Toontrack EZDRUMMER 3は名前だけ聴くと「簡易版」的なイメージで使い勝手が悪いのかもって思ったりしませんか?。確かに機能的に一部簡易版的な部分もありますが、その部分が大きなマイナス面になることはありません。それ以外の操作性、音質、すべてにおいて即戦力のドラム音源です。
私はバージョン1から使い続けているBFDヘビーユーザーです。それ以外にもAD2 SSD5 MODO DRUMなど多くのドラム音源を使って来ても乗り換えまでには至りませんでした。
しかし、その価値観を一変したのが EZDRUMMER 3です。BFD3とは違う音質の良さはドラムの打ち込みのクオリティアップに貢献しています。
- クリアで芯のある音色
- ハイハットのサンプルが充実
- CPU負荷が低く安定している
- パラアウトがすべてステレオ
- キットによってはパラアウトできるパーツが異なる
Toontrack EZDRUMMER 3 概要
メーカー | TOONTRACK |
製品名 | EZDRUMMER 3 |
特徴 | フルリサイズ可能でスケーラブルなインターフェイス。 オンボードにグリッド・エディター、ステップ・シーケンサー搭載 最低なグルーヴを探すBandmateまたはTap2Find機能 7つのキットに加え 約15GBに7つのキット グルーヴとフィルの包括的なMIDIライブラリ。 電子ドラムのためのマッピング、調整機能。 主要な電子ドラムに対応するプリセットも収録。 |
システム | 64 ビット Windows 7 以降、 4 GB RAM (8 GB RAM 以上を推奨) macOS 10.10 以降、 Intel または Apple シリコン プロセッサ、 4 GB RAM (8 GB RAM 以上を推奨) 64 ビット ホスト (VST 3、AU、または AAX をサポート) スタンドアロンが含まれています。 |
バージョン | v3.03(2022-08-07) |
認証方式 | シリアル認証方式 |
容量 | およそ18GB(ダウンロード容量) |
マニュアル | 公式サイトにて英語のみ |
価格 | ¥19,800 |
備考 | 体験版なし |
現在ドラム音源のトップを走るといっても過言ではない。superior-drummer-3の簡易版的な立ち位置なのがEZDRUMMER 3ですが、「EZ=簡易版だから期待できない」と思ってしまうのは大間違いな非常にパワフルで使い勝手の良いドラム音源です。
GUIのクオリティも高く、見ていてワクワクさせてくれます。(BFDはシンプルになりすぎたので)それでいて、ドライなドラムからウェットな響きを持つドラムまでどの音も使いやすく即戦力になるものばかりです。
Toontrack EZDRUMMER 3 レビュー
音質
4.5
BFD3,AD2、SDD5 MODO DRUMと比べて一番違う!!と感じるのは解像度の高さです。音の粒まで繊細に感じ取れるほど明度が高く、それでいて不自然さはなく、オケの中でも十分な存在感を発揮します。
EZDRUMMER 3を使ってドラム打ち込み及び音色作りで一番変わったのは間違った不要な音作りをしなくなったということです。
この間違ったというのは少し語弊がある言葉ですが、他のドラム音源では(とくにメインのBFD3)ではイコライザーやコンプを使ってそれらしくエディットしていました。
それがうまくハマることもありましたが、その多くは「どこかで見て聴いたテンプレ的な音作り」をしていたように思います。
しかし、EZDRUMMER 3は他のドラム音源で適当に作った音より何倍も良いです。もちろん意図があればそこから音作りをするの悪いことではありません。
しかし、時間をかけた割にドラムの抜け悪いという状態になりがちだったドラムの音作りをEZDRUMMER 3は開放してくれます。
個人的に好きなのがTight Room ものすごいデッドなんですが、デッドなルーム感があって、まさに「眼の前で叩いている感じ」を味わえ得るドラムサウンドです。ここまできれいなデッドってあまりみかけなかったので、すごく気に入っています。
ロック、メタル、ポップ、ファンク、R&Bとどのジャンルにもハイクオリティに対応してくれます。
余談ですが、ベースを打ち込むときには同社の EZ BASSを使っていますが、同じメーカーだからかわかりませんが、音の相性が非常によく、素早くクオリティの高いリズム・セクションを作ってくれます。
機能性
4
一流のドラマーが叩いたMIDIデータが収録されていますが、BFD3と比べると非常にナチュラルなビートが多いです。(BFD3は凝りすぎな気もしていますし、そこがメリットでもありますが)なので、シンプルな8ビートや16ビートがほしいという場合にすぐに選ぶことができます。
EZDRUMMER 3では他のドラム音源にはないユニークな機能があります。
それがBANDMATEとTap2Findです。
BANDMATEは演奏情報に合わせてよりドラムフレーズを構築変更する機能です。かっこいいフレーズをさらにかっこよくしてくれるドラムフレーズはさながら一流ドラマーとセッションをしているようです。
BANDMATEが可能なインポートファイルは次の通りです。
Ogg Vorbis (.ogg)、MPEG Layer 3 (.mp3)、WMA (.wma; PC のみ)、CAFF (.caf; Mac のみ)。MIDI
TAP2FINDは簡易で打ち込んだドラムフレーズを元に収録されているドラムフレーズと近いものを選んでくれる機能です。
一言で言えばドラムフレーズマッチングサービスみたいなものです。
場所はGrooveタグから一番左にあるTap2Findをクリックします。
デフォルトで立ち上げた他お気にはキックとスネアしかありませんが、DAWでタムやハイハットのMIDI情報を入力するとマトリクスが追加されます。
中級者以上になるとあまり使う機能がないようにも感じますが、ポチポチと簡易に打ち込んでそこから派生するフレーズを探すのは便利なように思います。
デメリットと感じるかは人それぞれですが、EZDRUMMER 3には内蔵エフェクトがありません。なので個別でコンプやイコライザーの音作りを行いたい場合はDAWにパラアウトする必要があります。
私はある意味でこれをメリットと感じています。というのもドラムの音作りは基本DAWの方で作ってしまうからです。必要のない機能が省かれているということはそれだけ軽くなっているので私はこれをメリットとして受け止めています。
操作性
review_stars 4/5]4
操作性はそれなりにユニークな機能を持ちながらシンプルにまとまっています。
また、EZDRUMMER 3それぞれのパーツのアーティキュレーションのMIDIマッピングは次のようになっています。
見て気がつくのはハイハットの量が凄まじく多いです。その数35になります。ドラムをリアルに打ち込もうと思ったらベロシティやタイミングも大事ですが、ハイハットのサンプルの質と数が重要です。
ドラムのパラアウトの設定はMIXER画面でボタンひとつですべてのパーツをパラアウトできます。
ただ、最近のドラム音源のはやりなのか、キックやスネアなど本来モノラルで良いパーツもすべてステレオで出力されます。
慣れの問題ですが、少しモヤモヤしてしまいます。
また、ドラムキットによっては特定のパーツがパラアウトできないなどの制限があるので注意が必要です。superior-drummer-3ではそのようや制限がないので、パラアウトにこだわる人はsuperior-drummer-3がオススメです。
安定性
review_stars 4.5/5]4.5
私の環境ではBFD3(In Musicに以降してから)「プリセット等を読み込まない」「何かあれば落ちる」など非常にストレスの高いドラム音源でしたが、EZDRUMMER 3になってから一度も落ちた経験をしていません。
GUIもリアルな割にCPU負荷も非常に軽いので、他のソフト音源で併用してもCPUリソース不足となることは少ないです。
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.4 Monterey
Audio/IF APOGEE Symphony Ensemble
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.4
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
価格
review_stars 4/5]4
ドラム音源価格一覧
セールによってドラム音源はかなり変動します。とくにBFD3は最近投げ売り傾向にあります。EZDRUMMER 3はあまりセールをしないタイプのドラム音源のように思います。
少しでも安く買いたい場合は、Amazonや楽天などのECサイトでポイントを使って購入するのがオススメです。
EZDRUMMER 3 関連動画
まとめ
とにかく出音一発でノックダウンさせくれる気持ちよいドラム音源です。名前で損していないか心配になりますが、逆を言えばメーカーから「これでもこんなにすごいドラム音色をイージーに扱えるんだぞ?最高だろ?」と言われているような気もします。
他のドラム音源にもそれぞれメリットがデメリットがあり、EZDRUMMER 3があればそれらはもう必要ないとは言いません。しかし、最初のドラム音源として選ぶには最適なクオリティと操作性が約束されていますし、ドラム音源を多く持っている人であっても単発の音のクオリティは十分使えるレベルです。
個人的にはEZDRUMMER 3を最初のドラム音源に使える人は本当に羨ましいと思ってしまいます。
それと同時に「もうドラムの音が悪い」という言い訳もできなくなってしまいます。