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8割のDTMerが失敗する7つのマスタリングのやり方と改善方法

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マスタリングのプロセスに挑戦しているけれど、理想のサウンドにならないと悩んでいませんか?

「マスタリング やり方」でお探しの方に、EQ調整からコンプレッション、必要なプラグインの選択まで、マスタリングを成功させるための具体的な手順とコツを紹介します。

この記事では、ミックスのバランスを整える方法、周波数帯域の適切な調整、そしてトラック全体の音量レベルを最適化する技術を解説。DAWを活用した効果的なマスタリングの進め方を学び、あなたの音楽制作を次のレベルへと引き上げましょう。

UG
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  • DTM記事執筆500以上
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マスタリングとは?

DTM(デスクトップミュージック)におけるマスタリングは、音楽制作の最終段階で行われる重要な工程です。

このプロセスでは、ミックスダウンされたトラック全体のサウンドを調整し、音楽の品質を最終的に磨き上げます。マスタリングには、EQ(イコライザー)による周波数のバランス調整、コンプレッサーを使ったダイナミクスの管理、必要に応じて特定の帯域のブーストやカット、そして全体の音量レベルを適切なdBに調整する作業が含まれます。

DAW(デジタルオーディオワークステーション)上で行われるこのプロセスには、様々なプラグインが使用されます。

これらのプラグインには、マキシマイザー、EQ、コンプレッサーなどがあり、楽曲の音質を向上させるために必要な調整を行います。また、ボーカル、キック、ベースなどの主要な音源に対して、MS(ミッドサイド)処理やステレオイメージの調整など、さらに細かなエフェクトを加えることもあります。

マスタリングの目的

マスタリングの目的は、楽曲をあらゆる再生環境やメディアで一貫した音質で聴けるようにすることです。

そのためには、録音からミックス、そしてマスタリングに至るまでの各段階で、音楽制作における基本的な手順とプロのエンジニアによる緻密な作業が必要とされます。プリセットを活用しつつも、楽曲のイメージやアーティストの意図に合わせた適切な方法で調整を行うことが、成功したマスタリングの鍵となります。

DTMでは主に音圧処理的なイメージが強いですが、(CD、DVD、Blu-ray Disc、LPレコード、ビデオテープなど)に収録し、量産用プレスをする際のマスター(原盤)を作成する作業というのが本来のマスタリング処理となります。

本来は複数の曲のバランスをとることが主な目的ですが、最近は一曲の音圧を限界まで上げることがマスタリングの目的と理解されている傾向にあります。

一曲の音圧を限界まで上げる事自体を悪いとは言いませんが、過度に音圧が高くなった音楽=最良のマスタリングと考えるとマスタリングはうまくいきません。

例え個人で楽しむものであっても「誰が聴いてもバランスが取れていて心地よい音楽にする」ということをマスタリングと考えていくのが失敗しないマスタリング方法の基本的な考え方です。

dtmマスタリングの手順について

一般的なマスタリング手順はこのようになります。

STEP
手順1 音質調整 

プラグイン等を使っての質感のコントロール

より聞こえやすくするためのコンプ処理

アナログによる味付け、空間処理(ステレオ処理)

STEP

手順2 音圧調整

曲のダイナミクスが失われない程度

配信先のラウドネス値や自分が目指すジャンルのラウドネス値を知っておくのがポイント

STEP
手順3 曲の音量レベルをあわせる

アルバム時に必要

STEP
手順4 音質チェック
STEP
手順5 曲間の調整

曲と曲がどんな間であればより心地よいか?そこそこ重要

これらは2mixまでの工程が完了して初めて行えるものです。人によってはマキシマイザーを最初から指しながら作る人もいます。どちらでも好きな方を選んでよいと思いますが、

オーソドックスなマスタリング工程(手順)を理解してからの方が迷いがなくなります。

マスタリングの間違いやすい手順として上げておきたいのがノーマライズです。ノーマライズは音量を自動で音割れしない0dBまであげてくれる機能ですが、なぜこれが間違いやすいかというと、ノーマライズはピーク(一番大きい音)が0dBになるようにするだけです。つまりピークとそれ以外の差が激しいほど、ノーマライズによって得られる音圧上昇的な効果は見込めません。

ノーマライズで音圧的なアプローチを行いたい場合はピークの差がない状態で行うのが大切です。

てっとり速くマスタリングで音圧をあげたい(実感したい人)

もしつべこべいわずに「マスタリングで音圧のあげかただけ知りたい」という人は

DAW付属のマキシマイザーを2〜3段重ねて、それぞれのゲインリダクションが1.5dB程度、合計5〜6dB程度になるようにすれば音圧はわりと簡単にあげられます。

しかし、大切なのはミックスダウンで作った音量のバランスや空間的な演出をより微調整によりブラッシュアップすることです。

微調整とは具体的にどういうのものか? それは世界観のディテールを明確にする。2mixでまとまった音源の細部にフォーカスが当たるようにします。この作業が1.5dB〜2dBの範囲で行われる世界です。

リスナーが一回聞いたら「お腹いっぱいもういらない」数回聞けば「いや、マジ勘弁」という状態になるのは好ましい話ではありません何度も聞きたいと思わせることががマスタリングの成功です

失敗しているマスタリング方法とは?

音が飽和している

音圧を重視しすぎた結果ダイナミクス系のプラグインを使いすぎて音が飽和(潰れ過ぎている)している状態はマスタリングは失敗です。

そのような音楽は「息苦しい」「音が窮屈」「奥行きがない」このように形容されます。

本来マキシマイザーでは音は割れないように設計されていますが、それが割れているということは明らかに使い方が失敗しているということになります。

音圧の目安は

音圧が高い!と言われても具体的にどれくらいの音圧が正しいのかわからないと思いますし、ジャンルによっても音圧は違います。音圧はLUFSという値を参考にします。多くのDAWにはレベルメーター的なプラグインがあるのでそれでこのLUFSを計測します。

多くのストリーミングサイトが-14LUFSになっているのを参考にしながら、今作っているジャンルのリファレンス曲のLUFSを参考にすると良いでしょう、

マスタリングが上手く行かない理由

ここではマスタリングの失敗につながる手順について解説していきます。

①ミックスバランスを整えていない

結論から言うとマスタリングの失敗の8割はミックスのバランスです。さらに言うとミックスはアレンジによって決まります。まずは適切なバランスを心がけることが重要です。

ポイントは次の8つ

  1. キックのアタックがわかる
  2. ベースの音程とラインが見える
  3. スネアは大きすぎない(気持ち小さくてOK)
  4. ハイハットは少し耳をすますことでわかる大きさ
  5. シンバルはスネアより小さくするイメージ
  6. コード系の楽器はお互いを邪魔していない
  7. ボーカルは歌詞がすべてはっきり聞こえる
  8. コーラスはボーカルより一歩下がってしっかりとボーカルとのハーモニー感を作る

このミックスバランスを意識しながら、マスターフェーダーが-3dB付近になるようにすればバランスが整います。

②トラックに不必要なエフェクトプラグインの使いすぎ

キックでありがちなのが50Hzをイコライザーでブーストするというパターンですが、これほんとうにブーストする必要があるのか?という話でもあります。

例えば、EDM系のエレクトリックなキックの多くは最初から50Hz帯域が多く含まれているものがあります。このようなキックにイコライザーで50Hzをブーストすると

低域がモヤモヤするだけの音になる可能性が大きいです。

また、キックが16分音符であるハードロックの場合必要以上の低域はスピードが失われます。このように「キックだから低音をブースト」するという考え方から「この音色にはそれが必要なのかな?」という意識をもつことの方がプラグインを使うより遥かに重要です。

③バス・トラックを使っていない

ミックス時にバストラックを使わないとすべてのアウトがマスターに集中してしまいます。これではすぐにマスタートラックはレベルがオーバーしてしまいます。

ドラム、ボーカル、ギター、シンセ、などをまとめたバス・トラックを使うことでマスタートラックに余裕をもたせることができます。

参考記事

DTM初心者が悩むBUSとAUXの違いと効果的な使い方について

曲に音圧と迫力を引き出す!バスコンプの正しい使い方講座!

④マスタートラックでエフェクトの使いすぎ

マキシマイザーやイコライザーに加え、エキサイターや更にコンプを使う必要はありません。

基本、イコライザーとコンプ(マキシマイザー)で十分に目指す音圧を稼げます。

マスタリングが上手く行かない人の多くは参考サイトや教則本を見て「プラグインを5つ使っているから」という理由で使うことが多いですが、まずはイコライザーとコンプでマスタートラックをまとめられるようにするのが先決です。

それでも複数使う場合もあります。例えばコンプの二段かげが良い例ですこの場合、ゲインリダクションが2つ合わせて3dBにするこのような使い方をします。

⑤プリセットを無意味に使ってしまう

マスタリングソフトでなくても最近のDAWはマスタリング用のプリセットがあります。

それを使うとより良い効果を得られるものもありますが、基本はあなたの曲専用に使われているわけではないということを知っておかないと、使って終わりになってしまいます。

プリセットはあくまで「参考」です。

プリセットは最適化されたものではなく「近似値」という考え方をもつことでそのプリセットが音源に対して有効化どうかを考える目安にできます。

プリセットがあれば音のイメージをしやすいためにたくさんのプリセットが用意されるようになりましたが、マスタリングで失敗する人のほとんどはこのプリセットを鵜呑みにしています。

コンプレッサーの場合も「自分の曲がRockだからRockのプリセットを使う」はいおしまい。ではなくその音がどのような効果をうむのかをしっかり意識します。

コンプの掛かり方はプラグインの中で極めて難解ですので、まずは全体的にゲインリダクションが3db以上圧縮されないようにこころがかけることがポイントです。

プリセットを使うことは悪いことではありませんが、あくまで自分の音を探すための道標的な使い方をするのがクリエイティブな発想だと私は思います。

そのためにも「この音楽はどういう世界観なのか」をしっかりイメージしておく必要があります。

画像UG44

プリセットを使うな!ってことじゃなく自分で考えながら使うのが良いってことです。わからない人は教科書的な何かがほしいしのでプリセットを否定するものではないです。

⑥プラグインの接続方法が適当になっている

マスタリングにおいて「どんなプラグインを指すのか」も重要ですが、どの順番でプラグインを指していけばどういう効果があるのか?ということを知っておくことです。

画像

この画像が意味しているのはコンプのかかりをより効果的にするためにEQを指しているということになります。

つまり下段にあるプラグインの効果を上段のプラグインが補うと思ってください。

プロのエンジニアは大量のプラグインを使う理由は「エフェクト処理をした結果、意図しない帯域が出たためにそれを削る」という使い方をしたりします。

大事なのは各エフェクトの役割分担を明確にしているということです。いくつか具体例を説明します。

「コンプ→EQ」の場合

コンプによってローが潰れて帯域が狭くなることでEQの効きがよくなる。そしてこの場合のコンプの設定は音の粒を揃えることをが重要です。

設定としてはここで具体的な数値を書くことはあまり意味がありませんが、スレッショルドは低めにして-3db以下のゲインリダクションが起きるようにします。

レシオは1:4くらいで潰れ過ぎて音抜けが悪くならないようにします。ある程度整った音をEQで処理していくわけですが、ここでどんなEQを使うかがセンスの問われるところです。

普通のEQを使うもしNEVEやAPIなどのビンテージを使うもよしです。

しかし、それらが持つ音のキャラクターと「どの帯域をEQで処理したいのか?」を具体的にイメージしておくべきでしょう。

「EQ→コンプ」の場合

ローが強いキックなどの場合でコンプを使うと、そのローの部分ばかりにコンプが反応してしまいコンプがうまくかからない場合があります。

よく「ローカット」するのは音として聞き取りにくい部分をカットすることでコンプのかかり方をよくするというものです。

これはミックス時の音作りでも同じことが言えます。よく何でもかんでも「コンプとEQ」を指すという人がいますが、意図が明確でない限り効果はありませんので、注意が必要です。

⑦アレンジが整っていない

意外に思う人が多いのですが、これが一番重要です。音圧を上げることを目的とするのではなくすべての楽器がバランスよく聞こえることができる。

これが良い曲の良いミックスの定義でありそれをよりよく整えるのがマスタリングの仕事になります。

よく勘違いしている人が多いのは「音がこもってしまってもマスタリングでなんとかなると思っている」人が多いですが、マスタリングは「微調整」の世界です。こもった状態のミックスからクリアなサウンドはマスタリングで解決はできません。

その場合はアレンジレベルやミックスまで戻ってこもっている原因を突き止めなければいけません。

今はプラグインでどんなアレンジであっても無理やり音圧を上げてしまえますが、マスタリング工程で「何か違う」と感じたらすぐに全体のバランスがきれいに聞こえるアレンジが出来ているかを確認する必要があります。

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マスタリングは善意のバランスを作り変える作業ではなく、作った曲のバランスのフォーカス度合いを当てることだから、駄目なアレンジをマスタリングでどうにかなると思ってはいけない

マスタリングに専用プラグインは必要?

画像

マスタリング専用とされるソフトはいくつかありますが、それらは絶対必要でないことはここまで読み進めてきたのであれば理解できると思います。大事なのはまずはフェーダーバランスです。そのうえでそのうえで以下のマスタリングプラグインを使うとより効果を実感できます。

IKmultimedeiaのT-racks

izotopeのOzone8

ただ、フェーダーバランスもよくわからない!という人はizotopeのNeutronを使うことで自動である程度のフェーダーバランスを作ってくれるのでそれを参考にミックスを磨くのはありだと思っています。

DAWによってマスタリングは異なるの?

「CUBASEマスタリング」「LOGICマスタリング」そのほか、StudioOne、Protools、などDAWの数があればマスタリングのやり方は違うと思ってしまう人もおおいでしょう。

しかし、基本的にはマスタリングの方法論はどのDAWを使っても同じです。

DAW付属のマスタリングプラグイン(主にマキシマイザー系をさす言い方)のクオリティにはそれぞれの個性がありますが、それ以外で何かが変わるということはありません。

なので、マスタリングだから「Protoolsが必要」ということはまったくありません。手持ちのDAWでやりたいことをしっかり意識できれば問題はありません。

LogicProXでの具体的なマスタリング方法について知りたい人はこちらの記事を参考にしてください。

純正のプラグインだけを使ったマスタリング方法です。

私もマスタリング失敗していた一人です(失敗体験談)

私も多くのマスタリング勘違いDTMerと同じようにあらゆるプラグインを使って音圧をあげまくってました。

音圧が高い楽曲はクライアントは喜ぶので、とにかくバカのひとつ「音圧!です。しかしあるときに「これ割れてるように聞こえるんだけど?」と指摘されました。

バリバリな割れ方ではなく、あくまで「たしかに割れている気がする」と思われるレベルです。それを気に「UGさんの曲は全体的に音が苦しい」って言われるようになりました。

何事もほどほどが一番なのです。

結局、ミックスとマスタリングをやり直すことになりましたが、その分の追加費用はもらえませんでした。

歌ものとゲームのマスタリングの違い

ゲームと歌もののマスタリングって同じ??

歌ものの感覚でゲームのBGMのマスタリングをすると大変です。ゲームには使うBGMの場所によってストーリ性が存在します。例えば街中で流れるBGMと中ボスのBGMの迫力が同じであるのはよろしくありません。

中ボスに行くに、街→フィールドBGM&ノーマルバトルBGM→洞窟→中ボス こんな流れが一般的です。そだからこそ、音楽も徐々に盛り上げていくことで中ボスらしさをより演出できるわけです。

このような演出をすることもマスタリングの1つのお仕事です。

まとめ

マスタリングはマキシマイザーを使って音圧を上げて終わり!ではありません。

大切なのは曲の細かい意図をユーザーに届けるための微調整です。

フェーダーバランス等が整った上で

  • 2mixの余計な帯域を削るEQ処理、
  • より聞こえやすくするためのコンプ処理、
  • アナログによる味付け、空間処理(ステレオ処理)

大胆な音の処理は2mixになる前にやっておくべきで、2mix後は微調整する

このように考えればマスタリングのやり方が大きく間違うことはありません。

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