(ジャンル別)作曲で大切なテンポの決め方について説明します。

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テンポは作曲における骨格を決定し、楽曲全体のイメージとリズムを形作る基本要素です。

この記事では、テンポの重要性とその決め方について詳しく説明しています。テンポはBPM(ビートパーミニット)で表され、楽曲の速度感を決定します。

適切なテンポの選択は、メロディ、コード進行、歌詞の表現力を最大化し、聴き手の心拍数に影響を与えることで、楽曲が持つ感情的な重みを変化させます。DTM作曲では、テンポを意識することで、アップテンポの曲でもゆったりとしたバラードでも、意図した通りの雰囲気を作り出すことが可能になります。この記事を通じて、テンポ決定の方法と音楽制作におけるその役割の理解を深めることができます。

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テンポとは何か?

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テンポとはBPM(ビットパーミニッツ)の略で一般的な4/4拍子の音楽ジャンルでは

一分間に4分音符が何回鳴るかで決まります。

テンポ60(BPM60の場合)は4分音符が60回120なら倍の120回という感じです。

テンポとは

速いか遅いか?

テンポが遅いとやはりゆったりとした気分になります。

落ち込んでいるときは速いテンポより遅いテンポの方が

より現状の重たさを感じのではないでしょうか?

車も走行速度が上がれば車体は軽くなります。

テンポが早くなればなるど快活な気分になるので、

テンポが世界観に及ぼす影響はコード進行なみに大きいと言えます。

人はテンポによって支配されていると言っても過言ではありません。高揚感を感じると心拍数は速くなりリラックスすると心拍数は遅くゆっくりになります。

このことについてはこちらの記事の「テンポ的なイメージ」の中で詳しく書いていますので

よかったら参考にしてください。

DTMerが知らないと損する「クールな曲」の正体と作り方に必要な知識

音楽の三要素+音色そして音の三要素、音程、音量 明るさこれらはすべてテンポの上で成り立っていることになります。つまりは音楽にあらゆる要素が与えられ楽曲としての情報として認識できるのは

テンポが決まってからということになります。

テンポの意味合いについて

クラシック音楽で使われるテンポの表記名(主にイタリア語)と、それに対応する一般的なBPM(ビート毎分)の範囲を以下に表形式でまとめました。なお、テンポは作曲家や時代、解釈によって多少異なる場合がありますが、ここでは標準的な目安を示します。

テンポ表記意味(日本語での解釈)BPM範囲
Grave非常に遅く、重々しく20–40
Largo広く、非常に遅く40–60
Lento遅く50–70
Adagioゆっくりと、穏やかに60–80
Andante歩くような速さで80–100
Moderato適度に100–120
Allegrettoやや速く110–140
Allegro速く、生き生きと120–160
Vivace活発に140–180
Presto非常に速く160–200
Prestissimo極端に速く200以上

クラシックとポップスのテンポによるイメージがイコールではないと思いますが、このテンポと意味合いは参考になります。ちなみに、これらの意味を感情的な側面から考察すると以下のようになります。

なお、作曲家によってテンポの意味合いは若干異なる傾向にあります。

以下に、テンポ表記ごとの感情的側面と意味合い、そして対応する一般的なBPM範囲を組み合わせた表を作成しました。これにより、テンポの速さと感情的ニュアンスの関係が一目で分かります。

テンポ表記/BPM範囲感情的側面と意味合い
Grave(20–40)深い悲しみ、荘厳さ、絶望感、重苦しさ。死や悲劇を連想させ、沈鬱な雰囲気を醸し出す。
Largo(40–60)静けさ、厳粛さ、瞑想的な感覚。ゆったりとした広がりの中で、深い感情や哀愁が漂う。
Lento(50–70)憂鬱さ、疲労感、静かな内省。動きが抑制され、感情が内にこもるような印象を与える。
Adagio(60–80)穏やかさ、安らぎ、優しさ、時に切なさ。感情がゆっくりと流れ、聴き手に余韻を残す。
Andante(80–100)平和、落ち着き、自然な流れ。歩くようなリズムで、安心感や穏やかな喜びを表現。
Moderato(100–120)中庸でバランスの取れた感情。穏やかながらも活気があり、安定感と適度な推進力を感じさせる。
Allegretto(110–140)軽やかさ、楽しさ、ちょっとした遊び心。明るい雰囲気を持ちつつも、過度に急がない控えめな喜び。
Allegro(120–160)活気、喜び、エネルギー、前向きな勢い。生命力や高揚感が溢れ、聴き手を引き込む。
Vivace(140–180)躍動感、情熱、鮮やかさ。生き生きとした感情が爆発し、興奮や楽しさが強調される。
Presto(160–200)緊張感、急迫、劇的な昂揚。息つく暇もないほどの速さで、激情やスリリングな展開を表現。
Prestissimo(200〜)極端な興奮、混乱、圧倒的な力強さ。人間の限界を超えたような熱狂や緊迫感を伝える。

BPMと感情の連動: BPMが低いほど感情は内向的で重厚になり、BPMが上がるにつれて外向的でエネルギッシュな表現に移行します。

同じテンポでも、曲の文脈(調性、和声、楽器編成など)によって感情的意味合いが微妙に変化することがあります。たとえば、「Adagio」が穏やかさを表す場合もあれば、深い悲しみを帯びる場合もあります。

テンポとジャンルの関係

ジャンル(BPM)曲名(アーティスト)特徴・備考
ポップ(約160)“Shake It Off” – Taylor Swift軽快なリズムのアップテンポポップ。実質的には体感BPMはやや遅め。
ロック(約117)“Smells Like Teen Spirit” – Nirvanaグルーヴィーでエモーショナルなテンポ。
ヒップホップ(約171(体感86)“Lose Yourself” – Eminemハーフタイムのグルーヴでトラックは速いが体感は中速。
トラップ(約78)“SICKO MODE” – Travis Scott変則的構成と重低音の効いたゆったりビート。
EDM(約126)“Titanium” – David Guetta ft. Sia128 BPM前後が主流、クラブ向きの安定したリズム。
ハウス(約123)“One More Time” – Daft Punk明快な4つ打ち、ループ性の高いビート。
テクノ(約135)“Spastik” – Plastikmanミニマル構成、高BPMながら反復感が強い。
ドラムンベース(約174)“Timewarp” – Sub Focus高速BPM、複雑なブレイクビートが特徴。
レゲエ(約76)“One Love” – Bob Marleyゆったりとした裏打ちリズム、平和的な雰囲気。
ジャズ(約174(5/4拍子))“Take Five” – Dave Brubeckモダンジャズ、変拍子によるスウィング感。
ボサノバ(約130(体感60〜80))“The Girl from Ipanema” – João Gilberto & Stan Getzサンバより遅め、優雅で揺れるようなリズム。
メタル(約220)“Master of Puppets” – Metallica超高速リフ、強烈なドラムパターン。
ファンク(約112)“Super Freak” – Rick Jamesリズミカルでグルーヴ重視、ノリやすい中速テンポ。
R&B(約93)“No Scrubs” – TLCヒップホップ寄りのグルーヴ、ボーカルメロディを重視。
ラテンポップ(約89)“Despacito” – Luis Fonsi ft. Daddy Yankeeレゲトンリズムで踊れる、緩めのテンポ感。

テンポが重要な理由

例えば何も変哲のない連続した8分音符のベースがあったとします。次の8分音符がなるまで発音するのは当然です。

しかし音は減衰します。その減衰するタイミングや速度は音色によって異なります。

その減衰するタイミングや速度もグルーヴとなります。

そのタイミングと速度は何を基準にするかというとテンポです

例えばギターやベースのミュート奏法はどのタイミングで減衰させるかでグルーヴが変わります。

キックで4つ打ちと言っても

そのキックが808のようなリリースの長いキックなのか

タイトなキックなのかによってもどこで減衰するのか

その速度もタイミングも違います

キック専用音源である

Kick2は細かく時間軸の変化がコントロールできます。これらもテンポと音の変化の関係性がいかに重要なのかをしめしていることになります。

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シンセの音作りでもADSRにおける時間変化は当然テンポによって決まるものです。

「優しい音」を作るとなった場合、アタックの速度によってその優しさの意味合いが変わります。

コンプの設定も当然テンポありきで動作するエフェクトです。コーラスによるうねりもディレイの回数もリバーブの残響時間もすべてテンポに左右されます。

ダンス曲などのベースやキックのタイミングや絡み方このあたりがよりシビアにコントロールされるべきなのですが、

EDMキックやベースという音色名だけで「これでかっこいいEDM曲になるわ」と思い込んで使用して「何か違う」となるのはこのためです。

テンポの決め方

正直「これをすれば間違いないテンポの決め方」はありません。

たくさん曲を聞いて「なぜこのベースは気持ち良いのか?」「なぜこの曲はこんなに高揚感を掻き立てるのか」という疑問を持ちならがテンポを調べることでテンポと音色や奏法のグルーヴ感を落とし込むことができます。

最近のDAWにはBPMカウンターなるものがついていて取り込んだオーディオファイルなどのテンポをある程度計測してくれるものもあります。写真はLogic ProのBPMカウンター

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まとめ

時間芸術である音楽はテンポの影響力はどうやっても無視することはできません。どんなによいプラグインを買っても、テンポは音楽におけるもっとも重要な要素です。

その要素を意識できるようになると音色作りから選び、演奏技術の上達が格段に上がります。

このテンポで「なぜその音色変化なのか?」神々は細部に宿るといいます。細かいところに意識を向けられる審美眼の一つとしてテンポを意識してみるのはいかがでしょうか?

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