DAW内蔵マルチ音源で一番使いやすいのはどれ?

DAWに最初から付属している「マルチソフト音源」はおそらく一番最初に触る音源です。ピアノやベースにギターにドラムと一通りの音色が入っているので一通りのジャンルの音楽を作れます。DTM初心者でこの音源のクオリティをDAW選びの基準としている人はいませんが、私はDTM初心者であっても「どんな音質が入っているのか」は気にしてもいいと思います。DTM初心者はクオリティを比較する耳を持ち合わせていませんが、ある程度良いものに触れるのは審美眼を鍛えられます。

しかし、クオリティが良い=使いやすいかは少し別の問題になります。マルチソフト音源の使いやすさとは「音色のバランス」「音質」「音色エディットのしやすさ」この3つのバランスです。いくら音質が良くても使いにくければ意味がありませんし、音質が悪くても使いやすいと感じるのであれば、インスピレーションがそれをカバーできます。

これらの基準参考にしながらDAWに付属のマルチ音源について触れていきたいと思います。

マルチ音源とは何か?

ピアノ、ベース、ギター、ストリングスやコーラスなどの生楽器にシンセサウンドを総合的に網羅したソフトシンセをマルチ音源と言います。

マルチソフトシンセで次の3つは特に有名です。

  • Native Instrument KONTAKT
  • IK Multimediano SapmleTank4
  • Spectrasonic Omnisphere

ソフトシンセは他にも

  • VAソフトシンセ(音源) アナログシンセサウンドをエミュレーションしたもの
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  • FMソフトシンセ(音源) FMシンセサイザーをエミュレーションしたもの
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  • ウェーブソフトシンセ(音源) ウェーブテーブルシンセをエミュレーションしたもの
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UVIWorkstationの上位互換のFalconやHALionSonicの上位版であるHALion6などは、マルチ音源の中にVAソフトやウェーブテーブルソフトエンジンを搭載していてる究極のマルチソフト音源とも言えます。

マルチ音源のメリット・デメリット

マルチ音源のメリットは次の通りです。

  • マルチ音源は複数の音色を総合的にまとめているのでの音色の容量は単体の音源よりもメモリが少ないため音色の読み込みが速い
  • いろんな音色をすぐに呼び出せるのでスケッチを作るときなども便利

デメリットは次の2点

  • 音色のクオリティが単体音源に比べて貧弱
  • 音色数が多すぎて音色管理がしづらい
  • 使いにくい音色も多数あるので費用対効果を考えると高く付く可能性もある

DAW付属の音源は2つの音源タイプに分かれる

DAWに付属している音源はマルチ音源にはさらに2つのタイプに別れます。

  • インストルメントに複数の音源を立ち上げられるマルチティンバー音源
  • インストルメントに1つしか音源を立ち上げられないシングル音源(この呼名は私個人の呼び方です)

マルチティンバー音源メリット

  • マルチティンバー音源のメリットは1つのインストの中で複数の楽器を立ち上げ同じMIDIチャンネルに設定することでレイヤーサウンドを簡単に作れる
  • DAWにMIDIトラックを乱立しなくてよい

マルチティンバー音源デメリット

  • 1つの音源の中に複数の音色を立ち上げることになるのでそれだけCPU負荷が高くなる。
  • 各音色に詳細なオートメーションを書くことができません。

なのでマルチティンバーであっても基本は1つのインストに1つの音色で使う方がCPUの負荷が軽減されます。

使用できる音源が2倍以上になるCPU低負荷のマルチ音源立ち上げ方

シングル音源メリット

  • 音作りのためのGUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)が表示されているケースが多いので音作りがスピーディにできる

シングル音源デメリット

  • レイヤーサウンドはMIDIトラックを増やす必要がある。
  • 簡単なレイヤーですらできない

今回紹介する音源の中でマルチティンバータイプは次の2つ

  • HALion Sonic SE 3
  • UVI Workstation

シングルタイプは以下の2つになります。

  • Presence XT
  • EXS24mk2
  • Xpand!2

Xpand!2に関しては4パートまでレイヤーできるのですが、マルチティンバーの一般的な捉えられ方が16トラックの音色を1つのインストに立ち上げられるものなので、Xpand!2はシングルタイプに属します。

Cubase Artist9.5 HALion Sonic SE 3

  • ライブラリー容量3GB
  • プリセット数1360
  • マルチティンバータイプ

E-bassからシンセベース ストリングスにピアノ エレキギターやアコースティック・ギター キャッチーな音色からダークな音色まで 非常にバランスの取れた音源です。元になった音源はYAMAHAのMOTIFというハードシンセで操作性と使いやすい音色の良さに定評のあるシンセサイザーです。

音色の中にはいくつかのアーティキュレーション(奏法)キーマップでアサインされているものもあります。エレキギターなどミュートとサスティンが含まれているものもあるのでギターの打ち込みにソレらしさを加えある程度生っぽさを追い込むことができます。

DTMをはじめたばかりの人は作曲の知識が乏しいために音楽を作っている実感が得にくいですが、HALion Sonic SE2はアルペジエーター系の音色はユニークかつ実用的なものも多いので、ドミソの3和音を押しているだけでも「おーすごい!!」と作曲へのテンションを掻き立ててくれます。ヨーロッパのサウンドクリエイターに好まれているという話もあるので、EDM系を気軽に作りたいという人には向いているかもしれません。

HALion Sonic SEは左に16のスロットがあり、そこに音色をロードすると一つのHALionで16の楽器をロードできます。本来はDAW側で1トラックにつき一つのMIDIチャンネルを割り当てることで、16トラック扱えるのですが、これらをHALion側ですべてのトラックをMIDIチャンネルを統一することで16レイヤーサウンドとして使えます。分厚いストリングスからSuperSaw的なサウンドも作れます。

HALionは作るマルチソフトシンセではなく「選ぶ」ことを重視している音源なので、音色のエディットは鍵盤の上に最低限のパラメーターが用意されているのでそれらを回すだけになります。階層を潜ることで音作りのパラメーターは増えますが、

「気軽に音を作れる」とは言い難いものがあります。

 

注目すべきはHALion Sonic SE3は公式HPより無償DLができます。

steinbergバンドなどでDAWを統一できなくてもHALion Sonic SE3を統一しておけば音色違いによるイメージのずれなどをなくすことができてとても便利です。

評判

などなど、音の薄さを指摘する声もありますが、総じて使いやすい印象を持たれている人が多い様子です。

またHALionは上位バージョンであるHALion6があります。こちらは音色数や音色エンジンの数も多数揃えていてマルチ音源として完成度の高い音源です。特にヨーロッパのDJの間では多用されている音源もあり、EDM系のサウンドもこなせる音源です。CubaseユーザーでHALion SonicSEが好きだけどもっとクオリティが欲しい!と思っている人はHALion6はおすすめです。

実はみんな隠れてこっそり使っているHALion6の使い方

StudioOne3.5(pro)Presence XT

  • ライブラリー容量15GB
  • プリセット数 1000以上(プリセットの数はおおよその数です)
  • シングルタイプ

こちらもHALion Sonic SE2同様 シンセから生楽器までバランスよく搭載されています。Presence XTはギターやベースそしてストリングスにブラス関係のアーティキュレーションが豊富ですので打ち込みのクオリティを高めてくれます。

また他の音源にはない特徴として、ギターのからピッキングのサウンドが有償音源なみに多いです。これにエフェクターのWahを使えば非常にファンキーなギターのカッティングを簡単に作れてしまいます。

StudioOne3の音源を使えば簡単にリアルな空ピッキングを打ち込める

世間では音質の評価があまり高くはありません。個人的にはそれほどひどいものだとは思いませんが、音質的に若干暗め(こもっている)の傾向があるので音抜けの部分でそういう評価になっているかもしれません。ブラスのアーティキュレーションや、ギターのノイズ系などはかなり細かく収録されているので、使い方次第でかなり生っぽく打ち込めると思います。

HALion SEと違ってPresence XTは音色エディットのためのパラメーターはすべて前面にあります。そのため音色の作り込みはこちらの方が圧倒的に簡単です。フィルターに音を適度に歪ませる「Drive」と程よい音にパンチをつける「Punch」があるのでフィルターを触ったら音が抜けてこなくなったのでDAW上でコンプをかけて調整…という手間を省いてくれます。

HALion SEと違うのは一つのインストゥルメントで扱える音色は一つだけです。なのでPresence XTでHALion SEのようなレイヤーサウンドを作るれません。レイヤーサウンドを作る場合はDAW上でレイヤーに必要なPresence XTを立ち上げます。気軽にという面ではHALion SEの方がレイヤーサウンドの扱いは簡単と言えます。

評判

実は、Presence XTはEXS、Kontakt、Giga、SoundFontフォーマットファイルが読み込める音源でもあります。soundfontを音源ライブラリとして使っている人はいままでsoundfontの読み込みプレイヤーを使っていたりしていましたが、Presence XTがあればその手間を省けるのは大きいです。

音質について好みの差がはっきりしそうです。ただ悪い音源ではないと思います。Presence XTの拡張音源の一つオーケストラは作曲家田辺さんが大絶賛しているので気になる人はチェックしてみるといいですね。

Protools11 Xpand!2

  • 全容量1.4GB
  • プリセット数 約2000種類
  • シングルタイプ

1ドル音源で有名になったXpand!2はProtoolsに搭載されているマルチ音源です。容量は今回比較した音源で一番軽いです。音質の傾向としては一昔前の感じがあります。音抜けもそれほど良いものではありません。

しかし音源は非常に軽くパッド系など使いやすい音色が人気です。何よりオケヒットの数がすごいです。おそらくいま発売されているソフト音源のなかで一番オケヒットが搭載されています。正直オケヒット専用音源として使っている人もいます。

オケヒットはどうしてDTMerの心を鷲掴みにするのか?

そしてエスニック系も充実していて三味線マルチ音源のなかではかなり使えます。和風BGMで三味線が欲しい人にはおすすめです。

Xpand!2は一つのインストゥルメントに4つの音色をロードできるので4レイヤーサウンドを作ることができます。あまり明るい音色ではないので重ねすぎると抜けが悪くなる可能性もあります。音色エディットのためのパラメーターはそれほど多くありません。基本的には音を作るというよりは音を選ぶHALion SEと違いポジションといえるかもしれません。Xpand!2にはドラムのループがかなり豊富にあるのでドラムの打ち込みに慣れていない人でドラムループのおかげで雰囲気のある曲を作れるでしょう。

評判

100円音源wというカテゴリは正確ではありませんが、音質クオリティは一昔前ですが、数と万能性において非常に使いやすい音源で好感を持っている人も多いです。

Logic10.4 EXS24mk2

  • ライブラリ容量12GB
  • プリセット数1500以上
  • シングルタイプ

こちらも多少時代を感じてしまう音質ですが、使いやすい音源ではあります。個人的にはピアノの質感が良いのでラフスケッチを書くときはこれをよく多用していました。音色エディットが一番しやすいマルチソフト音源ともいえるほどパラメーターが多く、その配置もユーザービリティと言えます。マトリクス形式で変化させたいパラメーターを扱えるのでマルチソフトシンセと言いながらも独立したシンセサイザーとも言えます。

音色に関してユニークなのは公式からちょくちょくと追加音色が出てきます。気づかないうちに「あ!音色増えている」という驚きがあります。mk2が出てからもう何十年と立ち「いつになったらmk3が出るのか?」と思っている人も多いですが、AlchemyというソフトがEXS24の代わりになるのでは私は思ったりしています。

Alchemyなら「使える」音作りに必要な知識がカンタンに学べる!

また最近でこそ使われなくなりましたが、その昔クオリティの面で一世風靡した「Gigaサンプラー」のフォーマットを読み込ますことができます。Gigaサンプラーのクオリティは最近の音源と比べても見劣りするものではないものもあるので、中古ショップなどでGigaサンプラーフォーマットのソフトを見つけたらこっそりと買ってしまうのもよいでしょう。

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Apple loopsとの親和性もよく優れたソフト音源でありソフトサンプラーでもあります。

digital performer10  MOTU INSTRUMENTS SOUNDBANK

MOTU INSTRUMENTS SOUNDBANK(以下MIS)

  • 容量5GB
  • 1100のプリセット500種類以上のループサウンド
  • マルチティンバータイプ

いままで唯一マルチ音源をもたないDAWとして君臨してきたdigital performerにもついにマルチ音源が入りましたw マルチソフト音源を立ち上げるプレイヤー独自のものではなくUVI Workstationを使用しています。

500種類のループサウンドを扱えるのが強みでそのループはおそらくDAW付属の中で一番キャッチーループが入っています。これもHALion SEと同じように16のマルチトラック式なのでレイヤーサウンドにも強いです。音色エディットに関しては若干階層を潜る必要があるので、簡単とは言えないですが、追加の音源として膨大なUVIサウンドを購入することで「究極の音色選びのマルチソフトシンセ」として使うこともできます。

究極マルチ音源Vintage Vault3の購入のメリットデメリットについて

さいごに

音色エディットのやりやすさで考えるならば、EXS24mkⅡ Presence XT Xpand!2 HALion SE MIS 音質面でいえばMSI HALion Xpnad!2  EXS24mk Ⅱ Presence XT 音色のバランスは全体的に変わらないです。特化した音源レベルの音色はそれほどありませんが、「音の作り込みで考えるか」「音質面」で考えるかで評価が分かれます。DAW付属のマルチソフト音源は万能ではありません。言い方は悪いですが「扱いやすさ」を求めた結果どの音源も「帯に短し襷に長し」といった感じです。

しかし、「与えられたものをいかに使いこなすか?」がDTM初心者に求められる最初のスキルです。すぐに違うソフトを求めるのではなく下手でも良いので曲を作り完成させていきましょう。レベルが上がらないDTM初心者が一番やっていること を繰り返すことになります。

それでも、あえてマルチソフト音源を補強する目的で買っておいた方がよい音源があるとするならば「ギター」音源でしょう。なぜならば、DAW付属のマルチソフト音源に入っているギターではどうしてもギターらしさを出すために必要な奏法が少ないからです。

ギター音源も奥が深いので色々と迷ってしまうかもしれませんので、下記の記事を参考にしてください。

簡単打ち込みでクリーンストラト音源聴き比べ [Realstrat][SC] [AGF]

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