APOGEEのオーディオインターフェイスに欠かせないとまで言われるSoft Limiterが無料配布されています。
気になるのは音質と操作性、そして無料の価値はあるのか?
結論から言うと、無料の価値はありますが、これを定番リミッターにするかはジャンル次第というところです。
それらを踏まえたうえでもう少しだけ詳しくSoft Limiterの音質とAPOGEE Ensemble TBについているソフトリミッターと音質比較をしてみます。
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APOGEE Soft Limit概要
メーカー | APOGEE |
製品名 | Soft Limit |
特徴 | APOGEEブランドを極めた究極のアナログテープエミュレーション |
システム | APOGEE FX Pluginsネイティブ動作環境 • macOS 10.12.6* -12 Monterey Intel (Apple SiliconではRosetta にて対応) *Clearmountain’s のみmacOS 10.14.6以降 • Windows 10 • 8GB 以上のメモリを推奨 • AU/AAX/VST対応 • Pace iLok アカウント www.ilok.comより無償で作成いただけます。 iLokハードドライブオーサライズ対応 APOGEE FX APOGEE Hardware対応環境 APOGEE Symphony Desktop、Element Series または Ensemble Thunderbolt オーディオ・インターフェイス APOGEE Thunderbolt ドライバ 、 APOGEE Control アプリケーション v 7.57 以降 |
バージョン | v1.0.14(2022-09-15) |
容量 | 119.1MB |
マニュアル | 英語版のみ |
価格 | フリー($99相当の製品) |
備考 | アンインストーラーあり |
AD-8000からSymphony I / O、最新のDuet 3まで、ほぼすべてのAPOGEEADコンバーターの機能として搭載されているリミッターです。
それらをプラグイン化し、なおかつ、音を作り込むレベルまでブラッシュアップしたのがAPOGEE Soft Limitとなります。
オーディオインターフェイスに搭載されているSoft LimtはオーディオインターフェイスではなくAPOGEE Controlというソフトで使用します。

使い方としてはONかOFFの二択で、細かくパラメーターを設定できるわけではありません。
また、レベルオーバーに関してのマージンは0.5dB程度と本当に気持ち程度のリミッターになります。ただ、他の機種や過去のコンバーターによっては変わる可能性もあります。
APOGEE Soft Limit レビュー
音質
4
音質的には近年で使われているようなクリアな印象はなく、一昔前のプロ用テープ的なサウンドをイメージさせます。
アナログテープの暖かさとキャラクターをトラックに追加できるということだけあって、スレッショルドやドライブを調整するとパッツン系ではなく、よくも悪くもテープに突っ込みすぎた音色になります。

派手にしても派手すぎないのはAPOGEEサウンドといったところでしょうか?どことなくジェントルさが出ています。
ドラムに使う場合はスネアやOH、個人的にベースとの相性も良いように感じます。
ですが、もう少し派手で時代にあったリミッターがほしい場合はSonible smart:limitやSignum Audio BUTE Limiter2の方がおすすめです。


機能性
4
扱えるパラメーターは次の6つです。
IN | LimiterのON/OFF |
OVR-SMPLE | 4〜16の3つのオーバーサンプリングの切り替え(OFFも可能) |
DRIVE | オーバードライブ ±18dB |
SOFT THRESHOLD | しきい値 |
OUTPUT | 出力ノブは±18 dBのレベルトリムを提供 |
AUTO MAKEUP | ソフト制限しきい値を下げるとレベルが追加 |
機能性としては過不足がないシンプルなリミッターですが、DRIVEの設定でかなり音色を追い込めます。
ポイントとして、スレッショルドを-1.0dB、ドライブを6dBにくらいにするとかなりガッツがありながらもクリーンな音質を保ったリミッターサウンドになります。
APOGEEのオーディオインターフェイスにはAPOGEE CONTROLというミキシングソフトでインプット・アウトプット等の情報を管理します。
その中に今回紹介しているSoftLimitが搭載されているわけですが、設定はONとOFFのみでパラメーター等は調整することはできません。出来るならばFX RACKに対応してほしいと願うばかりです。
操作性
4
GUIはプラグインの顔なのでそれなりの大きさで存在感は出したいメーカーの気持ちはわかりますが、ユーザービリティの視点でみると自分の好みの大きさに変更できてこそだと想います。
APOGEE SoftLimitでは画面の左上の画面拡大サイズのアイコンをクリックすると50%〜150%までGUIのサイズを変更可能です。

安定性
4
めちゃめちゃ軽いので全トラックにさしても問題ありません。

価格
5
$99相当の製品であるとAPOGEEは公表しています、他のブランドからリリースされるともう少し安くなるのではと感じています。このあたりの価格設定はブランドありきです。
結論的に無料でも手にする価値はあるのか?と言われると次の2点をクリアできているかどうかになります。
アナログライクなリミッターサウンドがほしい
オーバーサンプリングを使用しても軽いリミッターがほしい
実際アナログ的なサウンドとしてはさすがAPOGEEクオリティといえる部分もあると感じているので、手持ちのリミッターバリエーションを増やす理由としてもっておいても良いと想います。
まとめ
無料だからもらっておけという気持ちで使ってもおそらくDAWの中でホコリをかぶる可能性があります。
APOGEE Soft Limitでは時代を感じるサウンドです。しかし、一時代を築いたリミッターなのでやはり使うとそれっぽい音になるので、その用途が求める場合はかなり良い製品だと言えるでしょう。
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