レトロなLo-Fiサウンドはユーザーをノスタルジックな気持ちにさせてくれます。しかし、ノスタルジックと言っても人によってそこに求める音質は様々です。そのため、究極のレトロLo-Fiサウンドを求めては有償無償合わせて50近いLo-Fiサウンドプラグインを試してきました。
見つけたんかい?究極のレトロLo-Fiサウンドは
ミツケタ!!!
そんなときに使ってみてほしいのがAudioThing REELS。AudioThing REELSはテープエミュレーションプラグインであり、その音質は独特のレトロLo-Fiサウンドになり、他ではここまでの音になりません!
私は普段「これは絶対持っておいた方がいい!」という言い方はしませんが、これはストライクにハマってしまって全力でおすすめしているテープエミュレーションプラグインです。
AudioThing REELSとは
メーカー | AudioThing |
製品名 | REELS |
特徴 | レトロなLo-Fiサウンドを作り出す 3つのテープモードと2つのテープ速度を調整可能 テープディレイやモジュレーションコーラスも再現 テープストップエフェクトを搭載(速度調整可) |
システム | Windows: Windows 7, 8, 10 (64 bit) Intel Core 2 Duo or AMD Athlon 64 X2, 4 GB RAM VST2, VST3, or AAX, 64-bit host Mac: OS X 10.7 – macOS 10.15 Intel Core 2 Duo, 2 GB RAM VST2, VST3, AU, or AAX, 64-bit host AAX対応でProtoolsユーザーも安心して使えます! |
バージョン | v1.5.2(2023-05-15) |
認証方式 | シリアル認証 |
認証数 | 3つ |
容量 | 142MB |
マニュアル | プラグイン内にマニュアルリンクあり(Google Chromeで翻訳可能) |
価格 | 64.90ドル(メーカー価格) |
備考 | 体験版あり(45 秒ごとに 3 秒間沈黙し、保存が無効) |
REELSはアイルランドのダブリンに拠点を置くAudioThingによって作られたテープエミュレータープラグインです。
普通のテープエミュレータープラグインの多くは高音質でふくよかなアナログサチュレーションが売りなのですが、REELSは真逆のプラグインで、音の劣化具合を楽しむプラグインです。そのためLo-Fiなサウンドを好むユーザーからは高い評価を得ています。
モデリングもとのオープンリールマシン high fidelity MODEL402
ちなみにブラックモデルもあります。市場ではほぼ5000円程度で取引されていますが、どれも走行不可能なジャンク品ばかりのようです。
とにかく作るプラグインがマニアックながら「ほしかった!」というものばかりでユーザーのことを常に考えている姿勢が嬉しいです。
AudioThingが作ったTYPE AとBのエキサイタープラグインは聴けば一発でそれ!とわかるほどの音質になります。
Audio Thing REELS レビュー
音質
4
他では得られないレトロテープサウンド感
REELSは本当に良い意味で劣化します。テープエミュなどはキレイに飽和感を出すことで暖かみを出すことを目的としているものが多いですが、REELSはそんなことは考えていないというくらい気持ちよく劣化します。そしてふとバイパスにしたときに「何かつまらない」と感じるほど暖かみなどという一般的な言葉では形容できない魅力がREELSにはあります。
TAPEの交換で汚れ具合を微妙に変化させる!
どのタイプを交換しても基本は「汚い」です。しかしその微妙な劣化具合がLo-Fiユーザーの心を鷲掴みにします。
フルートやストリングスを使うことでメロトロン風に変化させることもできるのは隠れた使い方と思います。
機能性
4
3つのテープタイプと速度で得られる唯一無二のレトロ感
TAPE TYPEは以下のようなカテゴリで分けられています。
日本(JP) | イタリア(IT) | フランス(FR) |
使用済みテープ、全体的に周波数応答が優れている | 新しい古い在庫ですが、周波数応答が制限 | 使いすぎ、保存不良、周波数応答が非常に悪い |
JPが基本一番音が良いという位置づけですがHI-FIではなくLo-Fiの中では比較的キレイというだけで、実際はかなり汚れます。あとはTAPE SPEEDとTAPEのパラメーターで音作りをします。ユニークなのはTAPE TYPEとパラメーターは連動していてJPにするとJPの変化具合、FRにするとFRの変化具合が再現できます。このあたりにもかなりテープサウンドにに対して深い拘りが感じられます。
温かみのある独特のTAPE ECHO
個人的にはここを一番推したいほど優れたTAPE ECHOサウンドが得られます。また最近Twitter界隈で「ボーカルに最適なDelay設定186ms」が話題になりました。これはもともとはとあるオープンリールの再生と録音ヘッドの距離のことです。これをREELSで試すことでデジタルディレイで同じ設定をしたディレイとはまったく別物と言っていいほどの独特の質感を手に入れることができます。
決してHi-Fiではない味がありすぎるエコーサウンドはギターやボーカルどんな楽器にもハマります。
GUIのアニメーション&REC&STOPによるテープエフェクト
ただの飾りでアニメーションしているわけではなくオープンリールが動いています。RECとSTOPによるテープエフェクトスピードも変更できるので任意のテープエフェクト効果を得られます。
操作性
3.5
ダブリング(ADT)として使える!
先程もお伝えしましたが、デジタルDelayではなくかといってアナログDelayとも一味違うテープエコーは未だにプロの間でよく使われるエフェクトの一つです。
REELSのテープエコーの質感は「チープ」ですが、それが曲の中で使われたときの存在感は特別な音になります。
BUSで使うと昔ならではテープによるダブリング効果を得られます。
ひとくちメモ
ダブリングはビートルズのジョンレノンが「ねー何回も歌うのめんどくさいからさーなんか一回録音して後はなんとかしてよー」というアイデアをあービロードスタジオのケン・タウンゼントが「しゃーねーなー」という話からできました。めんどくさいは発明の母なりですw
安定性
4
CPU負荷はほぼない!ソフトシンセのかけ取りもOK
CPU負荷はとても低く扱いやすいです。また安定性も問題なくこのプラグインを起動しているときにDAWの動作が不安定になるようなことはありませんでした。
負荷はほぼゼロですが、ソフトシンセ使用時に使う場合、少しでも負荷は軽減したいところ、そういう場合はCPU負荷逃しを使うことでシングルCPUにかかる負荷をマルチコアに分散できます。
音源が刺さっていないトラックを選択することでシングルCPUの負荷がマルチコアに分散されることを「CPU負荷逃し」と私が勝手に命名しています。
CPU負荷を効率化させより多くのプラグインを動作させる方法について詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります。
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Intel Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.6.1 Monterey
Audio/IF Focusrite RED 8PRE
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.7
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
価格
4
文句なしの安さ!
レトロ感あふれるサウンド、テープディレイ、モジュレーション効果、テープストップエフェクト、豊富なプリセット機能面や操作性でも問題がなく、非常にコストパフォーマンスが高いプラグインです。
まとめ
REELSの汚しっぷりはかなりのものです。決して「うまく使えばHi-Fiに」というものではなくLo-Fiにしかなりません。しかし、そのサウンドは今まで聴いてきたテープエミュレーターのどれとも違う音になります。万能薬というものではありませんが、ここぞというときに聴かせたい場所には是非使いたいサウンドです。
個人的にはADTプラグインとして使うのもありだと思っています!
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