初心者がDTMミックスに失敗しないための3帯域解析法はこちらでまとめました
ミックスの上達の基本は「音を聴く」です。しかし、どのように聴けばいいか分からない人はたくさんいます。そこで活用したいのがスペクトラムアナライザーVSTプラグイン(通称スペアナ)です。
スペクトラムアナライザーを使うことで今まで聞こえなかった音を目で確認できるようになりその結果。耳でも聞こえるようになる魔法のツールと言っても過言ではありません。
スペクトラムアナライザー(スペアナ)とは
スペクトラムアナライザーとは周波数帯域を視覚的に確認できるツールのことです。
周波数帯域とは言い換えれば音の周波数範囲でもあります。例えば、ベースは(4弦ベース)で一番低い音はE1(41.2Hz)で一番高い音はF#4(370Hz)になります。
このことから低音帯域の楽器であるということがわかります。
ギターの場合は、一番低い音はE2で82.4Hz,最高音でD6で1174Hzになり、ベースと重なっている部分もありますが、基本は中低音から中音域よりの楽器になります。
例えば、ベースとギターとピアノが同時になった場合は低音域から中高音域まで楽器の音でうまるわけです。それを可視化できるようにしたのがスペクトラム・アナライザーです。
スペクトラム・アナライザー各社からリリースされていますが、それぞれに機能が別れています。私がよく使うのはVOXENGO のSPAN PLUSというものでみやすさと操作性のよさから重宝しています。
最大で5つの別トラックの音を一つのアナライザー内に表示可能、色分けされているので表示も見やすく、機能も抜群です
またMeldaProduction「MMultiAnalyzer」というスペクトラム・アナライザーも使っている人が多いです。
SPAN PLUSもMMultiAnalyzerも体験版があるので使ってみるのがおすすめです。
これらの音の重なりは「音がこもる原因」「音抜け」に関して密接に影響してくる部分でもあります。
最近のDAWのイコライザーにはスペクトラムアナライザーが搭載されているものも多いです。それらを使うのもいいですが、専用のもののメリットとして、学期ごとに周波数帯域を色分けするなどして視覚的にわかりやすいものが多いので、専用のものを使う方がより具体的な情報を得られます。
スペクトラムアナライザーの使い方について
スペクトラム・アナライザー確認したいのは周波数帯域の音量です。例えば60Hz帯域の音がどれくらいの音量なのかがわかればイコライザやーコンプなどの使い方もより効果の高いものになります。
それではここからスペクトラム・アナライザーの使い方について説明していきます。
例えばキックドラム(バスドラム)にスペクトアナライザーに通して周波数帯域別で考えると次のようになります。
低音域はそれなりにありますが、中音域と高音域はあまり差がないように見えますね。
一番波形が高いところがミキサーでいうところのピークになります。このことからわかるのは60Hz付近にピークがあるのがわかります。
スペクトラム・アナライザーで周波数帯域を確認するのと同じくらいに大切なのがその音の長さです。
ちなみに少し余談ですが、このキックの音の長さはどれくらいなのか?
このキックの長さは余韻を合わせても0.6秒程度、波形の振幅を確認できるのは0.2秒程度ですね。つまりすぐに減衰してます。もしこのキックが減衰せずにピークの部分で余韻が続いたらベースとかぶってしまいます。そうすると音抜け等に影響すすわけです。また、どのくらいの速さで音が減衰するのか?などを一緒に意識すると、スペクトラムアナライザーでの確認作業から得られる音の質感情報はかなり精度の高いものになります。
では、このキックを何かしらの理由(目的)で選んでここからさらに音を作り込みたい場合、次に意識するのは、キックの輪郭でしょう。キック単体では良い結果がであっても、ミックス時には埋もれてしまうのはよくある話。
そこで多くの人が行うのが「イコライザーでハイを上げドンシャリ傾向にする」という行為です。そこに明確な意図があるのなら良いのですが、ないのであれば、ドンシャリは何もハイを上げなくても作れます。
これらの2つの違いはハイを上げたのではなく中音域をカットしたというところです。
ミックスは引き算でするという言葉を聴いたことがるかもしれませんが、まさに不要な部分を取り除くことでそれ以外の帯域を強調するというやり方を視覚的に確認できるのがスペクトラム・アナライザーのメリットです。
音楽はキックだけで成り立つわけではなく、ドラム全体にギターにピアノにベースにとあらゆる楽器をバランスよく整える必要があります。キックが楽曲の安定感を生むための要ですから、存在感がなくなってはいけません。
本来であれば、キックはピークメーターで-10程度のところが良いと言われています。つまりキックは音量を決めたらそれ以上の上限はすべきではないのが失敗しないミックスの前提であるとも言えます。
このキックの波形をもとに空いている隙間に楽器が入っていくイメージでミックスをすれば基本的には破綻しにくいオーソドックスなミックスになります。当然波形が重なってくる部分はありますが、その場合はどちらを聞かせたいかによって音量バランス等を考えると望ましい結果になります。
音量バランスこそすべて
ミックスの基礎は「音量バランス」です。これが完璧であれば正直モノラル再生してもある程度聴くことができるほどです。
低音がどれくらい出ているか?高音はどれくらい?中音は…
ミックスが苦手な人はまずこれらをしっかり意識しながら、曲を聴いてみます。しかし、どうやって意識していいかわからない人もいます。そこで簡単なポイントは自分が作った曲のスネアとハイハットとクラッシュ・シンバル
これがリファレンス曲(自分が参考にしたい曲)と比べて大きくないかだけを比較してみてください。
ミックスが苦手というDTMerの多くはこの3つがとにかく大きい傾向にあります。なぜなら、
- スネアはアクセントとしてはっきり聞こえてほしい
- ハイハットはリズムを刻むのに大きく聞こえてほしい
- クラッシュシンバルは派手に聞こえないとインパクトが弱い
こんな印象を持っている人が多いです。この3点を意識するだけでもミックスはかなりまとまりかっこよくなります。ではそれができたら、もう少し楽曲全体でのバランスを確認していきましょう。
好きな曲をDAWに読み込ませ、スペクトラム・アナライザーを通すとこれらの情報を読み取れるようになります。あとはそのアナライザーに沿った形になるようにミックスをしていければ、好きな曲の雰囲気の要素に近くなります。それだけでもスペクトラム・アナライザーを使う価値はあります。
まとめ
スペクトラムアナライザーを使うことでミックスの見方が確実に変わります。ミックスに不慣れな人にとっては、やるべきことをより明確にしてくれるという効果もあると思います。
最初から多くのことをコントロールしようと思ってもうまくは行かない
ので、より重要な部分を抽出する目的としてスペクトラムアナライザーを使うのが良いでしょう。
「音楽は耳で聞くもんだ!スペクトラムアナライザーなんかに頼るな!」ってことを聞いたことあがる人いると思います。たしかに音楽は耳で聴くものです。ミックスも耳ですべてが判断できればいいですが、それがすぐに出来る人ばかりではありません。スペクトラムアナライザーに頼ることでより良い音楽を作れるきっかけになるのであればガンガンと使うべきだと私は思います。
だから使えるものは何でも使おうの精神で良いと思います。
大切なのは音の重なり方の認識です。もちろんシングルアナライザーでも確認できますがマルチトラックアナライザーの方がより精度の高い重なりを確認でき、適切なミックスをすることができるようになります。
高いものになると何万というものがあるなかでは上記のVoxengo SPAN PlusとMeldaProduction MMultiAnalyzerは安くて視認性もよく使いやすい部類のアナライザーだと思います。
音のかなりをみるだけにお金をかけられるかどうかは人それぞれですが、アナライザーで得られるミックスクオリティは初心者の耳判断だけではたどり着けないミックスになると思います。
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