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wavesfactory spectre レビュー 帯域別に異なるサチュレーション効果が出せる

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音作りにおける微妙なニュアンスや、その繊細なバランスは、DTM中級者にとってはしばしば挑戦となります。

このようなディテールに対する悩みは、Wavesfactory Spectreを使えば、効果的に解決することが可能です。

Spectreは、10種類の高品質なサチュレーションアルゴリズムと柔軟なマルチバンド操作を備え、サブタルなウォーミングから顕著な効果まで、あなたのプロジェクトに必要な正確な音色を提供します。

このレビューでは、Spectreの特徴とその使い方を詳しく解説し、あなたの音作りの悩みをどのように解消するかを掘り下げていきます。

UG
  • 元ゲーム音楽屋(NintendoDSなど)
  • 作曲歴20年以上
  • DTM記事執筆500以上
  • ショートアニメ、CM、企業PV音楽を制作
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wavesfactory spectre 概要

Wavesfactory Spectreは、グラフィカルパラメトリックイコライザーとエンハンサー機能を組み合わせたエフェクトプラグインです。エンハンサーは音を歪ませ、倍音(サチュレーション)を発生させて音を強調しますが、ギターのオーバードライブとは異なり、特定の周波数(低域や高域)を絞り込むことで、より細かい歪を作り出し、音を明瞭にします。

CPU負荷はオーバーサンプリングによる3段階の違いがあります。

CPU負荷詳細

計測環境は で以下のシステムで動かしています。使用プラグインは1つだけ

Nomarl

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Good

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Best

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使用している数は1つだけなので、そこそこの負荷があるようにも思います。

マルチスレッドが効いているおかげで負荷の分散が出来ているので決して重い印象はありませ

エキサイターは均等な倍音を合成するのに対し、エンハンサーは高域に対して中域・低域を遅らせ、音の立ち上がりを改善して自然な音に近づけます。周波数別にかけられるのがエンハンサー、周波数全体にかかるのがエキサイターです。

wavesfactory spectreはGUIはほぼEQに見えますが、特定の周波数のボリュームをあげるのではなく歪み(サチュレーション)を付加しているのがポイントです。

wavesfactory spectre サウンドレビュー

wavesfactory spectreをレビューするにあたって「イコライザーとどのように違うのか?」という点に重きをおいてレビューしていきます。

操作方法はEQと基本同じですが、下にある項目から必要条件を選択して音を作り込んでいきます。EQとは違い指定した帯域に倍音を付加するのがこのプラグインの目的です。倍音を足すことで、例えば超低音域が弱いキックに歪み(サチュレーション)が生まれ存在感のあるキックなどを作ることができます。

設定は60hzにQ0.7で12dbを加えた状態です。これをLOGICの付属のEQにも同じ設定にしてサウンドの違いを確認します。

最初の4小節は何もかかっていない状態

次にLOGIC付属のEQをかけた状態

まとめSPECREをかけた状態です。

SPECREをかけることで音にわずかながらサチュレーションをかかっているのがわかると思います。EQだけであげると確かに音量感はますのですが、その音量感の増加は時に邪魔になることがあります。そういう時はSPECREのサチュレーションが非常に役にたつと思います。

wavesfactory spectreサウンドデモ(ギター)

超絶なローエンドのギターをイメージして設定しました。

最初の2小節はLogicProXのEQで後半がSpectreです

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全体的に前にサウンドが出てきます。特筆すべきは低域を持ち上げた時の無理がない感じが素晴らしいです。スティーブルカサーのエヴァーチェンジング・タイムズというアルバムでギルカサーがターをの音を作ろうとした時にギターのローエンドを録音するのに12インチのスピーカーでは100Hz以下は鳴らせないからサブウーファーを別トラックに録って重ねた。そうすることで低音の厚みがよくなる

サチュレーションを使うと音が暖かくなる理由

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サチュレーションとは、機材特有の歪みを指し、音に暖かみを加える効果があります。

真空管などで得られるこの歪みは、倍音を加えることで音色に影響を与えます。

倍音は楽器の音色を決定する重要な要素であり、すべての倍音を除くとシンプルなサイン波になります。ギターのディストーションは倍音を過激に変化させるため音が大きく変わりますが、サチュレーションは適度な倍音を加えることで音に存在感を持たせます。

イコライザーとSPECREの違い

まずこの画像を見てください。

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緑が何もかけていない状態に対して赤はイコライザーで66Hz(C2)を8dBあげた状態です。基音である66Hz(ド付近の音)を中心に

イコライザーのカーブの範囲で66Hz周辺の音が大きくなっているのがわかります。

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次にSpectreで同じように66Hzを8dBブーストした状態です。

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基音と同時に第2倍音である132Hzの音(C3)も持ち上がっているのがわかります。これが倍音がブーストされた状態です。倍音がブーストされると音の明瞭が上がるので、基音の存在感を感じやすくなるという効果があります。

wavesfactory spectreパラメーターの説明

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下の欄に

Quality Color Preset Mode Processingと並んているので順に説明をしていきますが、

Qualityに関しては後述するCPU負荷の項目で説明させていただきます。

Color

音のキャラクター(加えられる倍音)をしますカテゴリは次の10種類から選べます。66.2hzのサイン波でアナライザーチェックすると以下の感じになります。

「Tube」

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「Warm Tube」

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「Solid」

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「tape」

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「ClassB」

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「Diode」

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「digital」

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「Bit」

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「Rectify」

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「Half Rectify」

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「Clean」

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とにかくキャラクターが豊富です。ClassAアンプではなくBがあるのがいいですね!個人的にはTubeとtapeが好みですCleanとdigitalは全く倍音が付加されていませんw何か特別な使い方があるのか気になるところです。

Preset

プリセットはドラムやベースギターなどに特化したプリセットが多数用意されていますので、音の傾向を知りたい場合はプリセットで確認することができます。

Mode

完全には把握できていないのですが、設定した周波数待機を「subtle」「medium」「Aggressive」という3段階に分けてより強調できるようです。

Processing

ステレオモードMSモードを選ぶことができます。MSモードがあるおかげでマスタリングにも使いやすいです。

wavesfactory spectreのメリット・デメリット

wavesfactory spectreを使うことで得られるメリット・デメリットをまとめています。

メリットデメリット
マルチバンドで倍音をコントロール
サチュレーションタイプが選べる
サチュレーションでMS処理が可能
音の位相防止
16倍のオーバーサンプリング
音が飽和しやすい

マルチバンドで倍音をコントロール

Spectreは5バンドの任意の周波数の倍音をコントロールできるのも売りです。ただの質感補正的なサチュレーションではなく音作りのためのサチュレーションとして活用できます。

サチュレーションタイプが選べる

詳しくは後述しますが、テープや、チューブ(真空管)、ClassBのマイクプリなど多くの機材の歪感を再現できます。上手くコントロールすれば、ハードウェアの特性を再現できるようにもなります。

選択可能なサチュレーションタイプについて

Spectreは、さまざまなサチュレーションアルゴリズムから選択できるため、単純なエンハンサーよりも用途が広いです。

‣チューブ:バルブタイプのソフトクリッピング対称歪み。これは最も用途が広く使われています。
‣ウォームチューブ:チューブの暗いバージョン。より高い周波数での使用はお勧めしません。
‣ソリッド:トランジスタタイプのソフトクリッピング非対称歪み。
‣テープ:パンチの効いたこもった飽和のようなテープ。バスドラムやキックドラムのエンハンスメントに最適です。高周波での使用をお勧めします。
‣クラスB:「クロスオーバーディストーション」とも呼ばれる特殊なタイプのソフトクリッピング/対称ディストーション。
ドラムやパーカッションなどの一時的な重い素材に最適です。
‣ダイオード:チューブに似ていますが、より高い周波数成分を持つソフトクリッピング対称歪み。
‣デジタル:ハードクリッピングデジタル歪み。
‣ビット:ビットクラッシャー。他のアルゴリズムとは異なり、このアルゴリズムは、高い入力よりも低い入力に対してより多く反応します。
‣Rectify:信号のすべての負の値を正にし、より高いピッチの信号を提供します。
‣HalfRectify:信号のすべての負の値を取り除きます。
‣クリーン:歪みを加えないボーナスモードで、EQの違いをドライで渡すだけです。
スペクターがブースティングパラレルEQのように機能するように信号を送ります。

パート毎に「キックやベースは真空管」「スネアはテープ」「シンセはダイオード」といったカラーバリエーションをつけることで、ミックス時に立体感のあるサウンドに仕上げることが可能です。

サチュレーションでMS処理が可能

wavesfactory spectreはサチュレーションレベルでMS処理が可能なプラグインです。イコライザーでMS処理するよりも自然に音像や音圧を稼ぐことが可能です。 そしてMS処理もサチュレーションアルゴリズムと同じように周波数別に設定することが可能です。

音の位相防止

EQを使うと位相が変わり、音に影響を与えます。これは基音と倍音以外の周波数が上がると波形に歪みが生じるためです。しかし、サチュレーターやエンハンサー、エキサイターのような倍音を扱うエフェクトプラグインでは位相のズレは起きません。

プロのエンジニアが録音時にマイクの位置にこだわるのは、イコライザーを使わずに済ませたいからです。イコライザーを使うと音の発生タイミングがわずかに変わり、多くのトラックでズレると音楽のクオリティが下がります。しかし、サチュレーターは位相のズレが起きにくく、音作りに役立ちます。

最大16倍のオーバーサンプリング機能

Wavesfactory Spectreでは、4倍および16倍のオーバーサンプリングモードを選択可能で、エイリアシングのない純粋なオーディオ品質を提供します。高音質を求める人には16倍のオーバーサンプリングが特に魅力的です。

オーバーサンプリングはQualityから選択し、Standardがノーマル、Goodが4倍、Bestが16倍のオーバーサンプリングとなります。

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音が飽和しやすい

音に歪みを発生させるということは音が飽和するということでもあります。大量の飽和したサウンドはミックスを平面的にしてしまう可能性があります。使う場合はできる限り自然にすることがおすすめです。

wavesfactory spectre使用者の声

Spectreに限らずサチュレーションを使う人は結構います。また、Spectreとは関係ないですが、作曲家の作曲家の和田貴史さんが公開している動画の中でもサチュレーションについて言及している部分があったのでその動画も参考になると思います。

和田さんが使っているのがBrainworkxのsaturator_v2というものです。

https://www.plugin-alliance.com/en/products/bx_saturator_v2.html

wavesfactory spectre がおすすめな人

サチュレーションが楽曲にどのような効果を与えるのかをしっかりと理解している人の方がこのプラグインのポテンシャルを最大限に活かせると思います。音量をあげるのではなく特定の帯域をどう歪ませるか?その歪む意味を理解していないと音はすぐに飽和してまう可能性があります。

  • ミックス技術が中級者以上
  • サチュレーションの使い方を心得ている
  • EQのようにサチュレーションを扱いたい

こういう人たちはSpectreでさらに楽曲のための音作りの精度を高めていけます。

まとめ

メーカーwavesfactory
製品名spectre
システムマックOS
10.9以上。
Intel と Apple Silicon がネイティブにサポートされています。
64ビットDAWとOS。
ウィンドウズ
Windows 7、8、または 10  
(64 ビットのみ)
VST プラグインまたは Pro Tools をホストできる DAW。
認証方式シリアル認証
認証数無制限
マニュアル英語
価格108ドル
備考体験版あり(購入サイト)
60秒に一度無音状態になりますがそれ意外は製品と同じレベルで仕様することが可能

WavesFactory Spectreは

  • イコライザーの感覚で触れるマルチバンドサチュレーター
  • 簡単に音に暖かみを作ることができる
  • 使いすぎると音が飽和するのでかけすぎには注意

EQのように特定の帯域の音量をあげるのではなく倍音を付加することで耳に優しくもアグレッシブな音を作りこめるのが特徴です。初心者がこれを使ったらガンガンに音がよくなる!というものではなく、使う人のスキルが試されるプラグインですが、ミキシングエンジニア関係の人はもっておいて損はないと思います。

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