日本のシティポップが世界で注目されています。シティポップとは80年代〜90年代に流行ったちょっとおしゃれな感じのするJPOPです。そのシティポップらしさの音を再現するのに適した音源はいくつかありますが、今回はUVIのEmulationⅡそしてTAL-AudioのTAL-Samplerを紹介します。。2つともE-muというメーカーのEmulator 2 を再現している音源ですが、その2つで出来る内容は異なります。その違いとは何か?
どちらがあなたにぴったりな音源なのかを説明していきたいと思います。
TAL-SAMPLERとは

TAL Software GmbHという2000年頃に設立されスイスに拠点を置く小さな会社が作ったEmulationⅡを再現したソフトサンプラーです。UVIのEmulationⅡがプレイバックサンプラーに対してTAL-SAMPLER好きな音をサンプリングをして音を作り込めます。
TAL-SAMPLERは文字通りサンプラーです。好きな音を取り込んで音作りをできるのですが、すごいのはDAW付属のサンプラーには真似できないDACの質感を再現できるところです。
TAL Samplerのメリット デメリット
DAC Emulatorとは
DACとはデジタル・オーディオコンバーターの略でパソコン等で取り込んだ音をスピーカーやヘッドホンを使って再生するための機能です。
TAL-Samplerは当時の音質をいかに再現するか?というテーマに取り組んだ結果、DAコンバーターに注目しその再現に力をいれた結果、「野太く芯が通った」当時の音質の再現に成功しました。
このおかげでTAL-samplerの音質は他のソフトサンプラーとは一線を画するものになっています。そしてこのDACエミュレーターにバリエーションを作りTAL-SamplerはE-mu2以外にもAKAI MPC60や同社のS1000のDACも選択できるようになりました。

ハード音源は「質感がよい」これは、内蔵されているデジタルデータをスピーカーでなどで聴くためにデジタルをアナログにする回路の違いによって生まれる差です。これがハード特有の音質の違いの正体です。

TAL-SAMPLERはこのDAの質感である上記の回路図を再現しているのが大きな特徴です。個人的にはすごく興奮しているのですが、いまいちDTM界隈の反応が弱い
DACの再現は他にもMPC60のものや最近のバージョンアップによってS1000のDACも追加されました。
ソフト音源とハード音源の音質の違いはDAの差が大きいです。そのDAの質によって「音の太さ」や「抜け」という質感が得られます。ハード音源をソフト音源化したのに「何か違う」のはそのDAの質感を再現していないからという見方もできます。「だったらそういうプラグインがあればいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、DAのプラグインはほとんどありませんし、そう簡単にできるものでもないのがDAプラグインの数の少なさの理由です。しかし、その数少ないDAプラグインを作っているのがTAL Audioというデベロッパーです。
EmulatorIIについては80年代のシンセ音作りにおすすめ音源2つはこれで決まり!
TAL DACは一部の圧倒的なマニアの人から「DACのプラグイン化をしてほしい」という要望から、DACだけを抜き出したプラグインをリリースされています

TAL-samplerからDACの部分だけ取り出しています。プリセットもかなり豊富にあってそれぞれのDACのカラーバリエーションをよく捉えている音質になっています。

選べます。
音質こんな感じ
8bit22050hz
AM6070drive
EMUⅡ
S1000
とにかく音の太さアナログ的質感ともに魅力的な音質に変化しています。
どんな人に向いているプラグイン?
DTM初心者がこれを買ってもあまり意味はないかもしれませんが、ヒップホップや80〜90年代のサウンドに強い憧れをもっている人は使ってもよいかもしれません。ただこれをつかえば「作曲ができるようになる!」みたいなプラグインではなく。あくまで音作りの一環として使うべくものです。
- HIPHOPが好きな人
- リズムに厚みやアナログ的な質感がほしい人
- 上品なビットクラッシャーがほしい
- ハード音源の質感が気になる人
これらの人は楽しめるプラグインになると思います。
お値段
TAL-Samplerは7,230円
TAL-DACは3,013円ですが、TAL−Samplerオーナーは無償という話です。
音源はサイトに追加されていく
ファクトリープリセットとして100音色ほどありますが、サイトにいけば有志のクリエイターが作った音色をダウンロードできます。
バージョンアップも頻繁
バージョンアップの頻度が高く次々に新機能orバクフィクスが盛り込まれていきます。
SFZが読める
サウンドフォントというフォーマットを読むことができます。最近でこそあまり聞かなくなりましたが、世界中にサウンドフォントフォーマットの音源は山ほどありますし、何よりEmu製品のサウンドフォントが売られているのでそれらを取り込むことでEmulatorⅡでEmuハード音源の音を鳴らすという贅沢もできます(この贅沢っていうところがミソですw)
DACがプラグイン化されている!
これがあればハードの違いの質感を手に入れることができるわけです。そうなると「それすごいね!でもサンプラーは気に入っているの使っているんだけどそのDAだけ取り出してプラグイン化されてないの?」と誰もが思うところをTAL SoftwareさんわかっていますwちゃんとDACだけプラグイン化してくれましたw
それがTAL-DAC(そのまんま)
お値段は2,729円
一言でいうとビットクラッシャーみたいなものですが、そこにDACエミュレータが内蔵されているのがポイントです
入力ボリュームコントロールとソフトクリッパーを備えたレコーディングステージ(奇数倍音を追加)。
可変録音サンプルレート(1000Hz-44100Hz)。
さまざまなアルゴリズム(mu-law、mu-law delta、linear)を使用した可変記録ビット深度(4bit-16bit)。
さまざまな再構成方法(hold, variable, linear, S1000/sinc)を使用した再構成セクション。
非常に急な再構成フィルター(オプション)。
AMPドライブ(信号に偶数および奇数の高調波を追加)。
ハイシェルフフィルターとローシェルフフィルター(12dB)。
すべての非線形コンポーネントは、エイリアシングを回避するために8倍オーバーサンプリングされます。
これでお気に入りのサンプラーをEmulatorの質感に近づけてくれます。
TAL-SAMPLERの価格
EmulationⅡのセールより気持ち高い53€日本円では6625円。ほとんど変わりませんねむしろセールをしていないときのEmulationⅡよりはるかに安いです。
まとめ
TAL-SAMPLERの進化(とくにDAC)は非常にワクワクするものが多いです。こうなると古今東西のDACをすべて再現してほしいと思うのは私だけでしょうか
最近はE-muⅡのエミュレートが各社から出ていますが、良い意味でTAL-Samplerが一番荒々しく太さ的にも存在感を発揮します!

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EquationⅡのセールサイトはこちら