ドラムミックスで迷わないための各パーツの音量の揃え方

キック、スネア、ハイハット、タム、シンバル、これらの音量をどう合わせればよいのか迷いますよね。「なんかキックは-10dBがいいとか聴くけど。じゃあ他はどうすればいいの?」ってなりますよね。今日は各パーツの音量をどのように合わせればよいのか?ということについてまとめてみました。サンプル音源とアナライザーを使って耳と目で確認できるようになっています。

音量の合わせ方

キックに合わせるメリット

先日にも少しお話しましたが、基本的にキックから合わせるのが定石です。その理由は以下の3つです

  • 音圧があり音量変化が少ない
  • 音色の変化が少ない
  • 楽曲のボトムを支えるのに向いている

上記の3つの要素を一言でまとめるとキックをミックスの基本とできるのは存在の安定性がもっとも高いからといえます。

聴くと感じる違いについて

高音域ほど耳に速く届き、低音域は耳にとどくまでに時間がかかります。また低音域は音の判別が難しくなります。なので、低音域はアバウトな認識として感じる要素が強くなります。そして高音域は「聴く」という要素が強くなります。

音量の目安

さて、音量の合わせ方として、キック、スネア、ハイハット、タム、シンバルの音が均一になるように音量バランスを取っていきます。コツは一気に合わせるのではなく、キック→スネア→ハイハット→タム→シンバルの順番で1つずつ合わせていくとわかりやすいです。

といろんなところで言われていますが、「それがわかれば苦労はしないですよね。

「ミキサーのメーターの位置で教えて欲しい!フェーダーはどこにすればいいの?」という気持ちにもなりますよね。私もわからなかったときに「ミキサーのフェーダー位置だけ教えてよ」って何度も思いました。

ですが、実際のところジャンルや音色そして作編曲の意図にによってそれらの「フェーダーの位置の目安」はあまり意味がないのです。というのもミキサーフェーダーをピークで見ると音色によってそのピークは違います。例えばスネアであれば、叩く場所によって音が変わります。リムショットの音色と普通にHitの音色ではピークがでる周波数が違います。

つまりピークで完全に合わせてしまうと、音色毎にフェーダーを用意する必要が出てきますが、そんなことをしていたらフェーダー操作は莫大な数になってしまいます。なので完全にフェーダーの位置を表示する意味はあまりありません。

しかしそれだと「やっぱり感覚なのか?」という疑問に戻ってしまいます。なので1つの例としてここにドラムの目安を作ってみます。

ドラムの各パーツの音量の揃え方について

これはBFD3で作ったドラムパターンです。音量のバランスとしてはこれくらいであれば割とオーソドックスなバランスだと言えます。(好みもありますが)

Kickの場合

定番の-10dBでキックの音量を考えます。このキックの場合ピーク(一番大きい)は122Hzになっています。なのでミキサーのフェーダーの出力に表示される-10dBとはこの位置のことになります。もちろんこれが以外の音も当然聴こえています。

このキックの音をより固くしようと思えば、4kHzと5kHz付近に2つの山があります。それがビーターが当たる音、アタックとして一番認識しやすい音です。その付近を2dB〜3dBもあげてやるか、またはピークの122Hzを2〜3dBほど下げてやれば相対的に4kHz付近が強調されることになるので、アタックを感じやすくなります。

キックの音色やアタックの出方はすべて変わってきます。EQの教科書などで「5kHz付近をあげましょう」という説明があるかと思いますが、まずは自分の耳で聞いてスペクトラム・アナライザーを使って確認することでより正しい聴かせたい音を作れます。

Snareの場合

ハーフエッジのピークは-27.7dBリムショットのピークは-18.7付近としました。パット聞いた感じかなり小さいように感じるかもしれませんが、後にコンプ等による音作りをするのでこれくらいの大きさでも問題はありません。このように初期段階で音が小さいと思っても後のエフェクトなどで変わってくるので、最初からパツパツにしないようにするのが音量バランスを取るコツといえます。

ハーフエッジに関してこちらに詳しく書いてあるので参考にしてください。

かっこいいロックな曲をつくりたいならスネアの音作りを覚えよう!

スネアの場合はハーフエッジとリムショットで音量もピークもかなり異なります。それらをどれだけ聴かせたいかによってバランスが変わります。またスネアの音色によってはキックよってスネアがマスキングされてしまう場所があります。

ただマスキングされているからと言って音が全く聴こえなくなるわけではありません。スネアの倍音や高域成分がそのマスキングした部分を補えます。

キック(赤)を表示しました200Hz付近にもキックの音色があるためハーフエッジ(緑)が重なっているのがわかります。この場合はキックの200Hz付近を少し下げることでスネアの音は聴きやすくなります。

ハイハットの場合

ハイハットは高域を多く含みます。しかし、音色によってはかなりローを含んだものもあります。先程もお伝えしたように、マスキングされることで音量の優先順位が変わってしまう場合もあればそれが原因で音の濁りにもなります。ハイハットはこのアナライザー表示からわかるように、6kHz〜10kHz付近です。周波数では18kHz付近まで伸びていますが、実際聞いているのは10kHz付近になります。

ハイハットのピークは−30dB付近にしています。高域は低域より耳に届きやすいのでそれほどあげなくても問題ありません。当然これもトータルのバスコンプによって持ち上がることを考慮しています。

キック(緑)とスネア(白)とハイハット(黄色)を並べ見ると、キックの高域がハイハットの邪魔をしているのがわかります。このような場合にキックにハイカットをすることでハイハットの居場所を作って上げればよりハイハットも聞こえやすくなる場合があります。こうやって3点を並べてみるとわりと、各パーツがそれぞれの帯域の足りないところを補っているのがわかります。

タムの場合

タムの場合はハイタム(緑)、ミッドタム(赤)、フロアタム(青)によって周波数が異なります。しかし常に出てくるわけではありませんので、フィルインなどのタム回しのときにどれだけ聴こえさせたいのかによっても変わりますが、あまり大きくする必要はありません。実音も重要ですが輪郭を感じられるアタック感があれば十分にフィルとしての効果を果たすことができます。

キック(オレンジ)を重ねるとかなりタムがキックの領域にいるのがわかります。しかしフィルをするときにタムとキックが一緒にする必要はありません。なのでこういう場合はアレンジ面でかぶりを回避するように考えます。

シンバルの場合

キック(紫)シンバル(青)ハイハット(黄色)シンバルと一緒になるタイミングがあるのはキックです。ハイハットはシンバルとの周波数の比較のために表示していますが、音色や叩き方にによってはハイハットより低い場合もあります。またシンバルも金物なので基本は大きくしなくても耳によく届きます。シンバルはアクセント的な役割も兼ねているのでハイハットより少しだけ大きくしています。

ピークは5kHzの27dB付近ですが音色として5kHz〜10kHz付近でピークの値を考えるとよいでしょう。また、ソフトドラム音源によってはOHがシンバルになっていてその中には太鼓類が含まれている場合もあります。

そういう場合は、ローカットでカットしてしまってもよいでしょう。ただ「OHをベースに音量を組む場合はむやみにカットする必要はありません

これらにバスコンプをかけるとこのような感じになります。

キレイにまとめることができます。(個人的にはもう少しシンバルを出してもよいかなと思っています)

バランス的に言えば70点くらいなのでここから微調整をしていくわけですが、おそらくそう大きくは変わらないと思います。ここから大きく変更しなければいけないと感じているのであれば、それはバランスの微調整ではなくなります。

ドラムソフト音源と生ドラムの音量の違いについて

ドラムのレコーディングにおいてマイキングがしっかりしていれば、ミキサーのフェーダーを動かさなくてもよかったりします。(もちろんそんなことは稀ですが)最近でこそ大容量化に伴いリアルなドラム音源が出てきましたが、昔はベロシティの差によってサンプルが切り替わるのではなく、音量が変わるものがありました。そこで弱い奏法をシミュレートする目的で打ち込みの場合はベロシティによって音量変化がコントロールしようとする人がいますが、これは基本的には間違いです。

なぜなら、奏法による強弱は音量ではなく音色のコントロールになります。つまり小さく叩いたものとを大きく叩いたものを同じ音量にしても同じ音色にはなりません。なぜなら強弱によって倍音の出方が異なるからです。

ベロシティでコントロールするのは音量ではなく音質(音色)です。

さいごに

ドラムの各パーツの音量を考える時は

  • フェーダーは◯◯dBという数値はない(音色によって異なる)
  • 音色が持っている質感のチェック(どんな周波数でどんなピークがあるのか)
  • マスキングされている領域
  • アレンジによる被りの回避

これらを意識することで、つかみにくいドラムの各パーツの音量を無理なくまとられるようになります。わからない時はとにかくアナライザーでも何でも使ってなれるまでは「比較と確認」をできるツールを使うことで客観的にも理解できるのでオススメです。

あとはジャンルによってスネアが少し大きい場合があったりするので、自分が作りたいジャンルをしっかり聴き込むことでわかるようになります。

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