fxpansion BFD3の使い方って少し難しそうな印象があるかもしれませんが、この記事ではBFD fxpansion tutorialとしてインストールから使い方、音作りの方法までわかりやすく丁寧に説明しています。
私はModoDrum、AD2 SSD5と有名なドラム音源を触ってきても仕事に使うのは基本BFD3が一番多いです。それらの音源と比較してもやっぱりしっくりくるBFD 3 Drumの魅力についてはじめて使う人にわかりやすく解説していきます。
FXpansion BFD 3 Drumとは(bfd3 drums review)
L.A.のOcean Studiosとメリーランド州のOmega Recording Studiosでレコーディングされた、119個のピースと7つの新しいキット。
BFD 3専用の高解像度で収録されたロック、メタル、ジャズ、ブラシのキット。
55GBのディスク・スペースから155GB相当のロスレス・サンプルをストリーミング。
タムの共鳴やシンバルのスウェル奏法までもモデリング。
最大8つのアンビエント・マイク・チャンネル。
作業効率の高いユーザー・インターフェイスとワークフロー。
ハイスピード、高効率オーディオ・エンジン。
DCAM EnvShaper、Reverbを含む新しい33種類のエフェクト。
すぐにミックスが行える、豊富に用意されたプリセット。
詳細に編集可能なグルーブ・エンジンと新しいグルーブ生成ツール。
Steve Ferrone、Brooks Wackerman、Bobby Jarzombek、Peter Erskine & Stanton Mooreが実際に叩いたPlatinum Samples提供のグルーブを多数収録。
BFD 3 Drumを一言で言うならば、即戦力のかたまりのようなドラム音源です。1つ1つの楽器の音鳴りや、マイクの距離感が抜群なので、オフ気味の音からオン気味の音まで幅広く扱えるので「なんかこのドラムの音いいけど、スネアだけ音が離れている氣がする」といった使い勝手の悪さがありません。
最近ではドラムモデリング音源であるMODO DRUMがIk multimediaから出てきました。私も購入して奏法による音の違いや、細かい音作りには感動しましたが、それでも質感的に良いマイクと良いスタジオで録音したドラムの音というのが私達が長年耳にしてきた「心地よいドラムの音」であることを再認識しました。
BFD 3 Drumは発売されて7年が経ちますが、それでも多くの人が求めるサウンドがあるのはドラム音源としてある意味完成形に最も近いからかもしれません。
もちろん、おそらく今年中にでるであろう(死ぬほど期待してます)BFD4がどれほどすごいものになるのか考えるとワクワクがとまりません。
BFD 3 DrumとBFD 3 SPECIALの違い
最近良く見るのがBFD 3 SPECIALという商品ですが、これはセール時に安くなっているBFD 3ということで機能的な違いはないようです。しかし…セール時に名前を変更するっていうのはちょっとどうなのかなーって思いますね。
BFD 3 Drum「インストール方法」
BFD 3 DrumにはUSB版とダウンロード版の2つが存在します。USB版の場合はUSBからのインストール指示に従うだけですが、ダウンロードの場合はFx pansionからインストーラーをダウンロードします。
ダウンロードにはアカウントの作成が必要です。
流れとしては以下の2つの手順になります。
さらに詳しいインストール方法の流れを知りたい方はこちらの記事が参考になります。以下の記事ではBFD3拡張音源のインストール方法とうまくインストールできないときの解決方法についても記載しています。
BFD 3 DrumはCatalinaに対応している?アップデートの方法は?
2020年の3月にアップデートされ現在のバージョンはV3.3.1.31です。このバージョンより正式にCatalinaに対応しています。
BFD 3 is compatible with macOS Catalina (10.15). The BFD 3 demo is not currently compatible with macOS Catalina, but we’re working on an update to this which we aim to release as soon as possible.
FXpansion https://www.fxpansion.com/support/faq/bfd3/
BFD 3 Drumのアップデートはマイナーアップデートの場合は無料です。アプリ自体が自動でアップデートする機能はないのですが、
BFD 3 DrumのメニューからCheck for BFD 3 Updatsでアップデートを調べることが可能です。
BFD 3 Drum動作環境
- OS X 10.12 -10.15
- Windows 10 64bit
- AU*、VST (2.4)、AAX Native、スタンドアローン対応
- Intel Core 2Duo 2 GHz以上
- RAM空き容量2GB以上
- Core Audio(Mac)/ASIO(Win)ドライバー対応インターフェース(WDM非対応)
- 1280×800 以上の画像解像度
動作環境はIntel Core2 Duo以上とありますが、正直な感想として最低でもCore i3以上のCPUスペックでないとBFD 3の動作が重く感じられると思います。
またおすすめなのは保存先のストレージは可能であればHDDではなくSSDです。HDDに比べると2倍近くロード時間が速くなるのでいち早く作業に入ることができます。
魅力的な拡張音源がいっぱい!!
BFD 3 Drumには優れた拡張音源が多くリリースされています。以下の記事ではリリースされている拡張音源の一覧を出しているのですべての音源を視聴することが可能です。
そんな優れたBFD 3の拡張音源ですが、BFD2時代に作られたものが多く、インストール時に失敗して音がでなくなってしまうことがあります。それらの解決方法についても詳しく説明しています。
プリセットの確認
無事にインストールが完了すると、左のウィンドウにBFD3のドラムキットが並んでいて、クリックすると中央のミキサー画面に表示されます。
左のドラムプリセットのウィンドウの上にあるタグはいろいろとありますが、まずは以下の4つだけを覚えておいても十分に問題なく扱えます。
- Preset:ミキサーの設定などを含めたもの
- Kits:ドラムの音色だけ読み込んだもの
- Drum:各キットだけを読み込んだもの
- Groove:MIDIグルーヴを読み込む場所
キットの詳細を確認する
左ブラウザにあるのが各キットのプリセットです。ここから好みのキットを読み出して使っていきますが、キットを読み込むと中央下のフェーダーにキットが読み込まれます。読み込まれたKickとSnareのミキサーの部分三角矢印がついてるのがわかると思います。これをクリックすることで
キックとスネアの個別マイクを表示することができます。
簡単にマイクの意味を説明すると
- Kick Inはアタックオンを収録したもの(バチッという音)
- Kick Inはキック自体の低音感をしたもの(ドン!という音)
- Kick Subはさらに低い低音感を付け加えたもの(ドゥオンという感じの音)
これらの3つを一つにまとめてKickというフェーダーにまとまっているというものです。
スネアに関しては
- Snare Topも一般的なスネアの音
- Snare Bottomはジャリッとしたノイジーな音
- Snare Rimはスネアの鳴りを収録した音
といった感じです。
最近EDM系ではやっているスネアやキックの音作りはシンセ的なものではなく、このマイキングから来ているのがよくわかります。つまりBFDのマイキングを制するものはEDM系のドラムサウンドも制すると言っても過言ではありません。
キック同様これらの音がSnareという一本のフェーダーにまとめられています。これらのフェーダーを動かしながらバランスをとりドラムの音作りをします。
ドラムの音作りにイコライザーを使用する人がいますが、フェーダー音量バランスをしっかり取れていればイコライザーでそれほど音作りをする必要がなくなります。EQでの音作りはカット方向以外でそれほど使うことはなくなります。
これらについてはこちらの記事も参考になります。
とりあえずこれだけ覚えたい専用音源不要のロックなキック音作り
ドラム専用音源がなくてもここまで作り込めるロックスネアの音作り
ドラムのアンビエンスをコントロールする
また上記の画面では表示されていませんが、下のスライドバーを右に動かしていくとAMBというフェーダーが表示されます。AMBIにも三角矢印がついているのでクリックすることでAMBトラックつまり空間的なドラムの音が収録されたフェーダーが表示されます。
表示では左から
- OH
- Mono1
- Mono2
- Mono3
- Comp1
- Comp2
というアンビフェーダーがあります。
OHとオーバーヘッドという意味で役目としてはドラム全体を狙った音として使うこともありますし、シンバル用としてOHを使うこともあります。BFD 3 Drumはシンバル専用のフェーダーが存在しているのでかぶりのないシンバルを扱いたいときはシンバル用のフェーダーで音を作り込む方がよいでしょう。
順不同になりますが、次のROOMについて説明します。
ROOMはOHよりさらに遠い位置にマイクをおいた部屋全体の響きを収録したもの迫力があるドラム音を作りたいときにはこのROOMが役に立ちます。Amb3という書いてあるROOMよりさらにマイクを遠くにおいたもの正直私はこれはあまり使いません。
monoというのはマイク一本でドラムを収録したもの1.2.3によってマイクの距離が異なります。Comp1.2はすでにモノラルマイクにコンプを通して録音したものです。個人的にガッツリとした定位感とパワーがほしいときにcompマイクを使うことがあります。
これらの表示は中央のドラムが表示されている画面を下にドラッグすることでマイクの位置を確認できます。
またこれらのマイクの位置はTweaksという項目で変更することができます。
Distanceは距離
Widthはパンニングと思ってください。
パラメーターを動かすことでマイクの位置が変化するので音の違いを確認してみましょう。
ちょっと便利なBFD 3 tips1(ウィンドウの拡大縮小)
地味に知っている人が少ない機能ですが、上記の説明画像でもわかると思うのですが、BFD 3はデフォルトで立ち上げると画面が幾分小さいんですよね。そこで、上記の赤色で囲った部分をクリックすることで画面の大きさを拡大縮小することができます。
こんな感じでどこまでも広げていくことができます。広げるポイントは各キットの個別出力+AMB成分を確認できるほどでよいでしょう。
エフェクトの使い方について
BFD 3 Drum内にはダイナミクスやフィルター、EQリバーブなど様々なエフェクトが搭載されていてBFD 3内でも十分な音作りが可能です。また、プリセットキットにはエンジニアすでに作り込んだエフェクトが入っているのでそれをそのまま使うのも良いと思います。
青いマークが点灯しているところはエフェクトがONの状態インサーションエフェクトは同時に6つSENDは4つまで使えるみたいですが、私は基本DAWで音を作るのでエフェクト関係はすべてOFFにしています。(少しでもBFD 3の負荷を減らしたいという目的もあります)
「エフェクトだったらDAW側で作るのになぜBFD3の中でエフェクト処理する必要があるの」という疑問が出るかもしれません。たしかに任意のプラグインエフェクトする方がより効果的な音作りが可能だとは思います。しかし、ここはエフェクト処理するというよりは「もともとこういうスネアの音だった」という意識でBFD 3のエフェクトを使うのがよいかもしれません。
もちろんそれらをすべてDAW上でするのは良いと思います。しかし、エンベロープ系などダイナミクスのかかり方はプラグインなどによっても異なるので、BFD 3のエフェクトの音が気にいるものであれば、無理してDAW上のプラグインを使う必要はないと考えます。
また、DAW上でのエフェクトプラグイン処理はマルチアウトすることを前提としていますが、完璧にバランスが取れて2mixでも問題ないのであれば、これも絶対マルチアウトが必要ではありません。
マルチアウト出力の設定方法
フェーダーの下に「Kick」と書いてある名前をクリックすると出力先が表示されるので任意に設定していきます。もしKickを一つのまとめたい場合は
- Kick in
- Kick out
- Kick Sub
の設定は「kick」のまま変更させずにそれらをまとめたKickのフェーダーでマルチアウト出力を設定します。
イメージとしてはDAWでBUSチャンネルにまとめている状態だと思うとわかりやすいかもしれません。
詳しいマルチアウト(パラアウト)方法についてこちらの記事に詳しく書いてあります。
ちょっと便利なBFD 3 Drum tips2(1クリックでマルチ出力)
加筆2018/11/26
一つ一つのマルチ出力をするのがめんどくさい場合はフェーダー上で右クリックをしてAuto-assign Output(Direct)を選択すれば一発でマルチアウトが設定できます。
↓
どーんと一発でマルチ出力!めっちゃ便利です。
シンバルをマルチ出力する必要がないと感じた場合はコンプやmonoマイクに当てはめてもいいですね。
オリジナルキットを保存する
私の場合はBFD3の音作りはDAWで行います。なのでBFD3のエフェクトを外し、フェーダーバランスもフラットにしマルチアウト出力を設定したオリジナルキットをBFD3を立ち上げ時にデフォルトで読み込ませるようにしています。
Fileからsave Presetを選択し名前をつけて保存します。次にToolからShoe preferencesを選択し
Startupの一番下に先程保存したプリセットが表示されますのでそれを選択すれば次回起動時からそのプリセット(キット)が読み込まれるようになります。
BFD 3 Drumオーディオ書き出し
ロジックのすべてのチャンネルをオーディオで書き出せるExport機能がBFD3にはあります
Bit数も16〜32まで選択できまし、任意のチャンネルだけでもエクスポートできるのでめちゃ便利なのですが、残念なことに
リアル書き出ししかできない、つまりDAWを再生させることが条件なので3分の曲を書き出そうとすると3分かかってしまいます。BFD4にはバウンス機能つけてほしいところです
BFD Drumの音色を圧縮するロスレス圧縮について
BFD 3 Drumの音は本当にリアルです。ですがリアルがゆえにサンプルの容量が重いために、ストレージを圧迫します。高速のSSDであってもギリギリまでいれてしまうとSSDの性能をフルに発揮できません。本当ならもっと速くロードできるのにそれができないというのはストレスです。今日は容量の多いBFDをさくっと軽くしてしまえるアプリのお話です。まだ実行していない人はさっそく試してください。
BFD 3 Drumに搭載されている音源はロスレス方式です。非圧縮なら155GBをロスレス圧縮によって55GBまで圧縮します。ちなみにロスレス方式とは圧縮しても音質を低下させることはない圧縮方式のこと。ちなみによく音楽再生で少し前まで用いられたmp3は非可逆圧縮といって圧縮することで音質の低下が発生し元には戻せません。
BFD 3 Drumからロスレス圧縮方式に変わりHDDの使用量を抑えられますがBFD 2は実用量です。そのBFD 2の音源にもロスレス圧縮をしてくれるのがBFDLACToolです。以前BFDLACToolは単体アプリでしたが今はBFD 3に内包されています。
圧縮のメリット
テラバイトクラスのHDDをメインで使っているとそれほどかもしれませんが、少しでも速い起動にかかせないのが、SSDです。しかしSSDはHDDに比べるとまだまだ高いですから、ロスレス圧縮の恩恵は計り知れません。
圧縮のやり方
方法簡単です。起動すると次のような画面になります。
Sourceで拡張音源がインストールされているファイルを選択Destinationで新規の保存先を選びます。ここで大切なのは一度圧縮したものは元に戻らないので必ず新規の保存先を作ることをオススメします。つまり上書きしないということです
私は「Lossless BFD」というフォルダを作りました。OptionsのOverwrite BFDACをクリックするとONになりファイルの上書きが行われてしまいます。必要がない限りはOFFの(現状のまま)が良いでしょう。Removeでは16bit 20bit 24bitのフォーマットが選べますが、BFD内でも変更ができるので現状の24bitで問題ないと思います。
ただ20bitというのがちと気になりますwあとはスタートを押して圧縮開始です。私はBFD2時代に結構拡張音源を購入していたのですが改めてフォルダで容量を確認すると205GBありました。容量にもよりますが、圧縮するのにだいたい数十分かかりました。容量は205GB⇒87.59GBになりました。
かなりの圧縮率です。あとは、BFD3で新規のフォルダを認識させるためにパスを変更して終了です。ロード時間が速くなるかな…と期待したのですが、圧縮したからと言ってロードが速くなるということはなさそうです。
ドラムの打ち込みを基礎から覚えたい!
BFD 3を買ってみたものの、「もっとドラム打ち込みを基礎から覚えたい/学びたい」という人もいるかもしれません。そういう人はこちらの記事がオススメです。
ドラムのパーツの役割からドラムパターンの紹介、ベロシティの数値の意味など中級者以上の内容を初心者でもわかるように説明しています。
さいごに
BFD 3 Drumは難しいイメージがある音源ですがクオリティが高く触りこめば必ず答えてくれるドラム音源です。BFDが3になってからもうかなりの年月が経ちますが、プロアマ問わず重宝されているドラム音源です。
しかしながら個人的には「速くBFD4が出てほしい」と思っています。それまではまだまだBFD3にお世話になりたいところです。