- オーディオインターフェイス(録音機材)って規格の種類が色々とあるけど何がどう違うかわからない!
- 自分のパソコンにはどのオーディオインターフェイスが接続出来るの?
- USB3とThunderboltの違いは?音質も違うの?
こんな悩みってありますよね。とくにDTM初心者にはオーディオインターフェイスの種類の多さもさることながらその「規格」の種類についても悩んでしまうところです。
というわけでオーディオインターフェイスの規格の違いと使い方、そこからの購入のポイントについてお話したいと思います。
オーディオインターフェイスの規格の違いについて
現在オーディオインターフェイスに使われている規格は主にUSB2.0、USB3.0(3.1)Thunderboltの3つです。
過去にはFirewireという規格もありましたが現在はその規格は廃盤となっています。
オーディオインターフェイスの規格の違いは転送速度の違いと理解しても大丈夫です。数値を高いほど高速です。
ネット接続のMbpsと同じものですね。
USB2.0 | Firewire800 | USB3.0(3.1) | Thunderbolt2(3) | |
転送速度 | 480Mbps | 800Mbps | 5Gbps(10Gbps) | 10Gbps(40Gbps) |
では転送速度が違うと具体的に何が変わるのかについてお話したいと思います。
オーディオインターフェイス転送速度の違いについて
転送速度が速さで得られる恩恵はレイテンシー(遅延)の改善が上げられます。オーディオインターフェイスとコンピューターの間の転送速が速いと再生時の遅れを緩和することができます。
、例えばボーカル録音時にはオーディオインターフェイスを通った音がコンピューターに入力されDAW上で処理された音が再びオーディオインターフェイスに戻り音を聴いています。このときに僅かな音の遅れが発生します。これがレイテンシーです。この値はバッファと呼ばれる値を調節することである程度回避できますがゼロにはできません。
バッファについてはこちらの記事が参考になります。
DTM初心者が知りたいオーディオバッファサイズの意味と設定方法
レイテンシが高いほどモニタリング時の音の遅れが発生することを意味しています。録音時に自分の声が遅れるレコーディング環境ではまともな録音はできません。タイトなギターカッティング時にも遅れは絶対許されません。レイテンシーの問題は楽曲クオリティに直結すると言っても過言ではないかもしれません。
ではどれくらいレイテンシーがあると録音演奏時に問題になるのか?ということですが、ここは人それぞれによって多少ことなりますが、ギタリストの場合リハスタでアンプの前で演奏しているときに音が遅れているということは気にならないと思います。これをレイテンシーで考えると次のようになります。
音速は約340m/sec。モニタースピーカーまでの距離が1mの場合レイテンシーは1m÷340m/sec=2.94msec(0.00294)このレイテンシーがギタリストが感じている音になります。
ではアンプから3m離れた場合はどうなるか?
3m÷340m/sec=8.82msec(0.00882)このあたりからタイトなリズム演奏には支障を感じる人が出てくるかもしれません。
このあたりの設定は自分が「これなら演奏できる」というポイントで探っていくのが1番です。実際はパソコンのスペックやサンプルレート等など上記のリンクDTM初心者が知りたいオーディオバッファサイズの意味と設定方法によっても変わってきます。
現在1番速いとされているオーディオインターフェイスはPreSonus Quantumで192kHz時に0.41msecという数値になっています。
この数値はもはや遅れとは言えないほど高速ですので、タイトなリズムを重視する人にとっては最高のオーディオインターフェイスになります。
音速は約340m/sec。モニタースピーカーまでの距離が1mの場合レイテンシーは1m÷340m/sec=2.94msec(0.00294)
ギタリストの場合リハスタでアンプの前で練習していることを考えるとおよそ1mくらい離れいると想定した場合は2.94msの音の遅れで演奏していることになります。ちなみにさきほど紹介したPreSonus Quantumで192kHz時に0.41msecというのはイメージ的にはアンプに頭を突っ込んで演奏している状態のレイテンシーと言ってもいいほど。つまりほぼゼロに等しいと言えます。
レイテンシーはパソコンのスペックに依存する部分でもあるので高速なマシンほどバッファを下げることでレイテンシーをある程度回避することが可能になります。
オーディオインターフェイス規格によって同時録音数は異なるのか?
上記でも説明したようにオーディオインターフェイスの規格の違いは転送速度の違いになります。転送速度はMpbsで表示されます。
Mbpsってどういう意味?
1Mbpsとは、「1秒間に1MBitのデータを送受信することが出来る」という意味です。しかしこれはあくまで「bit」なので私達が一般的に認識ている「byte (バイト)」に変換すると
1Mbpsは125KB、100Mbpsにすると 12.5MB/sになります。
ネットの通信速度の100Mbpsというのは一秒間に12.5MBのデータをやり取りできるという意味です。
ちなみに上記のCDクオリティである44.1kHzの16bitのの容量はサンプリング周波数 × 量子化ビット数 × チャネル数で求められるので
44100Hz × 16bit × 2ch(ステレオ) = 1,411.2kbps
一秒間あたり0.17MB、モノラルの場合0.8MBになります。仮に5分の曲の場合ステレオで50.5MBです。仮にオーディオインターフェイスで5分の長さの演奏を8ch同時にステレオで録音した場合201.9MBになります。
USB2.0の転送速度は480Mbpsなので、CDの転送速度である1.411.2kbpsより圧倒的に速いことがわかります
(kはキロバイト 1000 Mはメガバイト1,000,000)
それでは最近はやりの高音質フォーマットで1番クオリティが高い192kHzの場合はどうなるのか見てみます。
例えば24bit, 192kHzの超ハイレゾ録音の場合は、
毎秒の転送データ=24[bit]×192k[Hz(回数/s) ]=3608k[bps(bit/s) ]=3.6M[bps]
(bpsとは1秒間に何bitを送信するかの単位)
1秒間に3.6Mbitを転送していることになります。
この3.6Mbitは一つのオーディオに対してのデータ転送量です。複数のオーディオを同時に録音する場合は、3.6Mにオーディオ数をかけた値がオーディオインターフェイスで録音する際に転送されるデータ量になります。
オーディオインターフェイスがUSB3.0でなくUSB2.0でいい理由とは? より
8ch同時録音をする場合であってもUSB2.0でもスペック的には何も問題はありません。
オーディオインターフェイス規格によって音質は異なるのか?
転送速度の違いが音に影響することは基本的にありません。速いか遅いかだけの違いであってそこに音質を変化させる要素はありません。ですが、「基本的」という言葉を使ったとおり、ゼロとは言い切れません。つまり転送速度の違いによって音に何かしらの影響があるかもしれません。
この違いを認識できるのはおそらくプロの中でも限られた人でしょう。
電源ケーブルによって音が違うという次元ではなく
SSDやHDDによって音が違うメモリによって音が違うというレベルで聞き分けられる人の世界です。
ひとつまみの塩を入れて出された料理を「これはエベレストの塩だな」といいて当てられるプロの料理人クラスの所業だと思ってください。
つまり普通にDTMを楽しむにおいて転送速度の音の違いを気にする必要はまったくないと言えます。
仮にオーディオインターフェイスで1番音に影響するのはマイクプリアンプになります。各オーディオインターフェイスのメーカーがこのマイクプリの高音質化に力を入れています。
マイクプリで注目するならば、Antelopeのdiscreteシリーズのマイクプリは高級ミキサークラスに内蔵されているディスクリート回路を使ったものなので非常に高音質で同価格帯の中でも
「音楽的なニュアンスを余すこと無く再現できる」という高評価です。
パソコンはオーディオインターフェイスを内蔵している??
実はパソコンにオーディオインターフェイスが内蔵されています。そのクオリティは96kHzの24bitというハイレゾ仕様で録音再生が可能です。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください
[ホントですか?]オーディオインターフェイスがなくてもDTMができる!
規格別から見るオーディオインターフェイスの選び方のポイント
端子の形の違い
1番わかりやすいの端子の有無です。コンピュターにThunderbolt端子がない場合は当然Thunderboltタイプのオーディオインターフェイスを使うことはできません。
どのパソコンにもついている端子はUSB端子になります。最近ですとUSB3.0端子がメインになっていると思います。これは下位互換があるので当然USB2.0のオーディオインターフェイスを使うことも可能です。
TYPE CのUSBとThunderbolt3は同じもの?
Thunderbolt3とUSB TYPE Cは同じ接続端子を使っていますが、中身は別物です。もしUSB TYPE Cしかついていないパソコンでは同じ形状のThunderbolt3のオーディオインターフェイスを使っても認識はされないので購入前にしっかりとチェックしましょう。
最近は多くのオーディオ・インターフェイスがTYPE Cを採用しています。今大人気のMotuのM2/4もTYPE Cを採用しています。
まとめ
まとめると
- オーディオインターフェイスの規格の主な違いは転送速度の違い
- 転送速度が初心者にもわかるレベルで音質変化は皆無
- 転送速度はUSB2.0でも問題はない
- パソコンに搭載されている端子から選ぶの無難
- TYPE CのUSBとThunderbolt3は端子は同じだけが中身は別物
自分のやりたいことにあったオーディオインターフェイス選びに役立ててもらえると嬉しいです。
補足音声転送速度一覧
0.6 kbps – 軍用などで、音声を認識するための必要最低限な品質(MELPeなど特別仕様の音声エンコーダを使用した場合)
2.4 kbps – 軍用などで、音声を認識するための品質(LPC-10e, MELP)
3.45 kbps – 携帯電話で実用化された最低限、PDCハーフレートの音質(ARIB STD-27 PSI-CELP)
8 kbps – 携帯電話の音質(G.729 Annex A CS-ACELP)
12.2 kbps – GSM(ACELP)、及び3G(AMR)の音質
32 kbps – 一般的な固定電話、及びPHSの音質(G.726 ADPCM)。32kbpsのMP3は「AMラジオ程度の音質」と喩えられる
48 kbps(ステレオで96 kbps)- FMラジオの音質。48kbpsのMP3は「FMラジオ程度の音質」と喩えられる
64 kbps – デジタル加入電話(ISDN)の音質(G.711 μ-law対数量子化圧伸PCM)。高品位符号化ISDNの音質(G.722 SB-ADPCM)。ワンセグの音声(HE-AAC)の品質
144 kbps – 地上デジタル放送の音声の品質
232 kbps – YouTubeのHD画質モードの最高音質
264.6 kbps – AACの1チャンネル当たりの最大(44.1kHzの場合)
320 kbps – MP3の最高音質
352 kbps – ATRAC3plusの最高音質(44.1kHz、2ch)
576 kbps – AACの1チャンネル当たりの最大(96kHzの場合)
640 kbps – Dolby Digitalの最高音質
1.4112 Mbps – オーディオ用CD(CD-DA)の音質(線形量子化非圧縮のリニアPCM)
1.5 Mbps – DTSの最高音質。非圧縮、48kHz、16bitのステレオ音声の音質
4.6 Mbps – 非圧縮、48kHz、16bitの5.1chサラウンド音声の音質
5.6448 Mbps – SACDのステレオの音質
6.1 Mbps – 非圧縮、48kHz、16bitの7.1chサラウンド音声の音質
16.9344 Mbps – SACDのマルチチャンネル(5.1ch)の音質
18 Mbps – Dolby TrueHDの最高音質(Blu-ray Discの場合)
24.5 Mbps – DTS-HD Master Audioの最高音質(Blu-ray Discの場合)、非圧縮、192khz、64bitのステレオ音声の音質
wikiより
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