どうも!Xpand! 2で作った曲は100曲を超えるUG(@96bit_music )です。
AIR Music TechnologyのXpand! 2は格安DTMセールで多くのDTMerが所持しているマルチ音源であり、音色の汎用性の高さから未だに支持されているモンスター音源といえます。
しかし、リリースされてかなりの年月が経っているため近年のダンスミュージック系のジャンルには対応しきれない部分があります。
EDM系には流石に無理がある
そこで注目されているのがHYPEです。
HYPEは近年の音楽ジャンルにチューニングされた音色や操作性が売りのマルチ音源です。HYPEを使うことでXpand! 2では物足りなかった派手なSuperSawを始め、唸るようなベースや、キレの良いPluckや曲を盛り上げてくれるライザーサウンドなどが多数用意されています。
この記事ではXpand! 2の仕様と比較しながらHYPEのサウンドや使い勝手などメリット・デメリットも含めてしっかりと解説していきます。
- 4 つのサウンド エンジン
- 創作欲を刺激する1500のプリセット
- CPU負荷が少ない
- GUIのパラメーターがわかりにくい
- オリジナルボイスの保存ができない
AIR Music Technology HYPE 概要
メーカー | AIR Music Technology |
製品名 | HYPE |
特徴 | 4 つのサウンド エンジン EDM系に強い1500以上のプリセット 8つの強力なエフェクト スタンドアロン起動可能 |
システム | マック macOS 10.10 – macOS 12 Monterey (Intel のみ) (64 ビットのみ) Intel Core i5、i7、2.3GHz プロセッサ以上 4 GB RAM (8 GB RAM を推奨) ウィンドウズ Windows 7 – Windows 10 (64 ビットのみ) Intel Core i5、i7、2.3GHz プロセッサ以上 4 GB RAM (8 GB RAM を推奨) ASIOサウンドドライバー |
バージョン | スタンドアローン v1.0.1.7(2022-08-18) プラグイン v1.0.0.0(2022-08-18) |
認証方式 | シリアル認証 |
認証数 | 最大 3 台のコンピューターで同時に認証 「AIR プラグインのインストールとアクティブ化」について |
容量 | 1.15GB |
有無 | 英語のみ |
価格 | $130.90 |
備考 | 体験版あり 10-DAY FREE TRIAL |
AIR Music Technology のマルチ音源 Xpand! 2を最新の音楽ジャンルに対応すべくリリースされたのがHYPEです。
Air Xpand! 2 レビュー 時代を超えて使われる究極のマルチ音源
HYPEはもともとAKAIのMPCシリーズに搭載されているソフトシンセです。それをプラグイン化したのがHYPEになります。
操作性に多少の慣れは必要ですが、音色レベルでは使いやすく負荷も軽い優れたているので、ガシガシに使っていくことができます。
現状AIR MUSIC Technologyのすべての製品はMontereyおよびM1チップに対応しています。
詳しくは公式ホームページで
HYPEとXpand! 2の違い
HYPE | Xpand! 2 | |
エンジン | 4 つのサウンド エンジンが搭載 FM、Wavetable、Virtual Analog、Sampled | 4 つのサウンド エンジンが搭載 FM、Wavetable、Virtual Analog、Sampled |
レイヤー | 1〜3(プリセット依存) | 4 |
エフェクト | 8つのデジタルエフェクト | 2 つのデジタル エフェクト プロセッサ。 50種類の編集可能なエフェクトタイプ |
同時発音数 | 表記なし | 最大64 |
プリセット | 1500 | 2500 以上 |
方向性 | EDM系 | 歌もの、劇伴、 |
アルペジエーター | ✕ | ○ |
MIDIアサイン | ✕ | ○ |
パッチの保存 | △ | ○ |
拡張音源 | 2022-08-24現在なし | 多数販売 |
対応OS(MAC) | macOS 10.10 – macOS 12 Monterey (Intel のみ) (64 ビットのみ) | macOS 10.8.5 – 12 (macOS 12 Monterey をサポート) (64 ビットのみ) (M1 Mac は非対応) |
価格 | $130.90 | $108.90 |
音源方式は同じ4つのサウンドエンジンを採用していますが、Xpand! 2が4レイヤーにしたいてHYPEはプリセットによって異なりますが1〜3レイヤーになります。
音の方向性はXpand! 2にはエスニックな楽器からストリングス、サックス、ピアノ、ベース、ギターなど、マルチ音源らしいサウンドが多数用意されていましたが、HYPEには生系のサウンドは数えるほどで基本的にはシンセサウンドがメインになっています。
HYPEのエフェクトは8個からなりますが、Xpand! 2は最大で50種類のエフェクトが搭載されており、それらが2系統を用意されています。
50種類のエフェクトはリバーブやコーラス、ディレイなどの内容違いなものが多いため、Xpand! 2の方がエフェクトが優れているという印象はありません。
質感的にはHYPEの方が解像度が高い印象があります。
同時発音数はXpand! 2は64と固定になっていますが、HYPEは同時発音数を設定できるパラメーターはMono/Polyを切り替えるだけ具体的な発音数は指定できません。
対応OS(MAC)で気になるのはXpand! 2、Hybrid、Vacuum Tubeなど一世代前のAIR MUSIC Technologyのソフト音源はM1 Macへの対応がまだであり、おそらく今後もサポートする可能性は低いかもしれません。
追記、現状AIR MUSIC Technologyのすべての製品はMontereyおよびM1チップに対応しています。
詳しくは公式ホームページで
今回の新製品リリースはそれらを補う形のものであると考えられるので
今後、Xpand! 2、Hybrid、Vacuum TubeなどのAIR MUSIC Technology製品はどこかで使えなくなる可能性を考慮しておく必要があります。
AIR Music Technology HYPE レビュー
音質
4
SuperSawを始め、アブストラクトなパッドや野太いベース、使い勝手の良いプラック系の音色、そしてそれほど多くはありませんが、ピアノやエレピ、ストリングスにブラスも搭載しています。
同社のXpand! 2が数十年前の時代に合わせたマルチ総合音源のように、HYPEもまたこの時代に合わせたマルチ総合音源だと言えるでしょう。
ただ、Xpand! 2の特徴(勝手にそう思い込んでいる部分もありますが)大量にあったオケヒットは一つもありません。
BASSLINEは80kHzまで出力されていましたが、HYPEは最大で25Hz程度までしか出力されません。しかし、プリセットのクオリティの高さがハイレゾ非対応を十分なまでに補ってくれます。
機能性
4
プリセットは1500になり、その多くが近年のEDMを意識した音色が多く揃っています。
音作りのインターフェイスは6つのグラッフィック(Global Controls and Macros)で表示されたパラメーターを調整することでオシレーターを決定し、あとはフィルターのADSRとアンプのADSRで作り込み、お好みで8つの強力なエフェクト
(モジュレーション、ディストーション、ハイプ (EQ)、リバーブ、ディレイ、コンプレッサー、パンパー、リミッター)で音作りをします。
オシレーターのパラメーターが独特で、プリセットによってこのパラメーターの意味が変化します。
どういった意図で変化するのかが掴みきれないために、「なんでこの音色ではこのパラメーターなの?」と疑問に思ってしまい、音作りに戸惑う場合があります。
操作性
2
Global Controls and Macrosとはグラフィックで表示されているパラメーターのことです。
音作り自体は難しくありませんが、プリセット毎に各々のグラフィックのパラメーターの意味が変化するため、慣れが必要です。
オシレーター(エンジン)は組み合わせになっています。同時に使えるのは最大で2つ(デュアル)までになります。
この組み合わせを理解しておけばプリセット毎 のパラメーターが違う理由がわかりますが、慣れていないと「なぜこのプリセットはこのパラメーター?さっきと違う!」ということになります。
このあたりが少しだけわかりにくい印象がありました。
デュアルオシレーターのサウンドを作るときに、オシレーター2をクリックしてもオシレータの一覧が表示されません。これがバグなのが仕様なのかわかりませんが、「ん?」と一瞬なってしまいます。
この他にも
- 同時発音数がプリセットによって異なるものがあるが理由がいまいちわからない
- プリセットにチェックマークがつかないの自分が何を選んでいるのかわからない
- 画面のリサイズができない
- プリセットブラウザがないので好みの音色をマイ・フェイバリットとして登録して呼び出せない
といったGUIのデザインがユーザービリティを悪くしている印象があります。
またプリセット「Glockenspiel 1」ではオシレーターがKalimbaと表示されているが、発音しているオシレーターはGlockenspiel になっているなどのバグも見られます。
これらは非常に操作する上ではマイナス面に感じる部分でもありますが、音色面でこれらをスルーできるものもあるので、まずは音色ありきでHYPEを評価するのが一番です。
GUIサイズの変更不可
マイ・フェイバリットボイスが作れない、
ソフトシンセ上でオリジナルボイスを保存できない、
Bassline、Tube Synth、Electric、Solina、Mellotronこれらすべてに共通です。
是非アップデートでなんとかしてほしいところです。
オリジナルボイスの保存について
多くのソフトシンセはソフトシンセ内にユーザーパッチ的を保存することが可能ですが、AU環境のHYPEには現在そのような保存先がありません。(VSTにあるのかもわかりません)
他のDAWではわかりませんがLogic Proでオリジナルパッチを保存する場合は電源マークのとなりのタグをクリックして別名で保存することでオリジナルパッチが保存できます。
安定性
HYPEを6つ使ったCPU負荷です。
負荷は軽い部類の音源です。アナログモデリング等を選択すると負荷が急激に上がるということもありません。
また使用中にDAWが落ちることも一度もありませんでした。
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.4 Monterey
Audio/IF APOGEE Symphony Ensemble
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.4
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
価格
3
Xpand! 2と比較すると若干割高な印象もありますが、近年のダンスミュージックにチューニングされた1500のプリセットと慣れが必要ではありますがスタイリッシュなGUIなど創作意欲が刺激される音源であることに間違いありません。
HYPE | Xpand! 2 | |
エンジン | 4 つのサウンド エンジンが搭載 FM、Wavetable、Virtual Analog、Sampled | 4 つのサウンド エンジンが搭載 FM、Wavetable、Virtual Analog、Sampled |
レイヤー | 1〜3(プリセット依存) | 4 |
エフェクト | 2 つのデジタル エフェクト プロセッサ。 50種類の編集可能なエフェクトタイプ | 8つのデジタルエフェクト |
同時発音数 | 表記なし | 最大64 |
プリセット | 1500 | 2500 以上 |
方向性 | EDM系 | 歌もの、劇伴、 |
アルペジエーター | ✕ | ○ |
MIDIアサイン | ✕ | ○ |
パッチの保存 | △ | ○ |
拡張音源 | 2022-08-24現在なし | 多数販売 |
価格 | $130.90 | $108.90 |
関連動画
まとめ
次世代のXpand! 2としてリリースされたであろうHYPEはXpand! 2の操作性や音色とは異なった存在になっています。
EDM系などには即戦力な音色が多数用意されているので、音作りより音選びのセンスが問われる音源であります。一方で
GUIの表示方法には多少慣れが必要と感じる部分も多いため、わかりにくいと感じる人もいるかもしれませんが、操作方法に慣れてしまえば十分に即戦力になってくれると思います。