8割のDTMerが失敗するマスタリングの方法と考え方について

マスタリングの正しいやり方について知っていますか?DTMerにとってマスタリングとは「マキシマイザー通して、音圧バリバリ稼ぐやつでしょ?」というイメージを持っている人が多いです。

しかしそれ大きな間違いです。マスタリングは楽曲の魅力を最大限に引き出し、リスナーに心地よい音楽を届けることです。

この記事を読むことでマスタリングのた正しい知識が学べリスナーがもっと聞きたい音楽を作れます。

マスタリングの定義

  1. さまざまな素材、内容を記録媒体(CD、DVD、Blu-ray Disc、LPレコード、ビデオテープなど)に収録し、量産用プレスをする際のマスター(原盤)を作成する作業。これは音楽に限らずコンピュータゲームやパソコン用ソフト、データを収録したCD-ROMやDVD-ROMやBD-ROMの他、DVD-Video、DVD-Audio等のメディアの種類を問わず原盤を作成することを意味する。原盤製作作業。

  2. 録音による音楽作品制作において、ミキシングして作られた2トラック音源(トラックダウン音源、または2ミックス音源)を、イコライザーとコンプレッサー、その他のオーディオ・エフェクト機器を用いて加工し、CDやDVDやBD、インターネット上の投稿サイトといった最終的なメディアに書き出すために、音量や音質、音圧を調整すること。

wikより

という意味があります楽曲の良さを最大限に活かすことを目的としているマスタリング本来ならばもうちょっと広い使い方でCDに複数の曲を入れる場合のバランスをとることが主な目的ですが、最近は一曲の音圧を限界まで上げることがマスタリングの目的と理解されている傾向にあります。

マスタリング=音圧が上げれば曲がよくなるという図式が一般的ですが、その考え方は正解とは言えません。最悪楽曲の良さを木っ端微塵にぶっ壊してしまう恐れがあります。

何度も繰り返しますが、マスタリングの目的は音圧をあげることではありません。この記事を通して一人でも多くの人がマスタリング本来の意図を意識しリスナーに最高の音楽を届けることができるきっかけになってくれたら嬉しいです。

マスタリングの失敗とはなにか?

一番わかり易い失敗とは、「音圧を突き詰めすぎた結果音の飽和により立体感が失われることで、リスナーが楽しめない音楽を作ってしまうこと」ことです。

「いや、俺の(私の)音楽音圧最強だけどめっちゃ聞いてもらってるよ」と言う人はいると思います。実際聞いてもらっているとは思いますが、音圧が高い曲は聞き続けると耳が疲労します。つまり何度も聞きたいとは思わなくなってしまいます

話は少しそれますが、itunesで音楽を聞くときに気持ちよくなれる「おすすめのイコライザー設定」などがありますが、これによる驚くべく健康被害の数がWHOより発表されています。

おすすめイコライザー設定では音楽の感動は得られない3つの理由

マスタリングである程度音圧を求めるのは仕方のない話ですが、そこによる弊害はある程度意識したいところですね。

リスナーが一回聞いたら「お腹いっぱいもういらない」数回聞けば「いや、マジ勘弁」という状態になるのは好ましい話ではありません。何度も聞きたいと思わせることががマスタリングの成功です。これを目的としているのになぜそうできないのには明確な原因があります。それは「無知からくるプラグインの乱用」です。

マスタリングの失敗の原因は現状の無知から来ているということを理解することが先決です。決して使っているプラグインが問題なのではありません。

ちなみにマスタリングには多くのプラグインを使用するケースがありますが。その一つEQだけでもこれだけの使用目的が存在します。

音響的に調整の取れた部屋で、正確なモニタリングシステムを使用する

プラグインの使い方を覚える

EQを適材適所で使う

ブーストせずにカットを基本と考える

控えめに使う

音量バランスを意識する

問題のある周波数を特定し修正する

低域ノイズを除去する

EQを複数使う

MSイコライザーを使う

マスタリングEQのタメになるTips10選より

これらを知らないDTM初心者がマスタリングを「音圧をあげること」に特化してしまうのはある意味仕方のないことです。

だから「マスタリングにはこのプラグインを使ったらいいいよ」という話を聴いてもうまく使いこなせないのは「あなたの今のスキルに合ったものではない」からです。だからといって「私ってだめなんだー」と思う必要はまったくありません。まずは一つずつ問題をクリアしていけばよいだけの話です。

マスタリングのやり方を覚えたい人はたくさんいますが、大事なのは何をすれば駄目なのか?をしっておくことです。

そうすることで「これ以上やれば音楽を壊してしまう」という防衛ラインを作っておくことができます。便利で簡単なプラグインが溢れているからこそ「これ以上やると駄目」ということをしっておくことが重要です。音楽とはとてもデリケートなものです。マスタリングも同じです。「簡単に音圧を挙げられることがマスタリングではない」ということを常に覚えておくとよいでしょう。

私もマスタリング失敗していた一人です(失敗体験談)

私も多くのマスタリング勘違いDTMerと同じようにあらゆるプラグインを使って音圧をあげまくってました。音圧が高い楽曲はクライアントは喜ぶので、とにかくバカのひとつ「音圧!です。しかしあるときに「これ割れてるように聞こえるんだけど?」と指摘されました。

バリバリな割れ方ではなく、あくまで「たしかに割れている気がする」と思われるレベルです。それを気に「UGさんの曲は全体的に音が苦しい」って言われるようになりました。

何事もほどほどが一番なのです。

結局、ミックスとマスタリングをやり直すことになりましたが、その分の追加費用はもらえませんでした。

音の飽和とは?

マキシマイザーをかけることで音が割れずに音圧だけを大きくしていくことができます。イメージとしては箱の中で風船を膨らまし続けると最後は箱のサイズに合わせた状態で風船がパンパンになってしまいます。このパンパンな状態が音圧が高い状態です。

普通なら限界を超えた風船は割れてしまいますが、デジタルの世界では(聞けるレベルではなくなりますが…)箱の中で風船は割れないように頑張り続けます。その結果風船の形は丸い原型をなくしてしまいます。外から見ると「はこの中に何かが入っているけど何かわからない」状態になります。

これを音楽におきかえるとギターやベースやドラムという風船を一斉に膨らましていく作業をしているのがマキシマイザーです。そうなると、すべてが前に出てきます。本来ならば後ろで小さくなっていて良いはずの楽器さえも当然大きくなり、それが箱パンパンになった状態だとすべてがつぶれてひしめきあっている状態これが音が飽和している状態になります。

デジタルクリップをしているわけではないので明らかに聞きづらいノイズが出て「聞けないレベル」ではないのですが、各楽器の輪郭や音楽のニュアンス(優しいく弾くと小さくなるなど)はなくなってしまうことは想像できると思います。

プロでも上記のような作品はいっぱいあります。しかし、そこには意図がなく、簡易的にマスタリング処理をした結果のサウンドになっていることが多いです。

ひどいものになると完全に音が割れているものまであります。プロの作品でそういうを見ると「商業主義の成れの果て」と思ってしまいます。

マスタリングプロセス

DTMにおけるマスタリングプロセスはマスタリング プラグインを使って行っている人がほとんどです。

有名なところでは

IKmultimedeiaのT-racks

created by Rinker
IK Multimedia(アイケーマルチメディア)
¥75,900 (2020/01/10 17:06:39時点 Amazon調べ-詳細)

izotopeのOzone8

Ozone 8 Advanced: Mastering Plug-in, iZotope, Inc. [Online Code]
iZotope, Inc.

とくにこのOzone8は最近すごい盛り上がりを見せてくれているマスタリングプラグインです。

マスタリングプロセスとしてはいろいろな方法がありますが2mixの余計な帯域を削るEQ処理、より聞こえやすくするためのコンプ処理、アナログによる味付け、空間処理(ステレオ処理)などがあります。それらをとても細かいレベルで調整していくのがマスタリングプロセスです。

普通のプラグイン(コンプやEQ)でもマスタリングすることはできますが、マスタリング専門のソフトは音の変化がとても小さくなめらかで、大げさなかかり方はしません。本来であれば「かかっていることを認識できるほどの音質の変化」が望まれるエフェクトですが、マスタリングで調整するのは大きくて2db程度です。その2dbの世界をより精度の高い調整できるようになっているのがマスタリングプラグインだと思ってください。

上記でもお伝えしましたが、普通のプラグインでもマスタリングは可能です。

ではなぜ大げさに処理をしてはいけないのかというろ2mixiにまとめた意味がなくなるからです。大胆な音の処理は2mixになる前にやっておくべきで、2mix後は微調整するという認識であるべきです。

そのためイコライザーでブーストする必要があっても基本は2db以下に留めるのがマスタリングの基本です。そもそも2mixで取られたバランスを2db以上変化させるというのはバランス自体を大きく変えていることになります。大切なのは

マスタリングは微調整これを念頭におくべきです。

マスタリングがうまくできない理由

2mixのバランスがとれていない

出すべきKICKやボーカルの存在楽曲を支えるベースこの三点のバランスがおかしいとマスタリングで何をどうやってもよくはなりません。逆にいうとこの三点をしっかりしていればそれなりに聴かせられるミックスの土台になるということです。マスタリング云々と言う前にミックスになれるべきです。

ミックスについてはizotopeのNuetronを使うことでミックスの最適化をしてくれますNuetronに関してはこちらの記事が参考になります。

誰よりも早くクオリティの高い曲をつくるのに必要なのは◯◯時間を削ること NEUTRON3やOZONE9使わないとあなたは損する5つの理由

最新のNEUTRONはボーカルやKICKの音色に最適なEQやコンプ処理をすること以外にも音量バランスも自動でやってくれるようになりました。これらのAIプラグインの使用には懐疑的なプロのエンジニアさんもいますが、ミックスに慣れていない人からすればかなりの精度だと言えます。すべての音楽ジャンルに適したバランスにはなりませんが、このバランスを参考にするだけでもミックスのクオリティは最低限確保されるものです。

ちなみにアルバムのように複数のバランスをとる必要がない場合そして十分なまでにバランスも取れて音圧も望むものになっているならばミックスの最終段階での音圧処理は必要ないでしょう。

プリセットを無意味に使ってしまう

ここでのプリセットとは、OzoneやT-racksDAW付属のプラグインのチャンネルストリップのことを言います。本来音楽におけるプリセットは意味がありません。プリセットはあくまで「参考」です。なぜならばKickに使うEQの設定はSuperLow(30Hz)クラスの帯域をもつアナログキックに使う設定と、ツーバスで使うキックのEQの設定は違います。もしアナログキックのEQの設定をツーバスに使ったらキックの輪郭が見えなくなってしまいます。曲の構成、使っている楽器の量によってもマスタリングの数値が同じであることはありません。

プリセットは最適化されたものではなく「近似値」という考え方をもつことでそのプリセットが音源に対して有効化どうかを考える目安にできます。プリセットがあれば音のイメージをしやすいためにたくさんのプリセットが用意されるようになりましたが、マスタリングで失敗する人のほとんどはこのプリセットを鵜呑みにしています。

コンプレッサーの場合も「自分の曲がRockだからRockのプリセットを使う」はいおしまい。ではなくその音がどのような効果をうむのかをしっかり意識します。しかしコンプの掛かり方はプラグインの中で極めて難解ですので、まずは全体的にゲインリダクションが3db以上圧縮されないようにこころがかけることがポイントです。

プリセットを使うことは悪いことではありませんが、あくまで自分の音を探すための道標的な使い方をするのがクリエイティブな発想だと私は思います。そのためにも「この音楽はどういう世界観なのか」をしっかりイメージしておく必要があります。

DAWによってマスタリングは異なるの?

「CUBASEによるマスタリング」「LOGICによるマスタリング」そのほか、StudioOne、Protools、などDAWの数があればマスタリングのやり方は違うと思ってしまう人もおおいでしょう。しかし、基本的にはマスタリングの方法論はどのDAWを使っても同じです。

DAW付属のマスタリングプラグイン(主にマキシマイザー系をさす言い方)のクオリティにはそれぞれの個性がありますが、それ以外で何かが変わるということはありません。

マスタリング手順

ここでの手順を求める人の多くは「具体的にどういうプラグインを指していけばよいのか?」ということだと思います。このときに必要なのは「どんなプラグインを指すのか」も重要ですが、どの順番でプラグインを指していけばどういう効果があるのか?ということを知っておくことです。

プラグインをかける順番

この場合の意図はコンプのかかりをより効果的にするためにEQを指しているということになります。つまり下段にあるプラグインの効果を上段のプラグインが補うと思ってください。プロのエンジニアは大量のプラグインを使うことがありますが、すべて100%の反映させるのではなく一番かけたいエフェクトのの効果をあげるためにその前段にプラグインを指したり「エフェクト処理をした結果、意図しない帯域が出たためにそれを削る」という使い方をしたりします。

大事なのは各エフェクトの役割分担を明確にしているということです。ではも少しく具体的に見ていきます。

マスタリングのコツはプラグインの使用目的を明確にする

「コンプ→EQ」の場合

コンプによってローが潰れて帯域が狭くなることでEQの効きがよくなる。そしてこの場合のコンプの設定は音の粒を揃えることをが重要です。なので設定としてはここで具体的な数値を書くことはあまり意味がありませんが、スレッショルドは低めにして-3db以下のゲインリダクションが起きるようにします。レシオは1:4くらいで潰れ過ぎて音抜けが悪くならないようにします。

ある程度整った音をEQで処理していくわけですが、ここでどんなEQを使うかがセンスの問われるところです。普通のEQを使うもしNEVEやAPIなどのビンテージを使うもよしです。しかし、それらが持つ音のキャラクターと「どの帯域をEQで処理したいのか?」を具体的にイメージしておくべきでしょう。

②「EQ→コンプ」の場合

ローが強いキックなどの場合でコンプを使うと、そのローの部分ばかりにコンプが反応してしまいコンプがうまくかからない場合があります。よく「ローカット」するのは音として聞き取りにくい部分をカットすることでコンプのかかり方をよくするというものです。キックの場合、先にEQでローを削ってしまうことでアタック部分が強調されることになります。それをコンプを使って持ち上げることでアタック部分が強調された音になります。

これはミックス時の音作りでも同じことが言えます。よく何でもかんでも「コンプとEQ」を指すという人がいますが、意図が明確でない限り効果はありませんので、注意が必要です。

マスタリングの場合最終の音のイメージから逆算してプラグインを使っていくそのときに「指した次のものが主役になる」と考えならばマスタリングしていくと大きくハズレたマスタリングにはならないと思います。

created by Rinker
¥2,000 (2020/04/02 15:49:58時点 Amazon調べ-詳細)

マスタリングで一番重要なことはアレンジ

意外に思う人が多いのですが、これが一番重要です。音圧を上げることを目的とするのではなくすべての楽器がバランスよく聞こえることができる。これが良い曲の良いミックスの定義でありそれをよりよく整えるのがマスタリングの仕事になります。

よく勘違いしている人が多いのは「音がこもってしまってもマスタリングでなんとかなると思っている」人が多いですが、マスタリングは「微調整」の世界です。こもった状態のミックスからクリアなサウンドはマスタリングで解決はできません。その場合はアレンジレベルやミックスまで戻ってこもっている原因を突き止めなければいけません。

プラグイン不要で解決!DTMミックスが[こもる]原因と理由 音がぬけない!こもる原因をとりあえずEQで簡単に解決する方法 DTM初心者のための抜ける音色の選び方とその理由

今はプラグインでどんなアレンジであっても無理やり音圧を上げてしまえますが、マスタリング工程で「何か違う」と感じたらすぐに全体のバランスがきれいに聞こえるアレンジが出来ているかを確認する必要があります。

created by Rinker
¥1,980 (2020/04/02 15:49:59時点 Amazon調べ-詳細)

マスタリングの音圧はどれくらい?

少しでも大きい音の方が迫力があるため音圧戦争と第して音圧を上げる方向から少しずつ変わってきているように思います。具体的な数値はそのコンテンツによってある程度の最適値を参考にすることが望ましいですが、音圧が高いから良い曲という認識でいると音圧難民になってしまいます。音圧をあげることの意味は何か?なぜ、音圧をあげる必要があるのか?それらを自問自答したうえで音圧を求めることが望ましいです。

音圧処理に関しては乱暴なことを言ってしまいえばマキシマイザー系のプラグインを重ねてつかうなりすれば実は音圧自体は簡単にあがります。

しかしそこには情緒などはなく、ただでかいだけの音があるということです。そのでかいだけの音で人を感動させることはできません。この問いはミキシングエンジニアからプロデューサーが常に問い続けている

哲学みたいなところです。

みなさんもよいマスタリングをしたいのであるならばマスタリングに哲学を求めましょうw

さいごに

8割のDTMerが失敗するマスタリングの方法と考え方について失敗しないためにはとにかくバランスです。それ以外はありませんバランスをより整えるのがマスタリングの仕事です。そしてその整えられる幅は2db以下マスタリングはとても複雑で繊細な世界ですw

音圧をガッツリ上げることを目的とした曲もあるかもしれませんが、大切なのは誰のためのマスタリングなのか?です。となりのDTMerと音圧を稼ぎ合うことは果たして本当にリスナーのためと言えるでしょうか?マスタリングで悩んでいる人やこれからマスタリングをしようと思っているひとはマスタリングの先にあるリスナーがその音楽を聞いて満足している姿を想像いながら音楽の魅力を最大限に引き出すことを念頭におくとよいでしょう。

コメントを残す