リバーブなんてプリセット選んで終わりでしょ?って思ってる人は以外と多いです。しかし意図のないプリセットリバーブを使うと初心者丸出し感のリバーブになってしまいます。
今回紹介するsmart reverbを使えば初心者リバーブサウンドから卒業して曲のクオリティを挙げられます。
smart:reverbとは?
smart reverbはsonibleが作ったAIリバーブプラグインです。sonibleはいままでAIによる自動コンプのSmart Compや音色に最適のイコライザーをAIで処理するSmart:EQ(freiaum)などを作って来ました。今回のsmart reverbは残響(リバーブ)をAIによって最適化するためのプラグインです。
使用(システム)環境
System Requirements
PC
- Operating System: Windows 7+
- RAM: At least 4 GB RAM (recommended)
- CPU: At least intel DualCore i5 (recommended)
- GPU: OpenGL support
- Formats: VST2, VST3, AAX (64-bit only)
- Supported Sample Rates: 44.1 kHz bis 192 kHz
- iLok License Manager is required to install sonible software (activation is optional)
Mac
- Operating System: OSX 10.8+
- RAM: At least 4 GB RAM (recommended)
- CPU: At least intel DualCore i5 (recommended)
- GPU: OpenGL support
- Formats: AU, VST2, AAX (64-bit only)
- Supported Sample Rates: 44.1 kHz bis 192 kHz
- iLok License Manager is required to install sonible software (activation is optional)
smart:reverbの使い方
リバーブについてもう少しかんたんに理解を深めたいという人はこちらの記事が参考になります。

リバーブの役目は音の立体感を高め「音像を大きくする」ことです。密度が濃い音は派手に聴こえます。例えばロックな音などはルーム感がある方が派手に聞こえるのは空間的密度がたされたからです。
仮にまっく残響的な響きがないドラムの音には音像は小さく勢いも感じられないでしょう。
smart:reverbは基本ソースのカテゴリを選ぶのがメインになりますが、そこから細かい調整も可能です。smart:reverbは4つのユーザーインターフェースエリアに分かれています。
- ①プロファイルセクションとリバーブマトリクス
- ②リバーブタイムとプリディレイの設定
- ③パーティクルディスプレイ
- ④Temporal Shaper
では順に①から見ていきます。

①はソースの選択とリバーブタイプを選択するXYパッド軸で表されているリバーブマトリクスです。リバーブを聞かせたい音色ソースを選びます。
タイプが決まったら緑の録音ボタンを押して音をsmart:reverbに解析させます。解析時間はほんの数秒です。

(ムービー時には音量に注意してください)
するとAIが解析した最適なリバーブ設定に切り替わります。
リバーブマトリクスについて

中央の丸を動かしてリバーブサウンドを決定します。一応リバーブの種類4つほどあります。公式の説明を印象すると
どれがHallでPlateでRoomなのかというのは明確にはされていません。音を聴いて好みで調整するのがいいでしょう。
intimate
音に暖かくて個人的なタッチを与えます。比較的ボーダーが小さく、家庭的な場所で録音されたような信号音になるため、ソフトボーカルやソロ楽器を使用する場合に最適
natural
リバーブされた信号が実際の環境で録音されたかのように聞こえます。このリバーブは、そのキャラクターをあまり変更することなく、信号に仕上げを与えます。アコースティック楽器やクリーンなボーカル
artificial
意図的に信号の特性を変更し、リバーブを明確な創造的効果として聞こえるようにしたい場合
rich
シンセパッドやオーケストラサウンドを扱う場合など、高密度で活気に満ちたリバーブ
どれがHallでPlateでRoomなのかというのは明確にはされていません。音を聴いて好みで調整するのがいいでしょう。
Widhtは文字通りステレオ感
Colorはフィルターによる音色の明暗
Clarityは直接信号成分のマスクを解除して、リバーブ効果の透明度あげるというものですが、いまいち効果が確認しずらいです。
リバーブタイムとプリディレイの設定
②はシンプルなリバーブタイムとプリディレイの設定です。リバーブ設定時にはプリディレイを忘れる人が多いのですが、音の輪郭を潰さないリバーブをサウンドにするためにもプリディレイは必要です。
また、デフォルトではDryとWetの設定が100:75の割合になっています。AUXなどセンドで使う場合はDry:0 Wet:100に変更することをおすすめします。
パーティクルディスプレイ
③がある意味1番メインな音質確認画面になります。3本のスペクトルシェイパーグリッドを移動させることで、周波数別にリバーブ時間をコントロールできます。
ただ、ここを細かくコントロールするのが得策とは限りません。リバーブサウンドを聴いて問題なければむしろ触らない方が良いでしょう。それほど細かい音質調整が可能で設定によってはユニークな結果を作ることが可能です。
Temporal Shaper
④のTemporal Shaperでは、リバーブのディケイDecay(緑)、スプレッドSpread(黄色)、密度Density(ピンク)の時間的な変化のカーブを自由に調整できます。
こちらではさらにリバーブの質感や減衰感をコントロールできますが、パーティクルディスプレイと同じように設定にこりすぎるとドツボにハマりやすいパラメーターでもあります。
smart:reverbのメリット・デメリット
リバーブかけすぎ防止につながる!
残響時間と響きの音質を正しくコントロールできれば音の明瞭度が上がり楽曲全体のクオリティアップにつながります。
プリセットがあるリバーブプラグインを使うと「なんでこんなに長いリバーブタイムなんだ?」とか「なんかモワモワしてお風呂で歌っているみたい」といったリバーブあるあるトラブルから開放してくれる。個々の音色に最適の残響時間をコントロールしてくれる。それがsmart:reverbです。
簡単操作でもリバーブクオリティはピカイチ!
smart:reverbは他のリバーブプラグインにあるような何百のプリセットは存在しません。あるのは7つのカテゴリだけです。
そのカテゴリを処理したいソースに当てはめて解析するだけで、周波数と時間依存の減衰率、およびリバーブの広がりまたは密度の経時変化を変更することにより、リバーブの深い構造を簡単に操作できます。
リバーブタイプは選べないサンプリングリバーブではない
XYパッドでリバーブの質感ある程度コントロールはできますが、明確にタイプを選択できるわけではありません。できればプレートやホールタイプ別のAIアシスト機能がほしいところです。
また音の質感が割とデジタル的なかっちりとした雰囲気の音なのでリバーブサウンドに温かみを求めるならば、サチュレーター系で調整すると良い感じになりそうです。
またsmart:reverbはアルゴリズムリバーブなので本物の響きをサンプリングしたリバーブのような響きにはなりません。しかしアルゴリズムリバーブが悪くサンプリングリバーブが良いという考え方をするのは間違いです。大切なのは適材適所の使い方です。
サウンドデモ
smart:reverbを使ったサウンドを紹介します。気になるのは他のリバーブサウンドとの比較だと思いますので、今回はsmart:reverbの他にTR5-Sunset Sound Studio ReverbとLogicProX付属のChromaverbとの比較をしてみたいと思います。
比較サウンドのポイントはリバーブプラグインを立ち上げて求める音になるまでの時間を注目してください。
クリーンギター(カッティング)
ディストーションギター(リフ)
ただなんとなく選んだリバーブよりも最初からピンとが合っているリバーブサウンドになっているのがわかります。つまりかけすぎていないけどしっかりかかっているという
雰囲気です。クリーンギターには十分な奥行き感が感じられるのでアダルトでリッチなサウンドもすぐに作れてしまいます。
ディストーションギターに関しては設定次第で派手な壁サウンドも可能です。しかしそれよりはリバーブの周波数帯域の棲み分けが効いているのか、にじみのないクリアなディストーションサウンドを堪能できます(なんか変な言い方ですよね。クリーンなディストーションサウンドって)
ボーカル
よくある適当にリバーブ使ったら「お風呂サウンドになった」ということにならずしっかりとボーカルを前に存在させたままリバーブによる奥行き感が自然に出ています。このあたりはプリディレイを正しく使う必要もありますが、プリセットも選ばずにプロファイリングしただけでこのクオリティになってくれるのであれば使い勝手はよいように思います。
エレピ
中低域に密度のあるエレピは下手にリバーブをかけるとただでさえ団子になりやすい音がより団子になりますが、smart:reverbによってこもらないリバーブサウンドになっています。
ドラム(スネア)
ドラム(タム)
ドラムにリバーブといえばスネアかタムが多いのではないでしょうか?バラードなどではキックにリバーブを使うこともありましたが最近はそういうサウンドは少ないのかもしれません。ここではギターとベースと合わせた状態でスネアとタムにsmart:reverbをかけてみました。
余韻と余韻の周波数がある程度コントロールされているおかげか無駄に音像が大きくならなりません。ですがスネアサウンドにしっかりとリバーブはかかっていて、設定によってはかなり音像を大きくすることも可能です。
タムに関しては少しだけ人工的な響きに感じます。このあたりは設定を詰めればもう少し変わってくるのかもしれませんが、やはりにごりやすい帯域がクリアになりながらもタム特有の低音感も残っているのでリッチでふくよかなタムサウンドになっています。
smart:reverbのCPU負荷はどれくらい?
- パソコン Macmini2018
- CPU Corei7(i7-8700B)6コア HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
- メモリ 32GB
- システム OS10.14.6 Mojave
- Audio/IF Motu896HD
- バッファー256
- DAW LogicProX10.5
通常のプラグインの中でもリバーブはそれなりにCPUパワーを消費します。
smart:reverbは軽い部類かもしれませんが、ソフト音源と併用するとCPUパワーをもっていかれるので
数を使いたいときはオーディオに書き出してからをおすすめします。
Sunset Sound Studio Reverb

Chomaverb

smart:reverb

smart:reverbを使えば誰でも簡単に楽曲のクオリティはあがるのか?
多くの人が気にしているのは「これを使えばてっとり速く楽曲のクオリティはあがるのか?」という疑問です。一言でいえば上がります。ミックスやリバーブ処理に苦手な人ほど恩恵はあるでしょう。しかしAIはあくまでアシスト機能でしかありません。このアシスト機能からどんな設定にすれば他のリバーブプラグインを自由に扱えるようになるのか?という考えをもちながら使うことで、smart:reverbからは多くのことが学べると思います。
smart:reverb 口コミ
まとめ
まとめると
smart:reverbは以下のプラグインです。
- 初心者にありがちなかけすぎリバーブサウンド防止プラグイン
- 素材をプロファイリングすることで裁量のリバーブサウンドをアシストしてくれる
- 具体的なリバーブタイプは選べないがリバーブマトリクスで質感のコントロールはできる
- 音の印象はデジタル的(暖かみが必要ならばサチュレーター系を使うと良い
AIによるサウンドを良くないと見る人もいますが、使った結果が本人にとって良いものであればそれがすべてです。「〇〇さんが言っているからやめておこう」「〇〇さんがおすすめしているから買おう」ではなく「自分にとってそれが必要であるかどうか?」をしっかりと考えて購入しましょう。
ちなみに私はおすすめします。ミックスで悩む時間を軽減することで少しでもよいメロディやアレンジを考える時間が得られるからです。
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