音楽制作の世界では、Kush AudioのREDDI-Tube D.Iプラグインが、特にベースギターの音作りに革命を起こしています。
このプラグインは、Altecのマイクプリアンプを模倣し、音源に暖かみとクリアな音質をもたらします。DTMや音楽プロデューサーにとって、REDDIはその音楽に深みとリアリティを加えるための必須ツールです。
Kushのこのプラグインは、音楽制作のプロセスを豊かにし、リスナーに忘れられない音体験を提供します。
Kush Audio REDDIとは?— 真空管DIプリアンプの魅力
Kush Audio REDDIは、実機のDI、A-Designs REDDIを再現したDIプラグインです。
A-Designs REDDIはベース・アンプAmpeg B-15を参考にして作られており、真空管6n1p-ev から得られる温かみのあるサウンドが特徴
ベースやエレクトリックギターの録音で豊かな存在感を生み出します。ヴィンテージの暖かさとモダンな柔軟性を兼ね備え、プロからホームスタジオまで幅広く活躍する製品です。
つまり、Kush Audio REDDIを使うことでアナログライクなパンチ感と真空管特有のコンプレッションそして深いローエンドが得られます。
それは今まで迫力が足りなかったベースサウンドに命を吹き込むことができる。そういったプラグインだと解釈してください。
DIとは
DI(Direct InjectionまたはDirect Input)とは、楽器の信号をミキサーやオーディオインターフェースなどのライン入力に適した形に変換するための機器です。特にエレクトリックギターやベースのような高インピーダンスの楽器信号を、バランスの取れた低インピーダンス信号に変換する役割を果たします。
結論から言うと、Kush Audio REDDIでは物理的なDIの仕事である低インピーダンス信号に変換する役割はありません。あくまで真空管を搭載した高品位なDIプリアンプの音質を再現したものという音質的変化を楽しむことを目的としています。
Kush Audio REDDIの特徴
Kush Audio REDDIのDIはあくまで仮想的であり物理的なDIとは違うことを先に解説しました。それを踏まえたうえでKush Audio REDDIのサウンドはどのような変化をもたらすのかについて解説します。
真空管による温かみのあるサウンド
Kush Audio REDDIは、真空管技術を活用したDIプリアンプで、そのサウンドは温かみと豊かな倍音成分が特徴です。
Ampeg B-15 からインスピレーションを得て作れており、真空管6n1p-ev を搭載、真空管の特性により、信号に独特の滑らかさが加わり、デジタルでは再現できないアナログ感が得られます。この効果は特に、エレクトリックベースやアコースティックギターなどの録音において、サウンドの深みと存在感を強化できます。
真空管の利点として、音の自然なコンプレッションが挙げられます。これは、ダイナミクスが柔らかく整えられることで、耳障りなピークを抑えつつも音楽的なニュアンスを維持するというものです。
また、入力信号に微妙な歪みが加わることで、倍音が豊かになり、サウンドがより立体的に感じられる効果もあります。これらの特性により、無味無臭なベース音源をよりリアルなサウンドに変化させられるという点でREDDIはプロのレコーディングやライブシーンで高い評価を得ています。
A-Designs REDDIとの違い


特徴 | 詳細 |
---|---|
オールチューブデザイン | – |
レベルコントロール | 可能 |
グランドリフト・スイッチ | あり |
ゼロフィードバックループ | あり |
出力トランス | オリジナル |
音質特性 | クリアで伸びのあるハイエンド、暖かみと透明感のある高品位サウンド |
スルー出力 | 6.3mm フォンジャック |
パワーインディケーター | 高輝度青色LED |
入力端子 | ノイトリック製XLRおよび6.3mm フォンジャック |
入力インピーダンス | XLR: 1.4kΩ、楽器用(6.3mm): 100kΩ以上 |
出力端子 | XLR |
出力インピーダンス | 600Ω |
最大出力レベル | +22dBu |
出力タイプ | ローインピーダンス、トランス式フローティングバランス |
周波数特性 | 20Hz-60kHz |
歪み(THD) | 0.08% @ 1kHz |
電源容量 | 100/120/230 VAC、42W |
サイズ | 89W x 89H x 368D(mm) |
重量 | 4.54kg |

実機はON/OFF、GNDスイッチ、そしてボリュームノブだけですが、Kush Audio REDDIはボリュームだけではなく、+20dBのパッドスイッチ、イコライザー(低域)、PHASEスイッチ、そして、ボリュームとは別のインプット、アウトプット、そしてプラグインならではのオーバーサンプリング等の機能が搭載されています。
また実機は¥176,000と非常に高額ですが、Kush Audio REDDIは購入しやすい価格になっているのが大きな特徴です。
Kush Audio REDDIの使用方法と活用例
Kush Audio REDDIはDIエミュレートプラグインですが、根本的には真空管サチュレーションプラグインと考えると明確な使い方がみえてきます。
まず一般的には、録音したベースに真空管的なニュアンスを与えたいというときに役立ちます。真空管エミュレーションはそれほど山の数ほど存在しますが、Kush Audio REDDIはわりとブライトな真空管サウンドになるので、音をはっきりとさせたい場合などに向いているように思います。
また、これは私がよくする方法ですが、モデリング系のベースを本物のようになじませるときにサチュレーションプラグインを使用します。例えば、IK MultimediaのModo Bassに使用するとことでモデリング特有のピエゾ感的なサウンドが弱まります。

バイパス状態
オン状態
歪ませた状態
また、ライブなど使われる方法として、DIとアンプサウンドを別トラックにわけて、一つはアンプを搭載しているトラック、一つはKush Audio REDDIを使っているトラックにすることで、アンプ特有のローエンド感とDI特有のクリア感が共存したベーストラックを作ることができます。
他社製品との比較
DIエミュレータープラグインというものは私の知りうる限りありませんので、サチュレーションプラグインという視点で考えると良いのですが、そうなると今度は膨大な量になります。
いくつか触ってきた中でサチュレーションの自由度が高いSoftube Harmonicsは良き対抗馬に感じます。
Softube Harmonicsはサチュレーションのバリエーションをいくつか選びそこからひずみの度合いまで決めていけるので、Kush Audio REDDIと比較すると、音作りの自由度は大きいです。
しかし、むしろ音作りというよりかんたんに高品質な真空管サウンドがほしい!という人にとってはKush Audio REDDIの方が使いやすいです。

Kush Audio REDDIの購入方法と価格情報
Kush Audio REDDIの購入方法は公式サイトthe house of kushのみでの購入になり、日本ECサイト等の代理店はありません。価格は$49ですが、たまにセールを行い、そのときには$30近くまで下がることがあります。
個人的な意見として急ぎで購入しなければいけないか?と言われるとそうではないと思いますので、セール時に安く狙うのが良いでしょう。
まとめ
使用ポイントとしてはやはり真空管エミュレーション(サチュレーション)的な意味合いが強いです。音色変化につながる操作項目は少ないですが、パッドスイッチ等を併用すると音作りの幅は思っている以上に広いです。
そこに音作りの幅を求めるとなると、Kush Audio REDDIはあまり魅力のある製品には思わないかもしれませんが、
そのかんたんな効果で得られる真空管サウンドとしては「使いやすい」と感じる人は多いのではないでしょうか?とくに、ベース・アンプAmpeg B-15のサウンドのニュアンスが好きな人にとっては使いやすく、かけ取りというわけではありませんが、録音時にKush Audio REDDIを使用することで、プレイにより魂が載せられ、結果的に魅力のあるベーストラックを作り上げることができると思います


