使用できる音源が2倍以上になるCPU低負荷のマルチ音源立ち上げ方

CPUに負荷がかかると強制終了の原因になります。強制終了されなくても音源がまともに再生できない場合があります。なのでできるだけCPUに負荷がかかるような音源は立ち上げない方がいいです。しかしそうは言ってもいろんな音色を使ってみたいですよね。でも「創作中の強制終了だけは絶対にいや!」「もっといろんな音源を同時に使いたい!」という人のために今日はCPUに負荷を逃がすためのマルチ音源の立ち上げ方について説明します。

結論から言うと「1つのマルチ音源に立ち上げる音色は1つ」が正解です。

その理由について説明します。

マルチ音源とは何か?

有名なマルチ音源は以下の3つです。

  • Native Instruments  KONTAKT
  • UVI                          Falcon(Workstationを含む)
  • Steinberg              HALion6(HALionsonicを含む)
  • SPECTRA SONIC  OMNISPHERE(Trilianも含む)
  • Ik Multimedia           SampleTank4

ここでのマルチ音源の定義は1つのインストルメントの中で最低でも8トラック以上の音色を同時に立ち上げられる音源とします。

今回のマルチ音源の使い方として次の二通りがあります。

  • 1つのマルチ音源の中に1つの音色しか立ち上げない状態をシングルモード
  • 1つのマルチ音源の中に1つ以上の音色を立ち上げることをマルチモード

 

ちなみに以前DAW別にCPU負荷のチェックをしたときはシングル音源でのチェックでした。

5つのDAWを比較してわかったCPU使用率が1番軽いDAWはどれ?

今回はよく使われているKONTAKTとFalconそしてHALion6とOMNISPHEREを使ってチェックします。

なぜ「1つのマルチ音源に立ち上げる音色は1つ」が正解なのか?

最近のパソコンは複数コアによる並列処理です。イメージ的には1つの速いパソコンで10のタスクを処理をするより、少し遅くても8つのパソコンで10のタスクを処理する方が次々に同時に処理できるの1つのCPUにかかる負荷が小さくなります。先程説明したシングルモードという使い方になります。

複数コアについて

最近は最低でも4コア、もう少し良いものであれば6コアや8コア、12コアというものがあり、最新のMacProは最大56コアというとんでもない並列処理をこなします。

実際はコンピューターの中には何台もパソコンがあるわけではありませんが、CPUと呼ばれる処理能力のコア数が昔でいうところのパソコン1台に相当します。つまり8コアとは1つのパソコンに8台のパソコンが入っているのと感覚的には同じです。

マルチモードの場合マルチ音源に複数の音色を読み込めます。1つのマルチ音源の中で10の音色を立ち上げるのと、10のマルチ音源に1つずつ音色を立ち上げるのもどちらが並列処理しやすいか?という視点で考えれば複数のコンピューターが複数ある方が速く処理できるのがわかるかと思います。

各DAWによって並列処理は異なる

DAWによってそれぞれの機能は違いますが、一番の違いはCPU負荷をどのように処理するかが一番の違いになります。今回はLogicProXにおいての検証になるので他のDAWではかなり異なった結果になる可能性もあります。

負荷実験

環境は以下の通りです。

  • パソコン :Macmini2018
  • CPU   :Corei7 3.2GHz 6コア
  • メモリ  :32GB
  • 使用DAW:LogicProX
  • Audio/IF  :896HD
  • バッファ :256

KONTAKTマルチモードの場合

リアルなアコースティックギターを再現してくれるProminyのHammingbirdを1つのKONTAKTの中に10個ほど立ち上げすべてが連動するようにMIDIチャンネルはすべて1にしています。

これで次のような簡単なフレーズを打ち込んで負荷をチェックします。

この状態での負荷は次のとおりになります。

1つのCPUに高負荷がかかっているのがわかります。かなりCPUが酷使されている状態です。ちなにこれはKONTAKTが入っているトラックを選択された状態ですが、LogicProXの場合は再生時に音源が入っていないトラックを選択することで負荷を逃がすことができます。

この状態でCPU負荷を計測すると見事に負荷が軽減されます。

KONTAKTシングルモードの場合

では次にKONTAKT1つに1つのHammingbirdを立ち上げてそれを10トラック作成して鳴らしてみます。

負荷はこのような状態になります。

各コアに分散されているのがよくわかります。さらに先程と同じように音源が入っていないトラックを選択するとさらに負荷が分担されます。

UVI Falconのマルチモード場合

Falconに1つにacoustic sampleのF・Grand/278を8つ立ち上げてみました。8つ立ち上げた理由は9つにするとノイズが乗ってしまうからです。

ピアノはサスティンの長さで負荷が大きくなるので今回はピアノを選んでいます。

負荷は次の通りです。

UVI Falconのシングルモードの場合

やはりKONTAKTと同じように1つのCPUに大きな負荷がかかっているのがわかります。次にFalcon1つにF・Grand/278を1つ立ち上げてみます。シングルでは8つ以上立ち上げるとノイズが乗っていましたが、個別に立ち上げ直すと16トラック立ち上げてもキレイに分散されています。

またKONTAKTと同じように音源が刺さっていないトラックを指定するとさらに負荷が分担されます。

HALion6のマルチモード場合

HALion6にEAGLEピアノを2本指してみました。実はEAGLEピアノ3本以上指すとCPUに余裕はあるものの特定の小節の音だけ小さくなってしまいます。

SUTAIN RESONANCEとNOTE OFFをオフにすることで多少ましになるのですが、それでも4トラック〜6トラックが限界です。

2トラックで負荷は40%〜最大75%の間を動きます。

HALion6のシングルモードの場合

これを個別分散すると次のようになります。

8トラック使っても音が途切れるようなことにはなりません。HALion6もLogicProXにおいてかなり負荷の分散ができているように思います。

OMNISPHEREのマルチモードの場合

ARP+BPMのAmber Skiesというプリセットを3つ読み込みます。現在の設定環境では3つ以上立ち上げるとノイズが乗ってしまいます。

OMNISPHEREはパッチによっては重たいものもあるので、負荷分散はかなり重要だと思います。

OMNISPHEREのシングルモードの場合

かなり負荷が分散されていますが、やはり軽いとは言いにくいパッチのせいで分散しても負荷はそれなりにあります。

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作曲家の酒井康男さんからこんな質問をもらったので調べてみました。

https://twitter.com/yasuo_sakai/status/1227558483135877121

下記の画像はOMNISPHEREの中に3つ同じパッチを立ち上げてLogicProXではMIDIトラックとして扱う一般的なマルチ音源としての使い方です。

それにEXS24のピアノとES1でベースを打ち込みました。

CPU負荷はチャンネルを分けているのである程度分散するものの高負荷であることに変わりはないです。

次に、OMNISPHEREに1つのパッチにしてそれを3トラック立ち上げたのが下記の画像です。

かなり負荷は軽減されています。また1つ面白い発見があったのは、空きトラックを選択せずにEXSやES1トラックを選択しても負荷が分散されますが、試しにEXS24の代わりにAlchemyを立ち上げてみたら、EXS24のようにならずシングルCPUを使ってしまう形になりました。Alchemyはまだ完全にLogicProXに最適化されていないということなのかもしれません。

VIENNA ENSEMBLE PROの場合

CPU負荷分散ソフトのVIENNA ENSEMBLE PRO(以下VEP)を使うとさらに負荷を小さくすることができます。

VEPにFalconを1つ立ち上げその中に先程の倍である16のacoustic sampleのF・Grand/278を立ち上げて再生すると負荷は次のとおりになります。

1つのFalconの中に倍の数のF・Grand/278立ち上げても負荷はほぼ無しの状態です。私が「CPU負荷が高すぎて新しいパソコンを買い替えたい」と考えている人にとってはまずVEPの購入の検討を促すのはこういう理由からです。

[驚愕]CPUスペックでDTMパソコンを選ぶと失敗するその理由とは

ただ、通常VEP立ち上げ時はバッファーのサイズが2になっています。LogicProXのCPUメーターはほとんど動きませんが、再生するとブツブツとノイズが発生します。なのでバッファーはVEP4にしてあります。ただバッファーのサイズを2と4にしてもCPU負荷の動き方はほとんど変わりません。

さいごに

KONTAKTもFalconもマルチコアの恩恵をしっかり受けているのがわかります。CPUに負荷をかけるということはそれだけCPUを酷使することにもつながり、再生不良や強制終了、もっと最悪な場合CPUの寿命を短くしてしまう可能性もゼロとは言えません。

DAWによっては負荷は変わってくるので立ち上がる音源やプラグインの数が今回の調べた方と一致するわけではありませんが、ある程度近い数字になることが予想されます。当然音源だけではなくリバーブなどの高負荷なエフェクトプラグインも使うケースもあると思うので、CPU負荷を軽減できるところはしっかりと軽減したいものです。

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