サビの作り方とその重要性を解説するこの記事では、曲の中心部であるサビをいかに印象深く作るかに焦点を当てています。サビはAメロやBメロとの対比で成り立ち、メロディ感、空気感、ジャンル感、音色感の「音楽的4感」をバランス良く整えることが重要です。
サビを際立たせるためには、音程のダイナミックな上がり方、コーラスダブの充実、キャッチーなリズムといった要素が必要であり、これらを適切に組み合わせることで、聴き手に「もっと聴きたい」と思わせるサビを作ることができます。
この記事を読むことで、DTM初心者からプロまでがサビ作りのテクニックを学び、楽曲全体の盛り上がりを最大化する方法を理解できます。
なぜサビらしく聞こえないのか?
サビらしく聞こえない理由は音楽的4感を通して盛り上がりをコントローできていないからです。
音楽的4感とは次の4つです。
- メロディ感
- 空気感
- ジャンル感
- 音色感
結論から言えば「サビ」は常にAメロやBメロとの対比によって成り立ちます。AメロやBメロがサビ以上の盛り上がりの要素をもってしまうと当然サビメロディはサビメロディとしての力を失ってしまいます。
これらが楽曲の中でバランスよく整っていれば「どこがサビ?」「よくわからない」と言われることはなくなります。では具体的に見ていきましょう。
メロディ感
サビのメロディが弱いとサビには聞こえません。では「サビのメロディの弱さ」とは何でしょうか?
一言で言うならばインパクトです。ではインパクトを紐解くと
- 音程の上がり方がダイナミックである(他のパートより音域が高い)
- コーラス(ハーモニー)ダブルの充実
- つかみがある
- 他のパートにはないリズム
ダイナミックな動きとは
AメロとBメロのメロディの動き方よりダイナミックであればあるほどサビのメロディ感は強くなります。このダイナミックとは音程の上がり方です。よくあるのが一番音域が高くなるメロディをサビまで使わないのが一つのお約束です。
このためボーカルの音域はしっかりとチェックしておかないといけません。
コーラスダブについて
サビでは3度の他にオクターブや同じ音域を重ねるダブリングという方法をもってよりメロディを強調します。Aメロなどでもハモるケースがある場合は、とくにサビのハモリの量やダブリングについては人数感を増やしてよりゴージャスにしてやることで、他のパートとの比較が明確になってサビらしくなります。
またこれらの方法は歌ものではオーソドックスな作り方なので初めて聞く人でもこの方式にのっとって作るだけで「あーサビっぽい」という印象を与えることが可能です。
つかみがあるキャッチーである
サビをよりサビらしく聞かせるためのしかけともいいます。サビに入るまえのちょっとしたきっかけ「キャッチーな印象」を与えてくれます。
キャッチにーに関してはこちらの記事が参考になります。
この僅かな仕掛けがサビの盛り上げ方にもつながるので色んな曲のサビ前の「つかみ」を意識して聴くことでその雰囲気を感じることができます。
サビのリズム
この場合のリズムはサビのメロディのことです。
AとBが分かりやすく8ビートを主体としているならばサビは思い切って16ビートにするくらいの流れにするとわかりやすい印象になります。
AとBとサビのリフレインはどういうバランスか?一番聞かせたい音の高さは?それはどんな音のなのか?などなど、メロディに関する要素がサビとそうでないパートとのバランスを意識できているかどうかで「よくわからない」「サビはどこ」と言ったことがなくなります。
サビを大きく見せたいのであれば「ロングトーン」勢いをつけたいのであれば「リズムを感じる8分音符のような連続した音」それ以外の場所ではこれらの要素をあまり多用しないこのように考えられるようにすると「メロディ感」がわかりやすくなります。
なぜ、その音程で、なぜその音の長さなのか?それはそのパートで出すべき音なのか?
空気感
「明るいか暗いか」いわゆるメジャーかマイナーかみたいなコード的な役割から感情的な「嬉しい悲しい」やもっと抽象的な都会的、田舎的、宇宙的、etc…これらが空気感になります。
ざっくりいうと雰囲気みたいなものだと思ってください。どんな音楽に慣れていない人でもぱっと聞いてその曲の雰囲気は感じ取るとれます。逆に言うとその空気感が感じ取れない曲というのは「よくわからない」という印象を与える原因にもなります。
作曲では空気感は一つに絞ることが重要です。「私の思いはそんな一つに絞れない」という人もいるかもしれませんが、聞いてもらうことを前提とした曲を作っているのであれば「ユーザー視点」を無視してはいけません。
この空気感をサビでいっきにひっくり返してしまうとインパクトがあります。
アニメエヴァンゲリオンではAメロはE♭ですがサビではCmです。この手法も歌ものでは多く取られていて「わかりやすいサビ感」を演出できるので便利です。
音楽に詳しくない人でも曲の空気感(雰囲気)はすぐに伝わる
ジャンル感
「難しいことができる私はすごいでしょ」といわんばかりにものすごく複雑なことをしてしまいがちです。「もっと複雑に!」「もっとかっこよく」という意識ばかりが先走ってしまうと聞き手が共有したい「ロック感」は届きません。オーソドックスな「ロック」が伝えたいならばまずは「オーソドックス」をしっかり知っておく必要があります。
ロックでありながらもサビのリズムを4つ打ちにすることでダンサンブルなロックになったりもします。
何のジャンルをやりたいか伝わる内容になっているか?
音色感
クリーンなギターでカッティングするのとクランチ系でカッティングするのではどちらが荒々しいですか?と尋ねると多くの人が後者というのではないでしょうか?これはクランチ系そういう用途で使われるためです。
つまりこれらはすでに露出している楽曲のイメージに左右されるということでもあります。
その音色でどういう空気感を伝えたいのか?
という自問自答があれば、音の使い方のメッセージ性がわかりやすくなりますね。
DTMなどでは、いくらでも音色を重ねることができるため簡単に派手にできますが、言い換えると「ただ派手になっただけでよくわからない」という印象を与えてしまう可能性があるので、意図のない音色選びには最新の注意が必要と言えます。
また楽器構成において、同じ音色を多用することで逆に伝わらなくなります。音色のチョイスの意味がぼやけないかをしっかりとチェックです。
サビなどでは、今まで出てこない音色を出すことでより特別な感じを出すことができます。
音色の役割は正しく機能しているかどうか?
曲の構成
楽曲には構成があります。
JPOPで定番なのは
A-B-サビ
洋楽などでは
A-サビ
というタイプもあります。
構成には意味があります。例えばAメロならば曲の空気感がもっとも速く伝わる(最初)パートです。楽曲という物語のスタートとも言えます。よく言われる起承転結の「起」です。一般的にはトニックⅠ(コードでいう一番最初 コードがCならばCから始まる)から始まります。
曲がスタートする場所なので、それが一番わかりやすいですね。ではこれがサブドミナントⅣ(コードCでいうところのF)から始まると、始まったというよりはすでに何かが始まっているという雰囲気を与えます。Ⅲでは(ミソシ)はトニックの代理でもあります。始まりの度合いみたいなものを調節できます。
このようにパートの役割を明確にしておかないと次のパートにつながらなかったりつなげても無理矢理感が出てしまうと音楽がギクシャクした感じに聞こえます。
第一線のプロはサビらしさを2秒で聞き分ける
2秒って音楽を聞く時間ではないですよね。ですがプロはその2秒でらしさを感じ取ります。ではプロは何を聴いているのか?これを考えることが大切です。
実際2秒でサビのすべてを感じ取るわけではありませんが、最初の2秒にインパクトを作れないサビはサビとして成立していない。というのが答えです。
ではその2秒には何があるか?その考え方をこのあとから書いていきますが、まずはみなさんも自分の好きな曲を2秒聴いてみてください。そこにどんなインパクトがあるかを感じてみましょう。
ちなみにプロが2秒以上きくのであればその曲は「脈アリ」です。
まとめ
自分の好きなように作ってしまうと曲の中でメロディが迷子になってしまいます。その結果がサビをわかりにくくしてしまう原因の一つです。
それは音楽の4感を意識することで防ぐことができます。
- メロディ感
- 空気感
- ジャンル感
- 音色感
これらがバランス良く成り立っているからです。「サビらしく聞こえない」「なんだかよくわからない」ということはなくなります。