「1176系のコンプはよく見るけれど、普通のコンプレッサーと何が違うの?」
FETコンプについて調べると、「アタックが速い」「パンチが出る」と説明されることが多いですが、それだけでは実際にどんな場面で使えばいいのかわかりにくいですよね。
FETコンプの代表として知られる1176系は、非常に速いアタックタイムや、INPUTを使ってコンプレッション量を調整する独特の操作方法を持っています。
この記事では、FETコンプの特徴と1176系コンプレッサーの基本的な使い方を初心者にもわかりやすく解説します。
さらに、記事制作当時に所有していた5種類のFETコンプを同じ素材で聴き比べた音源も掲載しています。「同じFETコンプでも、どれくらい音が違うのか?」も実際の音で確認してみてください。
注意: 比較に使用したプラグインの一部は現在所有していないため、比較音源は記事制作当時に行った検証結果です。2026年時点での再検証ではありません。
FETコンプとは?
FETコンプとは、FET(Field Effect Transistor/電界効果トランジスタ)をゲインリダクションに利用するコンプレッサーです。
代表的な機種として知られているのがUREI 1176です。
1176系コンプレッサーの大きな特徴のひとつが、非常に速いアタックタイムです。そのため、ドラムやベース、ボーカルなどに対してピークを素早くコントロールしたり、コンプレッションそのものを積極的な音作りとして利用したりできます。
また、1176系では一般的なコンプレッサーのようにThresholdノブを操作するのではなく、主にINPUTを上げてコンプレッサー回路へ送る信号レベルを増やすことで、ゲインリダクション量を調整するという特徴があります。

ただし、すべてのFETコンプが1176と同じ音や操作方法というわけではありません。
FETはコンプレッサーの方式を示す言葉であり、1176はその代表的なコンプレッサーのひとつと考えると分かりやすいでしょう。
1176系コンプレッサーの使い方
1176系コンプレッサーは、一般的なコンプレッサーとは操作方法が少し異なります。
大きな違いは、独立したThresholdノブを持たないことです。
1176では主にINPUTを上げてコンプレッサー回路へ送る信号レベルを増やすことで、ゲインリダクション量を調整します。
INPUTを上げるほどコンプレッションが深くなり、OUTPUTでコンプレッション後の出力レベルを調整します。
基本的な操作は次の5つです。
| パラメーター | 役割 |
|---|---|
| INPUT | 入力レベルを上げ、コンプレッションのかかり具合を調整 |
| OUTPUT | コンプレッション後の出力レベルを調整 |
| ATTACK | コンプレッションが反応する速さを調整 |
| RELEASE | ゲインリダクションから戻る速さを調整 |
| RATIO | 4:1、8:1、12:1、20:1などから圧縮比率を選択 |
ATTACK・RELEASEの向きには注意
1176系で特に注意したいのがATTACKとRELEASEです。
オリジナル1176では、ノブを時計回りに回すほど速くなる仕様です。
一般的なコンプレッサーでは「数値を大きくすると時間が長くなる」という感覚で操作することも多いため、初めて1176系を使うと逆に感じるかもしれません。
また、1176をモデルにしたプラグインでは追加機能や操作方法が異なる場合があるため、細かな仕様については使用する製品のマニュアルを確認してください。
All Buttons Inとは?
1176で有名なのが、Ratioボタンをすべて押し込む**「All Buttons In」**です。
本来想定された通常のRatio設定とは異なる動作になり、通常時とは違った強いコンプレッションや歪みを利用できます。
そのため、単純に「Ratioがさらに高くなるモード」と考えるより、1176特有の積極的な音作りとして使われるモードと捉えた方が分かりやすいでしょう。
Threshold、Ratio、Attack、Releaseなど、一般的なコンプレッサーの仕組みについては「コンプレッサーの使い方」で詳しく解説しています。

1176系FETコンプ5製品を実際に聴き比べ
ここからは、記事制作当時に所有していたFETコンプを使い、同じ素材で音の違いを比較します。
比較したのは次の5製品です。
- Waves CLA-76
- IK Multimedia T-RackS Black 76
- Positive Grid PG FET Compressor
- Overloud GEM COMP76
- Arturia Comp FET-76
同じFETコンプというカテゴリーでも、コンプレッションの動きや音の質感まで完全に同じになるわけではありません。
ここでは「どれが実機に最も近いか」を決めるのではなく、同じ素材・設定で使用したときにどのような違いを感じたのかを比較します。
注意: この比較は記事制作当時に所有していたプラグインを使用したものです。現在はこれらの一部製品を所有していないため、2026年時点での再検証は行っていません。また、現在のバージョンでは仕様や動作が変更されている可能性があります。
比較方法
比較には、記事制作当時に用意した同じドラムループを使用しています。
ATTACKとRELEASEは最速に設定し、INPUT・OUTPUTの値はメーカーによって異なるため、ゲインリダクション量を基準にして比較しています。
以下の画像と比較音源は、すべて記事制作当時のものです。
Waves CLA-76

今回の比較では、アタック部分が強く強調される印象でした。ドラムをバチッとした質感にしたい場合には、わかりやすい変化を感じられます。
IK Multimedia T-RackS Black 76

CLA-76と比較すると、リリース後の音の戻り方に違いを感じました。また、今回のドラムループではCLA-76より重心が低くなったような印象も受けます。
Positive Grid PG FET Compressor

他の製品とはGUIやパラメーター構成が異なり、今回の比較でも1176モデリング系とは違った音の傾向に感じました。
「FET Compressor」という名称ではありますが、1176系プラグインと同じ操作感やキャラクターを求めて選ぶ製品とは少し方向性が異なります。
Overloud GEM COMP76

今回比較した中では、特に荒々しいキャラクターを感じました。アタックとリリースによる音の変化もわかりやすく、コンプレッションそのものを積極的な音作りとして使いたい場合に印象に残るサウンドでした。
Arturia Comp FET-76

その後、比較対象としてArturia Comp FET-76を追加しました。
当時の比較では、音の密度感やコンプレッションしたときの潰れ方が特に好みだった製品です。
Arturia Comp FET-76について詳しく知りたい場合は、実際に使用したレビュー記事でも解説しています。

FETタイプだけでなく、Opto・VCA・Vari-Muなども含めて現在のコンプレッサープラグインから選びたい人は、「DTMコンプレッサープラグインおすすめ8選」で比較しています。

まとめ|FETコンプは速い動作と積極的な音作りが特徴
FETコンプは、速いアタックタイムを設定でき、ピークのコントロールから積極的な音作りまで幅広く使えるコンプレッサーです。
なかでも1176はFETコンプを代表する機種で、現在も多くのプラグインがその回路や操作方法をモデルにしています。
1176系では一般的なコンプレッサーのようなThresholdノブを持たず、INPUTを使ってコンプレッション量を調整するのも大きな特徴です。
ただし、「FETコンプなら必ずパンチが出る」「アタックを速くすれば音が前に出る」という単純なものではありません。 AttackやRelease、Ratio、入力レベル、そして素材によって結果は変わります。
今回掲載した5製品の比較でも、同じFETコンプというカテゴリーでありながら、コンプレッションしたときの質感や音の変化には違いがありました。
比較音源は記事制作当時のものですが、「FETコンプによってどの程度キャラクターが変わるのか」を確認する材料として参考にしてみてください。
音色にスピード感を与えたい場合に最適な方法はFETコンプの使用を検討することです。なぜならFETコンプはアタックの速さに特徴があるコンプなのでサウンドの速度感を調整できます。
FETコンプで有名なのは1176というコンプですが、1176以外のFETコンプも存在しています
また各メーカーが出している1176のモデリング本物らしさも含めて良さは一長一短です。
実機の1176を知るのが比較するうえで一番効果的なのですが実機を触れる機会ってないですよね?なので、いくつかの1176モデリングコンプを聴き比べて自分の好みのサウンドを探していくのが近道です。
今日は前回に引き続きコンプVST プラグインとして有名な次の5つを使って比較してみたいと思います。
- waves
- IKmultimedia
- Positive Grid
- Overloud
- Arturia(追記)
FET Compとは?
Field Effect Transistorの頭文字をとってFETと言われています。意味は電圧によって制御するタイプのトランジスタを電界効果トランジスタのことをです。真空管もトランジスタも電圧や電流を増幅するという働きは同じです。
FETコンプの使い道
ボーカルからギター、ベースにドラムとにかく使われまくりの定番コンプです。最初にも音の特性について説明していますが「音の立ち上がり」アタックタイムの速さが特徴的なのでスピード感を求める場合はFETコンプの出番です。
1176のパラメーターについて
- 1INPUT 右に回すことでコンプサウンドになっていく(圧縮していく)
- 2OUTPUT 左に回すことでボリュームが大きくなる。
- 3ATTACK アタックの速さ遅さを決める(1176はアタックが20~800μ秒)と言われている
- 4RELEASE 音の余韻を決める(リリース50~1100m秒)
- 5RATIO 圧縮比率を設定する
- 6METER メーターの触れ具合
「普通のコンプ」というくくりも何を持って「普通」というか微妙なところもでもあるけど普通のコンプにはスレッショルドという概念があり、それを超えたものを圧縮するというのが一般的なコンプです。
アタックよりもリリースよりもれレシオよりも大切なのがスレッショルドです。

しかし1176にはスレッショルドとう概念がありません。
ではどこにスレッショルドがあるのか?というと実は内部で決められているとのことではその値はいくらなのか?という疑問を持つ人私以外にしますか?答えはわかりませんw
一応調べてみても内部で固定されているというスレッショルドの数値が出てこないんです。ひょっとしたら根本的に何か勘違いしているのかもしれません。もし詳しい人がいたら教えてください。
ちなみに1176のスレッショルドについて説明しているので一番わかりやすいのがProtoolsTipsさんの説明だと思います。

つまりスレッショルドを一定にし、インプットを下げて入力を小さくすれば、相対的にスレッショルドは上がる、インプットを上げて入力を大きくすれば、スレッショルドは相対的下がる。
ただしそのままでは、入力された信号に対して出力が大きくなったり小さくなったりして不都合なので、アウトプットのつまみで、インプットを下げた時は大きく、インプットを上げた時は小さくしてやってバランスを取ります。
具体的な手順は、アウトプットのつまみを適当に上げ、(12時くらいでいいと思う)音を聞いて(GRメーターでも確認しながら)インプットのつまみを徐々に上げていってコンプレッサのかかり具合(スレッショルド)を調整する。
それが終わったら、コンプレッサをバイパスした時の音量と同じ様な音量になるようにアウトプットつまみを微調整します。
比較音源と方法
前回と似た単純なドラムループで聴き比べします。
今回は値はアタックもリリースも最速で聴き比べをします。インプット・アウトプットは同じ値でメーカーよってことなるのでGAINリダクションで合わせます。
waves CLA-76

非常にアタックに特徴があります。バチバチ言わせたいときは強そうです。
T−racks5 Black 76

wavesに比べるとこちらはリリースに特徴があるように思います。また重心が下がったような印象も受けます。
Positive Grid PG FET COMPRESSOR

パラメーターもGUIも76ではありませんw音の傾向もかなりデジタルチックな印象を受けます。FETコンプとは名乗っていても76とは別物のコンプって感じです。
OVERLOUD GEM COMP76

比較した中で一番荒々しい雰囲気のコンプです。エミュレートできているかどうかではなくアタックもリリースも非常に特徴があるきがします。巷ではこれが一番実機に近いという噂もあります。
追記
1176モデリングコンプとしてArturiaがFET-76というコンプ出てきました。質感から操作性まで今一番実機に近いサウンドとして注目されています。

まとめ
個人的にArturia FET-76がでるまではGem Comp76の質感が好みでしたが、今ではFET-76が一番使います。その理由はサウンドの密度と音の潰れ方です。
コンプによる速度感とはアタックタイムでどれくらい奥行き感をコントロールするかという点にあります。つまりアタックタイムが速ければそれだけサウンドは前に出てきます。前にあるということはそれだけ後ろにある音色よりスピード感あるというわけです。
なんでもかんでもFETを使えばよいというわけではありませんが、ロック系には多用される理由はこのアタックタイムの速度にあります。
