MENU

使える数が2倍になる!!総合音源の立ち上げテクニック

<景品表示法に基づく表記>当サイトのコンテンツには、広告を掲載している場合があります。

Native Instruments  KONTAKTやSPECTRA SONIC  OMNISPHEREなどの総合音源をたくさん使いたいけれど重たくて立ち上がらない。

こういうのってストレスですよね。それでなくても作曲が進めば音源だけではなくVSTエフェクトも使ってCPUはパツパツになってある時にはDAWが落ちる。

実は総合音源系は立ち上げ方一つで使える数が変わってくるんです!

この記事ではいくつかの総合音源の立ち上げ方を比較して使える音源の数がどれくらい変わるのかをチェックしています。

UG
  • 元ゲーム音楽屋(NintendoDSなど)
  • 作曲歴20年以上
  • DTM記事執筆500以上
  • ショートアニメ、CM、企業PV音楽を制作
  • 詳しいプロフィール
タップできる目次

総合(マルチ)音源とは何か?

有名な総合(マルチ)音源は以下の3つです。

以下名称は総合音源で統一します。

  • Native Instruments  KONTAKT
  • UVI                          Falcon(Workstationを含む)
  • Steinberg              HALion6(HALionsonicを含む)
  • SPECTRA SONIC  OMNISPHERE(Trilianも含む)
  • Ik Multimedia           SampleTank4

ここでの総合音源の定義は1つのインストルメントの中で最低でも8トラック以上の音色を同時に立ち上げられる音源とします。

今回の総合音源の使い方として次の二通りがあります。

  • 1つの総合音源の中に1つの音色しか立ち上げない状態をシングルモード
  • 1つの総合音源の中に1つ以上の音色を立ち上げることをマルチモード

ちなみに以前DAW別にCPU負荷のチェックをしたときはシングル音源でのチェックでした。

今回はよく使われているKONTAKTとFalconそしてHALion6とOMNISPHEREを使ってチェックします。

なぜ「1つの総合音源に立ち上げる音色は1つ」が正解なのか?

最近のパソコンは複数コアによる並列処理です。イメージ的には1つの速いパソコンで10のタスクを処理をするより、少し遅くても8つのパソコンで10のタスクを処理する方が次々に同時に処理できるの1つのCPUにかかる負荷が小さくなります。先程説明したシングルモードという使い方になります。

複数コアについて

最近は最低でも4コア、もう少し良いものであれば6コアや8コア、12コアというものがあり、最新のMacProは最大56コアというとんでもない並列処理をこなします。

実際はコンピューターの中には何台もパソコンがあるわけではありませんが、CPUと呼ばれる処理能力のコア数が昔でいうところのパソコン1台に相当します。つまり8コアとは1つのパソコンに8台のパソコンが入っているのと感覚的には同じです。

マルチモードの場合総合音源に複数の音色を読み込めます。1つの総合音源の中で10の音色を立ち上げるのと、10の総合音源源に1つずつ音色を立ち上げるのもどちらが並列処理しやすいか?という視点で考えれば複数のコンピューターが複数ある方が速く処理できるのがわかるかと思います。

各DAWによって並列処理は異なる

DAWによってそれぞれの機能は違いますが、一番の違いはCPU負荷をどのように処理するかです。今回はLogicProXにおいての検証になるので他のDAWではかなり異なった結果になる可能性もあります。

負荷実験

環境は以下の通りです。

  • パソコン :Macmini2018
  • CPU   :Corei7 3.2GHz 6コア
  • メモリ  :32GB
  • 使用DAW:LogicProX
  • Audio/IF  :896HD
  • バッファ :256

KONTAKTマルチモードの場合

リアルなアコースティックギターを再現してくれるProminyのHammingbirdを1つのKONTAKTの中に10個ほど立ち上げすべてが連動するようにMIDIチャンネルはすべて1にしています。

画像

これで次のような簡単なフレーズを打ち込んで負荷をチェックします。

この状態での負荷は次のとおりになります。

画像

1つのCPUに高負荷がかかっているのがわかります。かなりCPUが酷使されている状態です。ちなにこれはKONTAKTが入っているトラックを選択された状態ですが、LogicProXの場合は再生時に音源が入っていないトラックを選択することで負荷を逃がすことができます。

画像

この状態でCPU負荷を計測すると見事に負荷が軽減されます。

画像

KONTAKTシングルモードの場合

では次にKONTAKT1つに1つのHammingbirdを立ち上げてそれを10トラック作成して鳴らしてみます。画像

画像

負荷はこのような状態になります。

画像

各コアに分散されているのがよくわかります。さらに先程と同じように音源が入っていないトラックを選択するとさらに負荷が分担されます。

画像

UVI Falconのマルチモード場合

Falconに1つにacoustic sampleのF・Grand/278を8つ立ち上げてみました。8つ立ち上げた理由は9つにするとノイズが乗ってしまうからです。

画像

ピアノはサスティンの長さで負荷が大きくなるので今回はピアノを選んでいます。

負荷は次の通りです。

画像

UVI Falconのシングルモードの場合

やはりKONTAKTと同じように1つのCPUに大きな負荷がかかっているのがわかります。次にFalcon1つにF・Grand/278を1つ立ち上げてみます。シングルでは8つ以上立ち上げるとノイズが乗っていましたが、個別に立ち上げ直すと16トラック立ち上げてもキレイに分散されています。

画像

またKONTAKTと同じように音源が刺さっていないトラックを指定するとさらに負荷が分担されます。

画像
画像

HALion6のマルチモード場合

HALion6にEAGLEピアノを2本指してみました。実はEAGLEピアノ3本以上指すとCPUに余裕はあるものの特定の小節の音だけ小さくなってしまいます。

SUTAIN RESONANCEとNOTE OFFをオフにすることで多少ましになるのですが、それでも4トラック〜6トラックが限界です。

画像

2トラックで負荷は40%〜最大75%の間を動きます。

画像

HALion6のシングルモードの場合

これを個別分散すると次のようになります。

画像
画像

8トラック使っても音が途切れるようなことにはなりません。HALion6もLogicProXにおいてかなり負荷の分散ができているように思います。

OMNISPHEREのマルチモードの場合

ARP+BPMのAmber Skiesというプリセットを3つ読み込みます。現在の設定環境では3つ以上立ち上げるとノイズが乗ってしまいます。

画像
画像

OMNISPHEREはパッチによっては重たいものもあるので、負荷分散はかなり重要だと思います。

OMNISPHEREのシングルモードの場合

画像
画像

かなり負荷が分散されていますが、やはり軽いとは言いにくいパッチのせいで分散しても負荷はそれなりにあります。

作曲家の酒井康男さんからこんな質問をもらったので調べてみました。

https://twitter.com/yasuo_sakai/status/1227558483135877121

下記の画像はOMNISPHEREの中に3つ同じパッチを立ち上げてLogicProXではMIDIトラックとして扱う一般的な総合音源としての使い方です。

それにEXS24のピアノとES1でベースを打ち込みました。

画像

CPU負荷はチャンネルを分けているのである程度分散するものの高負荷であることに変わりはないです。

次に、OMNISPHEREに1つのパッチにしてそれを3トラック立ち上げたのが下記の画像です。

画像

かなり負荷は軽減されています。また1つ面白い発見があったのは、空きトラックを選択せずにEXSやES1トラックを選択しても負荷が分散されますが、試しにEXS24の代わりにAlchemyを立ち上げてみたら、EXS24のようにならずシングルCPUを使ってしまう形になりました。Alchemyはまだ完全にLogicProXに最適化されていないということなのかもしれません。

画像

VIENNA ENSEMBLE PROの場合

CPU負荷分散ソフトのVIENNA ENSEMBLE PRO(以下VEP)を使うとさらに負荷を小さくすることができます。

VEPにFalconを1つ立ち上げその中に先程の倍である16のacoustic sampleのF・Grand/278を立ち上げて再生すると負荷は次のとおりになります。

画像
画像

1つのFalconの中に倍の数のF・Grand/278立ち上げても負荷はほぼ無しの状態です。私が「CPU負荷が高すぎて新しいパソコンを買い替えたい」と考えている人にとってはまずVEPの購入の検討を促すのはこういう理由からです。

ただ、通常VEP立ち上げ時はバッファーのサイズが2になっています。LogicProXのCPUメーターはほとんど動きませんが、再生するとブツブツとノイズが発生します。なのでバッファーはVEP4にしてあります。ただバッファーのサイズを2と4にしてもCPU負荷の動き方はほとんど変わりません。

CPU負荷逃し

これは総合音源に限ったことではありませんが、負荷の高いソフト音源を使用するときは、再生時にエフェクトプラグインや音源がささっていないオーディオトラックを選択することでCPU負荷が分散します。

こちらの記事で紹介しているProminyのギター音源ではCPU負荷逃しをすることでCPUの負荷が大幅に減っていることがわかります。

まとめ

KONTAKTもFalconもマルチコアの恩恵をしっかり受けているのがわかります。CPUに負荷をかけるということはそれだけCPUを酷使することにもつながり、再生不良や強制終了、もっと最悪な場合CPUの寿命を短くしてしまう可能性もゼロとは言えません。

DAWによっては負荷は変わってくるので立ち上がる音源やプラグインの数が今回の調べた方と一致するわけではありませんが、ある程度近い数字になることが予想されます。当然音源だけではなくリバーブなどの高負荷なエフェクトプラグインも使うケースもあると思うので、CPU負荷を軽減できるところはしっかりと軽減したいものです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

タップできる目次