「自分は底辺DTMerだから音がしょぼい」「音がしょぼいのはDTM初心者だからだ」こんな悩みもってませんか?
さて質問です。みなさんにとって「しょぼい音」ってなんですか?
この記事では「しょぼい」という言葉の定義を明確にしています。その結果「しょぼい音」を「かっこいい音」に変えることができるようになります。
すでに「しょぼい音」を明確に定義できる人はこの記事を読むことは時間の無駄かもしれません。しかし「わかっている」のと「それを自由自在に扱える」のとは話が別です。だから「なんとなくわかっている」という人もこの記事を参考にすることをおすすめします。
しょぼい音とはそうではない音、俗に言う「かっこいい音」と比較することで認識できる音です。つまり、あなたが好きで聞いている音楽(プロ・アマ問わず)はかっこいい音になると思います。
しょぼい音を簡単に改善するための考え方

音楽は時間の中で変化するものです。
その変化の美しさを楽しむことが音楽の楽しみ方であり
それを自分の意図でコントロールすることが音楽を作る楽しみでもあります。
しょぼい理由の最大の原因は「時間変化」をまったく意識していないことにあります。
例えば、ストリングスで優しい感じのする音とアタックが強い攻撃的な音は発音してからの時間変化にあります。この部分に「意図」を見出すことが「しょぼい」音を改善する方法です。素人っぽい音がなぜ「しょぼい」のかというのはこの部分に一切の意識が向いていないからです。このことをふまえて「しょぼい音」を深堀りしていきたいと思います。
音圧がない音はしょぼいの?
はじめにで書いた音圧に焦点をあててみましょう。最近の曲と今から30年以上前の曲を比べると音圧は全然違います。今の方が圧倒的に音圧は高いです。ですが、「しょぼくて聞けない音楽」でしょうか?
そうではないですよね?
好き嫌いは覗いたとして、往年の名曲と言われた曲は世界中で聞かれていますし、多くの人を感動させ未だに歌い継がれています。音圧があれば音に迫力は出ます。しかし、それによってショボさが改善されるわけではありません。しょぼい音を大きくしたところで「しょぼい音が大きくなった」だけです。
コンプやマキシマイザーで音圧処理をすることで確かに音が大きくなることで迫力が出てきます。しかし、それで「しょぼい音」が解消されたと思ってしまうと今後は何かあれば「音圧」で処理できると思い込みます。
その結果、偽りの迫力を出すことを目的としたマキシマイザーを多用した音楽が出来上がります。空気感もなく、音が全面に張り付いた立体感がない音楽になる可能性が大きいです。これは解決ではありません。むしろ改悪です。しかし、多くのDTMerはこれに気づきません。だから、新しい音圧プラグインが発売されれば飛びついてしまいます。
しょぼい音と音圧は関係ない
音色のクオリティが低いとしょぼい音?
「そうか!音色だ!音色のクオリティの低さが問題だ!」と思う人。確かに音源のクオリティによって「しょぼい」差はある程度存在します。
では優れた音としょぼい音の差は何でしょうか?ここを考えている人は案外少ないものです。なのでここをちょっと考えてみてください。私は「音色の時間変化が自然である音色はクオリティが高い」と思っています。
どうでしょう?
もちろんこれが絶対の正解ではありませんが、高級な音源とそうでない音源はやはりその部分の違いが顕著です。最近の音源はメモリを多く使うことで、音の中のループを使ってメモリを節約しなくてもよくなり、音色のクオリティはは90年代に使われたシンセサイザーのより遥かにうえといえます。
では、そのイマよりクオリティの低い音色が使われていた90年代日本の音楽はどうだったでしょうか?多くの人が感動し、日本で一番音楽聞かれていた時代です。
しょぼい音に人は感動するでしょうか?一週間で何百万枚もCDが売れるでしょうか?そうじやないですね。プロの音はその音のポテンシャルを最大限に引き出すことで、人を感動させる音楽を作っていました。
どんな音が具体的にしょぼいの?
では具体的に「しょぼい」とはどういう音を示すのでしょうか?個人的には「素人(初心者)っぽい音」「ごちゃごちゃしている音」この2点が「しょぼい音」として認識できるように思います。
素人(初心者)っぽい音
まず、素人っぽい音と感じる理由は次の2点です。
打ち込みがベタ(強弱がない)
使っている音が垢抜けない
打ち込みがベタ
打ち込みがベタとは演奏による強弱が存在していないという状態です。「音色の時間変化が自然である音色はクオリティが高い」この視点でいけばベタな打ち込みがしょぼい理由がわかります。強弱のない打ち込みには時間変化がありません。
変化がないということは「意図がない」ということ。「目的がない音に人は感動しません」これが打ち込みがベタが素人っぽい音に感じる理由です。つまり素人とは「人を感動させるという目的がない」だから素人の音は「しょぼい」と感じるのです。
打ち込みをするのに音の変化としてわかりやすいのは強弱、ベロシティの変化です。そのため「連続する音は◯◯のような数値でベロシティを打ち込めばいいよ」という情報を見つけ打ち込むのですが、多くの初心者DTMはベロシティの変化を耳で確認していないことが多いです。
「ベロシティは意識してる!」という人はたしかに細かくベロシティの数値を設定している場合もありますが、そのベロシティ(強弱差)がどいう意図があってその数値にしているかと言われると「えっ、本に書いてあったから、誰かがそうしろと言ったから」という答えがかえってくることがあります。
音源によってベロシティによる音色の変化は全然違います。その差を意識せずに「本に書いてあった数値を打ち込む」ということは、そこに「作曲者の意図」は出てきません。
またわかりやすい例でもう一つ、シンバルが必要以上に大きいのもしょぼいドラム打ち込みの典型例です。シンバルは大きくないとインパクトがないという思い込みから来ている可能性が高いのですが、プロの曲などではシンバルは思ったほど大きくはありません。
なぜなら「シンバルはそれほど大きくなくてもアクセントとして成り立つ」という意図があるからです。こういうところに意識を向けられるかどうかが一つのセンスとも言えます、そう言われると「自分にはセンスはないなー」と思う人。安心してください。簡単なセンスの鍛え方はあとで説明します。
ドラム意外でもピアノでドミソを抑えても「すべてが同じタイミングで同じベロシティ」「人間ではなく機械が演奏しているように聞かせたい」という意図でもない限り「すべてが同じタイミングで同じベロシティ」というのは説明としては弱く聞き手を満足させることはできません。
ストリングスやブラスの長さが伸ばせる限り限界まで伸びている場合ブレスを必要としない楽器であっても呼吸を感じるメロディあるかさこそそこに人は感情移入できるのです。
使っている音色が垢抜けない
例えば、ゆったりとした曲にアタック最速の硬いストリングスの音がなっているこのような状況はアレンジ本やネットの情報で「そういうときはストリングスを使うべき」という一言を鵜呑みにしているのが原因です。ピアノも「専用音源だから良い音」という理由だけで使ってしまうと「いいんだけど、何か浮いている気がする」
この浮いている気がするというのも「しょぼい音」と感じる理由の一つです。
音色のチョイスはテンポ(BPM)にも大きく影響します。テンポが早い曲でアタックの遅い音色を使うとストリングスの旋律の輪郭が見えにくくなります。
例えば
BPM120の場合
4分音符は1分間に120回刻むので4分音符の長さは60秒/120=0.5秒となります。
BPM60の場合
4分音符は1分間に60回刻むので4分音符の長さは60秒/60=1秒となります。
このときに同じアタックのストリングスを使うことの意図はなんでしょうか?テンポがゆっくりであればもっとアタックは遅く、ゆっくり駆け上がる方がそのテンポの良さの心地よさをストリングスで表現できるのではないか?という考え方ができるかどうかが重要なのです。
ここをきちんとコントロールできれば「しょぼい」という印象は随分なくなります。音の適材適所を考える。この考えるという行為そのものが「しょぼい音」からの脱却でもあります。DTM初心者は打ち込み意図が明確にできないため
「とりえあず、全部の音を聞かせようとします」その結果、すべての音が前に出てきて、各音源の輪郭がわからなくなってしまいます。音の輪郭がわかれば一見聞いた感じでは派手でかっこいい音に聞こえますが、その意図が相手を納得させられるレベルでない場合は「しょぼい音」と認識されます。おそらく、あなたが自分の音をしょぼく感じる理由もその意図が自分の中でしっくり来ていないからではないでしょうか?
ごちゃごちゃしている音
上記の2つよりは少しレベルが高い話ですが、ある程度曲を作れるようになるといろんな楽器を入れたくなります。「もっと派手にしたい」派手=かっこいい音というイメージが出来上がりつつあります。
しかしこのときに何でもかんでもいれればかっこいいのかというとそうではありません。大切なのは作りたいジャンルの本質が読み取れる楽器の入れ方が重要ということです。例えば、8ビートのロックが作りたいとなった場合絶対感じたいのはドラムのビートとベースとギターが奏でる8分音符の長さ(刻み)ではないでしょうか?もちろんギターはシンセでも構いません。しかし8ビートのロックで8ビートが感じられないのは正直心地よい音楽ではないと思います。
「隠し味で16ビートのタンバリンを…」というアレンジを考える人もいるかもしれませんが、まずは大前提となると楽曲のコアをしっかり伝えることを意識したうえで音色をいれなければいけません。
これが理解できないと「もっと派手に」という大義のもとでごちゃごちゃと音色をいれまくり結果的に「ぱっと聞いた感じかっこいい気がするけど何かイマイチよくわからない」という音楽になってしまいます。
少しレベルの高い話になりますがこれも「音がしょぼい」と感じる理由です。
伝えたいメッセージが明確な音色(楽器数)をチョイスできていない音はしょぼい音
しょぼい音にならないためにはどうしたいい?

大事なのは「自分が心地よいと思った音源の理由を常に考える」ということです。このセンスは聞いてきた音楽の量と比例します。「私は1000曲聞いてきた!」という人もいるかもしれません。しかし、もしそれだけの数を聞いても「シンバル一発の大きさの意図」が作れない場合は残念ながら「それほど意識せずに1000曲聞いた」という程度になります。
聞いてきた音楽の量と「それに対して自分が心地よいと思える理由」を明確にできるようになればそれにあってない音は「しょぼい」とわかるようになります。もしあなたがDTMを5年くらいやっていたなら、5年前に作った曲の拙さははっきりとわかると思います。
当時聞いていた「かっこいい」と思った曲も今聞くと「そうではない」と感じることもあるでしょう。それはあなたが作曲家の意図をより深く理解できるようになったからです。
しょぼい音ははそうでない音との比較することで回避することができる
まとめ
まとめると
しょぼい音とは
「音色の時間変化が自然である音色はクオリティが高い」という定義にそっていない音
「音楽を聴き込んでいない音」
「自分が心地よいと思った音源の理由を常に考える」
この3つがしょぼさを改善できる答えだと私は思っています。高い専用音源やプラグインを買う前に参考にしてみてください。