DTMで音を出すスピーカーのボリュームの大きさは騒音問題になる可能性があるので注意が必要です。
実家やある程度の音が出せる環境なら範囲の迷惑が「家族」に限定されるので「ごめんごめん!」で住むかもしれませんが、マンションなどの場合は謝って済むだけにはならず騒音問題に発展すると最悪立ち退きの可能性が出てくる場合があるので注意が必要です。
そういうときはスピーカーの音量を絞るまたはヘッドホンを使うことで「音量」のトラブルは回避できますが、実はDTMにおいて騒音問題になるのは音量だけではありません。
実はシンセやキーボードの打鍵音の振動は思ったより響き崖下だけではなく両隣や上の階にも響くことがあります。
音量は下げることで対処できますが、
物理的に弾くキーボードやシンセの対処に関しては対処が難しく完全な解決策は難しいです。そこで今回は打鍵音の対策方法としていくつか紹介してみたいと思います。効果の程は住んでいる環境や使っているシンセによっても異なるのですが少しは参考になると思います。
打鍵音とは
鍵盤は押して上がるという物理動作音が存在します。ゴトゴトという音が打鍵音と呼ばれるものです。こればかりはどうやっても消すことはできません。これをいかに「小さくする」「響かないように」するというのが騒音対策になります。
また、これらは電子ピアノやシンセサイザー特有の鍵盤によって打鍵音の大きさは変わりますし、当然建物の建築構造(鉄筋or木造)によっても伝わり方が変わってきます。
打鍵音はどれくらいの音量なのか?
以下の動画で俗に言うシンセ鍵盤と呼ばれるもので演奏タッチは柔らかくピアニストには「弾きにくい」と呼ばれるものです。
これが打鍵音です。これを周波数分布でみるとこんな感じになります。
机の上においたiPhoneで収録しているので低音をかなり拾っています。そしてこの振動は壁を伝わるので他の部屋にも響きます。
私のケースでは60〜75db結構強く弾くと90dbまででます。私の作業場はオーディオルームとしているので簡易な防音対策を行っています。しかし、すぐとなりの寝室にiphoneをおいて計測すると次のような音になって聴こえます。
ゴトゴト言っている音がわかると思います。iphoneのマイクで拾っているのがこの程度ですが、夜寝ているときにこのとが聞こえてくるとかなりうるさく感じます。これを周波数帯域でみると次のようになります。
70〜100Hzと200Hz付近もあたりが飛び出してきます。
ヘッドホンをつけて作業していてもこの音がうるさくて眠れない!と家族からはクレームがきます。自分で聞いているわけではないのでどれくらいの音量で伝わっているのかわからないので、「それほどうるさいかな?」と思っていましたが、たしかにうるさいです。
打鍵音がうるさいと感じる人はどれくらいいるのか?
これはさきほどお話した部屋の建築構造や位置によって伝わり方が異なります。しかし、疲れているときなどは些細な音が大きく感じますし、打鍵から発生する不規則な打音ノイズはかなりストレスになります。
自分では気にならないと思っていても他人からすると想像以上に大きい音として捉える人もいます。
イライラしていると小さいことが気になる
音の感じ方は十人十色だからね
ネットの掲示板でも打鍵音問題は深刻そう
電子ピアノを買ったのですが、叩く音がうるさいと言われます
家の構造的な問題で困ってます。
引用元:教えてgooより
鉄筋マンションに住んでおり、振動防止のゴムマットみたいなのを引いてるのですが
下の階から叩く音がうるさいと苦情が来ました。ヘッドホンなので、音は出してません。
結局、使うに使えずです。
一軒家じゃ無ければ電子キーボードで机の上でやるほうがいいでしょうか?
せっかく買ったのですが、迷惑になるのに出来ないし
かなり困ってます。
これらはほんの一例でしかありませんが、打鍵音問題は軽視すべき問題ではないと考えた方がよいでしょう。
打鍵音が隣の部屋まで聞こえる理由とは?
打鍵音が隣の部屋まで聞こえる理由は個体伝播音が原因になります。
個体伝播音は壁や床など振動が衝撃になり伝わる音です。これに対して空気で伝わる音を空気伝搬音(空気音)と呼びます。
隣の部屋に行けば音が小さく聞こえるのはこの空気伝搬音が遮られるためです。しかし個体伝播音は振動のため、上下左右どこにでも伝わってしまうのでやっかいな存在といえます。
賃貸マンションの場合、上からゴトゴトと音がすると思って文句を言いに言ったら誰でもいない空き家だったという話は実は斜め上の階の振動が伝わっていたという話もあります。
ホラーかと思った
振動がどこからでも伝わるんだよ!
先程のとなりの部屋でゴトゴトと聴こえた打鍵音の正体は個体伝播音ということになります。
対策1 なるべく小さく弾く
鍵盤が優しくとにかく「ドン!」と力強く弾かなければ振動音が小さくなるので、ある程度は抑えることができるかもしれませんが、作曲時や弾いているときにそんなことを考えながらするのはストレスになってしまい集中できなくなると思うので現実的ではありません.
ただ、演奏するならば話は違いますが曲作りにおいてはそれほど大きな強さは必要ないので、力加減をコントロールするのも方法の一つとは言えます。
対策2 防振グッズを使う
重めの防振ゴム
冷蔵庫や洗濯機などの防振を抑えるための防振ゴムなどを使うことである程度抑えられるケースもあります。
私が使っているのはこちら
正直これほど大きいものは必要ないかもしれませんが、
これをキーボードの下に弾いてみます。
弾いてますw
かなり軽減されているのがわかります。
かなり強く弾くことで防振ゴムがない状態と同じくらいになります。
100均一のゲル素材の耐震マット
さきほどの東京防振の耐震ゴムは1つで1000円近くしますが、
こちらは4枚100円と非常にリーズナブル
一枚では不安なので重ねて2枚にしてみました。
こちらもだいぶ軽減しているのがわかります。
しかし、ゲルマットの方が低音が響いているように思います。
50hz付近はやはり逃しきれない印象を受けます。
モコモコ言っているのがそのあたりの周波数です。
対策3 軽い机を使わない
防振ゴムと多少重めのデスクを使うと軽減される可能性があります。また机を壁にくっつけてしまうと振動が壁に伝わってしまうので、机はピッタリと壁につけずに少し離しておくのも振動対策になります。
価格は多少高くなりますがDTMデスクを使うと見た目もゴージャスになりますし、振動対策にも一定の効果があります。
対策4 床に防振マットを弾く
打ち込みキーボード(シンセ)の下に防振ゴムさらに机の足にも防振ゴムさらに床に防振マットを弾くことで何もない状態と比べるとかなり軽減されます。
さらにどうしても壁につけなければいけないというときは、壁と鍵盤の間にこのようなゴムシートを挟むことで振動を軽減できる可能性もあります。
対策5 隣人との有効な人間関係を築く
賃貸マンションの場合とにかく人間関係は大切です。常日頃から必要最低限の対人関係を築き、相手に不快な思いをさせないようにすると相手も人間ですから、必要以上に悪い対応はしてこないでしょう。
何より対人関係をこじらすと最悪出ていなかなければいけないみたいなケースにもなるかもしれません。
引越し時に「音楽やっていて電子ピアノを引くため音量は調整できても打鍵音と呼ばれる振動でご迷惑をかけてしまうかもしれませんが、その時は遠慮せずにいってください」と伝えておき、仮に注意されたときは折り菓子の一つを持って誠意をつくつして謝罪、それでもどうしてもそれを続けなければいけないときには「〇〇までに作曲オーディションに出さなければいけません。できるかぎり注意しますが、あと〇〇日だけお時間をください」とこのように伝えるのも手でしょう。
まとめ
音量はヘッドホンで対策できても打鍵音はそうはいきません。
一人暮らしでDTMを夜中にやっていると音量を気にかけても打鍵音を意識しない人も多いです。
余計なトラブルになる前にもこのあたりは前もって対処しておきたいところです。打鍵音の他にもついノッてくると足踏みをしてしまうことがあると思いますが、これも地味に響いてしまうので、注意が必要です。
防ぎ方は、防振マット、防振ゴム(ゲルマット) 重たい机
などです。
今回のケースではやはりいちばん重量が重たい防振ゴムが効果が高かったですが、ゲルマットもそれなりに頑張ってくれています。部屋中に吸音材をはっても振動対策にはなりません。
近隣住民とのトラブルにもならないために防振対策はしっかりしてくとよいでしょう。