ボーカルミックスに役立つプラグインテクニック

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色んなプラグインを駆使しても「ボーカルが浮いている感じがする。ボーカルのミックスがイマイチ変だ」と感じたりしませんか?その原因は「プラグインの使い方」にあると思っているかもしれませんが、それだけではありません。大事なのは次の2点が正しく出来ているかです。

  • 歌唱に対しての正しい意識
  • そして僅かなプラグインの技術

これらについてお話したいと思います。

UG
  • 元ゲーム音楽屋(NintendoDSなど)
  • 作曲歴20年以上
  • DTM記事執筆500以上
  • ショートアニメ、CM、企業PV音楽を制作
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ボーカルが抜けてくるミックスをする前に重要なこと

良いボーカルの特徴として「抜ける」という要素がありますがこはどういうことかわかりますか?イメージ的には高音域が出ているような感じかもしれませんし、コンプで太くなった音かもしれません。

確かにボーカルミックスでプラグインを使ってよりよくなるケースは数え切れないほどあります。しかし、まず大前提として

「聞き手に届けられるかどうかの視点を持っているボーカル」これが抜けるボーカルです。つまりテクニックではなく、歌が届くことの重要性を認識できているかが大切になります。

勘が鋭い人はこれらを無意識に出来てしまうボーカルがいますが、そういう人と自分を比較する必要はありません。勉強してできればいいだけの話です。

ピッチ修正やリズム修正有りきではなく「このメロディと歌詞をとどける!」という意識があって始めてボーカルはたくさんの楽器から抜けてくるのです。もちろんボーカルが抜けてくるためのアレンジであるのは言うまでもありません。

そのために必要なのは次の2点

  • 歌詞をはっきり聞かせる
  • リズムキープ

当たり前過ぎて「へっ?」ってなったかもしれませんが、最初にお伝えしているようにこれが大前提なのです。良いマイクを使っても高いマイクプリを使って「伝える意識がない歌」には猫に小判です。

歌詞を聞かせる

ここでは歌詞の出来は問いませんが、歌詞に込められたメッセージを伝えるために、言葉の隅々まで意識があるか冷静に客観的に見れなければいけません。そのためには1つの1つの言葉のつながり、母音の場所、ブレス、すべてを身につける必要があります。これは特別なことではなく良いボーカル録音としての大前提の話です。

リズムキープ

DTMは1ms(1/100秒)というとてつもなく短い世界で感情をコントロールします。「えっ?そうなの?」と思うかもしれませんが、コンプのパラメーターなどがを見れば0.1msでパラメーターを扱えます。ドラムの打ち込みでグルーヴをコントロールしたいときでもms単位でグルーヴの印象が変わります。

もちろんここではボーカルがグリッドに合わせてジャストに歌わなければいけない。と言う話ではありません。ここでのリズムとは歌の譜割です。「きみが好き」という5文字の譜割をどう考えているのか?そのリズムを意識してその考え方をキープできているか?というのが大切なのです。

これらは良いボーカルテイクを録音するために体に身に着けておきたい話です。

ボーカル前に出すための考え方

これも多くのDTMerが間違えることが多いのですが、ボーカルに限らず前に出すというのは他のものを引っ込めるという発送からスタートするべきです。これをイコライザーやコンプといったプラグインで解決しようとすると、「高域が足りないからだ えい!」「あれ今度はギターが聞こえない えい!」と「えい」の一言で次々プラグインを足していき結局「ボーカルが前に出てこない」という無限ループに陥ります

なので、テクニックやプラグインの前に「ほかを下げる」という選択を考えましょう。多くのミックステクニックは「当たり前に考える」ことで解決することの方が多いのです。

録音における最低限守りたいこと

ボーカル録音で守りたい前提は色々とありますが、最低以下の2つは守りましょう

  • 一曲の録音を数日にまたがない
  • マイクから大きく離れない

マイクとはDAWにとっての耳です。その耳に入る音量は一定でなければいけません。そのためにマイクに近づきすぎるのも離れすぎるのも問題ですし、ましてはや体を動かすのはやめた方がいいです。

録音日を変えてしまうのも問題です。これは前日ブログでもお話していますが。日が変われば体調や天候、モチベーションすべてが変わります。もちろんマイクの距離も大きくかわることがあります。そのような状態では良いボーカル録音はできません。

まずは上記に2点だけはしっかりと意識しましょう。

これらの前提を踏まえて録音したものをプラグインで整えていきます。ここからは当然このみのプラグインを使っての音作りになります。AIプラグインを使うもいいですが、私個人的には以下に紹介するプラグインがシンプルかつ「洋楽的な響き」を得られるプラグインとして気にっています。

GEM DOPAMINEを使う

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GEM DOPAMINEというのはクオリティが高いプラグインを開発しているメーカーのOVERLOUDが開発したエンハンサープラグインです。元々はアナログテープ録音時のノイズ問題の諸症状を解決するTYPE Aという機能を再現するためのものですが、DAWではそのようなノイズはなく、エンハンサーによる倍音の付加による味付けにエフェクトプラグインとして使われています。

GEM DOPAMINEのエンハンス機能の特徴は存在しない倍音を加えるのではなく原音を強調し加工するのが特徴と言われています。このTYPE Aを使ったエフェクトテクニックはもう30年以上も前から続いている手法です。

その用途は日本人にはない高調波をボーカルに加えるためです。イコライザーを使って超高域(10KHz〜)をあげると耳に痛いだけのサウンドになるのですが、TYPE Aではそれがなく自然な感じで高調波が持ち上がり、洋楽チックな声質になると言われ大御所のエンジニアによっていまでも使い続けられているいわば伝家の宝刀とよぶべきテクニックかもしれません。

ではGEM DOPAMINEを使うとどんな感じの効果が得られるのか聴いてみましょう。

前半はバイパスで後半はDOPAMINEをオンにした状態です。

ボーカルに綺麗にフォーカスが合っているような感じになります。これがEQではなく倍音によって高調波が加えられたサウンドです。ジャンルにも使っている楽器にもよりますが、たった1つのプラグインでもかなりボーカルを前に出してこれるプラグインとしては使い勝手がよいです。

ちなみにイコライザー10kHzをブーストすると次のようなサウンドになります。

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かなり耳につくサウンドになります。

ちなみに私はDOPAMINEを使ったあと、MaterialCompでコンプを機能を使わずにオーディオフレーバーで「ケーブルエミュレーション」を通します。こうすると高域が気持ち抑えられるのと、中域がわずかに持ちあがりより聞きやすいサウンドになってくれます。

GEM DOPAMINEは過去に29ドルという破格のセールをやっていたこともありますが、現在はセールサイトで139ドルが119ドルですが本家のOVERLOUDが109ドルで販売しています。

overloud

AudioThing TYPE Aを使う

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GEM DOPAMINEはちょっと高い気がする!もっと安いのはないの?という人はAudioThingのTYPE Aが良いかもしれません。基本的にGEM DOPAMINEと同じでTYPE Aのエミュレーションですが、サウンドはDOPAMINEの方がクリアでフォーカスがあっている印象があります。

このプラグインは前回お話したエキサイタープラグインTYPE Bと同じところが開発しています。

お値段は6,549円です。

Audio Plugins from Pluginboutique.com

ただTYPE Bとセットで買うと8,769円とお買い得になります。TYPE Bもよいエキサイタープラグインなので持っておいても良いかもしれません
Audio Plugins from Pluginboutique.com

まとめ

細かい技術も必要ですが、その前に「歌詞が聞き取れる」「リズムキープの意識」それと熱量です。熱量に関しては空回りするくらいでちょうどいいです。その熱量を最適化するのが技術です。

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