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ADAM A7Vレビュー 音響補正ファイルを適用させてクリアなモニタリングシステムを構築

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ADAM AudioのA7Vは、A7Xの進化形として、本格的な音楽制作を目指すプロデューサーやエンジニアに最適な選択肢です。

この新しいモデルは、7インチのMLMファイバーウーファーと高精度なX-ARTツイーターを搭載し、45kHzまでの広い周波数特性を実現。DSPチューニング機能と音響測定ソフトSonarworksのSoundIDと連携させ部屋の音響問題を補正し、濁りのないクリアなモニターシステムを構築できます。

A7Xからの乗り換えを検討している方や、高価格帯のプロモニター機の購入を検討している方向けに、A7Vの詳細について解説しています。

本記事はメーカー様ADAM Audio(@ADAMAudioJP)様からT7Vをお借りして執筆しました。

UG
  • 元ゲーム音楽屋(NintendoDSなど)
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  • DTM記事執筆500以上
  • ショートアニメ、CM、企業PV音楽を制作
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ADAM A7V 概要

ADAM Audio A7Vは、高精度なX-ARTツイーターと7インチMLMファイバーウーファーを搭載した2ウェイスピーカーです。

40Hz〜42kHzの広い周波数応答とDSPによるチューニング機能を備え、クリアで緻密なサウンドを提供します。A7Xと比較して、A7Vは新しいウーファーデザインとDSP機能によるカスタマイズが可能な点が異なります。A7XはPWMアンプを使用し、伝統的なAB級アンプでツイーターを駆動しています。

機能 / モデルA7VA7X
タイプ2ウェイ・スピーカー2ウェイ・スピーカー
ウーファー7インチ アンプクラスD
アンプクラスD
MLMファイバー
7インチ
PWM 
(カーボン/ロハセル/グラスファイバー)
ツイーターX-ARTツイーター
クラスA/B 
X-ARTツイーター
アンプクラスA/B 
周波数特性40Hz – 45 kHz 42Hz – 50kHz
アンプ出力 (ピーク)合計 130Wウーファー: 100W (PWM), ツイーター: 50W (A/B級)
最大SPL @ 1m105 dB SPL(1台)≥114 dB(ペア)
特徴DSPによるルームEQ&ボイシング搭載、回転可能なHPSウェーブガイド、AコントロールとSonarworksの統合シンプルなルームEQ機能、フロントに設置されたバスレフポート、垂直面でコントロールされた指向特性
入力コネクタXLRとRCAXLRとRCA
保証2年間の部品保証、製品登録によって5年間に延長可能2年間の部品保証、製品登録によって5年間に延長可能

スペック的にはそこまで大きくは変わらない部分もありますが、やはり最新の技術で作られたA7Vの音質はA7Xよりよりクリアで見通しの良いサウンドになっていました。

ではまず外観から見ていきます。

ADAM A7Vとは外観上の違いはそこまでありませんが、バスレフの形が変化したこと、ウーファーの位置が少し下がったことわかります。

ADAM A7V A7X
正面比較画像

セッティングによってこのわずかな違いも音に影響する可能性はあるので、これらが良い方向に感じる人とそうでないと感じる人に分かれる部分もありそうです。

ADAM A7V レビュー

音質4.5
機能性(オリジナル性)4
操作性(使いやすさ)2.5
安定性(CPU負荷)2.5
価格2
総合評価3.1

音質4.5

X-ARTツイーターで最大45kHzを再生

ADAM A7VX-ARTツイーター画像

X-ARTツイーターは、ADAM Audioによって開発された高解像度のエアモーショントランスフォーマー(AMT)ツイーターです。この技術は、従来のドーム型やコーン型のツイーターとは異なる原理に基づいており、音響信号を空気の動きに変換する際に非常に高い効率と応答性を実現します。

ADAMといえばやっぱりリボンツイーターでしょ!と言いたくなるほどX-ARTツイーターの音は特徴的であり、超高域の空気感の再現に長けています。

X-ARTツイーターは角度を変更できる他ではあまり見ない機能がついています。そのためスピーカーの横置きにも対応できるのはユニークな仕様だと思います。

A7Xは超高域の再生周波数が50kHzに対してA7Vは45kHzに下がっています。下がった理由としてDPSを内蔵したことでADコンバーター等の影響ではないかと考えていますが、正直測定スペックの領域であって、視聴上では気にする必要はありません。むしろA7XよりA7Vの方が高域の伸びがキレイです。

俗に言うリバーブの余韻までキレイに聞こえるという印象です。

7 インチウーファー(MLM)で迫力のある中低域を実現

ADAM A7V MLMウーファー画像

A7Xと比較してウーファーの音質の違いは特に大きく感じました。A7VはA7Xより中低域の音の解像度が高いため、音が密集して団子状態になりやすい帯域を明確に捉えられるのは大きなメリットです。

ADAM A7V バスレフ画像

バスレフは高級機種のSシリーズと同じ三角形タイプになりました。実際このデザインが低域の再生にどれほど影響が出ているのかはわかりませんが、低域再生周波数の40Hzよりさらに低い帯域であってもスムーズに再生してくれます。

私は普段20Hzまで再生可能なサブウーファーを使うので、モニタースピーカーの低域はカット(ウーファー側で80Hz以下の信号をモニタースピーカーにおくらない)していますが、下手なウーファーなら必要ない!むしろ入れない方が良い!といえるくらいA7Vの低域はクリアです。

A7Vの低域が物足りないと感じる人もいるかもしれませんが、その場合適切なセッティングができているのかをチェックするのがよいでしょう。良いスピーカーは良いセッティングからです!

マニュアルにはポテンシャルを発揮するためのセッティング方法も記載されているのでそれらを参考にするのがよいでしょう。

EDMやヒップホップ、サブベースなどモダンな低域サウンドもガッツリとパワフルに鳴ってくれます。

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機能性4

音の濁りを取り除くソフトSoundIDと連携できる

ADAM Audio A7V最大の魅力は音響補正ソフトSonarworksのSoundIDのキャリブレーションファイルを読み込めるようになった点です。

SonarworksのSoundIDとはリスニング環境を最適化するソフトウェアであり、ユーザーの好みに合わせて音質をカスタマイズし、ヘッドフォンやスピーカーの音響特性を補正して一貫した高品質なサウンドを提供します。

かんたんに言ってしまえば部屋の反射音の影響をなくし音の濁りを取り除くことができるソフトです。

しかし、SoundIDには個人的に2つの欠点があります。それは

  • OSの内部にドライバーが組み込まれるためオーディオ周りで不具合が起きる
  • 補正した音を聞くにはSoundIDのソフトを立ち上げ続けなければいけない

この不具合はユーザーによって起きない場合もありますが、私の環境ではオーディオインターフェイスのドライバをうまくつかめないなどの不具合がおきました。

しかし、測定結果のファイルをスピーカー自信に保存できれば、ソフトは立ち上げる必要もありませんし、ソフトに関しても別OSにインストールすれば問題はありません。

今話題のIk MultimediaのARC StudioのハードプロセッサーがADAM A7Vスピーカーの中に入っているものと考えれば分かりやすいかもしれません。

ARC Studioの場合は外部DSPプロセッサーを経由するため、スピーカーまでのケーブルは合計4本になりますが、A7Vはスピーカーとオーディオインターフェイスを従来どおりつなぐため、不要なケーブルを使わなくてよいのもありがたいです。

SoundIDがなくてもスピーカーイコライザー補正も可能

SoundIDを持っていればより鬼に金棒ですが、持っていない人でも補正は可能です!

A7VにはRoom Adaptationという4バンドイコライザーが搭載されており、それもDSPに保存して使えます。

ADAM A7V背面パネル画像

A7Xにも3バンドイコライザーは搭載されていました。

ADAM A7V A7X背面画像比較
左がA7V中央宇部にイコライザーノブ

両者の違いはA7Vは可変幅が一定でボタンを押すことでそれらを切り替えていくという方式になっています。使ってみるとA7Vのボタン押しの方がかんたんに設定できるので使い勝手はA7Vの方がよかったです。さらにA Control Remote Softwareのアドバンスモードを使うと最大で6バンドまで拡張でき、より詳細な音の補正が可能になります。

ADAM A7V A Control Remote Software画像

ADAMシリーズのスピーカー特性を再現できる

ADAM A7V背面ボイシング機能画像

A7VにはVoicingモードがあり、Pure、UNR、Extという3つのモードがあります。

PureはA7Vの最新のオーディオ特性モードでありよりフラットな再生周波数になります。UNR”(Uniform Natural Response™)は、ダイナミックで自然なサウンドになり、いわゆるテンションがあがる系の音になります。最後のExtはSoundIDを読み込む専用のボイシングになります。

Aシリーズのエンクロージャーは、天井や壁への取り付けも考慮

A7Vには底面に4つの穴が空いています。これは将来的に天井に吊るす場合などを想定したものです。

ADAM A7V底面画像

メーカー自体もイマーシブオーディオの利用視野入れているとのことで、マルチチャンネル用途で使えるようにしているようです。ただ現状では天井や壁掛け用のスタンド等は発売されていません。

日本語マニュアルを完備

公式サイトにて日本語のマニュアルを閲覧可能です。海外のスピーカーは日本語に対応していないものもありますが、Adam Audio は日本語にしっかりと対応してくれています。

AシリーズアクティブスタジオモニターA4V A44H A7V A77H A8H操作マニュアル

またこのマニュアルにはセッティングについても言及しているので操作方法以外でも参考になります。

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操作性2.5

キャリブレーションファイルをA7Vに送信するのが少し手間

SoundIDにて解析したキャリブレーションファイルをADAM A7Vに送信するためには背面にあるLANケーブルとPCを接続し専用のソフトA Control Remote Softwareを使います。

ADAM A7V背面LANポート画像

A Control Remote Softwareはスピーカーそれぞれに付いているので、2台同時にPCと接続する場合はスイッチングハブまたはルーター的なものが必要になります。

ちなににこのスイッチンハブは別途購入が必要です。安いもので2〜¥3,000程度の出費になります。

キャリブレーションファイルは1台ずつ送信可能なので、LANケーブルを接続しなおせばスイッチングハブ等を使用しなくても使えますが、正直な気持ち煩わしく思います。

個人的には無線LANにしてくれれば、設定の切り替えもスマホ等からできて便利だと思うのですが、無線機能は搭載されていないのでそのような使い方はできません。

電源スイッチ及びボリュームノブが背面に設置されている

ADAM A7Vでは電源スイッチおよびボリュームが背面に移動なりました。

例えば、電源を落とす場合に、スピーカーのスイッチを切りたい人には少し煩わしいと感じるかもしれません。

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安定性2.5

ほどよい重量感で安定したセッティングが可能

A7VとA7Xのサイズ重量差は300g、とそこまで大きく変わりません。

A7V9.5 kg 
A7X9,2 kg 

両者ともどっしりとした重量感があります。

わずかに設置するときにぐらつく

これはスピーカーのフロントデザインの構造上おきる問題です。

スピーカーを手で押すとカタカタとなります。

これはスピーカーのデザイン上の問題でそれが原因で著しく安定性を損なうかと言われるとそんなことはないので安心してください。

気になる人は、インシュレーターか耐震マットを引くのがオススメです。

ボリュームノブが柔らかい

A7Vのボリュームノブは非常に柔らかく、また中央の0dB値でカチッととまる感覚もかなり小さいため、セッティング中にノブに誤ってノブにふれると設定が変わってしまう可能性があります。

このあたりはA7Xの方がしっかりとしている印象があります。

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価格2

価格は為替レートに影響します。

価格
価格1本¥104,000〜114,400

決して安くはないが後悔しない音質

1本¥114,000ペアで¥228,000、決して誰でも手が出る価格ではないと思います。また音響測定ソフトであるSoundIDの価格が¥39,600〜¥59,400ということを考えると28万近くになります。

しかし、DSPを内蔵しキャリブレーションファイルを保存できるのは大きな魅力ですし、何より40Hz〜45kHzという再生周波数の広さによる音像感はほかでは得られないほど魅力的なサウンドです。

このスピーカーがあればとりあえず10年は買い替える必要はありません。現に私が使っているA7Xはすでに15年近く使っていますが、多少のヘタりはあってもまだまだ元気に鳴っていますし、世界中のスタジオでADAMは導入されている世界トップレベルのスピーカーなので、音に間違いはありません。

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ADAM A7Vに関するFAQ

ここではAVに関するFAQをまとめています。

ADAM A7Vはいつ発売されましたか?

2022年5月下旬です。

ADAM A5Vはありますか?

A5Vはありません。

S2VにSonarworksのSoundIDのキャリブレーションファイルを読み込めますか?

公式からはそのような発表はありませんが、DPSを内蔵しているので将来的にできるようになるかもしれません。SoundIDのキャリブレーションファイルが読めるのは次の4機種です。

A4V、A44H、A7V、A77H、A8H

6畳の部屋で鳴らしても問題ありませんか?

限界値の半分くらいの音量しか出せないとは思いますが、小さい音であってもA7Vの魅力は感じ取れると思います。(私の部屋が6畳なので)

a7vのサイズは?
重量 9.5 kg 
寸法(高さ x 幅 x 奥行き) 337 x 200 x 280 mm 

ADAM A7Vは誰におすすめ?

ADAM A7Vは、その高精度なサウンド再現能力と幅広い周波数応答により、特に以下のようなユーザーにおすすめです:

  1. 音楽制作プロフェッショナル: プロデューサー、ミキシングエンジニア、マスタリングエンジニアなど、細部にわたる音のニュアンスを正確に捉える必要がある音楽制作の専門家。
  2. 音楽制作愛好家: 高品質なモニタリング環境を自宅スタジオで求める音楽制作の愛好家やセミプロのクリエイター。
  3. オーディオ愛好家: 細部までクリアに再現される音質を重視し、音楽鑑賞を楽しみたいハイエンドオーディオ愛好家。
  4. 映像制作者: 映画やビデオの編集において、音響効果やダイアログの明瞭さが重要な映像制作者。

ADAM A7Vは、DSPによるチューニング機能を備えており、リスニング環境や個人の好みに合わせてサウンドを微調整できるため、幅広い用途に対応する柔軟性を持っています。このため、高い音質とカスタマイズ性を求めるユーザーに特に適しています。

一方でおすすめしないユーザーは

  1. 予算に制約があるユーザー: ADAM A7Vはプロフェッショナル向けの高品質なスピーカーであり、その価格は一部のホームユーザーや初心者にとって高価に感じられるかもしれません。予算が限られている場合、より手頃な価格のモデルを検討することをおすすめします。
  2. 基本的な用途のみを求めるユーザー: 単に音楽を聴く、映画を見るなどの基本的な用途でスピーカーを使用する場合、ADAM A7Vの高度な機能や音質の細かなニュアンスを十分に活用できない可能性があります。このようなユーザーには、よりシンプルでコストパフォーマンスの高いスピーカーが適しているかもしれません。

やはり20万後半という価格はかなり覚悟がいる価格なので、そこまでは手が出せない!という人は他の選択肢を検討するのがよいでしょう。

A7Vの1サイズしたのスピーカーでA4Vがあります。こちらは、ウーファーサイズが4インチと少し小ぶりですが、それでも再生周波数は53 Hz – 42 kHzと宅録スペックとしては問題ありませんし、ADAMサウンドの代名詞X-ARTツイーターも搭載しています。

またDSPを内蔵しA7V同様Sonarworks SoundIDのキャリブレーションファイルを読み込めるのは現時点ではA7VとA4Vだけになります。

こちは1台¥65,000〜、2台合わせても¥130,000、Sonarworks SoundIDが安いところで購入できれば4万以下なので、本格的なDSP補正スピーカーサウンドを手軽に始めたいという人にはA4Vの方が購入しやすいでしょう。

まとめ

音質4.5
機能性(オリジナル性)4
操作性(使いやすさ)3
安定性(CPU負荷)2.5
価格2
総合評価3.1

ADAM A7Vの音は好みの部分を差し引いても良い音をしています。この良い音とは低域はしっかりと鳴りつつも歪みが少なく、音像感が大きく、高域も耳にいくない。このような音が私にとって良い音です。

しかし、それらも部屋の定在波と呼ばれる反射音による音の濁りがあっては本領発揮できませんが、A7Vではスピーカーに内蔵されたイコライザーである程度調整ができますし、別途販売している音響測定ソフトのSoundIDを使えば定在波だけを取り除きよりクリアな音を再生できるようになります。

この音響測定はガチプロの人たちからするとそこまで信用がおけない。もっとルームアコースティックを整えるべきだ!という人もいます。私もその通りだと思います。しかし、そのための費用は決して安くありませんし、効果も限定的です。

そこに時間とお金をかけるのであれば擬似的にでも定在波を取り除き、創作及びミックスに時間を割り当てた方がスキルアップに繋がるでしょう。

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