DTM(デスクトップミュージック)に興味を持ったことはありませんか?音楽制作の自由度とクリエイティブな表現が魅力的ですが、同時に「やめとけ/やめたい」と言われることも多いのが現実です。
やめとけと言われる理由は次の6つです。
- 金銭的コスト
- 学習曲線
- 時間的なコスト
- 挫折の可能性
- 楽器演奏ができない
- 孤独感
この記事ではこれらの理由を細分化し挫折しないポイントをそれぞれ解説しています。
そこでこの記事ではこれらの問題を一緒に共有して解決していきたいと思います。
DTMをやめとけと言われる主な理由
DTMやめとけと言われる理由と解決方法は以下の通りです。
①金銭的なコスト
DTMには初期投資や継続的な費用がかかります。具体的には、以下のようなものがあります。
- DAWソフトウェア: 高品質なものは数万円することがあります。
- オーディオインターフェース: これも数万円することがあります。
- MIDIキーボード: 数千円から数万円。
- モニターヘッドホンやスピーカー: 数万円。
- プラグインや音源: 無料のものもありますが、有料のものは高額になることがあります。
しかし、これらは優先順位をつけることである程度抑えることができます。
優先順位は、DAWソフトウェア、ヘッドホン、MIDIキーボードです。
DAWソフトウェアはDTMにおける作曲、編曲、録音、編集、ミキシング、マスタリングの全ての作業を行う中心的なソフトウェアです。これがなければ、音楽制作は始まりません。高品質なDAWは、多くの機能を提供し、プロフェッショナルなサウンドを実現するために必要なツールを全て内蔵しています。例えば、Ableton Live、Logic Pro、Cubaseなどが代表的です。
ヘッドホンは音のバランスやディテールを正確に再現するため、ミキシングやマスタリングに不可欠です。これにより高品質な音楽制作が可能になります。高品質なモニターヘッドホンは、モニタースピーカーよりも手頃な価格で購入できます。初期投資を抑えながらも、正確な音質評価が得られる点が魅力です。またスピーカーは部屋の音響に影響されますが、ヘッドホンはその影響が少なく、常に一定の音質で制作できます。
MIDIキーボードは、メロディーやコード進行の効率的な入力を可能にし、ベロシティやモジュレーションホイールによる豊かな表現力を提供します。また、多くのDAWやプラグインに対応しており、特にソフトシンセやサンプラーでその利便性が発揮されます。
しかし、マウスでも音楽情報を入力できるので、MIDIキーボードは優先順位を下げることが可能です。
結論としてDTMをするのに必要最低限の機材は、DAWとヘッドホンです。
よく「オーディオインターフェイスが必要なのでは?」と思うかもしれませんが、ギターやボーカルを録音しないのであれば優先順位は下げられます。パソコンのイヤホンジャックを使えばヘッドホンでDAWの音は確認できます。
「でもよい機材を使わないかっこいい音楽ができないのでは?」
と思うかもしれませんが、この思考がDTMやめとけの原因の一つです。今あるものでなんとかする!プロでも最初から恵まれた環境で作っていた人はほとんどいない!という現実を受け止めて今目の前の環境をフル活用することを意識します。
②学習曲線
DTMは学ぶことが多く、初心者にとっては非常に難しく感じるかもしれません。DTMをするうえで覚える必要があるのは最低限この3つ
この目的は曲を完成させることを前提とします。
- ミキシングとマスタリング: 良い音を作るためには、ミキシングとマスタリングの技術も必要です。
- DAWの操作: 各種ソフトウェアにはそれぞれ独自の操作方法があり、習得には時間がかかります。
- 音楽理論: 基本的な音楽理論の知識も必要になります。
ですが、これすらもハードルは高く感じるでしょう。
結論から言えば、まず覚えるポイントを限定するのが大切です。
DTMを始める際、まず最低限覚えるべきはDAWの基本的な使い方です。全てを覚える必要はなく、作曲に必要な部分だけに絞りましょう。例えば、ミキシングやコンプレッサーの使い方は初心者には難しく、後回しで構いません。
多くの初心者が全てを同時に理解しようとして混乱します。プラグインの使い方の優先順位を下げ、まずは作曲に集中しましょう。
また、耳コピは効果的ですが、数十曲〜数百曲の練習が必要です。数曲だけで上達は期待できませんし、無理に行う必要はありません。耳コピが好きなら良いですが、無理にやると挫折の原因になります。
③時間的なコスト
曲を完成させるまでには多くの時間がかかります。
- アイデアの出し方: インスピレーションが湧くまで時間がかかることがあります。
- 制作プロセス: 曲作り、編曲、ミキシング、マスタリングなど、各段階で時間がかかります。
楽曲制作のクオリティのこだわるのは素晴らしいことですが、こだわりすぎて完成できないのは本末転倒です。
この問題の解決方法は
- 制作時間をきめる
- 1コーラスだけにする
完成というゴールを想定した場合制作時間を決めるとどうしてもやり残した部分や意図しない部分もあると思いますが、時間を決めることで「どうすれば完成になるのか?」という視点が持てるようになります。
また、歌ものであれば1コーラスだけにするなど、とにかく何かしらの「見切り」をつけることで完成の形を自分で確認できるようにします。
たいなものと考えながら、学習していくと音楽理論はより効率よく身に着けられます。
私もものすごく面倒くさがりなので、この気持ちは今だに持ち続けていますが、そのような場合は、できるだけシンプルに物事を捉えて、必要なことだけをするように心がけています。
④挫折の可能性
最初は楽しくても、上達しないと感じたり、思うような結果が出ないとモチベーションが下がることがあります。
これは、音楽を作る上でもっとも楽しく難しいシーンでもあります。気分が乗ってきたところで「あー明日は仕事(学校)で寝ないと」ってなるモチベーションは下がってしまいますよね。
でも、これも、日常生活の創意工夫でやりくりできます。そのためにも後述する「目的意識」が重要になりますが、大事なポイントは他人と比較しないことです。
人と比較するとどうしても自分の足りない部分に目が行きがちですが、自分の目標と学習ペースを維持すること、他人合わせるということはここがぶれて無理が発生してしまいます。
⑤楽器演奏ができない
DTMにおいて楽器演奏ができるのは大きなメリットです。ただ、楽器演奏ができなくても楽曲制作を楽しめるのがDTMの魅力だということです。
MIDI鍵盤は演奏するためのものと思っている人も多いですが、実は演奏情報を入力するためのスイッチでしかありません。
リアルなギターをトラックに使いたいけれど演奏ができないというのであれば、ループ素材集を使用するのも手です。
近年のDAWにはある程度クオリティの高いループ素材集があるのでそれらを使えば楽器が引けなくてもクオリティの高い曲を作れます。
⑥孤独感
音楽制作は一人で行うことが多く、孤独を感じることがあります。フィードバックを得られないまま作業を続けると、モチベーションの維持が難しくなることもあります。
たしかにDTMはある意味で孤独な作業です。しかし、SNSでは似たような意識を持っている仲間は大勢います。確かにいきなり声を掛けるのは緊張するかもしれませんが、勇気を振り絞って声をかけるとそこから一気にDTM交友関係は広がります。
また、スクールに通うことで、自分の知識では見つけられなかった新しい価値観にふれることで、孤独感を感じないDTMライフを送るきっかけにもなります。
DTMやめておけって誰が言い始めた?
DTMやめておけというのはなんJゴッドと言われる掲示板の「DTMに興味があるんやけど」というスレから始まりました。
このユーザーの個人的感情の一言がこの「DTMやめとけ」の出発点です。
やめておけという言葉は「危険だぞ!」「無駄な時間にお金を浪費することになる!」「お前にはもっと有意義なことをしてほしい」という相手を思いやるようなイメージもありますし、実際それはゼロではないでしょう。
「やめておけ」と言う人は、実際にあなたの人生には関わりません。親なら子どもの幸せを考え、善意でネガティブなアドバイスをすることもありますが、顔も名前も知らない他人が本気であなたを心配しているとは限りません。
たとえ心配していたとしても、次に「DTMが無理ならギタリストになりたい」と言ったら、その人は「ギタリストもやめとけ」と言うでしょうか?つまり、ネット上での意見は一時的な感情の結果であり、あなたの将来を真剣に考えているわけではありません。
DTMを始めようとしている人は、他人の意見に惑わされず、自分のやりたいという気持ちを大切にしてください。
DTM挫折率90%の理由
また「DTMやめとけ」というキーワードと同じく、DTMを始めた多くの人々が直面する現実の一つに「挫折率の高さ」や「継続率」という言葉が同時に見受けられます。
客観的かつ統計論的な意味合いで「挫折率」「継続率」というデータは調べた限り存在はしていませんがFenderのCEOであるアンディ・ムーニー氏によれば、新しくギターを始めた人の約90%が最初の1年以内に挫折してしまうというデータがあります。
90% of beginner guitar players give up within a year, says Fender
これはギターだけの話ではありません。アスマークが2021年に実施した趣味に関するアンケート調査によると、多くの日本人が趣味を始めても続けられないことが多いとされています。特に、趣味を続けるためには家族の理解が必要だと感じる人が減少し、趣味に対する価値観が変化していることが示されています (Asmarq)。
総務省統計局の社会生活基本調査: 総務省の令和3年社会生活基本調査では、様々な趣味・娯楽活動の参加率や行動者数について詳しい統計データが提供されています。この調査からも、特定の趣味を始めたが続けられなかった人の割合を推察することができます (Statistics Japan) (Statistics Japan)。
NTTコム リサーチの調査: NTTコム リサーチの調査結果によると、近年のレジャー活動や趣味に対する参加人口の変動が示されており、多くの人が趣味を続けられない理由として「時間の不足」や「モチベーションの低下」が挙げられています (NTTコム リサーチ)。
このことから考えるとDTMの挫折率もギター同様に近い数値になっている可能性は十分に考えられ、継続率にするとDTMの継続率は10%程度になるというのは一般的な考え方でしょう。
つまり、DTMに限らず多くの人が何かを続けても続けられないことの方が多いということになります。
DTMを挫折しない人の思考
私は高校の時にDTM(当時はパソコンで音楽を作るという時代ではなかったのでシンセサイザーのシーケンサーを使って作曲)を始めました。
楽器の経験もなければ音楽の知識もない、まさに超平凡人です。始めた当初からうまくできたわけではなく、1曲を完成するのに1年、音楽理論に関してはAm7を理解するのに3年かかりました。
では、その時の私の目標は知人にお前が音楽なんてできるわけないという決めつけによる反骨心だったように思います。しかし、年がら年中その言葉を意識していたかと言われたらそうではありません。
しかし、なんとなく、その知人の一言から30年を超える音楽人生のきっかけになりました。
当然、少しずつですが、できることが増えてくると楽しくなり、いつ頃からか「音楽でメシを食べたい!」と思うになりました。
他の人のように最初から「プロ意識」ではなく、一つずつ階段を上がった先に見えた目標、こういうアプローチもまたアリだと思ってください。
ちなみに私は過去にこんな生活をしていました。よかったら読んでください。
この経験をしても「やめたい」とは思わなかったのは、私の中で音楽がある生活に幸せを感じていたからです。
よく「挫折しないためにはスクールや動画を見たほうがいい!」という話をしている人もいます。それを否定するつもりはありませんが、目的意識があって初めてスクールやDTM書籍の類の内容を理解したいと思うようになるわけです。
なので、最初はこの記事をよんで最初にしてほしいのは「なぜ」やりたいと思ったのか?というポイントを考えてください。
まとめ
DTMを始めることには多くの障害や困難が伴いますが、それを乗り越えることで得られるメリットは非常に大きいです。初期投資のコストや急な学習曲線、時間と労力の必要性など、挑戦を理解し、適切な対策を講じることで、DTMの世界で成功する可能性が広がります。
もう一度やめとけと言われる理由を振り返ってみます。
- 孤独感
- 金銭的コスト
- 学習曲線
- 時間的なコスト
- 挫折の可能性
- 楽器演奏ができない
それでもときに「もうやめたい」と思うこともあるかもしれません。そういうときは少し休んでもいいのです。
もちろんプロになる!という思いであれば人が寝ていないときにやる!という気持ちくらいは必要ですが、今目の前にある新しい可能性にワクワクしはじめているのならば、自分らしい楽しみ方で続けることを私は応援しています。