Tone Empire Goliath V2レビュー アナログ感が気持ち良い作編曲向けプラグイン

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Goliathは光学式コンプの定番LA-2Aを再現したOptoREDやアメリカサウンドの代名詞と言われたバスコンプ2500 Stereo Bus Compressorにブリティッシュなニュアンスを組み合わせたModel5000、

そしてコンボリューション技術で6つのテープエミュレーションの挙動を新次元のレベルで再現したReelight PRO、真空管コンプの伝説的かつ最高峰と言われたFairChildを最新技術でモデリングに成功した FireChildこれらを作り上げたTone Empireが作り出した。ずるいチャンネル・ストリップです。

UG
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Tone Empire Goliath サウンドレビュー

プリセットAlloy Drum Bus 01をベースにAlloy TUBE TAPE VINYLのサウンドを比較してみたいと思います。

ここで私が求めるのは4つのモードから得られる雰囲気、そして腰の低さ、密度、これらを重視します。

プリセットの状態ではENVELOPE(コンプ)がほとんど動作しない状態だったので、GRが3〜5dBになるようスレッショルドを調節しています。

Drum Dry
ALLOY

ニッケル、鉄、鋼で作られたトランスの特徴を備えた有名な英国の1081サウンド

NEVE1073と同じくらい手に入らないNEVEサウンドを代表する1081をエミュレートしているALLOY

アナライザー的にはそこまでドンシャリではありませんが、ドンシャリ的な音になりますが、最低限保っていてほしい中高域の密度は感じられるので、抜けがよく、なおかつ勢いのあるドラムサウンドが欲しいときにはALLOYを選択します。

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白いアナライザー結果がALLOYです。
TUBE

AIR回路を備えた最新/クラシックのバルブ処理チェーンを使用してモデル化

TUBEサウンドか?と言われると私が求めるTUBEサウンドではありません。個人的にはTUBEサウンドはPulsar Audio MASSIVEか同社のFireChildがの方が好きです。

ですが、GOLIATHの内部でミックスされたTUBE感も個性があり、ほどよいサチュレーションはアナログ的な響きになるのでTUBEニュアンスがほしいときには役立つように思います。

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TAPE

ATR – 700テープレコーダーを15ipsで使用してサウンドをキャプチャして作られています。

一番お気に入りです、音の密度、存在感、このTAPEだけで十分満足できます。実機がわからに以上このTAPEが本物のTAPEサウンドなのかどうかはわかりません。

しかし、これを通した瞬間に「よし!テンション上がった!」と思わせてくれるので難しいことは考えずに「超お気に入り」の音が手に入ったと純粋に喜べる音色です。

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VINYL

ノイマンビニールカッティングマシンに接続されたアナログマスタリングチェーンと、ダブプレートからサンプリングされた複数のIRを備えています。

レコードといえばクラックノイズ的な音とラジオボイス的なアプローチがされている音が多い中ではレコード感を出そうと頑張っている音です。(14〜20kHzのノイズでレコード的な高周波を演出しているようにも見えます)

音が軽くなる印象はありますが、ガレージ系のドラムサウンドがほしい場合にはうまく嵌りそうな予感です。

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ベース

ドラムとベースを同時に鳴らしていますが、GOLIATHをかけているのはベースだけです。

こちらも4つのモードの音質差をチェックしてみます。

Drum+Bass Dry
Bass ALLOY

ALLOYでは中高域の音質改善によりベースのラインがわかりやすくなる効果が見込めます。埋もれがちなベースなどにはALOOYで音作りをするのは良いように思います。

Bass TUBE

音の丸みがモータウンや70年代のディスコサウンドを彷彿とさせてくれます。音数がすくないポップスでベースの存在感を聴かせたいときに便利です。

Bass TAPE

ドラムではお気に入りのTAPEですが、ベースでは音質によって低域が見えにくくなる感じがあります。ドラムとベースでTAPEを使うのは避けた方が良いように思います。

低域の削れ方をどのように捉えるかで評価が変わる音です。音のスピード感は出てきますが、ボトムを支えるという役目を果たすのは曲によっては難しい場合がありそうです。ミックス

個人的にはGOLIATHはマスタリング用途で使うものではないと感じてます。その理由はプリセット等にはドラムのBus関連のプリセットはあっても、2mixをまとめるようなプリセットは存在していません。

また周波数が固定となっているイコライザーや細かい音作りが得意でないエンベロープではマスタリング時のシビアな音の追い込みが難しいと思うからです。

ですが、どんなプラグインも使い方にルールなんてありません。使ってみて気持ちよければOKです。ということで2mix比較です。

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設定は、3〜5dBのGRと低域と高域を軽く持ち上げ、中域は少し削るドンシャリ系、この設定をベースに4つのアナログモデルを切り替えていきます。

2mix Dry
2mix ALLOY

締まった低域と抜けの良い高域は2mixでもありなような気がします。曲にもよりますが コンプはなしでもよいかもしれません。

2mix TUBE

丸くなった高域と気持ちよく持ち上がる低域はかなり病みつきになりそうなサウンドです。

2mix TAPE

TUBEよりさらに低いところに伸びていくTAPEは音こそ気持ちよいですが、完成形をしっかり見据えないと低域迷子になって音の輪郭を失いそうな気もしします。

2mix VINYL

明確な意図なしに2mixで使用するのは避けた方がよい音です。遊びココロでレコード系のサウンドにするにはイメージする音ではないと思います。ただ、シンセのレイヤーに隠し味程度で入れることで音の立体感を作れるので、そういう使い方の方が良いでしょう。

機能性および操作性

エンベロープはコンプレッサーの役割でそのモデルとなるのはFETモデルの金字塔である1176です。

色々な1176コンプのエミュレーションがありますが、音の雰囲気としてArturiaのComp FET-76と近い気がします。

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ドラムトラックだけに使用しています。

Comp FET-76
GOLIATH

1176といえば、レシオ全押しによる極厚コンプレッションサウンドです。GOLIATHでは1から6までのレシオがあります。しかし、公式のマニュアルでは次のように書かれているだけです。

しきい値:エンベロープが動作を開始するためのしきい値を制御します。

攻撃:事前にプログラムされた固定攻撃時間は、高速から低速になります。

リリース:事前にプログラムされた固定リリース時間は、高速から低速になります。

比率: 2:1から「すべてのボタンイン」(スマッシング比率)の範囲の固定比率。

引用元:Tone Empire GOLIATH販売ページ翻訳より

少し詳しい人ならば1176のRATIOは4:1、8:1、12:1、20:1 ALL(全押し)であって2:1なんてないのでは?と思うかもしれません。そうです。多くの1176には2:1はありません。しかし1176の誕生から40周年を記念したスペシャル1176(世界限定500台)の1176AEには2:1というRATIOが存在します。

画像

画像引用元:https://pro.miroc.co.jp/2008/07/19/1176ae/#.YpTX0BPP1qs

GOLIATHがエミュレートした1176はこのUniversal Audio 1176 Anniversary Editionだったのには驚きです。

上記の内容から考えるとGOLIATHのRATIOは次のように設定されていると思われます。

RATIO12:1
RATIO24:1
RATIO38:1
RATIO420:1
RATIO5ALL全押し

2:1のRATIOはボーカル等に最適と言われていますが、GOLIATHのプリセットのボーカルカテゴリを見ても2:1のRATIOを使ったプリセットは見つかりません。あくまでも「4:1からでガッツリかけてよ!その方がいいからさ!」というTone Empireの価値観なのでしょうか?

しかし、1176にはスレッショルドのつまみはありません、なので完璧に1176はAEモデルをエミュレートというほどのことではありません。

イコライザー

GOLIATHのイコライザーは以下の通り周波数が固定になっています。

Low Cut Filter20Hzから60Hzの範囲の一次ローカットフィルター。
Low EQ65Hz(固定)±10dBブーストカットするピークフィルター
Mid EQ1.5KH(固定)±10dBブーストカットするピークフィルター
High EQ15kHz(固定)±10dBブーストカットするピークフィルター

かゆいところには手がどかないイコライザーです、しかし、逆を言えば思いきりざっくりと音決めができるので音色制作迷子になるリスクがありません。

そして実際使ってみると、しっかりと音の棲み分けができていれば、LowとHighだけでも十分なことが分かります。

GOLIATHのイコライザーは音作りというよりは音の輪郭を整えるためのものと考えるのが妥当です。

なので、このイコライザーでうまく処理出来ない場合、それはアレンジレベルを見直す必要があるということになります。

ローカットEQ>アナログ処理セレクター(4つの選択肢)>エンベロープセクション>EQセクション。

エンベロープはパラメーターが良い意味で大雑把です。つまり、よくコンプで「アタック10ms〜20msでReleaseは160ms」みたいな説明をみると思いますが、GOLIATHはアタックとReleaseそれぞれ6段階なので、ものすごくざっくりと音決めが可能です。

画像

そんなにざっくりなら音が良くないのでは…?

こんなふうに思うかもしれません。実はそうでもありません。SSLのバスコンプもアタックやリリース6段階のステップ方式です。

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1msずつ細かい調整しなくても全然かっこよく音決めることが可能です。何より、作編曲の状態ではその1msの値の違いよりはより良いメロディやアレンジに全神経を集中することの方が重要です。

ざっくりであっても音の勢いが生まれた方が勝ち!みたいなところがあります。なので6段階のステップ方式であっても「音作りができないコンプだなー」とはまったく思いません。

先程もお伝えしましたがイコライザーは周波数固定タイプであり、音が団子になりやすい400〜800Hzを処理することはできません。

Low Cut Filter20Hzから60Hzの範囲の一次ローカットフィルター。
Low EQ65Hz(固定)±10dBブーストカットするピークフィルター
Mid EQ1.5KH(固定)±10dBブーストカットするピークフィルター
High EQ15kHz(固定)±10dBブーストカットするピークフィルター

個人的には400〜800Hz付近の周波数を調整できるパラメーターであればなお使いやすかったように思います。

気になる点として、プリセットを切り替えているときにLogicがシステム負荷の警告ウィンドウが開きます。

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あと、パラメーターを変更したあとに、プリセットを変更すると一番はじめAlloy Drum Bus 01に戻されます。これはLogic Proだけ(AU)だけの不具合かもしれませんが、Tone Empireの製品すべてに共通するバグのように思います。

CPU負荷につい

CPU負荷はオーバーサンプリングの使用によって大きく変わります。

基本はオフでもいいような気がしますが、違いが分かる人は目的に応じて調整するとよいでしょう。

ただ、10トラックのオーディオトラックのマスターに1つだけGOLIATHを足しているだけですので、作編曲時に多用できるものではないと思います。

CPU負荷計測環境
パソコン  Macmini2018
CPU  Corei7(i7-8700B)6コア 
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS11.6.5Big sur
Audio/IF APOGEE Symphony Ensemble
バッファー 256
DAW   LogicPro10.7.3
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD

まとめ

メーカーTone Empire
製品名Goliath
システムマック:
macOS 10.13以降
(Intel / M1 macOS Big Surをサポート)
VST3、AU、AAX (64ビットのみ)
2 GB RAM / 300MBHDが必要
画面解像度:1024×768

ウィンドウズ:
Windows 10以降 (64ビットのみ)
VST3またはAAX (64ビットのみ)
Intel i3 /AMDRyzenまたは同等のもの
2 GB RAM / 300 MB HD
画面解像度:1024×768
認証方式シリアル認証
マニュアル英語のみ
価格$86.90(税込み)

ミックスで使うのも良いですが、創作途中に音にパンチを与えて作編曲意欲を高めるという使い方はいいと思います。その場合はオーバーサンプリングはオフにして必要であればミックス時に調整する感じがよいでしょう。

とにかく、音がぐっとアツくなります!

ちなみにふくよかになりすぎたと思ったらVCAコンプ(例えばSSLのバスコンプ)等をちょっとだけ使うことで低音が引き締まるので持っている人は試してみてください。

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