
Roland Cloud TR-727ってパーカッション専用音源って聞いたけれどどんな感じ?



音色は少ないけれど、時代を大きく彩った質感は健在だし往年の名曲Get wild 89の冒頭のループを再現できるよ!



Get wild 89のパーカッションはこれ?!



そうだよ。他にもFX機能使ってテクノな音色にしたり様々なループパターンもあるから思った以上に楽しめるよ!
メリット | デメリット |
---|---|
オリジナル音源の忠実再現 現代的な拡張機能 リアルなGUI | サウンドのジャンル適性が限定的 音色バリエーションの少なさ |
Roland Cloud TR-727 とは
Roland Cloud TR-727は1985年に登場したハードウェア「TR-727」は、TR-707のラテン・パーカッション版として15種類のラテン風打楽器音を搭載し、ステップ・シーケンサーにフラム、シャッフル、サブステップなどの表現機能を備えた人気機種のソフトウェア版です。
Roland の Analog Circuit Behavior(ACB)技術により、PCMサンプルの出力段の回路特性まで忠実に再現しているため、ビンテージ機材特有の味わいのあるデジタル質感を蘇らせているのも大きなポイントです。このためサンプリングされた音と比較してもより本物に近い雰囲気を味わえます。
Roland Cloud TR-727 レビュー
- オリジナル音源の忠実再現
- 現代的な拡張機能
- リアルなGUI
- サウンドのジャンル適性が限定的
- 音色バリエーションの少なさ
Roland Cloud TR-727 を購入する意味
先に結論から伝えるとRoland Cloud TR-727の音色はリアルではありません。音色数も少なく、ベロシティ強弱による音色の切り替えもなく、ベロシティは音量調整的な目的しかありません。
暴論まで言ってしまえば、DAW付属のパーカッションの方が音のバリエーションやリアルさははるかに上です。
なので、誰でもおすすめ!ということはいいません。
ただ一部のユーザーにはおすすめができます。
それが
TMネットワークのGet wild 89を再現したい!というユーザーです。
Get wild 89は原曲であるGet wildをリプロダクト(リミックス的な解釈)した楽曲です。原曲はサビメロディのハープから始まるアレンジですが、Get wild 89は89年という時代もあってユーロビート的なパーカッションのループから始まります。
そして、そのパーカッションのループで使用されている音源がTR-727です。
原曲はYoutubeまたアップルミュージックで確認していただくとして、Roland Cloud TR-727でパターンを組むとこんな感じになる
メインのグリッドの配置はこのような感じです


あとは、これに16分音符でマラカスを入れてクラップ足したり、キックを足したりすれば雰囲気が出てきます。ポイントはこのループは左右にオートパンが振られているのでそれも再現をしましょうw
キックとハイハットは(TR-707のサンプルを使用)それで出来たのが下記のサンプルです。
個人的には85点くらいの出来ですが、一応雰囲気はかなり近いと思っていますがいかがでしょうか?
DTMをやっている人でTMネットワークファンであればこのループをきくだけで3時間はシンセの前で遊べます。
サンプリングの質自体は今のDAWの付属の音源の方が上です。TR-727の時代はメモリが高く、限られたメモリの中では1ショットに割り当てられるサンプリングタイムは1秒以下の世界です。
しかしながら、その1ショットには当時の開発エンジニアの魂が込められているため、音の存在感自体は近年のDAWに引けを取りません。
Roland Cloud TR-727のGUI変更のこだわり
Roland Cloud TR-727の使って思ったのはユニークなこだわりです。その一つがGUIの変更


実機であるTR-727は古くなってくると独特の黄色っぽい感じの色に変色します。これを表現しているところにこだわりを感じます。これを味とみるとか不要な機能とみるかはユーザー次第ですが、実機を使い続けたユーザに対してのリスペクトなのかもしれません。
Roland Cloud TR-727の機能について


機能面では実機同様、スライドバーによる音量調整が可能です。しかし、個別のTUNEとDECAY、GAINとPAN、LEVELに関してはRoland Cloud TR-727のオリジナルのように思います。
面白いのは二段目のFXでは、ビットクラッシャー的なに変化させられ、インダストリアルなテクノに最適な音色になります。一時期、TRではなかったようにおもいますが、有志によってこのような改造が流行った?こともあり、その部分の再現に試みたのかもしれません。
Roland Cloud TR-727を使ってリズムパターンを組むときは基本DAWでの操作をしている人が多いと思います。
しかし、実機のようにRoland Cloud TR-727で使いたいという人もいるでしょう。Roland Cloud TR-727ではエディット機能としてシーケンスパターンモードが用意されており、実機と同等のパターンエディットが可能になります。


エディット画面は実機表示機能を模倣したLCDタイプとBUTTONタイプの2つをOptionから選択できます。ここで組んだリズムパターンはPOSITION LOCK DAWボタンをクリックしておくと、自動でDAWに追従されます。
ありがたいのが、DAWにドラッグ&ドロップによる書き出し機能はMIDIとオーディオのどちらかを選択可能にできます。Roland Cloud TR-727でオーディオとして書き出しておけばDAW上でのバウンス作業の手間をはぶことも可能です。


SUBアウトを選択すると登録されている楽器をすべてDAW上に個別で出力できるようになります。ただ書き出しはすべてステレオアウトになります。近年のパーカッション&ドラム音源はすべてマルチアウトがステレオ化してしまうのが少しわずらわしいように感じます。
類似製品との比較
Get wild 89 のためだけにRoland Cloud TR-727を買うのは高い気がする。という人におすすめなのがNative InstrumentsのBattery4です。Battery4にはRolandのTRシリーズのサンプルが用意されているので、TR-727サウンドも十分に楽しめます。


まとめ
メーカー | Roland |
システム | Windows: Windows 10 (64 ビット) または Windows 11。 macOS: macOS 11 (Big Sur) 以降。 |
認証方式 | シリアル認証 |
マニュアル | ソフト内で呼び出し可能(日本語) |
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Intel Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.6.1 Monterey
Audio/IF Focusrite RED 8PRE
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.7
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
Roland Cloud TR-727ほんとにGet wild 89の音がします。青春時代に憧れたあの音がソフトウェア上で呼び出せるのは本当に感動です。
音色のバリエーションが少ないため効果的に使えるシーンはそこまで広くないものの、今の若い人であればその制約もクリエイティブな創作の足がかりにできるのではないでしょうか?
古き良きラテンフレイバーなパーカッション音源がほしい!軽くてすぐに扱えるものがほしい
そしてやはり、Get wild89のパーカッションを再現したいというユーザーには強くおすすめです!