LogicProXマスタリングのやり方(純正プラグインによる実例付き)

  • Logic Pro Xでのマスタリングはどうやればいいのかわからない
  • 自分のやっているマスタリングがあっているのかもわからないから正しい方法が知りたい

このような悩みを持っている人にはこの記事はとても参考になります。書いてある通りにするだけでマスタリングの流れを理解することができます。

「それって正しいの?」と思う人もいるでしょう。曲の数だけマスタリングの方法があるので「何が正しいかは最終的に自分の耳」するのが一番です。ですが、一般的なマスタリングプロセスに則った方法でなおかつこの方法で仕事をしてクライアントから「マスタリングが悪い」とは言われたことがないので、参考にできる部分は多いと思います。

なお、この記事ではすでにある程度ミックスのバランスが出来ている人を対象にしているので、ミキシングがまだ出来ていない人はミックスでのバランスのとり方から覚えるのをおすすめします。

今回は実例としてサビだけの曲にLogicProX純正のプラグインを使ってマスタリング作業を行います。

マスタリングとは?

マスタリングとは、複数のトラックをステレオに纏めたあとにする微調整の作業です。厳密な意味では再生フォーマットに合わせたファイルを作る作業でもあります。つまりCDを作る場合も、ハイレゾ音源を作る場合も、はたまた配信用のmp3やAACフォーマットに合わせた音源を作る工程もすべてマスタリングと言えます。

また、アルバムなどの複数の曲を違和感なく聞くために「整える」という作業もマスタリングの作業になります。一曲めと3曲めの音量が違ったりすると聞きにくいですからね。

しかし、DTM的な意味でのマスタリングを完結に説明すると以下のようになります。

  • マスタリングとは「適切な音量感と広がり」を作り出す。

マスタリングで調整できる音量は音量はせいぜい3dB。左右の広がりでさえも無限に広げられるわけではありません。

このわずかな質感をコントロールするのがマスタリングです。

マスタリングは雰囲気作り?

例えば女性が髪の毛を切ったときに「あれ?少し雰囲気変わった?」ってなりますよね。このときの雰囲気がマスタリングです。真っ黒な髪を金髪にしていたら雰囲気というよりはもはや外見が変わった!という変化の大きさに驚くでしょう。

切ったかどうかわからない、でも少しだけ可愛くなった。それに気がつけるかどうかがマスタリングの世界です。

マスタリングとミックスの境界線

プラグインなどを使ったマスタリング作業は前提としてステレオに纏められたものを質感を調整するものです。一方ステレオにまとめるまでの作業はミキシング(ミックスダウン)と言います。

しかし近年ではこのマスタリングとミックスダウンの境界線は曖昧になりつつあり、どこからがマスタリング作業なのかわからないものもあります。なぜなら、音圧をあげるためにマスターチャンネルにマスタリングで使用するプラグインを使いながら、各トラックの調整するというマスタリングとミキシングを同時にするというのが最近の流れにもなっているからです。

一昔まえはマスタリング・エンジニアに送られてくるものはすべてステレオに纏めらた音源のみでした。それゆえにマスタリングという作業が確立していたわけです。

しかしどんな作業工程であっても完成したものに問題がなければマスタリング作業は終了したと言えます。

そしてこのマスタリング作業の1つのゴールとして「音圧」という要素が注目されます。本来マスタリングとは音圧だけを求める作業ではありませんが、誰もが共有できる作業の結果として音圧上げ=マスタリングになっていることに関しては、視野が狭い見方であるということを念頭に置きながら音圧を含む「聞きやすい音楽」を作り上げることが大切です。

よくマスタリングプラグインを使うときに「1つ1つの楽器の音にフォーカスをあてる」という表現をする場合があります。ただこの作業は本来ミックスの作業です。このフォーカスをあてるという作業はプラグインではあくまでバランスの上で作り上げるものということだけを覚えておいてください。

そして結論としては完璧なバランスで作り込まれたものはマスタリング処理は必ずしも必要ではありません。

マスタリングの音圧の目安は?

どのようにすればマスタリングはゴールになるのか?その1つの目安として音圧の数値が上げられます。一昔前はラウドネスウォーと言われ音圧が高いほどよいという傾向がありましたが最近は落ち着きつつあります。目指す音圧に関してはリファレンス曲を参考にするのが一番ですが、RMS値で-9dBあれば問題はありません。これはジャンルによっても異なります。EDM系やラウド系等の曲では-5dB程度まで上がっているものもあります。

しかし音圧が高いだけの曲では聴く方にも耳の負担が生じます。音圧重視の結果は「何度も連続して聞きたいとは思わない」ということになります。なのでここでは-9dBと音圧が高いと言われている-5dBの間をとってマスタリングによる音圧のゴールは−8dB程度とします。

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RMSとLUFSの違いについて(どちらを目安にするべき?)

RMSとは平均的な音量を計測したうえで人の聴感上の音圧を測るのに使用されたもの

LUFSとはラウドネスメーターは、放送業界向けに開発された規格です。主に人が周波数帯域によって感じる音量の差を考慮した音圧と言われ、近年のメーター表示の中で人の聴覚に近い値と言われ注目されています。

放送業界別として考えると次のようになります。

  • Youtube:推定-13LKFS/LUFS(情報は公開されていない)
  • ニコニコ動画:-15LKFS/LUFS (Integrated Loudness)
  • Spotify:-14LUFS
  • 日本の放送業界の基準:「平均-24LUFS±1」

これはこれ以上の音が入ってくると自動的にラウドネスノーマライズが発生し乱暴な説明をすると配信先で勝手に音量を調整されるわけですね。それによって「音の変化」について賛否両論が起こっているわけです。

さて問題は「どちらが良いのか?」という話になると思います。

答えとしてはどの配信フォーマットを利用するか?に尽きるのではないかと私は考えます。ラウドネスノーマライズによる影響を受けたくないのであれば、その既定値を上回らないようにマスタリングするしかありません。

しかし大事なのはLUFSだろうがRMSだろうが、その曲が人の心をうつレベルまで作り込まれているか?という点を重要視するのが先ではないかと考えます。人に最良のリスニング環境を提供するための手段の1つがLUFSであって、その手段を目的とすると音楽への情熱は小さいものになってしまいます。

マスタリングに必要なリファレンス曲の準備

重要なことでなので再度お伝えしますが、曲の数だけマスタリングは存在するということです。

ではマスタリングをするためにまず何が必要なのか?というところからお話します。

マスタリングで必要なのはリファレンス曲です。これがないとマスタリングは始まりません。この始まらないという言葉の意味はゴールが明確でなくなるという意味で受け取ってください。

つまり自分の作りたい曲の最終形態をイメージ化するのに使います。

「こんな曲を用意しなくても別にできるんじゃないの?」と思いますよね?もちろん可能です。マスタリングプラグインのプリセットを使って70点の質感が得られる場合もあります。

しかし、この記事を読んでいる人は少しでも「かっこいい曲を作りたい」と思っているはずです。そしてそれは自分のためだけではなく、聴いてくれる人を心から楽しませたいという気持ちからだと思います。

その気持がマスタリングには必要なのです。

大事なのは自分が作った曲がどのようにリスナーに届いてほしいか?ということを考えた時「明るい雰囲気」や「楽しい雰囲気」といった漠然的なイメージがあるはずです。そしてそれを具体的にするのが「〇〇のような曲の感じ」ということになります。

それを再現するために必要なのがリファレンス曲です。

リファレンス曲をDAWに入れておくことで聴き比べをしながらマスタリング作業ができます。ただDAWにリファレンス曲を入れると当然その曲はマスターチャンネルに送られます。するとどうなるか?マスターチャンネルに刺さっているマスタリングプラグインの影響を受けてしまうことになります。

そうなるとリファレンス曲として聴くことができなくなります。この場合の解決方法は3つ

  • リファレンス曲以外のミックスをBUSに送る
  • リファレンス曲を個別に出力する
  • リファレンス曲確認プラグインを使う

オーソドックスなやり方はリファレンス曲以外をマスターに送らずBSUチャンネルに送りそこにマスタリングプラグインを指しておき、ステレオチャンネルには何もかけないという方法です。リファレンス曲だけをマスターチャンネルに送ることで、プラグインがかかっていない状態で確認することができます。

すべてのアウトをStOutから任意のBUSチャンネルに変更します。

ここではBUS31に設定しています。これをSUBMASTERとして使用します。ドラムなどをサミングミックスする場合も最終的にまとめたDrumの出力先はBUS31にします。案外忘れがちなのがエフェクトの出力先もBUS31にします。つまりリファレンス曲以外の出力はすべてBUS31にするのがポイントです。

また、複数の出力があるオーディオインターフェイスとMackieのモニタリングミキサーがある場合は、リファレンストラックだけ物理的に外部出力して必要に応じて切り替えるという方法もあります。ただ、多少の手間とそれらの機材を揃えているケースはあまりない可能性があるので、多くの人が再現できる方法ではありません。

さいごのリファレンス曲用のプラグインを使うというのが個人的にはおすすめです。これはADPTER MetricABというプラグインを使用します。

実際に使用するとこのような感じでリファレンス曲と自分のミックスをボタン一つで比較することができます。

このプラグインを使う時はマスターチャンネルのプラグインの一番最後(下)の部分にさします。もし一番上に入れてしまうとそれ以降のマスタリングプラグインの影響を受けてしまうからです。

マスタリングに必要なマージン(ヘッドルーム)はどれくらい?

マージン(ヘッドルームとも言います)とはマスターチャンネルのメーターの空きの部分だと思ってください。

つまりこのマージン部分がマスタリングの領域になります。

最終的には0dBギリギリになるのが望ましいわけですが、最近ではミックスの段階からマキシマイザーをかけていることからマスタリングとミックスの作業の境目は非常に曖昧です。しかし多くの人が「マスタリングとはなにか?」という疑問を持っている人も多いので、今回の記事ではミックスとマスタリング作業を分けて説明します。

マージンを取っておくメリットについて

コンピなどのアルバムを作る場合、マスタリング作業のためのスペースとしてマージンを取っておかないと他の曲とのバランスが取れなくなって聞きにくい音楽になってしまう可能性があります。そのために曲全体を整える作業スペースとしてのマージンの存在はかかせません。

また、最初からマキシマイザーを使っていると良くも悪くもマキシマイザーの音質に引っ張られます。「もっくクリアな音にしたい」となった場合にマキシマイザーの交換やプラグインの交換ができることで柔軟な音作りができるようになります。

ではどれくらいのマージンが必要なのか?これを人によって違いますが、目安としては-3dBは最低ほしいところです。こうすることプラグインの効果やマキシマイザーが破綻しない音作りが可能になります。

つまり言い換えるとマスタリング作業で行える音量のブースト幅は3dBということになるわけです。

ここまではどのDAWでも共有している部分ですので、他のDAWを使ってマスタリングする場合ここまでのプロセスは覚えてしまった方がいいでしょう。

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マスタリングはヘッドホンorスピーカーどっちがいいの?

  • スピーカーのセッティング方法
  • スピーカ−の(性能)サイズ
  • ヘッドホンの性能

本来であればスピーカーなども正しくセッティングしないとそのポテンシャルは発揮できません。またスピーカーのサイズによって低音のだせる範囲が決まります。

スピーカーでのメリットは次の2つです。

  • 左右の広がり
  • 奥行き

ヘッドホンは両耳に直接音を届けるのに対して、スピーカーは前方からの音の流れを感じることができます。そのため音が空気に伝わったことでどのような音像感があるのかを確認するのに適しているのがスピーカーになります。

スピーカーのデメリットはセッティングを正しくしないとのポテンシャルは発揮できないということです。また部屋の形状によってはフラッターエコーといった部屋の鳴りで必要以上の低音が持ち上がったりするため正しい音をどう認識すればよいかわからなくなる可能性が高いです。

ではヘッドホンのメリットは何でしょうか?

一番わかりやすいの低音感です。スピーカーの物理的なサイズでは再生できない低音をヘッドホンは感じやすいです。また部屋鳴りの影響が出ないので、一つ一つの音をしっかりと確認することができます。

DTM初心者の場合はヘッドホン8割、スピーカー2割という考え方から始めるとよいと思います。この時チェックするのはヘッドホンで低音感や音の分離感を意識し、スピーカーでは音の広がりをチェックするとバランスのとれたサウンドになりやすいです。

ではここから実例にそって進めていきたいと思います。

LogicProXマスタリング①リファレンス曲を参考にイメージを膨らます

さて今回マスタリングする曲はこちらの曲です。すでにある程度バランスは整えています。

男性ボーカルでラウドな雰囲気のロックです。動画を見てもらえればわかりますが、ほとんどプラグインは使用していません。バランスだけでもそれなりに聴けます。ミックスに慣れてしまえばこのレベルはそれほど難しいわけではありません。さてこの時点で問題がないとするならばマキシマイザー系で整えてしまってもよいでしょう。

私としてはもう少しだけ軽く伸びのある音にしたいイメージがあります。もちろんこのイメージがマスタリングで出来ない場合はミックスに戻るわけですが、大切なのは曲を作る前からある程度イメージを絞って曲を作り始めないとマスタリング↔ミックスを無駄に行き来するだけになります。

イメージとしてはリンキン・パークのPapercut的な雰囲気がほしいところだと思っています。

ここで再度注意が必要なのはマスタリングに求める作業はあくまで雰囲気ということです。つまり明らかに外見が変わるようなマスタリングはマスタリングではないということを再度思い出してみましょう。

さてここで「私にとってはPapercutは伸びのあるイメージではないのだけど…」と思う人もいるでしょう。それは間違いではありません。人によって音楽に対する印象や価値観は異なります。

それでもある程度「この曲って伸びがあるよねー」「この曲ってさわやかだよねー」という一般的なイメージのすり合わせは常にしておくべきだと思います。これをしないとリスナーから「なんか私のイメージと違うな」となって心地よい音楽を提供できなくなる可能性があります。

作編曲ミックスマスタリングに限らず音楽を聴くことの重要性はいかに多くの人がイメージしている音との差をなくすことで音楽がより伝わりやすくするための行為として音楽を聴くことが大切になります。

さてでは、ここで完成形から見てみたいと思います。

最終的な曲の雰囲気的な部分を考慮しているので、各トラックの作り込みはそれほどしてませんが、マスタリングの結果として雰囲気は伝わると思います。

LogicProXマスタリング②プラグインのつなぎ方について

厳密な意味での決まりはありません。ただプラグインのつなぎ方で効果が異なります。これらはプラグインチェインという言葉で説明されます。どのような順番でプラグインを使えばより効果があるのか?これはマスタリングだけではなくミックスダウン時にも使える共通の考え方です。

詳しくは以下の記事に書いてあるので参考にしてもらえればと思います

プラグインの接続順番(プラグインチェーン)で音が良くなる理由

しかし簡単に説明すると、基本的に一番最後にかけるプラグインが一番効果的になる働きになるようにプラグインがつながっていく。ということになります。

まず1つ目にはイコライザーを使っています。基本的にはここでブーストするよりは出過ぎた帯域を均すというイメージです。ブーストする方向では3dB程度を目安にしますが、カットの方向に関しては3dBの縛りを付ける必要はそこまで重要ではありません。最終的な聞きやすいバランスになるのであれば、カットに関しては多少アクティブになっても大丈夫です。ただカットしすぎることで雰囲気が崩れてしまうのであればやりすぎということになります。

今回のマスタリングについてのプラグインは次のようになります。

Comp→Expander→multiComp→linearEQ→Tube(saturation)→Maximizer→Maximizerという流れです。すべてLogicProXの純正プラグインですが、計測用のアナライザーだけはMmultiAnalyzerを使用します。これを使う理由はプラグインを使用しているときとそうでないときの差をスペクトラム表示ができるためです。

LogicProXマスタリングプラグイン①コンプレッサーの使い方

これは定番的な使い方で、コンプによってローが潰れて帯域が狭くなります。ローが潰れる理由はローエンドのエネルギーがコンプにかかりやすいためです。つまりエネルギーが一番強い部分にコンプがかかります。もしイコライザーでローエンドを取り払ったキックを作った場合はおそらくキックのアタック部分にコンプは反応します。

マスタリング時にコンプの設定はミックス時とは違いかかっているかどうかが微妙なレベルにとどめます。ここでは音作りをするのではなく取り終えたバランスをよりよく見せる(雰囲気)作りです。

今回はStudioVCAというコンプを使います。LogicProXには複数のタイプのコンプを選ぶことができるのでキャラクターになったコンプサウンドをチョイスできるのがとても便利です。

設定は

  • スレショルド-20
  • レシオ1.3
  • アタック10ms
  • リリースAUTO

なお今回はアナライザーでの結果をわかりやすく確認するためにアウトプットゲインを-3dBにしていますが、本来は0dBにしています。

コンプ設定の意図と目的

基本はどれだけゲインリダクションさせるか?という点で考えます。この曲の場合スレショルド-20でゲインリダクションは-3dB程度になっています。全体的に少しだけ棘をとるイメージの感じにしたいのでこの程度でも十分に意味があります。

ここではとにかくコンプ臭くしないためにレシオもあまり深くしないようにしています。

アタックタイムに関してはジャンルやテンポにもよりますが、5ms〜10msであれば、音色の頭にコンプが反応しやすいタイミングなので、任意でその幅から好みのポイントを探します。

リリースに関してはAUTOモードの賛否両論はありますが、リリースを長くすればするほどコンプがかかったままになります。つまり「曇った音」になりやすいです。

AUTOモードはそれを音楽的なタイミングで開放してくれます。なので「とりあえずLogicProXでのマスタリングさくっと覚えたい」のであれば、AUTOから試してみることをそすすめしています。そのうえで「ではAUTO以外ではどんな感じになるのか?」という疑問をもつことが私の1番ののぞみですが、出来ることやれることには今の知識量と比例します。そのためリリースはAUTOをこの記事では推奨しています。

このコンプはかかり方もスムーズでなおかつコンプくささがなく自然なままコンプレッションしてくれます。ではこれ以外のコンプを使った場合はどうなるのか?というのを動画にしてみました。

他のコンプに買えた時のアナライザーの動きに注目してください。黒がコンプをかけたマスターで、赤がコンプをかけていない状態です。

当然コンプをかけることで音が圧縮されるので黒のメーターは下がります。これがコンプされている状態ですね。他のコンプにしたときにこの黒のメーターが大きく下がるのが見てわかります。音が少しこもるような印象を受けるのはそのためです。

設定はすべて同じでもコンプによって圧縮される量が違います。これがコンプの特性であったりカラーと呼ばれる要因の1つです。

なおこのあとコンプで圧縮したぶんだけコンプでゲインを2dB程度あげます。

LogicProXマスタリングプラグイン②エキスパンダーの使い方

エキスパンダーとは、コンプの逆で音を飛び出す効果のあるエフェクトプラグインです。コンプでならしたぶんをエキスパンダーで飛び出させるイメージで使います。その結果全体似フォーカスがあたったような印象になり音の明瞭度が上がります。明瞭度を上げる場合イコライザーを使うことが多いですが、特定の周波数でプッシュするよりはこちらの方が効果が自然になります。

「エキスパンダーを使ってゲインを上げるならコンプでゲインを上げればいいのでは?」という疑問があるかもしれませんが、コンプのゲインは圧縮した音をそのまま持ち上げるのに対して、エキスパンダーは設定したレシオより低い音を持ち上げているので今まで埋もれていた音にもフォーカスあたります。そのため、コンプでゲインを上げたただけの効果ではない音の明瞭度がエキスパンダーで得られます。

動画で確認すると、エキスパンダーを当てた方が黒いメーターで表示されます。全体的にメーターが上がっていることがわかります。

LogicProXマスタリングプラグイン③トータルイコライザーの使い方

ここでトータルイコライザーとして全体的な音の最終傾向を決めます。簡単に言ってしまえば「ドンシャリ」であったり「シルキーな質感」であったりという部分です。

今回はよりラウドにしたいので、ドンシャリ傾向気味にイコライザーを設定しています。

「マスタリングイコライザーはリニアフェイズの方がいいの?」という疑問があるかもしれまえせん。答えはどっちでもよいです。というのはリニアフェイズの質感が理解できれば使うべきですし、それがわからないのであれば普通のものでも構わないのです。大切なのは1つ1つのプラグインがどういう効果があるのかを理解することです。理解しないことにマスタリングの階段は登れません。わからずに使っても「効果が実感できないなー」となるとその場で立ち往生してしまいます。

イコライザーの設定の意図は先程もお伝えしたドンシャリ傾向です。

しかしここでも基本2dB程度の処理でしかありません。また、240Hz付近は音のたまり場に鳴りやすいところでもあるのでここをカットすることでスッキリとした印象になることがあります。2.6kHz付近のカットにもノイジー部分が要素があるのでここをカットすることで耳に痛い成分を和らげる効果が期待できます。

マスタリング時であってもミックス時であってもイコライザーが処理しているのは基音より倍音の方が大きいです。

基音というのは音色からすべての倍音を取り除いたものです。すべての音色は倍音を取り除くとサイン波になります。例えば、440Hzをギターで出した場合基音は当然440Hzのラですがここに多くの倍音が含まれることでギターらしい音色になります。

自分がイコライザーでいじっているのが基音なのか倍音なのか?というところを意識することでイコライジングによる音作りに無理がなくなるので倍音と基音の関係については覚えておいた方がよいでしょう。

LogicProXマスタリングプラグイン④サチュレーターの使い方

ここを本当に味付け程度なので無くても問題はありません。ただ使うことで音に暖かみが出せるプラグインです。

LogicProXにはサチュレーション系のプラグインがないと言われていますが実はビンテージイコライザーの中にサチュレーションは存在しています。

右側にあるOUTPUTのDRIVEというのがサチュレーションです。TUBEやコンソールタイプなど3つのサチュレーション効果を得ることができます。

サチュレーションって何?ってなっている人はこちらの記事を参考にしてみてください。

一番効果がわかりやすいのがPunckyと呼ばれるものでした。今回はわかりやすくMAXにしています。サチュレーターは癖になりやすいプラグインですが、使いすぎると音に個性がなくなります。今回の曲では最終的に8〜9の間に落ち着きました。

LogicProXマスタリングプラグイン⑤adaptivelimiter使い方

デフォルトではGainが3.0dBOut Cellingが0dBLockaheadが50となっています。(画像ではCelling-0.1してしまっていますがデフォルトでは0です)使うコツとしてはどれくらいの音圧を上げたいのか?ということとリミッターとしての使い方になると思います。この2つを理解して初めて「マキシマイザー」になります。

Out Cellingが-0.1になっていますが、この数値を-1dBにするとStereoOutのメーターが-1dBより上には上がらなくなります。ただし、書き出し時やフォーマット特に圧縮フォーマット(mp3)などでは音が割れたりするケースがあります。なので、-0.1〜-0.2辺りの範囲で調整してみることをおすすめします。

 

1つだけでも十分に効果がありますが、二段かけする方法もあります。その場合1つのadaptivelimiterの原因は2dB程度、2つ合わせて4dB程度にすることで音が飽和しにくくなるのでオススメです。

イエロゾーンに突入すると0dBを超えてしまっていることを意味します。この状態では音割れの原因になるので、コンピューターは0dBを超えないようにします。それがREDUCTIONで6.4にして、リミッティングしている状態です。ただ勘違いしてはいけないのはこのインプットの0dBはStereoOutの0dBではありません。あくまでadaptivelimiterの中で決められた0dBです。なのでStereoOutのボリュームを絞ってもこのインプットの量は変わりません。

コンプなどの場合はこれが0dBではなく-15dBなど任意に設定し、それを超えた音をREDUCTIONするつまり圧縮することでコンプレッサーとしての機能が働きますが、adaptivelimiterの場合はマスターリミッタなので設定が0dB固定になります。そして、このイエロゾーンを超えていない音はリダクションされません。つまり圧縮されない状態になります。

リダクションされていない音は音圧がありませんので、adaptivelimiterを通して音圧がでがないということで悩んでいる人はここが原因だと思われます。REDUCTIONがない状態でGainが3dBの状態は単にボリュームが3dB上がっているだけです。

もし圧縮させたいのであれば、全体的なボリューム調整をする必要がありますが、Gainを使うことで、INPUT量を増やして、0dBを超えさせてadaptivelimiterを動かすことでREDUCTIONが得られるようになります。これが基本的なadaptivelimiterの使い方ですが、それだと具体的に音圧がどれくらいあがったか認識できないのでMultiMeterというプラグインをadaptivelimiterのあとにさします。

これは音圧や周波数解析をしてくれるプラグインで全体の周波数をひと目で確認できます。アナライザープラグインを使うことで「あー低音があまり出ていないな」というのを目で見て確認できるのでミックス、マスタリングになれていない人にはおすすめです。この曲の現時点でのミックスとadaptivelimiterをかけた場合はこのような状態になります。

見るべきポイントはいくつかありますが、わかりやすいところで右端のメーターでRMSという数値が俗に「音圧」として解釈されているところでもあるので、そこがどれくらいの数値になっているかをみることで音圧について確認することができます。

現状では-6.6となっています。RMSはジャンルや使っている楽器によっても大きく変わってきます。ここで「どの楽器を使えば音圧が上がるのか?」を説明すると長くなってしまうので簡単にだけ説明すると「低い持続音は音圧を稼ぎやすい傾向にあります」クリーンギターとディストーションギターではクリーンギターの方が早く減衰します。

最近のポップスなどではこの数値に近くなったりしていますが、-10くらいになっていればまず「音圧がない」というサウンドにはなりませんので、そこを基準にしてもいいと思います。

adaptivelimiter音割れの原因

adaptivelimiterを使って音割れをする原因は、REDUCTIONの量が原因です。目安としては3dB多くても5dBがadaptivelimiterが機能がフルに発揮できるREDUCTIONの目安です。それを超えるようなadaptivelimiterや他の有償プラグインでも音割れの原因になります。

しかし、それでも何かしらの理由でREDUCTION量を増やしたい場合は2つのadaptivelimiterを使って、REDUCTIONの合計が6dbになるようにします。つまり、一つのadaptivelimiterのREDUCTION量を3dB程度にします。こうすることで、音割れをふせぐことができるようになります。

ミックスは聞かせたいパートの優先順位が明確出始めてなりたつ作業です。あれもこれも聞かせたい!という状態ではミックスはできません。このあたりはこちらの記事でもふれていますのでよければ参考にしてください。

LogicProXマスタリングプラグイン⑥ディザリングの使い方

マスタリングが終了しバウンスするときにディザリングを行います。これは、異なる再生フォーマットに変換するときに音の劣化を防いでくれるものです。耳の良い人ならば

このディザリングの音の違いを聞き分けることができるそうですが、正直私には「変わった気がする」という程度でブラインドテストではわからないと思います。

今回はLogicProXの純正プラグインでのマスタリングだったの下記の画面でディザリングを選ぶことになりますが、wavesや他のメーカーのMaximizerにはディザーが付いているものがあるのでその場合は、ここでは「なし」を選択します。

ここで気をつけたいのはLogicProXのミキサーは64bitです。つまり24bitで書き出す場合でもディザリングは必要になります。

ディザリングについて簡易的ではありますがこちらの記事でその違いを認識することが可能です。

Logic マスタリング テンプレートについて

今回のマスタリングにおけるプラグインは次のようになりました。

コンプ

エキスパンダー

イコライザー

サチュレーター

マキシマイザー(状況に合わせて2つ)

これらが絶対的に正しいわけではありません。曲やサウンドの好みによって柔軟に変化させることでよりよいマスタリングにつながると思っています。

さいごに

最終的な音圧はRMSが-7.0程度になりました。かなり高めの音圧です。

マスタリング処理における違いはこのような感じになりました、赤いがマスタリングBefore黒がマスタリングafterです。

今回のマスタリングが正解とはいいません。最初にもお伝えしましたが、曲の数だけマスタリングは存在します。ですが、マスタリングとはなにか?

LogicProXの純正でもマスタリングってできるの?と思っていた人には十分できることをお伝えできたように思います。

一朝一夕で身につく話ではありませんが、数をこなすことで必ずできるようになります。そのためにも多くの曲を聴いて自分が求めるマスタリング像を常に思い描けるようにしておくのが大切です。

 

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