくよかな低域があるキックを作ることが可能です。

音作りで知っておきたい効果的なパラメーター

GENERATIONで知っておきたい音作りのパラメーターはSampleStartです。

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TOPSとTOOLSのみに搭載されているSMP STARTは搭載されている波形のスタートポイントを変更するためのパラメーターです。

例えば、TOPSやTOOLSのサンプルのアタック部分が気に入らないなどの場合はこのスタート地点を変更することで取り除くことが可能なわけです。

PunchBOXのメリット

テンションが上がるインターフェイスでの音作り

インターフェイスは重要です。もちろん好みはありますが、PunchBoxはいかにも野太く、野性的な音色が作れそうな顔をしています。PunchBoxと同じキック専用音源のKick 2などは実にシックでジェントルな風貌です。

実際出てくる音の太さはどんな音色を使うのかにもよりますが、以前友人の言えで8インチスピーカーで鳴らしたところ、PunchBoxの方がよりローエンドが伸びていました。

音作り専用のエフェクトモジュールの完成度が高すぎる!

PunchBoxには非常に高品質なサンプルキックとモデリング技術によるキックが用意されています。エフェクトが買っていないいわゆる「素の音」だけでも十分にハイクオリティなキック音源として扱うことが可能です。しかし、よりアグレッシブに攻めていける5つのエフェクトモジュールを装備しています。

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この4つが本当に素晴らしい。ビットクラッシャー、ディストーション、フィルター、どれをとってもガッツリ音を変化させてくれます。

そしてそれらは自由に並び替えることが可能なので、音作りの幅が広がります。

さらにおちゃめなのが、このおジュールを動かすときちらっと基盤のグラフィックが見えます。音作りとは直接関係ありませんが、こういう遊びココロがあるというのはユーザーに少しでも楽しんでもらおうというD16 Group Audioの気持ちが伝わってきます。

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ユニークなエクスポート機能

DAWにWAVファイルとして簡単に書き出せる機能がPunchBoxには搭載されていますが、他のキック音源と違う少しユニークな仕様があります。それはビットレートとサンプルレートを選択できるということ

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本来はビットレートとサンプルレートは同時に表示されません。わかりやすいように画像を加工しています。

例えばDAWのプロジェクトが48kHzの場合で192kHzで書き出すと、ピッチが代わり音が引き延ばしたような形になります。

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これを利用することでキックに面白い表情をつけるちょっとした裏技的な使い方も可能になります。

音声ファイルで比較すると、最初のキックが48kHz、次のキックが192kHzで書き出したもの、DAWのプロジェクトは48kHzです。

PunchBOX
D16 Group

PunchBOXのデメリット

なぜ?キックはモノラルでいいのにステレオ音源?

デメリットというわけではないのですが、「なんでキックがステレオ音源やねん」というツッコミを入れたい人もいると思いますが、その理由についてお話します。

キックは基本モノラルトラック扱うべきトラックですが、PunchBoxはなぜかステレオトラックになります。

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「別にステレオでも良いのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、PunchBoxにはDAWにWAVファイルとしてエクスポートできる機能があります。当然書き出すとステレオ音源なので書き出したファイルもステレオになります。

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キックをモノラルトラックとして処理したい人、またはミックスを外注するときなどは「キック等はモノラルでよろしく」という人もいるので、そうなるとモノラル化しておく必要があります。このあたりがちょっと不便と感じる人がいるかもしれませんが、出てくるキックの音圧、存在感はクリエイティブな思考を刺激する最高な音色です。

Logic Proの環境ですが、ステレオファイルをモノラル化したい場合は次の記事が参考になります。

実は、PunchBoxがステレオの理由はPunchBox のパラメータのパンを変更できるからです。

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古いタイプの人間なんでやっぱりキックはモノラルだろう…と思ってしまうわけですが、キックの成分をステレオ化することで新しい音楽をつくることができるのかもしれませんね。

パラメーターはステップ式であってほしい

各パラメーターのノブを動かしても数値的なもの左下表示されます。

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しかし、数値表示はされますが、テンキーによる入力はできません。これは気にしない人にとっては何も問題はありませんが、やはりカチカチとテンキーによる数値入力に慣れている人からするとできたらいいなーって思うところでした。

PunchBOXのCPU負荷

キック専用音源ということもあり非常に軽いです。使い方的に多少レイヤーをする可能性はあるかもしれませんが、それでも3つ以上立ち上げることはあまりないと思いますので、この負荷であれば何も気にせず使うことが可能です。

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PunchBOXのシステム要求環境

Windows PC

  • OS version Win 7, Win 8, Win 10
  • CPU 2.0 Ghz with SSE (Multicore system 2.4 Ghz recommended)
  • RAM 4 GB (8 GB Recommended)
  • Software VST / AAX compatible host application (32bit or 64bit)

Mac OS X

  • OS version 10.7 and later
  • CPU Intel based 2.0 Ghz (2.4 Ghz recommended)
  • RAM 4 GB (8 GB Recommended)
  • Software AU / VST / AAX compatible host application (32bit or 64bit)

Please note: This is not a standalone program – a host application (DAW) is required to use it.

オーソライズ方式はシリアルナンバー方式でiLok等は必要ありません。ちなみにiLokが認識しなくなるなどのトラブルがあった場合は冷蔵庫で30分冷やすと一瞬だけ蘇るらしいです。もしものときは試してみたいですが、その時が永遠にこない方を願いたいです。

まとめ

繰り返しますが、曲のかっこよさの8割はキックで決まるので、音源購入で悩んでいる人はまずキック音源のチョイスをするべきだと思います。

PunchBOXは名前の通りパンチのあるキックを簡単に選択、作成できるキック専用音源です。太さと大胆さを兼ね備えた敵無しのキックをあなたのトラックに入れるだけで初心者くささはなくなります。

PunchBOX
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