多くのメーカーがPultecイコライザープラグインをリリースしているなか、オーディオインターフェイスの王者ともいえるAPOGEEがPultecイコライザープラグインをリリースしました。
それがAPOGEE EQP-1Aです。
ですが、こんなふうに思っている人いませんか?「ぶっちゃけどのPultecイコライザープラグインも音は同じじゃない?」
そうですよね、機能的な面ではどのPultecイコライザープラグインも同じです。では今回リリースされたAPOGEE EQP-1Aは何が違うのか?
買うだけの価値はあるのか?買うことで自分にどんなメリットがあるのか?などwavesのPuigTec EQP1Aと音を比較しながらAPOGEE EQP-1Aの魅力についてお話してみたいと思います。
- APOGEEオーディオインターフェイスでDSPプラグインとして使用可能
- シンプルな操作で音の体格を素早く調整
- CPU負荷が低い
- コスパがよくない
- インストーラーが紛らわしい
APOGEE FX EQP-1A 概要
メーカー | APOGEE |
製品名 | EQP-A |
特徴 | PultecEQP-1Aの特徴的なEQカーブを再現 Circuit Non-Linearites、で有名な「魔法」を追加 ハードウェアPultecEQの現在のメーカーであるPulseTechnologiesで開発 (公式に認可され承認) Symphony Desktop、Element Series、 およびEnsembleThunderboltオーディオインターフェイスの APOGEEハードウェアDSPで動作(CPU負荷なし) |
システム | マック macOS10.12.6以降(Macネイティブ対応) VST、VST3、AU、AAX ウィンドウズ Windows10以降 VST、VST3、AAX |
バージョン | 2.1.8(2022-04-23) |
認証方式 | iLokアカウント認証 |
容量 | 415MB※ |
マニュアル | 英語版 |
価格 | (メーカー価格) |
備考 | 体験版あり 14日間動作 インストールが少しめんどくさい |
音響機器メーカーの老舗でもあるAPOGEEと現在もPultec イコライザーを作り続けているPulse Technologiesが作り上げたAPOGEE FX EQP-1Aはプロアマ問わず音に拘るユーザーに注目されているイコライザープラグインです。
EQP-1A はとてもシンプルなイコライザーです。
理由は低域と高域しか触るところがないからです。(低域や高域はスイッチでその周波数を変えることができます)
わかりやすくいえば「ドンシャリにしやすいイコライザー」という印象だと思ってください。
DTM初心者であれば「イコライザーの使い方が下手で困っている」や「イコライザーが苦手」と思っている人でも一度使えば音の変化がとてもわかり易いので、音作りのイメージが湧きやすいイコライザーでもあります。
APOGEE FX EQP-1A レビュー
音質 | |
機能性(オリジナル性) | |
操作性(使いやすさ) | |
安定性(CPU負荷など) | |
価格(セールバリュー) | |
総合評価 |
音質
サウンドの比較にはwavesのPuigTec EQP1Aを使用します。
ドラム、ギター、ベースと比較していきます。
ドラム
音源はAD2のUnited Heavy のPCD Rock Uキットのエフェクトをすべて外した状態のものを使用、今回はキックとスネアに同じ設定をして音質の違いを比較します。
AD2について詳しく知りたい方は[AD2]addictive drums 2の使い方のコツ3選こちらの記事が参考になります。
EQP-1Aの音質は色付けがないナチュラルで高品質なサウンド。真空管タイプだからと言ってむやみに倍音を発生させてていないところは個人的には好印象ですが、この真空管特有のサチュレーションがない部分を少しネガティブに捉える人もいるかもしれません。
しかし、全体的に音像がぼやけるような印象もなく、また通すだけでもわずかに高域にゲインアップが見られるちょっとした「トリック」もあります。
PuigTec EQP1Aにはローエンドの処理に若干クセみたいなものがあります。(50Hz付近の僅かなピーク)EQP-1Aにはそのようなものもなく非常にかかり方が素直です。なのでイコライジングの結果がイメージと違うというような違和感は起きません。
デジタルイコライザーのような素直さとPultecの操作性を兼ね備えた音質は音の体格や輪郭に不要な色をつけずにすむのはメリットと感じますが、真空管エミュレーションのサウンドを求める人にとってはやはり、少し面白みにかけると判断する人もいるかもしれません。
ギター
微々たる差のように感じるかもしれませんが、ここは非常に好みの分かれるところです。混ざりがいいのはPuigTec EQP1Aですが、音の枯れ具合をうまく全面に持ってきているのはEQP-1Aです。
私はこの曲に関してミックス感よりもギターのニュアンスをしっかりと前にだしたいという目的があるのでEQP-1Aの方が私が求める音になってくれます。
両者のイコライザーの設定は次の画像のようになっています。
ベース
ベースには求めたのは芯がしっかりとありフレーズがしっかりと見えること。PuigTec EQP1Aも悪くはないのですが、EQP-1Aの方が弦の擦れる感じやタッチのノイズを無理なく拾い上げプレイヤーの指の動きが見えそうな臨場感があります。
ベースのイコライザー設定はこのようになっています。わかりやすくするためにBOOSTは最大にしています。
今回の私の意図とする音作りはEQP-1Aがしっかりと役立ってくれた感じがします。わずかなイコライザーのカーブの違いから生まれるPultecイコライザーの音作りは簡単ながらに奥が深いです。
機能性
DSP機能について
APOGEE FX プラグインの最大の魅力は、Element、Eensemleなどのサンダーボルト接続が可能なオーディオインターフェイス、及び、APOGEE desktop Symfony Duet3などのオーディオインターフェイスに内蔵されているDSP機能を使うことで、パソコンに負荷をかけずに録音時にエフェクトプラグインを使用し「かけ取り」が可能です。
録音時にコンプ等を掛け取りしすぎるのは問題ですが、音の補正程度に使うことはプロの現場でもよくあります。
詳しくはこちらの記事にオーディオインターフェイスで使った場合の詳細を解説しています。
操作性
操作性については、他のPulteqイコライザープラグイン同様に難しいと思うところはありません。
Opto-3A同様に個別のインストーラーがないため、次の要素をネガティブにとらえてしまうかもしれません。
APOGEE Fxインストーラーという一括のインストーラーしかないため所持していないプラグインもインストールされてしまう。
プリセットの少なさが目立つ
詳しくはこちらを参考にしてください。ボーカルやギターにベース、自然なコンプレッションが魅力の光学式コンプをモデリングしたOpto-3Aのレビュー記事です。
安定性
PuigTec EQP1AとEQP-1Aの負荷比較です。
ほとんど変わりません。たまにPuigTec EQP1Aの方が1〜2%高いときがありましたが、誤差レベルといっても問題ないです。
価格
APOGEE EQP-1A | waves PuigTec EQP1A | |
pluginBoutique | $218.90 | |
公式 | ¥$199.00 | ¥4,475 |
楽天 | ¥27,500 | ¥3,960 |
正直に言います。高いです。これだけPultecイコライザーのプラグインに限らずこの価格は近年のエフェクトプラグインの中では高額です。
確かに、APOGEEのオーディオインターフェイスのDSP機能を使える等のメリットはありますが、持っていない場合はその部分の付加価値は見出しにくいでしょう。
しかし、安いから買うと高いから買わない。のではなく、必要だから買うというのが本来のプラグインの購入の仕方です。なので私の使い方と音質を理解したうえで欲しいと思うのであれば決して高くはない買い物だと言えます。
APOGEE FX EQP-1A 関連動画
まとめ
音質 | |
機能性(オリジナル性) | |
操作性(使いやすさ) | |
安定性(CPU負荷など) | |
価格(セールバリュー) | |
総合評価 |
音質、APOGEEのオーディオインターフェイスとの親和性など、かなりクオリティの高いPultecイコライザープラグインです。しかし、やはり価格の高さをネックに感じてしまう人はいると思います。
どのメーカーもリリースSALEで顧客獲得にしのぎを削っている中でさすが王者の風格たるものがありますが、できればもう少しだけ価格設定を見直してもらいたいと願ってしまうのは贅沢なのでしょうか?
ミキシング初心者本をいくつ買ってもパラメトリックEQの設定がずらーっと書いてあって大分うんざり
もっとわかりやすく効果的にイコライザーを扱いたい!
そんな人はPulteqイコライザープラグインがおすすめです。
Pulteqイコライザープラグインはシンプルなイコライザープラグインで誰もが簡単に扱うことができます。
音質は間違いなく素晴らしいです!