ドラム打ち込みは基礎パターンを乱暴な言い方ですが、ドラムはパターンが命です。
この記事では基礎的なパターンを紹介しながら、それらをもっとよくするための方法として
- サウンドに適したベロシティの設定方法と考え方
- ドラムの打ち込みタイミングの考え方
について解説していきます。
とりあえずはこれを覚える!打ち込みドラム基礎パターン
DAW付属のドラムキットの多くはGM配列というものになっています。
これはどの音源であってもこの配列さえ守られていれば音色の違いはあっても演奏データ上で再生に支障はないという一種の再生統一規格です。
打ち込み上ではこのピアノロールを使って打ち込むのが一般的なので、このキーマップは是非覚えてしまいましょう。この鍵盤のアサイン(配置)はGMというMIDI規格で決められたものです。
メーカーによっては独自の並べ方をしているところもありますが、ドラムの鍵盤アサインはほぼGM配列になっていますBFD3のように独自のアサインされているメーカーのドラム音源であっても設定でGMに変更することはできます。
では、ここからなドラムパターンについて解説していきます。これらのパターンさえ覚えてしまえば、だいたいのジャンルは対応できます。
(8beatRock)
世界の90%はこのパターン(言いすぎかな?)わからなければこのパターンでOKです。
ロックからポップスまで音色を問わず使える万能パターンです。
(16beatFunk)
ポイントはハイハットとKICKによる16分音符で作られているパターンです。ハイハットだけでも16ビートになっていますが、キックが16ビートを感じるタイミングでなることでより強調されます。
生ドラム打ち込みの場合は通常は2拍目と4拍目は普通ならハイハットとスネアは同時に叩きません。
なぜなら16beatのハイハットは両腕で叩いているからです。たまにテンポが遅い曲だと片手で16beatのハイハットを叩ける人がいるけどまぁ、普通は両腕で叩くので、2と4はハイハットはなしが普通です。
ただこれに1つ抜け穴的な考え方があります。エミュレートしているのがリアルなドラム音源であれば叩けるかどうかがポイントになりますが、EDMなどのダンスミュージックの場合はそこまでこだわる必要はありません。ハイハットとクラッシュ・シンバルが同時になってもそこまで目くじらをたてて否定する必要はありません。ジャンルによってのドラム打ち込み方は柔軟に考えることも大切です。
8beat(4つうちDance)
ダンスものの定番ハイハットのオープンで裏拍を強調。基本は8Beatと解釈できる
シャッフル(三連)
ロカビリー系往年のアメリカン・ポップスもこのパターンが多い
スゥイング
シャッフルをより大きくした感じ。ジャズなどに多い。このあたりのパターンが基本的な形になりるのでとりあえず覚えておきましょう。
ゴースト・ノートについて
16Beat以下のBeatの中に隠れている細かな譜割りをゴースト・ノートと呼びます。2と4以外でスネアを入れる場合はとにかくベロシティは弱く(ゴースト・ノート)で打ち込むことが大切です。
ならならば、2と4のアクセントありきのゴースト・ノートだからです。ゴースト・ノートが2と4のスネアと同じ強さならどこがアクセントかわからなくなってしまいます。
水色の部分がゴーストノートになります。さてゴーストノートは基本16分の譜割りで入ることになります。
その結果8Beatの中にファンクの要素が生まれることになります。
ファンクは8Beatnoストレートなノリではなく、体を揺らすリズムなのでロックな8Beatの曲を作りたいと思っているのに「リアルなドラムの打ち込みはゴーストノートだね」なんて覚え方でゴースト・ノートを入れまくろうものならば何を伝えたい曲かわからなくなり、「すごいんだろうけどよくわからない」みたいな印象を持たれてしまいます。
ポイントはどの位置でどの音パーツが鳴っているかです。すべてに言えるのが2拍4拍の位置にSD(スネア)がなっていることこれでビートとして裏拍(1.3を表として)を強調しているのがわかります。
これらのパターンを覚えたら、次はフィルインと呼ばれるパターンです。フィルインは楽曲の盛り上げにかかせない要素の一つなのですが、多くの初心者はタムを順番に叩くパターンか、スネアを連続で叩き続けるパターンが多く、そのせいで盛り上がりにかけてしまいます。
ドラム フィルインパターン!に関してはその考え方やパターンなどをはこちらの記事で紹介しているのでぜひ参考にしてください。
ドラム打ち込みパターンを駄目にする音色
ドラム打ち込みパターンを駄目にする最大の要因は、不適切な音色選びです。音色選びがいい加減だと、全体のバランスが崩れ、曲の質が低下します。
例えば、強烈なアタックを持つドラムキットは、繊細なバラードには不向きです。また、低音と高音が強調された「ドンシャリ」な音色は、情報量が多く、一見良さそうに聞こえますが、他の楽器と混ざり合わない場合があります。
適切な音色を選ぶためには、曲のジャンルや雰囲気に合わせた音色を選び、自分の音楽の意図を明確にすることが重要です。これにより、ドラムパターンが曲に馴染み、よりプロフェッショナルな仕上がりになります。
ポイントは音色が持っている雰囲気を正しく選択すること
次の音源はパターンは同じですが、それぞれ音色は異なります。
結論から言えば、アタック感が大きいと派手に聞こえ、アタック感がないと地味に聞こえる。この音質的特性を考えると、よりパターンを意味を生かすことができるようになります。
打ち込みドラムがかっこよくなる正しいベロシティの考え方
ドラムの打ち込みの基本はの一つはべロシティ(強弱)をつけることです。特にハイハットのベロシティは重要です。なぜならハイハットは曲の中で安定したビートを作り出すからです。
ハイハットに強弱の抑揚つくことでよりビートを感じやすくなりますしかし、ベロシティについては奥が深く、ただ細かく打ち込めばよいというものではありません。
なので「難しいことはわからないけど、とにかくササッとやって雰囲気を感じたい!という人は」まずベロシティを付けていない状態で8分音符を打ち込んだものと次の画像の情報を打ち込んだものとを比較してみてください。
120 | 80 | 100 | 80 | 110 | 80 | 100 | 80 |
このデータでわかるのは「どちらが拍の頭を感じやすいか?」ということです。
強弱に変化がないと拍の頭はわかりにくいですよね?しかし強弱があることで拍子を感じ取りやすくなります。
つまりベロシティとは聴いてくれる人に対して「リズム」を意識しやすくするためのガイドラインともいえます。
そしてこのドラム打ち込みベロシティの基準についての値はいわば標準語的な役割も果たします。
地方に行けば言葉のイントネーションが違ったり中には同じ日本語であっても何を言っているか分からないものもあると思います。その言葉として最低限通じるのがこのデータになります。
ドラムのそれぞれの音色と役割について
ドラムは、キック、スネア、ハイハット、タムタム、シンバルこれらのパーツが集まったものを一般的にドラムセットといいます。(ジャンルによってはそれぞれのパーツが増減します)
これに、OH、ROOM、という付加要素を加えてよりドラムらしいサウンドを作っていきます。
それではどのパーツがそれぞれどんな役割を果たしているのかを確認します。
キック(バスドラム)の役割
ドラムセットの中で最も大きく一番低い音1拍目と3拍目の表のアクセントとして使われる
キックとバスドラムの呼び方の違い
バスドラムの「バス」とはBASS(ベース)を日本語的に読んだもの、海外では「ベースドラム」と言われてます。オーケストラや吹奏楽ではベースドラムはバチで演奏します。それを足で演奏することから
ドラムキットのベースドラムは「キック」と呼ばれています。
近年のアニソンでは一つのドラムキットで完成させるのではなく、意図したキックやスネアだけを他の音源からもってくるケースが一般的です。
とくにキックはキック専用音源があるほど重要性が高いので、一つのドラムキットで作り上げるのもいいですが、適材適所で必要に応じたものを使うのがクオリティアップの秘訣です。
スネアの役割
中低域のアクセントを担当するドラム主に2拍目と4拍目に使われることが多い
ハイハット同様、様々な奏法がありアクセントに彩りを与えることができる。裏側にスナッピーと呼ばれる響き線がありそれがスネアサウンドの特徴材質によって音が変わる。メタルは派手なサウンド、ウッドは暖かみのある音が好ましいです。
ハイハットの役割
一定のリズムを刻むことを目的使うことが多い、奏法の種類が多くビートの彩りを与える
オーケストラの打楽器時代からもっとも進化したのがこのハイハット、一定のリズムを刻み続ける奏法はオーケストラには存在しない。
大きさは10インチ〜15インチ、標準は14インチ
ドラムの打ち込みの中でもっとも難しいのがハイハットです。ハイハットは奏法が非常に多彩なのでそれらの奏法を理解することが求められます。
DAW付属のドラム音源などのハイハットはクローズ、オープン、フット、の3種類だけですが、これだけではどれだけベロシティを細かく打ち込んでもリアルなハイハットにはならないので、リアルさを求めるならば専用のドラム音源の購入を検討する方がよいです。
以下の記事ではハイハットの奏法等について詳しく解説しています。
タムタムの役割
ドラムの中で唯一音程感を持って演奏できるパーツ。フィルイン等で使われるのが一般的
フロアタム、ミッドタム、ハイタム、の3つを1つの「タム・タム」として使うのが一般的(ジャンルによってはタム一つの場合もあったり、何十というタムを使うプレイヤーもいる)
シンバルの役割
楽曲に派手なアクセントをつけるのがクラッシュシンバル、サビの始まりにはほぼ使われる。
シンバルは主に2つ。クラッシュシンバルとライドシンバル
ライドシンバルは、リズムを刻む要素を使われる。ハイハット物理的な口径が大きいので低い音が出る。
OHとROOMの使い方は?
OHとROOMは人によって違います。
OHは基本、ステレオないしモノラルマイクでドラム全体を収録した音になります。
使い方のポイントは2つ
- キックやスネアをバランス良くミックスすることでまとまりのあるドラムサウンドにする
- ローカットを入れてシンバル用途として使う
ROOMは曲全体の空気感を強調したいときに使います。空気感が加味されることで派手さや荒々しさが加わり、ロック的なドラムサウンドを作ることが可能です。
しかし、OHやROOMは専用のドラム音源に収録されているものでDAW付属のドラムキットにあまりされていませんし、なくても問題はありません。まずは基本的なパーツでしっかりと基礎的なことを打ち込めるようになってからOHとROOMの音作りを覚えた方がかんたんで楽にかっこいい音を打ち込むことができます。
音の長さ(デュレーションについて)
ベロシティとタイミングはわかるかもしれませんが、デュレーションを意識している人は少ないです。
デュレーションとは長さのことです。ドラムは他の楽器と違ってデュレーション(音の長さ)をコントロールすることができない!と思っている人が多いですが、ドラムはデュレーションによってグルーヴをコントロールしています。
ドラマーがコントロールする音の長さはキーボーディストやギターリストと比べると遥かに短いです。
0.1秒の世界の音の長さをコントロールしています。グルーヴやノリと言った話は「0.1秒の世界のコントロール」ということになります。
ドラム専用音源はドラムのデュレーション(リリース)がそのまま収録されています。BFD3などではタムなど余韻たっぷりですし、SNAREもKICKもリリースが長いものもあります。
それを演奏レベルで長さをコントロールします。専用ドラム音源が1番生に近づく要素はこの部分です。
ドラムのデュレーションをコントロールする方法はコンプやゲートによるダイナミクス管理そして音源自体の長さを直接コントロールするダンピングという技術の2つです。
BFD3では赤でかこっている部分でドラムのリリースを調整できます。
Tomなどリリースがかなり長いものをそのまま使うと、音の濁りにも繋がりますので、リリース管理はかなりシビアになるべきなのですが、あまり意識しない人が多いです。
つまり意識していな人がいるということはすればその分クオリティが上がる!ということなのでぜひ試してみてくださいリリースに関して大切なのはデュレーション(音の長さ)が変わることでどういう印象になるかを明確にしておきます。
音が短ければそれだけ「クール」な印象になります。
キックでリリースを短くすれば、当然出てくるべき低音の響きはなくなりますので、迫力のあるドラムサウンドにはなりくい場合があります。
スネアでリリースを短くすると高音域の余韻がなくなり、タイトなサウンドになります。
ドラムのリリースを明確な意図でコントロールしている人は結構すくないので、この部分を意識するだけで、クオリティの高いドラムサウンドを作ることができるようになります。とにかくデュレーションの意識は大切にした方がいいです。
ちなみに、BFD3を持っていない人はどうすればよいか?その場合エフェクターの「GATE」を使うことで似たようなニュアンスを作ることができます。ただ、不自然な音の切れ方になることがあるので注意が必要です。
まとめ
パターンさえ覚えてしまえばどうにもなります。乱暴な言い方ですが、ドラムはパターンが命です。
そのパターンを扱えるようになるの同じくらい重要なのが「サウンドに適したベロシティ」「グルーヴを生み出すデュレーションにタイミング」です。
ドラム専用音源を使うということはリアルな音が簡単に手にはいると思いがちですが、実はそうではなく、リアルな音を鳴らすためのコントロールできる幅が広がるとう解釈が正解です。
もちろんそのまま鳴らしてもリアルなものも多いですが、意外に忘れがちな「デュレーション」(余韻リリース)をしっかり意識することでよりリアルな打ち込みができるようになると思います。
ドラムパターンを覚えならがらグルーヴを追求した打ち込みを意識すれば音源のクオリティに左右されないドラムの打ち込みができるようになります。
コメント
コメント一覧 (2件)
16beatFunkのピアノロールの画像のキックがズレています。特に問題はないと思いますが一応書いておきます〜。
ありがとうございます。
修正しましたー