音が抜けてほしい。でもできる限り自然な感じがいい。トラックの存在感の強さ。それは「音抜け」と密接に関わってきます。しかし。音抜けを良くしようとしてコンプやイコライザーでこねくり回すと不自然になる場合もあります。
倍音を味付けするエキサイターを使うことで存在感を強くする方法もありますが、もう少しナチュラルな雰囲気がほしい。という場合に使ってほしいVSTプラグインそれがAudioThing Type Aです。
AudioThing Type Aを使うとナチュラルでありながら高域の空気感〜中低域の音の密度具合をぐっとアップしてくれるので今まで遠のいていた音が一歩前に出てくる印象です。
わからないままにイコライザーやコンプを使って音の輪郭を目立たせるより、専用のプラグインでサクッと作ってしまう方が効率的です。
- 特定の帯域のみをブーストでいるマルチエンハンサー
- CPU負荷の軽いオーバーサンプリング
- 音の破綻を防ぐソフトリミッター
AudioThing Type A 概要
メーカー | AudioThing |
製品名 | Type A |
特徴 | ヴィンテージエンハンサー 4バンドのマルチバンドコンプレッサー 調整可能なユニットノイズ 最大16倍のオーバーサンプリング サイズ変更可能なウィンドウ ランダマイザー付きプリセットシステム ライトとダークのUIモード |
システム | ウィンドウズ Windows 7、8、10 2GHz CPU、4GB RAM VST2、VST3、AAX、CLAP (64 ビット) マック OS X 10.9 – macOS 12 モントレー 2GHz CPU、4GB RAM VST2、VST3、AU、AAX、CLAP (64 ビット) ユニバーサル 2 バイナリ |
バージョン | v1.3.0(2023-05-16) |
認証方式 | シリアル認証 |
認証数 | 3つ |
容量 | 152MB |
マニュアル | 英語のみ |
価格 | 64.9ドル(メーカー価格) |
備考 | 体験版あり(45 秒ごとに 3 秒間無音になり、保存が無効) |
AudioThing Type Aは往年のノイズリダクションシステム、ドルビーAタイプのNRモジュール Dolby 361をエミュレーションしたエフェクトプラグインです。
AudioThing TYPE Aも実機と同じ仕様で20 – 20,000Hzを4分割して、各帯域で圧縮、伸張を行うことで約10 – 15dBのS/N比の改善が可能で明瞭度がほしいギターやベース、特にボーカルには重宝されやすいエフェクトプラグインです。
類似品としてOVERLOUDのDOPAMINEというものがあり、コンセプトは同じですが、こちらの方が価格が抑えられているのと音の作り込みのカスタマイズに優れています。
AudioThing Type Aはエキサイタープラグイン?
エキサイターは均等な倍音を合成するというものです。当時のプロデューサーが明瞭度を上げるための使い方をしたためにエキサイターと思っている人もいますが、カテゴリ的にはマルチバンドフィルターです。
INPUTからOUTPUTまでダイレクトに出力される音に対してフィルターとコンプで音作りをしてそれを最後ミックスさせる。というのが主な機能です。なのでエキサイター等よりは自然に明瞭度が挙げられるエフェクターとして音質重視のトラックに多用されました。
ちなにTYPE Bというものがありますが、こちらは最初にも説明した倍音を付加するエキサイターになっていて、よりアクティブでハデな明るさを得られるエフェクトプラグインです。
AudioThing Type A レビュー
それでは具体的なレビューをしていきたいと思います。レビュー内ででの帯の色には次のような意味合いがあるので参考にしてください。
- 青帯はメリット
- 赤帯はデメリット
- 緑帯はその中間
音質
4
くっきりと輪郭を持ち上げるビンテージエンハンサーサウンド
AudioThing Type Aはビンテージエンハンサーということで、埋もれがちなトラックの音に輪郭を与え音の解像度を調整できるプラグインです。
アコースティックギターとドラムのみの演奏でギターに使ってみます。
高域のプッシュでアタック感や明瞭度が改善されたのがわかります。
続いて、ベースに使ってみます
最後はボーカル(Synthesizer V)に使ってみます。
使ってみた印象はどのトラックも音を明るくする効果がはっきりとわかります。しかし、それ故に使いすぎると耳に痛いサウンドになる可能性があるので、使用時には思っている以上に優しく使うのが効果的です。
通すだけでも若干高域が持ち上がります。
機能性
3.5
自然な明瞭度が得られるマルチバンドフィルター
倍音を付加するエキサイターAudioThing Type Bと違ってAudioThing Type Aはフィルターとコンプで音をつくるので音の変化としてはおとなしいです。パラメーターの変化幅はInfinity〜最大で+12dBとなっています。変化が自然なためについパラメーターをマックスにあげてしまいたくなりますが、3dB〜6dB程度上を目安にすることで自然な音抜けを実現します。
デシベルとは?
dBは数値に対して「何倍」および「何分の1」を示すものです。
一般的に使われるのが「音量が6dB増えた」=「音量が2倍に増えた」です。
計算方法としてはdBは20log(X倍)で表されるので、関数電卓を使いますが、ざっくりと覚えてしまいたい人は、これくらいを覚えておくとイコライザーやコンプなどを使うとき目安になります。
-12dB | 0.25倍 |
-6dB | 0.5倍(1/2) |
-3dB | 0.7倍 |
0dB | 1倍 |
3dB | 1.5 倍 |
6dB | 2倍 |
12dB | 4倍 |
24dB | 8倍 |
エキサイターのようにギラッとしすぎたくない場合の使い方に最適です。
倍音で音をハデにしたい場合はTYPE B、ナチュラルな空気感がほしいときはTYPE Aという使い方を検討するのが良いかも!
音割れ防止に役立つソフトクリップ機能
音量を調整できるプラグインで一番注意するのは音割れです。TYPE Aはマルチバンドで周波数ごとに最大で12dB増加できるわけですから、音量管理を気を抜くとすぐにレベルオーバーになってしまいます。
しかしAudioThing Type AではSoft Clip機能があるので、ONにすることでレベルオーバーを防いでくれます。
結構突っ込んでもしっかリミッティングしてくれる優秀なソフトリミッターですよ。
少しだけマニアックなお話 AudioThing Type Aの各バンドの周波数帯域について
それぞれのバンドがどのような周波数で動いているのかを確認できる画像をまとめました。
操作性
4
テーマの変更は外観ではなくプリセットウィンドウ内のカラー
AudioThing Type Aではベルマークの隣にあるシステムユーティリティ的な画面の中に「Light Theme」という項目もがあります。最初、GUIの外観を変えられるのかな?と思いましたが、変更されるのはプリセットブラウザやタグで表示させる部分だけです。
オフラインアクティベーション可能
最近のアプリはネット認証(シリアルを入力後サーバーにつながり認証するなど)が一般的です。AudioThing Type Aは公式サイトよりライセンステキストをダウンロードすることでアクティベーション可能です。
安定性
4
オーバーサンプリングの動作が軽い(CPU負荷)
TYPE Aは最大で16倍のオーバーサンプリングを搭載しています。オーバーサンプリングはCPU負荷が高くなることで有名ですが。TYPE AのオーバーサンプリングではCPU負荷が低いので使いやすいです。
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.6.1 Monterey
Audio/IF Focusrite RED 8PRE
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.7
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
価格
4.5
64.9ドル(メーカー価格)
リーズナブルで元が取れる
AudioThingの製品はリーズナブルでありながら音質も良く使いやすいのが特徴です。
AudioThing Type Aも同じで、もう少し音を明るくしたいパートなどには効果的で、使ってみたらその効果は価格帯以上の音になると実感できるしょう。
PluginBoutiqueで購入すると月替りプラグインが無料でもらえます。無料と行っても100ドル相当に売っているプラグインがもらえるのでかなりお得です。
9月の無料特典はAudiomodern Loopmix Lite または Mastering The Mix の How To Stem Master A Song eBook の無料版
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PluginBoutiqueでの具体的な購入方法はこちらの記事が参考になります!
AudioThing Type Aに関するFAQ
- AudioThing Type Aの使い方のコツは?
-
基本これらのプラグインは大げさに使わずに2〜3dBの間で使うのが望ましいです。
- AudioThing Type AとType Bの違いは?
-
Type Aは4つの周波数帯域(マルチバンド)を調整可能に対してType Bはシングルバンドによるエンハンスになります。
- オフラインアクティベーションの方法は
-
ベルマークのとなりにあるシステムユーティリティ的なタグをひらき、レジストレーションをクリック、中央にLicense detectedが開きRemove License fileをクリックし、公式サイトよりDLしたライセンスファイルを読み込ませれば完了です。
まとめ
AudioThing Type Aは4つの周波数を任意で選び、それらを自然な形でエンハンスしてくれるプラグインです。使い方のポイントはオーソドックスな方法としてボーカルにかけるのもいいですし、歪んだギターにかけるのも面白いです。
また、ビンテージサンプラー使用時に失われた高域を強調するのにエンハンサー等は使われました。そのときの雰囲気はエフェクトプラグインで再現すると場合はTYPE AやTYPE Bを使ってみるとよりリアリティが出てきます。