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Disperserレビュー オールパスフィルターの使い方と効果

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  • KiloHeartsのDisperserというプラグインを安いから買ったけどいまいち使い方がわからない
  • 効果的な使い方ってどうすればいい?

Disperserはシンプルなインターフェイスですが、音の変化度合いから見ても「いまいちなにをするものかよくわからない」という人が多いです。

そこで今日はDisperserの一般的な使い方から応用的な使い方までお話したいと思います。

UG
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KiloHearts Disperserとは

Disperserは安価ながらしっかりと支えるプラグインを世に送り出しているメーカーKiloHeartsが作ったオールパスフィルターです。

オールパスフィルターを使用することで異なる遅延を異なる周波数に追加することができます。

オールパスフィルターとは?

シンセを使ったことがある人ならLPF(ローだけを通す)やHPF(ハイだけを通す)BPF(特定の周波数だけを通す)というフィルターのことを知っている人は多いでしょう。

ではオールパスフィルターとはなにか?文字通りすべての周波数を通すことです。しかしそれではフィルターとして何をフィルタリングしているかわかりませんよね

ざっくりと説明するとオールパスフィルターは信号の周波数の位相に位相をずらす(遅らせる)ディレイフィルターとおぼえてください。

Disperserの価格

オールパスフィルターという珍しい使用のプラグインの値段は6,185円となっています。かなり癖が強いプラグインですが、シェイピング目的やフレーズ作りにおいても

ユニークな効果を発揮してくれます。紹介した位相ディレイによるフレーズの変化はやってしまったもん勝ちのところもあります。

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Disperserの使い方

画像

AMOUNT 「周期ディレイ」のブースト調整

FREQUENCYスライダー  カットオフ周波数を調整(周波数ウインドウで周波数を示す縦の線を左右にドラッグで変更可能)

PINCH フィルターのQを設定します。これによりカットオフ周波数付近にディレイを集中させる効果があります。

AMOUNTは位相のディレイであり普通のディレイのように「設定した回数だけ音が返ってくる」というものではないのがポイントです。

周波数ごとのディレイは周波数ウインドウ内にディレイ曲線として表示される。カーブが高いほどディレイが長くなります。

このことから特定の周波数の位相のタイミングを調整できる(ディレイ)のがDisperserの機能だと言えます。

「位相をディレイさせる」とは?

まず普通のディレイです。

キックの60Hzにディレイがかかるようにしています。このときのスペクトラム・アナライザーの動きにも注目してください。

次にDisperserで60HzにPINCH(フィルターのQを設定します。これによりカットオフ周波数付近にディレイを集中させる効果がある)でMAXにしてみます。

通常のディレイでは指定した回数に対して、Disperserは指定した周波数の位相がディレイのように存在し続けているのがわかります。

Disperserのメリット・デメリット

(基礎編1)音に太さや存在感を与える

AMOUNT は設定した値より低い周波数に位相のディレイが発生することから、そこに音が存在していたような状態を作り出せます。

これを応用するとキックの60HzにAMOUTを多くすることで60Hz以下の位相ディレイが生まれることでキックにサスティン効果が生まれます。

さきほどの動画ではPINCHを最大にしていましたが、それだと60Hzにディレイが集中してしまうので、PINCHは使用しない、または12時くらいまでにとどめておくことでその効果がわかりやすくなります。

(基礎編2)マイクの距離による位相差を調整できる

ドラムのレコーディングの場合などは複数のマイクを使用します。

キックだけでもキックの中の音(主にビーターにあたったバチッというアタック音)とキック全体の鳴りをとるために

INとOUTという形で2本のマイクを使用します。

このときそれぞのマイクが逆位相になっていたりすると、次のような音になります。

最初が正位相、後半が逆位相です。

ここでのポイントは音の変化とともにマスターレベルの上がり方も見てください。

このような音になると当然「迫力がない!イコライザーだ!60Hzだ!」となるかもしれませんが、ではここで

逆位相のキックの60Hzに5dBブーストしたものと、DisperserでAmountとPINCHを9時程度、FREQUENCYを60Hz、設定したものを聴き比べてみます。

逆位相の状態でイコライザーをブーストすると当然物理的に60Hzの周波数が5dB持ち上がります。当然、ピークも変わります。私が「キックであれば50〜60Hzをブースト」するのをあまり良く思わないのはこういう状態の音色もあるからです。

(ここでは逆位相をメインにお話していますが、正位相のマイクであってもマイクの距離によっては逆位相のような音になることもあります。)

ではDisperserでの結果は明らかに体感できる低音感は上がっているのに、メーターの数値はかなり下がっているのがわかります。

これは音量(ピーク)を持ち上げたのではなく、RMS(音圧)が上がっているからです。

「こりゃいい!これでラウド感マシマシだ!」となるかもしれませんが、やりすぎると単に蒸し暑いだけの音になるので動画のようなくらいもで十分効果はあります。

また、スネアなどの基音にFREQUENCYを設定することで、簡単にヘッドルームを2〜3dB確保することができますし、

レイヤーされたスネアに使用することで芯のある音を確認するような使い方も可能です。

(応用編)位相ディレイを使ったエフェクトフレーズ

ここでちょっと変わったフレージング制作方法としてDisperserを使ってみます。

使い方はベースを2トラック用意して両方にDisperserをかけ片方のAmountを変更することで単調なフレーズに変化を加えることができます。

普通の使い方ではないところに使いみちを見出せるのはクリエイティブな瞬間です。これ以外にも使い方があると思います。常識にとらわれない柔軟な発想で色々と試してみることをおすすめします。

まとめ

Disperser

  • シンプルな操作性のオールパスフィルター
  • 位相によるディレイで音のシェイピングからフレーズ作りまで可能
  • 音の変化の理解がわかりにくい

といったものです。

この手のプラグインに言えることは「常識外の答えを見つける!」という目的が面白いように思います。

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