どうもストリングス音源が大好きなUG(@96bit_music )です。
歌もの劇伴問わずストリングス音源は楽曲彩る重要な音源ですが、作っているジャンルによっては生のストリングスが合わない場合があります。
確かにリアルであればなんでもOKってわけでもないよね
そこで試してみてほしいのがAIR Music Technology Solina というアナログストリングス音源です。
シンセのオシレーターで作られたサウンドなので正確には「ストリングス風音源」になります。リアリティは生と比較するまでもありませんが、生のストリングス音源と比較すると別次元の存在感と表現できます。
この記事ではAIR Music Technology Solina とArturiaから出ているSolina V2のサウンド比較しながら、使い勝手や音質面などを解説していきます。
- 存在感のあるハイブリッド音源方式
- パートごとのピッチやパン設定
- 軽くて安定している
- リバーブが弱い
- 音のバリエーションが少ない
AIR Music Technology Solina 概要
メーカー | AIR Music Technology |
製品名 | Solina |
特徴 | サンプリングとモデリングによるハイブリッド音源 サウンドに質感と色を追加するための新しいフレーバー セクション スタンドアロンで立ち上げ可能 Formant、Filter、Age による実機にはない音作りパラメータ |
システム | マック macOS 10.10 – macOS 12 Monterey (Intel のみ) (64 ビットのみ) Intel Core i5、i7、2.3GHz プロセッサ以上 4 GB RAM (8 GB RAM を推奨) ウィンドウズ Windows 7 – Windows 10 (64 ビットのみ) Intel Core i5、i7、2.3GHz プロセッサ以上 4 GB RAM (8 GB RAM を推奨) ASIOサウンドドライバー |
バージョン | スタンドアローン v1.0.1.7(2022-08-18) プラグイン v1.0.0.0(2022-08-18) |
認証方式 | シリアル認証 |
認証数 | 最大 3 台のコンピューターで同時に認証 「AIR プラグインのインストールとアクティブ化」につい |
容量 | 285.1MB |
マニュアル | 英語版のみ |
価格 | $108.90 |
備考 | 体験版あり 10-DAY FREE TRIAL |
アナログストリングスとして有名なSolinaをモデリングとサンプリング技術で再現しているのがAIR MUSIC TechnologyのSolinaです。
本物のストリングスサウンドで得られないざらついた癖のつよいシンセストリングスは楽曲の中で不思議な存在感を保ちます。
使ってみて思ったのは想像以上に「荒く勢いがある音」ということ。詳しくは後述しますが、ArturiaのSolina V2と比較するとAIR MUSIC Technology Solinaの方が押しが強くて使いたくなる印象があります。
実機のサウンドにはついてはこちらの動画参考になります。
現状AIR MUSIC Technologyのすべての製品はMontereyおよびM1チップに対応しています。
詳しくは公式ホームページで
AIR Music Technology Solina レビュー
音質
3.5
メインリフを演奏しているのがAIR Music Technology Solinaです。ストリングス音源として使う人が多いですが、荒々しいサウンドはシンセブラス的な使い方も可能です。むしろ私はこのような使い方をする方が多いかもしれません。
また定番な方法ですが、アイドルやアニソンのサビでパッドとして使うと、天井が開いた開放感のある演出をすることも可能です。
Solinaはアナログシンセの波形で作られているので、それらしい雰囲気はSERUMや他の音源でもそれっぽい感じの音色を作ることは可能ですが、やはりSolinaを再現しているソフトシンセから出てくる音は独特の存在感があります。
Arturia にもSolinaを再現したSolina Vというソフトシンセがあります。
比較すると、AIR Music Technology Solinaの方が荒々しい感じします。どちらが良いかは使用目的の見極めが必要ですが、
AIR Music Technology Solinaの荒々しさは抜けを求める時に重宝する印象があります。
機能性
3.5
Arturia のSolina Vと比較して便利なのは、各パート(バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス、トランペット、ホルン)毎にパンポットとトランスポーズノブがあるので、任意のパンニングとオクターブ調整が可能です。
AIR Music Technology Solinaはdefaultではパンニングがセンターなのでモノラル的な音像になります(エフェクトでディレイやコーラスがかかっている場合はステレオ的な音像になります)
なので、内蔵エフェクトに頼らず音像感を調整したい場合は必須のパラメーターになります。
エフェクトはAIR Music Technology Mellotronにも採用されいていたフレイバーとコーラス、イコライザー、ディレイ、スプリングリバーブ、になります。
スプリングリバーブの質感は好みが分かれる音色です。個人的にはあまり好きではないためバリエーションがほしかったところです。
このあたりは好みのReverbをDAWで使えばいいだけの話なのでそこまで気にする必要はないと思います。
5つのカテゴリに75種類のプリセットが用意されています。
荒々しいだけのSolinaサウンドだけではなくフィルターを使ったことで壮大で優雅なパッド的ストリングスも味があった良い感じです。
ただ、Solinaはあくまでアナログシンセで作られた疑似ストリングス&ブラス音源なので、プリセットが75あっても全体的には音の方向性は似ています。
操作性
3.5
GUIサイズの変更不可
マイ・フェイバリットボイスが作れない、
ソフトシンセ上でオリジナルボイスを保存できない、
Bassline、HYPE、Tube Synth、Electric、Mellotronこれらすべてに共通です。
是非アップデートでなんとかしてほしいところです。
安定性
4
負荷がかかる仕様にはなっていないので、AIR Music Technology SolinaもArturia Solina V2も軽いです。
またパラメーターを動かしている最中に不安定な挙動も起こらなかったので安定性は良いように思います。
CPU負荷計測環境
パソコン Macmini2018
CPU Corei7(i7-8700B)6コア
HT使用時12コア 3.2GHz/ターボブースト(TB)使用時4.6GHz
メモリ 32GB
システム OS12.4 Monterey
Audio/IF APOGEE Symphony Ensemble
バッファー 256
DAW LogicPro10.7.4
48kHz/24bit
再生ストレージ SSD
価格
3.5
AIR Music Technology Solina | Arturia Solina V2 |
$108.90 | $163.90 |
サンプリングとモデリングによるハイブリッド音源 | モデリング |
価格は$108です。Arturia のSolina V2と比較すると$55安いです。Arturia Solina V2は単体で買うよりもバンドルセットであるArturia V Collectionで購入する方が割安です。
Arturia Solina V2は質感としては優しい感じがして攻めたSolinaサウンドになりにくいので、荒々しく勢いのあるSolinaサウンドを求めるのならAIR Music Technology Solinaがオススメです。
まとめ
生のストリングス音源の代用にはなりませんが、Solinaには独特の雰囲気があります。単体で使うのも良いですし、レイヤーして使えば強烈なスパイスとなって音色を引き立ててくれます。
リバーブの弱さは個人レベルの話ですし、DAWで好みのリバーブを使えば問題はありません。音のバリエーションはもともとの波形の少ないのでそれは受け入れるしかありません。ですが、そこさえ問題にしなければ使い勝手の良いSolinaサウンドです。