DTM クールな曲の作り方と編曲方法のコツを紹介

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  • クールな曲を作ってみたいけどクールってなんだろう?

音楽で難しいのは抽象的な言葉は何を意味しているのか?ということです。

実際クールな曲と言われて聴いた曲でも「これがクールなの?」ということはあると思います。そこでこの記事ではクールという抽象的な言葉も紐解いて具体的な音楽的要素を抽出してみます。

つまりこの記事を読むことで誰かに「クールとはなんぞや?」と言われても相手を納得させられる説明力が身につきます。

その結果自分もクールな曲を自由に作ることができるようになります。

UG
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クールとは

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一般的な解釈としては次のように言われています。

① (温度や色などが)冷たいさま。涼しいさま。

② 冷静であるさま。物事に感情が動かされないさま。 

「HOT(熱い)」に対して「COOL(冷たい)」という対比がよく理解できます。音楽においては、後者の意味合い、つまり「冷たい」ニュアンスで語られることが一般的です。

物事を理解する際、「そうでないもの(反対)」と比較することで、その本質が浮かび上がることがあります。そこで、クールの反対を挙げてみましょう:

  • 冷静ではない ⇔ 興奮
  • 落ち着く ⇔ 慌てる
  • 感情的 ⇔ 理性的
  • 美しくない ⇔ 醜い
  • ダサい ⇔ かっこいい
  • 野暮な ⇔ 粋な

これらは、クールな音楽を定義する最もシンプルな要素と言えるでしょう。この対比を意識するだけでも、「クールな要素」を取り入れた音楽を作るヒントになります。

ただし、ここからさらに掘り下げることで、「クール」の定義をより明確にしたいと思います。まずは、クールな音楽とは「冷静さがあり、感情に振り回されない雰囲気を持つもの」と捉えてみます。

次に、視点を変えて、クールを視覚的なイメージとして捉えてみましょう。

クールな見た目

クールなファッションというワードをGoogle検索で調べたものです。

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ぱっとみた感じの印象としては黒が多く使われています。私なりにですが、クールな印象として受けるものとして「都会」というのがありますのでそのワードでも検索してみると

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やはり、「黒」が目立ちます。もう少し厳密にいうと「モノトーン」であるといえます。

つまり一般的な概念として「クール=モノトーン」と思われている傾向が強いです。

また「クールなイラスト」というワード調べ見ると多少色彩感があるイラストもありますが、モノトーン色が多いです。

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ここで思い出したほしいのが

クールの意味

「冷静な感じ、物事に感情が動かされない」

これは「必要以上に主義主張を表に出さない」とも言えるのではないでないでしょうか?モノトーンは多くの人からおしゃれとして言われるのが

「嫌味な主義主張がない」からだと私は思います。ここでさらにクールな音楽にはモノトーンの要素があるとわかります。

モノトーンとは?

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基本的には色の濃淡や明暗という意味です。一般的には白、黒、のイメージが強いですが、

どんな色でも単色の濃淡ならモノトーン配色になります。普段は私達は「白と黒」以外をモノトーンとして認識する癖がないので、イメージはわきにくいかもしれませんが青の濃淡であれば青色のモノトーン赤の濃淡であれば赤色のモノトーンとして認識しても間違いではありません。

モノトーンの印象

一般的には「ノスタルジック」「ミステリアス」「鮮麗されている(おしゃれ)」「スマート」「今風」「都会ビル街」

「知的」「画一的」「代わり映えのしない」「絶望的」「無気力」「スモーキー」「死」「光と影」「落ち着いた感じ」「感情面が見えない。」こんなイメージがあります。

他にもあるとは思いますが、モノトーンからくる印象は決して「見る人に明るい快活な印象を与えるものではない」ということになります。

少し余談ですが、モノトーンが「ノスタルジック」とされているのは白黒写真の影響があるのではと思っています。

今の若い人はモノトーンに懐古主義的な意味はなく純粋な「白黒」という世界観に新しい価値観を持っている可能性があるので「モノトーン=ノスタルジック」と決めつけるのは個人的には疑問です。

ではこれらを踏まえて

(モノトーン的)とはおしゃれで落ち着いてスマート明るく快活ではないという解釈がもてそうです。音楽にはマイナー的な響き(暗い)イメージの方がクールな印象があることになります。

音色的な傾向

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ここからは音楽的な視点で進めます。1980年代から1990年代初頭にかけて、日本で「シティポップ」が流行しました。都会的で「おしゃれなサウンド」として愛され、「クール」と形容されることも多かったです。

当時はエレクトリックピアノやベル系の金属的な音色が特徴的でした。それまでのアナログシンセは加工音に限られ、デフォルメ感が強かったのに対し、デジタルシンセはサンプリングや倍音加算で「垢抜けたサウンド」を生み出し、都会的なイメージにマッチしました。

ただし、都会的サウンドがそのまま「クール」とは限りません。硬質で温もりに欠ける音色や虚無感が、「冷たい」クールさと共鳴したのでしょう。シティポップはクールの一面に過ぎません。

一方、シティポップに影響を受けたヒップホップは、金属的な音色が少なく、アナログシンセやリズムマシンで温かみのあるサウンドが特徴です。それでも「クール」と感じられますよね。

この2つのジャンル——シティポップとヒップホップ——の音の特徴を比較すると、以下のような対比が見えてきます:

  • 響く ⇔ 響かない
  • 硬質 ⇔ 柔らかい

それでも、どちらも「クール」と呼ばれるのは、単にサウンドの特性だけが理由ではないように思います。音色の違いを超えて、クールさを感じさせる何かがあるはずです。

以上のことから、クールな音楽は音色だけで決まるものではない、という結論に至ります。次に、クールさをテンポの視点から紐解いてみましょう。

テンポ的なイメージ

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クールな音楽のテンポBPMは存在しているのでしょうか?個人的にはここが一番クールを感じられる要素ではないかと思っています。

ここではまず人間の基本心拍数を考えます。なぜならば、テンポによって人は心理的な影響を強く受けるからです。

人間の基本心拍数は1分間に60~81とされている

コニカミノルタランニングプロジェクトより

https://www.konicaminolta.com/jp-ja/runpro/running/sports_safety/004.html

クールな音楽のテンポ(BPM)は存在するのでしょうか?テンポは人の心理に影響を与えるため、人間の基本心拍数(60~81BPM)から考えてみます。この範囲は安心感を与え、子守唄や唱歌(例:「ふるさと」82BPM)にもよく見られます。安心感は「ピンク色」「丸い形」「温かい」「女性らしい」といったイメージですが、これは「協調性が高い」とも言えます。しかし、「クール=冷静で感情に動かされない」という意味を考えると、安心感とは結びつきにくいです。

一方、テンポが速くなると高揚感が生まれます。例えば、EDMやクラブミュージックでは128BPMが基準となることが多く、これが一般的な高揚感の始まりと言えるでしょう。ただし、あまりに速いと(例えば120BPMはマーチングのテンポで倍速感があり)、クールな印象から外れてしまいます。

クールとは「感情に動かされないが、動くときは動く」というミステリアスなイメージで、「強調しすぎない自己主張」とも言えます。この定義をテンポに当てはめると、安心感の60~81BPMを超えつつ、高揚感の128BPM未満が適切です。具体的には、82~128BPMの範囲が候補になりますが、120BPM付近は速すぎてクールさに欠けるため、90~105BPMが「クールなテンポ」の sweet spot ではないかと考えます。

この範囲は、ヒップホップやR&Bでよく使われ、これらのジャンルが「クール」と評される傾向とも一致します。安心感から少し飛び出したこのテンポが、クールさの本質を表しているのかもしれません。

したがって、クールな音楽のテンポは、おおよそ90~105BPMであると言えるでしょう。

クールなメロディ

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メロディは、音の長さと高低の動きによって形作られます。メロディが大きく動くと、感情の起伏が生まれ、色彩感が加わります。ポップスは覚えやすいメロディでこの色彩感を強調し、聴き手の感情を心地よく揺さぶるのが特徴です。

一方、クールと評されるヒップホップのラップは、リズムが強いものの、メロディの上下動は控えめです。ヒップホップにも歌うスタイルはありますが、R&Bの方がよりメロディアスで、色彩感が強まります。しかし、この色彩感はクールさとは対極にあります。

つまり、クールな音楽とは、色彩感を抑え、メロディの動きを控えめにすることが重要な要素と言えるでしょう。

まとめ

  1. クールな音楽とは「冷静な感じ、物事に感情が動かされない」
  2. クールな音楽にはモノトーンの要素がある
  3. (モノトーン的)とはおしゃれで落ち着いてスマート明るく快活ではない
  4. クールな音楽は特定の音色だけで成り立つものではない
  5. クールな音楽は人間の安心テンポを少しはみ出した95〜105付近である
  6. クールな音楽とは色彩感を少なくすること

これらをまとめると多くの人が「クールな音楽」と呼べるものになるのではないでしょうか?

みなさんの中のクールな音楽はこの説明から成り立ちますか?

作曲において重要なのは

「抽象的な言葉を音楽で具体的に表すことができる能力」と私は思っています。

「かっこいい曲作って」

「かわいい曲作って」

「悲しげで…」

もっと具体的に言えやwというツッコミはサウンドクリエイターはしてはいけませんwそれを形にするのがお仕事です

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