fxpansion BFD 3の動作は重たいとよく言われます。しかし他のドラム音源と比べてどこまで重いかはよく知られていません。そこでこの記事ではAddictive Drum2、ModoDrum、SSD5とCPU負荷のテストをしました。そのうえでBFD 3を軽くするための方法について説明しています。
BFD 3を買ったけどもう少し基本的なところから覚えたいという人はこちらの記事から読みすすめるのをオススメします。
ドラム音源CPU負荷の比較環境
BFD 3の必要スペックは以下の通りです。
- Mac OS X 10.11-10.15
- Windows 10 64bit
- AU、VST (2.4)、AAX 64bit Native、スタンドアローン対応*
- Intel Core i5 2400以上(Core i7以上を推奨)
- RAM4GB以上 (8GB以上を推奨)
- 画像解像度 1280×900以上(ご利用のホストアプリケーションに準じます)
- Apple GarageBand 10以降には非対応となります。
この環境であればBFD 3はさほどストレスなく動くということを約束しているわけですが、ソフト音源の重要な考え方ですが、作曲時、BFD3だけを使うわけではありません。多くのソフトシンセを使う場合この推奨スペックが必ずしもBFD 3がスムーズに動くわけではないという可能性は常に頭にいれておくべきでしょう。
以下の環境でBFD 3とAddictive Drum2、SSD5、ModoDrumのCPU負荷テストを行います。
- パソコン Macmini2018
- CPU Corei7(i7-8700B)6コア HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
- メモリ 32GB
- システム OS10.14.6 Mojave
- Audio/IF APOGEE Symphony Ensemble
- バッファー 256
- DAW LogicPro10.6.1
- 48kHz/24bit
- 再生ストレージSSD
テスト方法はステレオアウト(パラアウトなし)ドラムパターン(MIDI)を再生しているときのCPU負荷を計測しました。
マルチアウト時には今回の負荷よりは重くなる可能性があります。あくまで「必要最低限の動作状態での負荷テスト」と思ってください。
比較検証環境がLogicProなのでプラグインフォーマットはAUなので、VST環境で比較するとまた異なった結果が出る可能性もあります。
ドラム音源CPU負荷の結果
BFD 3のCPU負荷
計測キットはBFD 3付属の80’s Power Ballad 100bpm PG
一番右側がシングルCPUになり、それ以外はマルチコアという見方をします。ドラムパターンを再生している間は25%程度のシングルCPU負荷になっています。
これをCPU負荷逃しというBFD 3以外のトラック(できれば何もささっていないオーディオトラック系が良い)を選択することでCPU負荷が分散されることがあります
CPU負荷逃しについてこちらの記事でも解説しているので詳しく知りたい方は参考にしてください。
Addictive Drum2のCPU負荷
addictive drums 2の計測キットはCrisp With Plateを選択しました。BFD3に比べるとシングルCPUへの負荷も少なく、「軽いドラム音源」という名前は伊達ではないようです。
こちらもBFD 3と同じくCPU負荷逃しが有効でマルチコアによりシングルCPUの負荷が分散されているのがわかります。
多少軽くなっている感じがありますが「劇的に軽くなった」というほどのものではありません。使いやすいエフェクトでありながらよく負荷が抑えられている。多くの人に好まれる理由の一つかもしれません。
SSD5のCPU負荷
Steven Slate Drums 5の計測キットはClassic Absolute RockではほぼCPU負荷はないと言っても過言ではないほどです。
メモリの使用量が270MBということもあるのかもしれません。そこで一番容量が大きかった
SSD5.5 Designer Fatty BoomBatty(749.9MB)でCPUへの負担を測ってみると多少負荷が増しているのがわかります。
たまに25%を超えることがありますが、基本は20%程度の負荷になります。
またCPU負荷逃しをすると以下のような分散になります。
さすが必要最低限の機能で作られているドラム音源なだけあってかなり負荷は軽いですね
Modo DrumのCPU負荷について
世界初のモデリングドラム(金物系はサンプル)であるMODO DRUMは当然のことながらCPUの負荷が大きいです。今回のキットは一番パーツを読み込んでいるPREFERENCEを選択、シングルCPUで50%を超えます。
CPU逃しとして他のトラックを選択することで負荷が分散されます。
これらの検証の結果BFD 3は特別重たいドラム音源ではないと言えます。それでもネットでは「BFD 3は重たい」というイメージがあるみたいですね。(検索結果にも「BFD 3重い」というワードが出てきます)
そこでBFD 3の負荷をへらすための方法についてお話したいと思います。
BFD 3は軽く出来る!
BFD3の重さ対策として以下の動画が参考になります。
StreamingEngineの調整
Tools Show PreferencesからEngineを選択し調整していきます。
いろいろ案パラメーターがありますが、ここでCPU負荷の軽減に効果が感じられたのはMax Voiceです。デフォルトでは128になっていますが、64くらいに下げても大丈夫だと思います。
それ以外のパラメーターはCPU負荷というよりはメモリの削減に効果があるものが多いです。
ライブラリの保存ストレージを変更する
BFD 3が重いと言われる原因の一つは大量のサンプルのロードの時間の長さです。クオリティの高いドラム音源を選択するたびに長時間待たされると「重い」という印象になってもおかしくはありません。
なので可能である限りサンプルライブラリの保管場所はHDDよりSSDの方が望ましいです。
BFD 3の容量は非圧縮時で155GB実際のストレージでは可逆圧縮(圧縮解凍後に元に戻してもデータの欠落がない圧縮方法)で55GB程度のストレージを容量を必要とします。
最近のパソコンではOSが入ったシステムディスクなどはSSDであることが多いのですが、システムディスクとは別の音源専用のストレージに保存することが望ましいです。理由はいくつかありますが、SSDの容量が足りなくなったパフォーマンスの定価が見られます。この場合のパフォーマンスとはOSの立ち上がりであったり、DAWの機動性、その中で動く音源の機動性を示します。
BFD 3を軽くしたいのにシステム自体が重くなってしまうのはある意味で本末転倒といえます。
今ではSSDは1TB15,000円以下で購入できる時代です。500GBクラスならば7,000円を切っているので購入を考える価値は十分にあると言えます。
エフェクトの解除
BFD 3にはたくさんのエフェクトが搭載されています。その中でもリバーブはBreverbと呼ばれているものが搭載されています。基本リバーブ系はCPUを多く消費するので空間系はDAW側で調整するのがよいでしょう。
すべてのエフェクトを切った状態でのCPU負荷はエフェクトを使ってるものと比べてピークが少なくなり、全体的に負荷が抑えられている動きがあります。
フリーズorオーディオ書き出し
ここまでの対策で「BFD 3はやっぱり重い」と思うのであれば残されている道はフリーズ機能及びバウンスによる書き出しです。フリーズ機能は擬似的にオーディオ化する機能で、BFD 3のCPU負荷をなくすことができます。ただこの場合エフェクト等を調整することはできなくなります。
ある程度アレンジと方向性が固まったらBFD3に限らずソフト音源はフリーズさせておくとよいかもしれません。
その方がDAWへの負荷が減り、DAWが落ちたり固まったりするトラブルを予防できる可能性があります。
動画ではLogic Proでフリーズまでの流れを紹介しています。
一つ注意があるのはLogic Proはプロジェクトを立ち上げるとデフォルトで小節数が128くらいになっています。この状態でフリーズをすると128小節分をフリーズすることになります。
必要は小節数だけをフリーズしたい場合右から二番目のCmjの下の128と書かれた部分を任意の数値にすることで解決できます。
オーディオ書き出しは文字通りBFD3のファイルをすべてオーディオに書き出すことでBFD3の使用を停止できます。
ただBFD 3などドラム音源はマルチ出力(パラアウト)して使っていることが多いかもしれません。その場合の書き出しには少しコツが必要です。
パラアウトの具体的な方法はこちらで詳しく書いてあるので参考にしてみてください。
まとめ
BFD 3は重いという話ですが、比較した結果それほど重くはありません。個人的にも動作の重さというよりはロード時間の長さが一番問題になるように思います。
今回紹介した「BFD3の重さ対策」と他の音源の比較からみなさんにとって最適なBFD3環境を構築してみてください。
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