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コンデンサーマイク保管方法について湿度30~50%は本当?

高音質で録音できるコンデンサーマイクはDTMの録音や最近では在宅ワークのビデオ会議でも人気です、

しかし、コンデンサーマイクの保存方法を誤ると故障の原因につながります。この記事ではコンデンサーマイクの保管方法の中でもシビアとされる「湿度問題」について有名マイクメーカーや海外のフォーラムやブログを20以上調べ、どのような保管が適しているのかを解説しています。

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UG
作編曲家(DTMブロガー)
作編曲家/DTMブロガー&講師 /
日本シンセサイザー協会準会員/
テレビ番組/CM、映画、よさこい、
ゲーム、などのBGM及び効果音を作成

コンデンサーマイク管理に最適な湿度は?

コンデンサーマイクの保管における適切な湿度は30~50%と言われています。この根拠は次のブログから引用している人が多いです。

やってはいけないコンデンサーマイクの保管方法 [初心者のDTM・音楽]

しかし、この記事にある「湿度は30~50%」の根拠となるデータはノイマン、RODE、SHURE、などのマイクメーカー等を調べても発見できず、海外のフォーラムやブログを20近く探しましたが、根拠となる記事はありませんでした。

ただAKGというメーカーのコンデンサーマイクC4000Bの取説には湿度に関するデータがありました。

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これを見る限り相対湿度相対湿度:90%(-20°C)、85%(+ 60°C)ということになります。しかしこれだけを見て「湿度は30~50%」の根拠とはなり得にくいです。

湿度管理には保湿庫(デシケーター)が一般的です。そこでデシケーターを製造/販売している東洋リビングの湿度別 最適な製品の選び方には以下のような記載が見受けられます。

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東洋リビング 湿度別 最適な製品の選び方より引用

製品と湿度の関係によるとウェアラブルデバイス(ヘッドフォン、マイクロフォン各種ウェアラブルデバイス)の保存はデシケーターによる湿度の上限を50%とし下減は調節によって行うことでメーカーは高性能保持、劣化を防げるとしています。

コンデンサーマイク湿度によるサビの影響は?

滋賀・京都・福井での倉庫建設、工場建設 SAWAMURAによるとサビ防止から精密機器は湿度40〜50%くらいが望ましいとの記事があります。

回路などを破損させる静電気を嫌う精密機器工場では、40度以上の湿度に保つのが一般的となっています。

また精密機器工場の中には、錆びやすい金属部品も多く取り扱われていますので、あまりに高すぎる湿度も基本的にNGとされているのです。

こうした特徴を持つ精密機器関連の工場においては、湿度は40~50%、室温は18度~26度ほどに保たれることが多いようです。

精密機器工場における湿度管理、温度管理 より

コンデンサーマイクを工場レベルの「精密機器」と同義にしてよいのかはわかりかねますが、少なくても湿度に関して注意を払う必要がある機器であるならば、湿度40〜50%というのは参考にしてよいものと思われますが、ビンテージクラスのマイク、保存状態が著しく悪いものでない限り、コンデンサーマイクが錆びて使えないというケースは稀だと思います。

私が20年前近くに購入したAKG C3000Bや西ドイツ時代に製造されたノイマンのU87を所持していますが、目立つサビは見受けられません。

ただノイマンは一度だけ音がでなくなり修理に出しました。原因は湿度によるカビやサビではなく、経年劣化による回路基板のダメージが原因でした。

サビの問題を無視するわけではありませんが、海沿いの日中開けっ放しにしている家でもない限り普通の民家で湿度によるマイクが錆びるということはないと思われます。

また精密機器の場合「静電気」の影響も無視できません。静電気は湿度が35%を下回るると起こりやすいという記事があります。

対湿度が35%を切ると、一般的に静電気が起こりやすくなり、木綿や木などの天然素材など、本来は静電気が起こりにくいといわれている物質にも静電気が発生しやすくなるのです。

また、相対湿度が65%を超えると静電気は発生しにくくなり、発生したとしても自然に逃げていきやすくなるようです(自然放電)。

しかし湿度を上げすぎると不快になり、結露、カビの原因、 食べ物の腐敗にもつながりますので、一般的なご家庭では“室内湿度50~60%くらいに加湿する” ことが理想的といわれています。

静電気発生と湿度の関係 より

静電気の問題ですが、マイクの外部面を触ってマイクのコンデンサーやカプセル部分に影響があるとも思いにくいです。ただやはり不必要に静電気が起こる環境で保存するのは望ましいとは言えません。

湿度が低いとゴムパーツにダメージがでる?

湿度が30%以下になるとゴムが劣化するという話があります。しかしこれについても完全に根拠となるデータは見つけられません。また湿度が高すぎてもゴムは劣化するという話があります。

湿度が高い環境ではオゾン吸収量と劣化の進行速度は高くなるとされています。
応力もまた劣化に密接にかかわりがありますが、ゴムはどのような状態であろうとも(使用せず保管している状態でも)
多少なりとも応力が掛かっている状態であり、これをゼロにする事は不可能です。
よって、湿度とオゾン濃度が共に高い環境化に於いては、未使用状態であってもオゾンクラックの発生リスクはあります。

ケミテックテクニカル株式会社 劣化の種類と対策 より

コンデンサーマイクの場合ゴムはカプセル(ダイヤフラム)と呼ばれる集音装置の部分をぶら下げる目的で使われています。画像では黒い部分がゴムパーツになります。

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画像をよく見ると土台となる下のパーツに黒いカスが落ちているのがわかります。これがゴムの劣化によるものです。

またアップにするとゴムにヒビが入っているのがわかります。またカプセル(ダイヤフラム)部分にはホコリかカビなのかわからないものが付着しています。この状態がコンデンサーマイクの機能を十分に発揮できているかはかなり疑問です。(現状、音は出てノイズはなく、聞くに堪えない音ではありません)

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コンデンサーマイクの湿度とカビ関係について

サウンドハウスさんでは保湿庫紹介欄の中でカビについて次のように説明しています。

カビは気温10~35度、湿度60%の環境下で活性化し、増殖します。冬を除くほぼ全ての季節でカビは繁殖します。
オートドライは湿度を40%以下に保つため、カビ対策として最適です。

○コンデンサーマイク
ダイアフラムの振動により音を集音するコンデンサーマイクは、駆動方式そのものが繊細と言えます。
湿気によりダイアフラムにカビが生えると、音質が低下したり、ノイズが生じます。
録音スタジオではデシケーター(防湿庫)でコンデンサーマイクを保管します

東洋リビング ( トウヨウリビング ) / ED-80CAT(BW) 防湿庫 デシケーター より

カビを防ぐには湿度60%以下である必要があるとの記載があります。

カビの原因は湿度が大きいですが、部屋の湿度だけではなく、歌っているときに飛散するツバなどの水分が一番大きいように思います。それがマイク面に吸着しカビの原因になります。

カビは湿度が60%を超えるとじょじょに活動し始めるといわれます。湿度が上がるにつれてその繁殖スピードははやくなります。湿度70%の状態が続くと2〜3ヶ月もすればカビが発生し、80%を超えると2週間くらいで発生します。

カビが生える湿度はどれくらい?対策すれば繁殖を抑えられる? より

でも歌っているときってそんなにツバなんか出てないよ?

と思う人もいるかもしれませんが、口から15cmくらい離したところに手をおいて軽く歌ってみてください。何かしらの温度変化(暖かさ)がわかると思います。これは口の中の水分が飛散している証拠です。特にパ行などの破裂音は口の中の水分が飛散します。3分間マイクに向かって歌うという行為はいわばマイクに息を吹きかけているのに近い状態なのでそれなりの湿度になります。

ポップガードを使う目的は破裂音による不快なノイズを防ぐだけではなく口からの水分飛散も防ぐ用途があります。

コンデンサーマイクの中にも簡易のポップガードは入っていますが、あくまで簡易的なものであって、上記の記事のような効果を約束するものではありません。あくまで「できるだけマイクのカプセルに口腔内の水分が付着しないようにするために最低限メーカーができること」のレベルです。

黒い部分がポップガード的な用途のウレタンスポンジdせう。だいぶ変色しているのがわかります。

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取り外すとすぐにボロボロと崩れました。かなりの経年劣化進んでいます。このボロボの部分がカプセルに付着するとカビの原因になりそうです。

さいごに

まとめると

  • マイクメーカーの多くは湿度に関する言及はほとんどない。
  • 湿度によるサビの問題は特殊な住宅環境(海沿い)などを除けばそれほど気にする必要はない
  • 湿度が低すぎても高すぎてもゴムの劣化は起こる
  • カビは気温10~35度、湿度60%の環境下で活性化
  • 部屋の湿度と同じくらい歌っているときに飛散する口腔内の水分による湿度の方がカビになりやすい可能性がある

これらのことからマイク保管のための湿度は「30~50%」は打倒なところだということがわかります。

ただし日本の気象条件においてこれらの湿度環境を維持するためにはデシケーターやドライボックスは必要です。いつまでもコンデンサーマイクの性能を維持できる環境を整えて置かないとある日突然大量のノイズが出たり、音がでなくなったりしたら大変ですから、コンデンサーマイクの保管方法について正しい知識を身に着け、適切な保管を行ってください。

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